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はじめに

海外進出の前に日本企業に必要なこと

公開日時:2020年09月10日

更新日時:2025年07月02日

海外でビジネスを始めようと考えたとき、多くの日本企業が直面するのが、「日本では当たり前だったことが通じない」という壁です。

文化や商習慣の違いを前に戸惑うのは当然ですが、実はその前にやるべき準備があります。

それは、日本独自のビジネス常識と、海外で求められる常識をきちんと切り替えるための“スイッチ”を持つこと。

このスイッチがあるかどうかで、海外進出の第一歩は大きく変わります。
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海外進出にはやり方がある

海外進出を新たに決めた時、海外という未知の市場を目指しワクワク期待が高まります。

しかし実際に海外進出を始めると、越えなければならない山や足がすくむ谷に、行く手を阻まれることがあります。

海外にも商品を売りたい!海外でお店や工場を作りたい!そう決心したのに”やり方”を知らず、みすみすチャンスを逃すなんてとっても残念ですね。

ここでは日本企業が海外進出をはじめる前に、ぜひ知っておいてほしいこと、

海外のビジネス常識

について解説します。

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海外でのビジネス常識

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「まずは海外市場調査から」は失敗のもと

海外と日本では、ビジネスにおける常識や前提が大きく異なります。

食べる・働く・眠るといった日常行動は共通していても、社会的な意思決定や商習慣の在り方、背景にある考え方には明確な違いがあります。

これらを事前に理解しておくことが、海外進出をスムーズに進めるための重要なポイントになります。

(なお、本稿では便宜上「海外」という表現を用いていますが、もちろん国や地域ごとに事情は異なるため、個別に調整が必要です。)

よくある誤解として、「まず海外市場調査をする」「とりあえず展示会に出展・視察する」「先に海外向けWebサイトを制作する」といったアクションから始めるケースがあります。

しかし、こうした“手段先行”の進め方は、結果として進出の初期段階でつまずきを招き、想定以上に時間やコストがかかってしまうことも珍しくありません。

たとえば、海外市場調査を外注する際、調査の設計(仕様)は誰がどのように決めるべきでしょうか?

調査会社任せで本当に大丈夫でしょうか?

これまでに「F/S調査」や「海外営業支援」「海外SEO対策」などを委託したものの、返ってきた報告書を見て「で、結局うちは何をすべきなのか?」と困った経験はないでしょうか。

報告書を読んでも、自社の事業とつながっているのかピンとこず、進むべき方向性が定まらない――そんな事態は、実は珍しくありません。

調査設計においては以下のような観点が欠かせません。

  • 海外と日本の市場ギャップに詳しい専門家が、
  • 自社の国内ビジネスモデルを十分理解した上で、
  • 海外での競合状況と自社の優位性とのギャップを捉え、
  • その差異を具体的に把握できる調査項目を設定する

このような仕様で初めて、戦略立案に資する有効な市場調査になります。

その際には、調査の目的や課題を明確にするだけでなく、既存人材の活用や資金の効率的運用も合わせて検討する必要があります。

さらに、調査結果だけでは判断材料として不十分な場合もあります。
たとえば:

  • 海外進出時に直面する「現地障壁」の数と大きさを
  • 初期段階でできる限り具体的に洗い出し、
  • 調査報告書の中に組み込んでいく

といった視点がなければ、投資判断や予算立案に直結する実践的な資料にはなりません。

つまり、たった一つの「市場調査」であっても、その設計段階から海外ビジネスの知見と視点が求められるのです。

あわせて、以下のような準備もあらかじめ意識しておくと、スムーズな進出計画につながります。

  • 現地パートナーや代理店との連携・契約プロセスの把握
  • 国内外の市場環境や制度変化への理解
  • 外国人との円滑なコミュニケーション設計
  • 柔軟に対応できる社内体制の構築

こうした要素に対する“グローバルマインドセット”が不足していると、企業は出だしからつまずき、結果的に長く迷走するケースも見られます。

成功する進出戦略を立てるには、日本の常識をベースにせず、進出国での商習慣や制度、法律、経済事情などの違いを企業自身が正しく認識することが必要です。

加えて、以下のような具体的検討も欠かせません:

  • コストとリターンの試算
  • メリット・デメリットの明確化
  • 準備体制と調達・物流面の条件整理
  • 業務委託時の契約内容や範囲の精査

これらの点を事前にチェックしながら段階的に実行していくことで、海外進出時のトラブルも回避しやすくなります。

地域によっては、制度、言語、法律、税制、労務などの理解が特に重要です。

さらに、ネットワーク構築や現地スタッフの確保、社内の情報共有体制の整備など、企業の規模や業種に合わせた計画が必要です。

最近では、Webプロモーションやオンライン資料の活用も進んでおり、効果的なコンテンツ戦略の構築が成果を大きく左右します。

複数の施策を柔軟に組み合わせながら、段階的・戦略的に展開することで、海外のニーズに即した販路開拓や成長戦略の実現が可能になります。

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海外と日本のビジネス常識の違い

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英語、文化、宗教だけではない、ビジネス常識の違い

Export Overseas investment B2B B2C comparison

海外進出を考えるうえで、言語や文化、宗教といった“目に見える違い”以上に重要なのが、「ビジネスの常識」の違いです。

たとえば上記の図表にもあるように、海外では結果や効率を重視し、スピード感ある意思決定と行動が求められます。

担当者に裁量があることも多く、「まずはやってみる」という考えが一般的です。

前例がなくても、リサーチや計画に時間をかけ過ぎず、とにかく一歩を踏み出しながらPDCAを回し、軌道修正していく――そんな姿勢が当然のように受け入れられています。

「リスクのないところにリターンはない」というのが、海外におけるビジネスの常識なのです。

一方の日本では、リスクや失敗への許容度が低く、「まず動く」ことの重要性は理解していても、それを実行に移すカルチャーはまだ根付いていません。

「どうすれば失敗を小さくできるか?」が「どうすれば大きく成功できるか?」よりも重視される傾向にあります。

海外進出では、日本では想定しえなかった“予想外”が日常的に発生します。

その際に、海外顧客を起点にせず「自社都合を起点として」「様子を見ながら」「現状維持の範囲で」受動的に進めようとする日本のやり方は、

「より良い着地点を共に見出そうとしない」「期待されるスピード感とリアクションもない」ことから、海外の取引先候補に大きなフラストレーションを与えます。

このようなビジネス常識のギャップは非常に大きく、海外進出のあらゆる機会と信頼に影響を及ぼします。

この差を放置したままでは、海外事業の成功は期待できません。

だからこそ日本と海外の違いを理解し、少なくとも海外進出の際は海外でのビジネス常識になじむ努力が必要です。

なじむ努力というのは、

  • 相手に与えるフラストレーションを想像する力
  • 自分たちが無意識に持っている前提を“自覚する姿勢”

でもあります。

日本企業には、海外リスクへの警戒心が強い一方で、具体的な対策を講じることなく、かえって無防備なまま突入してしまう――というアンバランスさがしばしば見られます。

もし本当にリスクを避けたいのなら、まずはリスクをきちんと知ることから始めなければなりません。

  • どのようなリスクが海外にはあるのか?
  • なぜそのリスクが生じるのか?
  • それが発生したとき、日本本社にどう影響するのか?
  • どのように対策を練れば、回避・最小化できるのか?

こうした問いに正面から向き合うことで、ようやく「リスク」という言葉だけが独り歩きしていた状態から脱却できます。

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海外と日本の常識の切り替え失敗の防ぎ方

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海外顧客理解から始める海外進出

海外と日本では、ビジネスの常識が大きく異なります。

この常識の切り替えがうまくできないままでは、海外展開のスピードは鈍化し、いざ打開策を打とうとしても、それはどこか既視感のある“力の弱いパンチ”になりがちです。

たとえば、海外事業が停滞した際、次のような施策を検討するかもしれません:

・価格を下げる
・技術力を高める
・富裕層をターゲットとする
・リスクヘッジのために間にもう一社入れる(流通調整)
・ツールを英語化する

もちろん、これらは一見すると合理的な対策のように見えます。

しかし、ビジネス常識の切り替えができていないままでは、これらの施策も的外れになってしまう可能性が高いのが現実です。

ところが、ビジネス常識を切り替えられると、それまでとは違った“景色”が見えてきます。

それは「海外の常識」というフィルター越しにしか見えない、新たな市場の姿です。

たとえば:

  • 「価格が高い」と言われた原因は、単に値段の問題ではなく、その市場にニーズがない商品だったという可能性もあります。
  • 値下げをしなくても、別の用途や流通チャネルに変えることで競合に勝てる展開になるかもしれません。
  • 技術力に対しては「もっと高度なものを」という要望ではなく、現地市場でのポジショニングにヒントが欲しいだけというケースもあります。
  • 富裕層を狙っても、実際は市場規模が小さく開拓コストが大きいことも多く、むしろ“中の上”層への丁寧なアプローチの方が安定した利益につながる可能性もあります。
  • リスクヘッジとして中間業者を挟むと、当然ながらエンド価格が上がります。その結果、売れなければリスクどころではなく、最初から戦略の見直しが必要になってしまいます。
  • 日本語のホームページをただ翻訳しただけでは全く意味が伝わらないことなど、本当にしょっちゅうあります。

こうした“伝わらなさ”が、ビジネスチャンスの損失につながるケースは珍しくありません。

海外進出を成功させるには、まず何より海外のビジネス常識を知り、学ぶことが出発点です。

そして、見えている世界を変えていくこと、それが最初の大きな一歩なのです。

海外ビジネスを進めながら、その都度「これで本当に合っているのか?」と常識を問い直す姿勢を持ち続けることで、ようやくその企業ならではの“勝ち筋”が見つけられるようになります。

そうして最終的には自社にとって最適な答えを、自力で、適切に、しかも自信をもって導き出せる力が育っていくのです。

海外とはビジネス常識がちがう・・・

分かっていたつもりですが、見えている世界はいつも同じだったかも知れません。

う~ん、いきなりのストレート先制パンチです。

たくさんの失敗を見てきたため、最初にお伝えしたかったのです。

でも大丈夫です!

たくさんの成功の秘訣、役立ったエッセンスを、この海外ビジネスロードマップにぎゅっと詰め込んでいます。

読み進めるうち、見える景色も少しずつ変わるはずです。

(そうなんだ、ヨカッタ・・・!!)

正直なところ、海外進出はとりあえずやってみて、気合と勢いだ!!と思っていましたヨ

それは絶対にダメ。
海外進出についてしっかり知識を持って、計画的に進めること、です。

でも何から手を付ければいいんでしょう?

何からどう進めるのが良いのか・・・、
考えれば考えるほど初めの一歩が踏み出せません。

シンプルです!

海外進出にはやり方があるんです。

これから「パコロア式海外進出ロードマップ」に沿って一つ一つ一緒に進めて行きたいと思っています。

まずは御社の海外進出の「実現可能性を検証」していきましょう。

01 実現可能性を検証する

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延べ1900社以上の海外進出支援実績