【2025年版】多言語サイトの制作とWeb運用を解説!WordPress対応ホームページ構築の注意点とは?
更新 2025年7月18日 公開 2023年11月1日
グローバル化が進む中、多言語対応のWebサイトは「あると便利」ではなく、「ないと損する」営業基盤になりつつあります。
特に海外向けの集客や信頼構築には、言語・ドメイン設定・レイアウト設計など、構造と翻訳の品質が直結します。
「英語版を作ったのに成果がない」「運営やCMSの設定が煩雑で、更新まで手が回らない」
― そんな課題に直面している方も多いのではないでしょうか?
本記事では、会社の成長と地域展開に対応する多言語ホームページの作り方を、設計・翻訳・運用の3方向から徹底解説。
WordPressの実装ポイントや各国ドメイン(ccTLD/サブドメイン/サブディレクトリ)選び、プラグイン活用、CMSの設定手順、そして注意点まで、最新の手法と実例を交えて紹介していきます。
「自社に合った最適なWebサイトとは何か?」を明確にし、訪問ユーザーに“伝わる”構造で、グローバルに成果を出す仕組みを一緒に考えていきましょう。
海外進出の目的とユーザー設計
多言語サイトは戦略の手段である
ただ翻訳するだけでは意味がありません。
まずは事業目的とターゲット国、ユーザー像を社内で明文化することがスタートラインです。
「どの国でどの層に、何を届けるのか」。
言語選定やドメイン構造、レイアウト設計は、この軸がなければブレやすくなります。
サブディレクトリかサブドメインかといった構築手段の決定にも関わる、非常に重要な工程です。
社内でできる準備とは何か?
「海外のことはよくわからないので制作会社に…」とすべて任せるのは避けたい姿勢です。
言語仕様や専門用語、各国法対応など、会社固有の情報を外部に任せすぎると、成果に直結しないページになることも。
事前に、業界で使われる用語やサービスの強み、海外向けに伝えるべき要素を整理し、簡単なRFP(Request for Proposal)(提案依頼書)のドラフトを作成しておくと、プロジェクト全体の進行がスムーズになります。
信頼できる制作会社の条件とは?
「海外向けにもWeb制作できます」だけでは判断が難しい時代です。
多言語CMSの導入経験だけでなく、インバウンド施策・現地法人向けホームページ・越境ECなどの運営支援実績がある会社かを確認しましょう。
各地域の文化や商習慣への理解がないと、ユーザーに届かない言語設計になることも。
言語設定やサーバー構成、ccTLD(国別ドメイン)の取り扱いなど、技術面でも深く相談できる会社が理想です。
このように、翻訳やWeb制作に入る前の「言語化と戦略設計」こそが、多言語サイト構築の土台になります。
多言語サイト構築前の情報収集と設計戦略
外注に頼りすぎると成果が出にくい理由
限られたリソースで最大限の成果を得るには、自社が主導で動くことが不可欠です。
特に、初期設計段階では提案依頼書(RFP)などの基本資料を用意しておくことが成功の分かれ道になります。
予算が潤沢(500万円以上)であれば、制作会社に設計・SEO・デザイン提案まで任せるのも選択肢です。
しかし一般的なWeb制作費用(150万〜200万円)では、主導権を自社が握り、海外での見せ方を社内で議論することが将来のリニューアル負担を減らす近道になります。
海外Webサイトを大量にチェックする
インスピレーションは模倣から。
まずは海外のWebサイトを100件以上閲覧し、レイアウトや誘導設計、フォントやボタンサイズなど、UI/UXの違いを目で覚えましょう。
気になったサイトはスクリーンショット+URLとともにExcelで保存・整理しておくと、設計時の比較や社内共有に非常に役立ちます。
サイト分析は構造・コピー・誘導まで見る
デザインだけでなく、言語の使い方、キャッチコピー、ナビゲーション導線、CTAの配置なども含めて全体を分析してみてください。
例えばアメリカとヨーロッパでは、「メインビジュアルの役割」や「目を引く言い回し」にも大きな差があります。
外国人や翻訳パートナーと意見交換する
翻訳会社や海外スタッフ、外国語に堪能な知人など、第三者の視点で評価を得ることが重要です。
