
実は最近、海外向けの動画が必要かも?って話が社内で出てきたんです。
とくに新しく開発したデバイスを海外に売り込むなら、YouTubeとかでちゃんと伝える方法が必要かなって思ってて。

いい視点ですね!
中小企業が海外に展開する際、動画は“予算の大きさ”より“伝え方の工夫”がものを言います。
今日は、実際の事例も交えながら、海外PRとして効果的なYouTube動画の考え方をご紹介していきましょう。
1 海外マーケティングに効く動画活用術

今日は、海外向けのYouTube動画について相談です!
新しく開発したデバイスを海外で売りたいと思ってて、やっぱり動画があったほうがいいと思うんですよね。
商品PRや企業PRの動画もけっこう見てて、ちょっと詳しくなったかも…フフッ。

それはいいですね〜!
海外展開において、動画の活用は本当におすすめなんです。

(ほぉ、最近積極的だな)

動画は「一目で理解できる」「たくさんの情報をコンパクトに共有できる」という点で、世界中に向けた情報発信、海外とのコミュニケーションにぴったりです。
とはいえ、ただ動画を作ればよいというわけではありません。
YouTube上で“見つけてもらえる”ための工夫が必要なんです。
たとえば、海外ユーザーに届く動画にするには、次のような基本的なポイントが重要です:
- 国ごとに検索キーワードを調べておく
- タイトルや説明文にキーワードをしっかり反映する
- 各国向けにサムネイルを調整する
- 翻訳は必ずネイティブチェックを受け、自然な言い回しに
- 可能なら現地YouTuberとのコラボも検討する
また、タイトル設定も視聴の入り口として極めて大切です。
効果的なタイトルにするためには:
- タイトルタグに主要キーワードを含める
- 数字を活用して具体性を出す(例:「3つのコツ」など)
- 短くてわかりやすいフレーズを使う

なるほど〜、人気動画にするにはWebサイトと同じで“SEO対策”が必要なんですね。
そこんとこ…すっかり忘れてました…(汗)

(正確にはSEOというより、YouTubeのAIアルゴリズム対策だけど・・)
2 動画がある企業が選ばれる理由

(そんなに!?)

この中から取引先を探す場合、来場者はキーワードで検索し、気になる企業を数十社まで絞り込んでいきます。
でも、英語のテキストだけでは比較が難しい。そんなとき…
ついつい、動画付きの企業をクリックしちゃいません?

ええ、たぶん…真っ先に見ちゃいます!

動画があるだけで、企業の雰囲気や製品の特徴が直感的に伝わるんです。
その後の比較や問い合わせにも進みやすくなる。
だから動画は“あるだけでも強い”んです、利用しない手はない!。
動画の有無で差がつくバイヤーの選定行動

動画があると、なんか…“本当に存在してる”って感じがしますよね。
数万円から始められる海外PR手法

中小企業でも、動画の選択肢はいろいろあります。
たとえ予算が少なくても、コロナ禍で工夫して制作した動画でも、十分な訴求力があります。
たとえば:
- 受付から生産ラインまでをスマホで撮影
- 製品の特徴をシンプルに字幕付きで紹介
- 実際の使用シーンを簡単なナレーションで説明

でも、やっぱり大手企業の高品質な動画と比べると…ちょっと心配です。

そこがポイント。
「完璧」じゃなくても、「リアル」な情報こそが、相手の信頼につながります。
海外バイヤーにとって、“何もない企業”と“最低限の動画がある企業”の差は想像以上に大きいんです。

そうか…動画が「ないまま」は、ちょっとマズいかもな。

(…これは、社長から動画制作のGOサインが出た感じ?)
3 中小企業の海外動画事例から学ぶ

・・・お気持ちはわかります。
でも、大企業のブランディング動画はたしかにカッコいいけど、現実的な参考にはなりにくいんです。
我々、中小企業は違う強みを見せないと。
大手に真似できない中小企業の動画戦略

