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海外投資をする

海外進出前にF/S現地調査はしましたか

公開日時:2020年08月14日

更新日時:2026年08月04日

小川 陽子

著者紹介 :小川 陽子 (代表取締役)

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海外進出を検討するとき、多くの企業は、まず市場規模や競合情報をインターネットで調べ始めます。

しかし、海外事業計画を実際に作成してみると、

「本当に顧客は存在するのか」
「価格はいくらなら受け入れられるのか」
「販売パートナーは見つかるのか」
「現地で人材を確保できるのか」

など、机上の調査だけでは答えが出ない疑問が数多く出てきます。

そこで必要になるのが、F/S(Feasibility Study=実現可能性調査)です。

F/S調査とは、現地の市場環境や制度、商習慣、パートナー候補、コスト構造などを実際に確認し、自社の海外展開が本当に実現可能なのかを検証するための調査です。

重要なのは、「海外へ行くこと」自体ではありません。

海外事業計画の仮説を現地で検証し、進むのか、見送るのか、あるいは計画を修正するのかを判断することがF/S調査の本来の目的です。

準備を怠ると、進出後に想定外の課題やコストに直面し、多くの時間と資金を失うこともあります。

ここでは、輸出・投資それぞれの視点から、F/S調査の進め方と判断のポイントについて解説します。
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海外進出前にF/S調査を行う理由

海外進出を検討するとき、最初に行うべきことは、海外事業計画を策定することです。

しかし、実際に計画を書き始めると、

・本当に顧客は存在するのか
・価格はいくらなら受け入れられるのか
・販売パートナーは見つかるのか
・現地で人材を確保できるのか

など、多くの「分からないこと」が出てきます。

F/S(Feasibility Study=実現可能性調査)は、こうした不明点を現地で検証し、経営判断に必要な材料を集めるために行います。

つまり、F/S調査は「海外へ行くこと」そのものが目的ではありません。

海外事業計画の仮説を現地で検証し、進むか、見送るか、あるいは計画を修正するかを判断するためのプロセスです。

国内でのWebリサーチや統計データの分析だけでは、現地の商習慣や制度、競争環境、人々の価値観までを把握することはできません。

そのため、現地の顧客候補、代理店候補、業界関係者、行政機関などに直接会い、事業の実現可能性を確認していきます。

特に、

・業界情報が少なく市場規模が把握できない
・その国に本当にニーズがあるのか分からない
・価格や流通の仕組みが想像できない
・現地パートナー候補を探したい

といったケースでは、F/S調査は非常に有効です。

一方で、F/S調査には注意点もあります。

例えば、海外投資を前提とした調査では、「せっかく現地まで来たのだから進出したい」「今を逃すとチャンスを失うかもしれない」という思いが強くなり、客観的な判断ができなくなることがあります。

これを正常性バイアスと呼びます。

正常性バイアスとは、自分にとって都合の悪い情報を無視したり、過小評価したりしてしまう心理傾向のこと。

海外進出では、良い情報だけではなく、課題やリスク、進出しないという選択肢も含めて検討する姿勢が欠かせません。

F/S調査で重要なのは、海外進出を正当化することではなく、自社にとって本当に進出すべき市場なのかを冷静に判断することなのです。

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海外投資のF/S調査の進め方

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海外投資のF/S調査では、まず海外事業計画を作成し、

「何が分かれば投資判断できるのか」

を整理します。

特に下記6項目は必ず確認したいポイントです。

1. 販売先を確保できるか

進出後、誰に、何を、いくらで販売するのかを確認します。

既存の日系顧客だけに依存せず、ローカル企業への販売可能性も検証します。

(→詳細は後述する輸出F/S調査を参照)