「自分では良いと思っていたけど、海外ユーザーには違和感がある」パターンもよくあります。
主観からの脱却が、グローバルサイト成功のカギです。
海外の最新Webサイトが見られるギャラリーまとめ3選
以下のギャラリーサイトを定期チェックすれば、国ごとのトレンドや地域特有のデザイン感覚をつかむヒントになります。
リサーチに疲れたときにおすすめの休憩用サイト3選
大量の事例調査で疲れたときは、視覚を休めつつ異文化に触れることで感覚をリセットしましょう。
(休憩おわり)
情報設計で選ばれる多言語Web戦略
競合調査は国内外セットで行う
日本企業は、日本語版の競合サイトを参考にする傾向が強いですが、それだけではグローバルでのポジショニングにズレが生じます。
例えばアメリカ市場では、同じ業種でも訴求ポイントやボタン配置、FAQの見せ方が全く異なることも。
地域ごとにユーザーの購買行動は違うため、現地の競合サイト分析は不可欠です。
海外SEOは現地の検索エンジンから
Google.com(米国)やgoogle.de(ドイツ)など現地検索で実際に調べることが、キーワード設計の第一歩です。
日本語から直訳したページでは、現地の検索意図に合わずインデックスされづらいケースも。
Google Search ConsoleやAhrefs、SEMrushなどのツールを使いながら、競合が採用している検索語・構造・パーマリンク設計なども比較分析しましょう。
lang属性やURL設計など技術構築は必須
HTMLのlang属性、hreflangタグ、国ごとのccTLDドメイン、またはサブディレクトリ構造など、多言語対応には最低限の設定ルールがあります。
例えば example.com/en/ のように構造を分けることで、各国検索エンジンでのインデックス精度が向上し、ターゲット地域に合った表示が可能になります。
比較しやすいコンテンツ配置で信頼感アップ
海外の閲覧ユーザーは、「この会社を選ぶ理由」がすぐにわかるように、視覚的な比較や明確なメリット提示を重視します。
以下のような項目は、Web制作段階で必ず盛り込みたいコンテンツ例です:
- 競合企業との違いが一目でわかる業界マップ
- 自社製品・サービスの導入事例/レビュー/サポート体制
- 購入後にかかる費用まで含めたトータルコスト一覧
- 今後の業界動向や自社の立ち位置・役割に関するビジョン
さらに、
「よく聞かれるけど答えにくい質問」
「営業現場でよく驚かれるトピック」
などもブログ化し、
長期的なSEO資産にすることが重要です。
これらはCMSやWordPressなどで整理してカテゴリ分類し、ユーザーが閲覧・比較しやすい構成を維持できるように設計しておきましょう。
伝わる翻訳設計と文化的ギャップの克服方法
直訳では成果が出ない理由
日本語の表現や文化をそのまま外国語に置き換えても、意味が正確に伝わらないことが多く、ユーザーの関心を引けないことがあります。
たとえば、「おもてなし」「安心・安全」などの抽象表現は、英語では意図が伝わりにくく、クリックや問い合わせにつながらないケースが非常に多いです。
その情報が海外ユーザーにとって本当に必要か?という視点で取捨選択するのが、コンテンツ翻訳の第一歩です。
英語ベースで設計→日本語に戻す流れが効果的
最初に英語圏の購買行動や文化に合わせた構成を考え、その後に必要であれば日本語化するという“逆翻訳思考”が、自然で伝わりやすいサイトづくりに繋がります。
このプロセスは情報の棚卸しにもなり、自社の強みや訴求点を整理するチャンスでもあります。
日本語特有の要素は省いてOK
以下は、日本の企業Webサイトでは定番でも、海外ではほとんど重要視されていない項目です:
- 経営者の挨拶が文字だけ/笑顔の写真なし
- 長文で抽象的な「理念」ページ
- 型番まで明記した設備一覧
(模倣被害リスク) - ノウハウが読める技術情報
(知的財産リスク) - 資本金・従業員数・売上高などの経営情報
(望まぬM&Aリスク) - 一部の公開現場写真
(セキュリティリスク)
英語版Webサイトには不要な要素も多く、意図しない情報漏洩を防ぐためにも、自社の判断で「出さない勇気」も重要です。
英語圏サイトで重視されるコンテンツ構成とは?