見ただけで“使い方”がわかる。
これは…良い。

こういうの、まさに“動画だから伝わる”事例ですよね。
さらに、インドの精密部品メーカーの紹介動画。
従業員250名未満、欧米に自動車部品を年間2,400トンも輸出している実力派です。
工場風景と製品紹介がメインの動画で、技術力・信頼感がしっかり伝わってきます。

欧米に自動車部品を2400トン輸出していて、ISO9001、ISO14001、ISO45001(労働マネジメント)、IATF16949(自動車産業用品質マネジメント)を取得済み。
日本の北米向け自動車部品の年間輸出量が60万トン(2014年)ということですので、中小企業とはいえかなりの量と分かります。
ただ、非常におしいのはこれらの情報(ISO詳細、生産量、仕向け地)は動画内ではなく、同社ホームページに行って読み込んで初めて確認できることなんです。

ほんと、おしいですね。

でも、この会社の全体像がサッとわかる良い動画です。
…やっぱり、動画があるだけで全然印象が違うんですね。
海外企業に「知ってもらう工夫」ができている。

そうなんです!
知ってもらおうとする姿勢が大切です。
加えて、YouTube動画は、海外展示会に出展するタイミングで作られる企業も多いんです。
ブースに来場した顧客候補が動画を見て、気軽に質問できるようになりますし、
接客対応が手一杯のときでも、動画を流しておけばお客様の足を止めておけます。
“見ればわかる”動画というツールは、海外でこそ最強。
ブース対応の負荷を確実に軽減してくれる、ありがたツールなんです。

たしかに、字幕入りの動画を流しながらなら、説明もスムーズになりそうです!

そうなんです。
お客様に「あっ、なるほど!」と感じてもらえる機会がぐっと増えます。
もちろん、字幕やナレーションなどの言語表現の工夫も非常に重要。
でも、連日立ちっぱなしのブース対応の負荷を、確実に軽減してくれますし、動画映像の有る時・無い時の負担差はかなり大きい。
何より字幕ありの動画を見ながら解説する方が、海外のお客様からの「Aha!体験」もぐっと得やすいんです。
展示会に限らず、いろんなジャンル・業種でもこの使い方は応用できます。
4 動画制作は目的と視点がすべて

中小企業が初めて海外向け動画を作るなら、まず明確にしたいのが“目的”。
例えば:
- B2Bなら「企業紹介」または「技術紹介」に絞る
- B2Cでも、ブランド認知ではなく「商品・サービスPR」に集中する

つまり、「ウケそうな映像」よりも「売れる映像」を優先するってことですね。

まさにそれです!
現地経営者やバイヤーに「これは便利だ」と思ってもらう、
「もっと知りたい」「問い合わせたい」と「見る人が思える」動画を作るには、
自社の強みや伝えたい価値を戦略的に絞る必要があります。
丸投げより“企画力”が勝負

動画制作を外注する場合、企画や構成まで丸投げするとコストも高くなりがち。
まずは自社で:
- 見せたい内容
- 伝えたい理由
- 理想の構成イメージ
を“言語化”しておきましょう。
海外向けであれば、ナレーションや字幕に使うテキストも文化や思考の違いを意識して構成する必要があります。

英訳だけじゃダメってことですよね?

そう、それが「異文化適応」です!
(宜しければこちらもどうぞ:異文化適応力は十分に備わっていますか?)
「日本ではウケた」動画は通じないことも

例えば、掃除道具の「コロコロ」。

上の、米国企業の動画では、
どんな時に便利で、どうラクになるのか、など、買うことのメリットが、ただ動画を見ているだけで考えなくても伝わります。
コロコロについた汚れは洗い流せて、タオルで拭いて、その辺にポンと置いておけば済むとは、米国消費者の、
「面倒くさいのは絶対イヤ、とにかく簡単でラク求む」
の欲求にぴったりです。
一方で、こちらは日本のコロコロ本家。