2. 生産拠点を設立できるか

工業団地、不動産会社、規制当局などを訪問し、立地、インフラ、許認可取得の難易度を確認します。

3. 仕入れ・調達先を確保できるか

現地サプライヤー候補を訪問し、品質、価格、供給能力、納期を確認します。

特別な部素材以外は現地調達比率が高いケースも多く、ローカル企業の調査は不可欠です。

4. 従業員を確保できるか

現地大学、訓練校、人材紹介会社などを訪問し、採用難易度、賃金水準、人材定着率を確認します。

5. 継続して事業運営できるか

会計士、弁護士、日本人会、商工会議所などから、事業運営上の課題や撤退事例についても情報収集します。

特に、

  • なぜ撤退した企業があるのか
  • 何が想定外だったのか

という「耳の痛い話」は必ず聞いておきましょう。

6. 法規制・文化的ギャップ・注意点は何か

法規制や投資制度は、

  • 現地規制当局
  • ジェトロ
  • 現地専門家

など複数の情報源で確認します。

どの当局に、どうやって質問し、どう回答を得たかの全プロセスはトラブル防止のために自社で管理しておきましょう。

また、文化や商習慣の違いによるトラブル事例も収集し、事前に対策を考えておきます。

F/S調査で最も注意すべきこと

投資先の関係者(工業団地、不動産会社、人材紹介会社、税理士事務所、その他)の多くは、

「ぜひ進出してください」

という歓迎姿勢で接してきます。

しかし、相手は投資の恩恵を受ける側、日本企業は費用を払う側です。

相手の称賛やプロモーション(売り込み)を“成功確約の証拠”と捉えてしまうのは危険です。

実際には、海外進出後に「価格が高い」と既存顧客(日系企業)からの発注が止まり、いつのまにか競合(ローカル企業)への切り替えが起こっていたというケースも頻発しています。