一方で、英語圏のWebサイトで一般的に重視される情報要素には、以下のようなものがあります:
- ビジョン・ミッション・コアバリュー
- 経営陣とチームの笑顔写真と簡潔な紹介
- 商品ではなく「用途」に基づいた事例紹介
- シーン別に整理された商品提案
- ロゴだけの導入実績・クライアント一覧
- 企業の歩みをストーリーとして紹介する年表
- 最小限に整理された会社概要(メール・拠点・創業年など)
このように、ユーザー中心の構成や体験を優先する視点が、多言語Web制作において不可欠です。
既存の日本語サイトは残してOK?
すでに国内顧客向けに成果を出しているサイトがあるなら、無理に統一せず、そのまま併存させるという選択も可能です。
例:
日本版「rakuten.co.jp」は日本市場向けに特化した独自構成で、賑やかかつ情報量が多い設計。
一方、海外版「rakuten.com」は当初からアメリカ市場を意識した異なるレイアウトと構造で展開されています。
これは「海外ユーザーの期待値に合わせたカスタマイズ」の好例です。
もし、既存の日本語のウェブサイトが日本顧客向けに上手く機能していて成果を出している場合、そのまま残す選択はあります。
翻訳の質を高めるためのチーム戦略と外部連携
ビジョン共有はトップの言葉で伝える
多言語サイトは企業の人格を表す重要なメディア。
だからこそ、経営者自身の言葉で方向性や想いを伝えることが、翻訳の質にも大きく影響します。
翻訳者がなぜこの会社がこの市場に挑むのかを理解すれば、単なる言葉の変換ではなく、「伝わる表現」へと昇華してくれるはずです。
翻訳者選定はトライアルが有効
翻訳者を選ぶ際には、事前に試訳(トライアル)を依頼するのが効果的です。
同じ文章を複数人に訳してもらい、表現の自然さ、文化理解、文法の整合性などを比較しましょう。
翻訳者が優秀であれば、元原稿に曖昧な部分があっても、伝わる英文へと工夫してくれます。
ただし、全ての翻訳者にそれを求めるのは難しいため、企業側も伝えやすい原稿を準備する責任があるという意識が大切です。
たとえば翻訳者の実力差が出やすいのは、以下のような“訳しにくい日本語”です:
- 主語が省略された説明文
(例:「できるだけ対応します」→誰が?どの範囲で?) - 感情を曖昧に表現する敬語・丁寧語
(例:「ご期待に添えるよう努めます」→何をどう?) - 抽象的な精神論や文化的価値観
(例:「誠心誠意ご対応」→行動や結果の明示が必要)
こういった表現は、文脈によって意図が大きく変わるため、翻訳者の判断に委ねすぎると誤解を招く恐れがあります。
英語では
「どんな成果を、どうやって実現するか」の方が重視されるため、
情緒的な表現は数字・事例・ベネフィットに置き換えて伝える工夫が必要です。
社内用語の共有は必須
企業ごとに使われる略語・専門用語・独自ルールは、翻訳者にとって大きな壁になります。
そのため、あらかじめ社内用語集や業界特有の言い回しをまとめて共有しましょう。
「分からなければ質問が来るだろう」と考えるのは危険です。
本当に優れた翻訳者は、何が分かっていないかを認識できる人ですが、それは非常に高度なスキル。
社内でしか通じない略語や説明抜きの用語が多いと、翻訳者が意味を取り違える可能性が高くなります。
『超意訳』はコピーライティング領域
スローガンやキャッチコピーなどの翻訳は、もはや「翻訳」の範疇を超えています。
これは文章の意味を伝えるのではなく、「別言語・別文化でも同じインパクトを届ける」ための再構築作業。つまりコピーライティングの領域です。
この領域では、単語の選択だけでなく、文化背景や価値観、文脈までも再設計する必要があります。
当然ながら、通常の翻訳料金・納期では到底カバーできません。
依頼の際は別料金・別プロセスとして切り分けることが大切です。
たとえば、
近藤麻理恵さんの世界的ベストセラー『人生がときめく片づけの魔法』。
その英語タイトルはこう訳されました:
The Life-Changing Magic of Tidying Up:
The Japanese Art of Decluttering and Organizing
一見すると直訳に見えますが、実は最も象徴的な言葉「ときめく」が、どこにも登場していません。
「ときめく」は英語で訳すのが非常に難しい言葉です。
辞書的には “exciting feelings,” “romantic,” “heart skip a beat” などが候補に挙がるものの、どれもニュアンスがずれてしまいます。
そこで採用されたのが「Spark Joy(スパーク・ジョイ)」という表現でした。
これは単に“喜びを感じる”ではなく、「心が反応して、行動につながるポジティブな衝動」を表す言葉。
つまり、“ときめく”を訳したのではなく、「英語圏でも刺さる概念」に再構築したわけです。
「ああ、これは“訳す”ってレベルじゃなくて、“作る”なんだな」
と腑に落ちてもらえる代表例です。
この翻訳は、翻訳者の語学力だけでなく、コピーライター、ブランド設計者、マーケターたちの知見が結集したもの。
こうした「超意訳」のレベルになると、企業の多言語サイトにおいても、
単なる言語変換ではなく、コンセプトの再構築という視点が必要です。
そのため、企業のスローガンやキャッチコピーを海外向けに展開したい場合は:
- 英語でコピーライティングができるプロに依頼する
- ブランド戦略や現地文化理解に長けたクリエイターをチームに加える
といった体制づくりが、成果を分けるポイントになります。
ビジュアルとコンテンツこそ命
写真と映像はプロに頼んで刷新を
テキストが情報を伝えるなら、ビジュアルは印象を決める力を持っています。
とくに海外ユーザーは、「写真や映像の質」でその会社の信頼性やスケール感を瞬時に判断します。
プロが撮った画像・動画は、クオリティもストーリー性もまるで違います。
「ちょっと高いかな…」と思っても、費用対効果は想像以上。
“最初に見られる部分”にこそ、妥協しない価値があります。
コンテンツは社長の分身である
多言語サイトに載せるべきこと——それを一番わかっているのは社長自身です。
企業のビジョン、想い、言葉にならない空気感。
それらは現場スタッフや外部パートナーだけでは拾いきれません。
だからこそ、コンテンツの骨格は社長が組み立ててこそ意味があるのです。
中小企業の海外進出には、“限られた時間とリソースで最大の成果を出す”工夫が欠かせません。
最初の一歩であるコンテンツに、社長の考えがしっかり反映されていれば、軸のあるサイトになります。
多言語サイトは全世界に通じる営業ツール
オンラインでの問い合わせ、展示会での名刺交換、そのすべての出発点が多言語対応のWebサイト。
言い換えれば、“24時間働き続ける海外営業担当”なのです。
ただ見栄えよく作るだけで終わらせず、
「海外でどう活用され、どんな成果に結びつくのか?」
まで設計されたサイトこそ、真の武器になります。
- 自社より“少し上”の期待を海外市場は求めてきます
- 展示会の1秒の判断で、次の商談が決まることもあります
- 現地とのやり取りに追われ、後から作り直す時間はありません
だからこそ、今しっかり考え抜き、納得できる多言語サイトを作っておくことで、数年後の自分たちが確実に助けられることになります。
そう、それはただのホームページではなく、英語脳の“手となり足となる”存在。
あなたの海外展開を後押しする、信頼できるパートナーです。
「作ってよかった」
「このサイトがなかったら今はなかった」
——きっとそんな日が、やってきます。
本記事が、あなたの“カッコいい多言語サイト”づくりの一助になれたなら、
this IS our Spark Joy——望外の喜びです!
海外展開をご検討中の企業さまへ
・・・・いかがでしたか?
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