内容としては;
- カーペット、フローリング、新聞の上で他社製品と比較
- それぞれとの優位性をPR
- 理由は特許のテクノロジー
と最後に締めています。
すでに日本では本商品は広く認知されているため、この内容でも十分理解されます。
しかし、それ以前の状態、その商品がまだ浸透していない海外の新市場では、技術優位性を英訳しただけでは、購買というアクションは期待できないのです。
だから、何?となる、典型的な技術PR動画だからです。
各地域の文化背景を考える必要があるんです。
まとめますと:
- 米国版のPR動画:便利さ・ラクさを強調、手間が省けるメリットを自然に伝えている
- 日本版のPR動画:比較と技術力の訴求にフォーカス(でも見た目は淡々)
この差こそが、日本と海外の消費者マインドの違いになります。

同じ製品でも「伝え方」が全然違うんですね。

そうなんです。
そしてこれはB2Bでも同様です。
例えば:
- コスト効果が重視される市場
- 流通網の弱さを懸念する市場
- サステナビリティを重視する市場
など、それぞれで「刺さるポイント」が違います。
だから、日本語の技術比較をそのまま英訳するだけでは、海外のバイヤーの心に届かないんです。

…なるほど、
これってもう“マーケティング戦略”ですね。

まさに!
海外動画制作は、広報ではなく経営戦略の一部なんです!
5 信頼できる制作会社と進めるには

動画を作ろうと動き始めたんですけど、制作会社の選び方がわからなくて…。
動画制作業者さんの海外経験やマーケティング活動の内容も気になってます、でも、よく分からない。

その悩み、よく聞きます。
実は今、日本国内には「海外向け動画に本当に強い会社」はまだ少数。
制作実績に動画が並んでいても、それが内製か外注かはパッと見では分かりません。
できれば広告代理店経由ではなく、実際に行う制作工程まで理解している業者さんが理想です。

見積の項目名もバラバラで、金額の妥当性も比べにくい…

そこなんですよね〜。
だからこそ、最初の面談で必ず聞いてほしいのは:
- 海外向け動画の実績があるか?
- その中で何を担当したか?(企画?翻訳?撮影?)
- 「日本語版の翻訳だけ」ではなく、文化や価値観の適応まで対応できるか?
制作側も、「ここまではできるけど、ここからは未知です」と正直に言ってくれる方が信頼できます。

丸投げできない分、こっちも学びながら進めなきゃですね。

そうです!
だから一緒に絵コンテから作るのもアリです。
分からないことは恥じゃないし、ちゃんと意思を持って臨む方が、絶対に良い動画になります。
6 見返したくなる動画がゴール

動画制作の最終ゴールって、何だと思います?

うーん、見てもらうこと…ですか?

惜しいっ!
正解は「もう一回見たくなること」。
なぜなら、海外のバイヤーは「新規取引すべき判断材料」として動画を何度も確認するから。
だから重要なのは、ただ見せるだけじゃなくて「印象に残る」動画にすること。
競合と差がつく“記憶に残る”工夫

競合他社と差別化するには、過去の経験や顧客からの評価を動画に反映させるのも一つの方法です。
また、最初の段階でターゲット国や市場の特性を把握し、適切なコンテンツに落とし込むことで、より訴求力が高まります。
つまり:
- 競合の動画をすべて分析して“見せていない価値”を狙う
- 自社が「言いたいこと」ではなく「褒められた実績」を映す
- 顧客の感情を動かす(驚き・共感・安心・納得・楽ちん…)
その上で、
- 海外顧客の早回し箇所、巻き戻し箇所をリアルに想像できるかどうか
- 海外顧客の「へえ~、そうなんだ!」が聞こえてくるか
何度も繰り返し視聴されることで、相手は心理的に近づいてきます。
そうなると、問合せの段階から信頼感が違うんです。

なるほど、商品より“信頼”が残るように作るわけか。

その通り!

ひゃ~、難易度大!
でもでも、まずは「絵コンテづくり」からがんばってみます…!

期待してるよ、カントク!

楽しみです!