そのため、F/S調査では良い情報だけを集めるのではなく、デメリットやリスク、撤退事例まで積極的に確認し、客観的に判断する姿勢が重要です。

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輸出のF/S調査の進め方

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輸出事業のF/S調査では、

「その国で本当に売れるのか」

を検証します。

海外事業計画を作成する中で、

・その国にニーズはあるのか
・いくらなら売れるのか
・競合との差別化はできるのか
・どのような販売方法が現実的なのか

といった疑問が出てきた場合に、現地で仮説検証を行います。

特に、以下の4つの観点から調査を進めると良いでしょう。

1. 海外現地で売れるか

まず確認すべきは、その商品やサービスに現地ニーズが存在するかどうかです。

現地の消費者へのインタビューを行い、実際の使い心地や反応をヒアリングします。

また、顧客候補企業へのアポイントを取り、実際に商談をしながら生の声を聞き出すアプローチも有効です。

展示会への訪問や出展も、市場の反応を確認する方法のひとつとなります。

2. 海外で売る際の障壁は何か

輸入規制、認証、流通構造、商習慣など、日本国内とは異なる障壁が存在することがあります。

現地のディストリビューターや卸売業者にヒアリングし、流通上の課題や取引慣行を把握しましょう。

また、

・なぜ今の仕入先から切り替える必要があるのか
・新しい商品を採用する際、どのような懸念があるのか

といった点を丁寧に聞き出すことも重要です。

3. 海外市場でより多く売るためには何が必要か

現地競合企業の製品、価格、販促方法を調査します。

さらに、競合企業への納入業者やその関係者にも会い、競合の販売方法やシェアの実態を把握すると良いでしょう。

業界の専門家や業界団体(例:○○工業会、△△産業協会)からは、業界全体の構造や市場の変化について情報収集します。

また、現地メディアやフリーペーパーも、消費者の嗜好やプロモーション方法を知るうえで貴重な情報源です。

その商品の周辺商品や別カテゴリーの商品も合わせて調査することで、新たな販売機会や差別化のヒントが見つかることがあります。

4. 輸出する際の注意点は何か

国によって、

・商談スタイル
・意思決定プロセス
・契約慣行
・アフターサービスへの期待

は大きく異なります。

現地企業や業界関係者へのヒアリングを通じて、取引上の注意点を確認しておきましょう。

輸出F/S調査で特に重要なこと

輸出事業というのは現地顧客に商品を買ってもらい、日本企業はお金を受け取る側です。

そのため、海外投資のF/S調査とは異なり、輸出のF/S調査では、現地は歓迎ムードよりも、むしろ厳しく率直な意見を聞く機会が多くなります。

これは、客観的で正確なデータや評価を収集するうえで、非常に貴重な機会です。

相手が言いづらそうにしている指摘ほど、海外展開を成功させるための重要なヒントが隠されています。

良い反応だけでなく、なぜ買わないのか、何が障壁となるのかまで丁寧に確認しながら、事業計画を修正していきましょう。

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海外進出の可能性をどう判断するか

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人口減少、DX、AI活用の進展など、日本企業を取り巻く環境は急速に変化しています。

これから100年かけて、日本は100年前の人口規模へとゆっくり戻っていくと言われています。

人口が減れば、企業の数も減っていくでしょう。

労働力不足を補うため、DXやAI活用はさらに加速し、これまでとは異なる世界の扉が次々と開いていくはずです。

こうした環境変化の中で、海外進出の意思決定に必要なのは、単なる市場性だけではありません。

パコロアでは、海外事業の実現可能性は、次の掛け算で決まると考えています。

事業の実現可能性=経営者の覚悟×企業体力×担当者の資質

どれか一つでも大きな弱点があれば、海外事業は前に進みません。

F/S調査の後、海外進出を決断し、実際に成功した日本企業も確実に存在しています。

その企業に共通していることは、とてもシンプルです。

  • 今、答えが見つからなくても、それでも意思決定を続ける
  • 変化を恐れず、進化し続ける

この2つです。

海外進出を志し、必要な能力を開発し、戦略を構築することで、日本の中小企業は確実に強くなります。

たとえ結果として海外進出しなかったとしても、その過程で得た知識や経験は、これからやってくる未知の波を乗り越えるための大きな筋力となるでしょう。

海外進出は特別なことではありません。

海外顧客について知り、必要な能力を身につけ、戦略を構築したあとは、

chin up!

情熱を持って、ただただ実践あるのみです。

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ただただ実践あるのみ、、、壮大な話です。

そして私たちって稀有な時代に、生きているんですね!

何だかワクワクしてきたぞ=

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海外進出って、もっと特別なことだと思っていました。

でも、変化に対応しながら会社を成長させていくための選択肢の一つなんですね。

海外進出をするかどうかだけではなく、会社の未来そのものを考えるという・・・。

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その通りです。

海外進出するかどうかに正解はありません。

大切なのは、自社の未来を考え、自分たちで意思決定し、行動することです。

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見える景色も、変わってきました。

まずは、海外事業計画を書いてみます。

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その一歩が、未来を変えるかもしれません。

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F/S調査を行っても、「結局、自社はどう進めるべきか」「どこまで投資すべきか」という判断に迷う企業は少なくありません。

パコロアでは、30年以上にわたる海外ビジネスの実務経験とAIを活用した多角的な分析をもとに、自社の強み・ターゲット市場・販売方法・社内体制を整理し、貴社に合った海外展開の進め方を30ページ超の個別判定レポート『海外進出チェック』としてご提供しています。

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小川 陽子

著者紹介 :小川 陽子 (代表取締役)

英語英文学科を卒業後、中小メーカーの国際部で海外営業に従事後独立。27年以上にわたり、1,900社以上の中小企業の海外展開を支援。国際化支援アドバイザー、海外販路開拓アドバイザー、中小企業アドバイザー(経済産業省系組織)としても活動。

これまでに35カ国での商談・出展・調査を経験。支援対象は製造・小売・サービス・BtoB・BtoC・DtoCなど多岐にわたり、海外投資・輸出・輸入・展示会・海外SEOなど幅広く対応。

「海外進出は"急がば回れ"。場当たりではなく、"自走できるチカラ"を社内で育て、未来の世界市場で誇れる一社を目指して——今日も中小企業の現場で伴走支援を続けています。」

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PaccloaQ

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