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はじめに

海外進出ロードマップの進め方

海外進出には”やり方”があるんです。 
初めての海外進出を上手に進めるためのヒントを、各ステップごとにロードマップとしてまとめてみました。気になる項目からまずは読み進めてみて下さい。

はじめに

海外という未知の市場にワクワク期待は高まりますが、海外進出をはじめてすぐに、越えなければならない山や、足がすくむ谷に、行く手を阻まれることがあります。

海外にも商品を売りたい!、海外でお店や工場を作りたい!、そう決心したのに、”やり方”を知らず、みすみすチャンスを逃すなんてとっても残念ですね。

ここでは海外進出をはじめる前にぜひ知っておいてほしいこと4つ、
・ 海外進出のビジネス常識
・ 海外進出の種類
・ 海外進出の形態別リスクと難易度
・ 海外進出自走のメリット
について説明します。

まずは海外進出のビジネス常識を教えてください。

海外進出のビジネス常識

海外と日本、同じ部分もあれば異なる部分もあります。

食べて、働いて、眠って、という日常生活ではもちろん同じ行動様式もありますが、社会生活におけるものごとの進め方、根底に流れる考え方については、異なる部分が多々あります。

なかでも海外と日本とでは、ビジネスにおいての常識が、かなり違います。この違いを事前に知っておくことは、海外進出をスムースに進めるのに大変役立ちます。(ここでは便宜上日本以外の国を総じて”海外”としますが、各々の国にも違いはあり都度調整が必要です。)

新規事業を進める場合、上記のように、海外では、結果や効率が重視されスピード感を持った展開が好まれます。担当者への権限委譲も進み、リターンを得るためにリスクを取ります。

前例がないことでも、計画や事前リサーチに時間をかけすぎず、まずは走りだし、PDCA(Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善))をまわし、事業をその都度、修正していきます。

答えのないことに対して走りながら解を生み出そうとする姿勢は、ごく当たり前のこととして受け入れられています。リスクのない所にリターンは無い、これが海外での常識です。

一方、日本では、リスクをとることや失敗する可能性があることに寛容ではない為、まずは走り出すことも必要だと理解しつつも、それらを率先して実行する風土はあまりありません。

大きく成功するにはどうすれば良いか?より、小さく失敗を押さえるにはどうすれば良いか?に方針が傾きがちです。

例えば海外のお客さま向けに事業展開をすると、国内事業では経験しなかった想定外が、“普通に”頻発します。

その際に、海外顧客を起点にせず、自社都合を起点として、様子を見ながら現状維持の範囲で、受動的に進めようとする日本のやり方は、“より良い着地点を共に見出そうとしない、期待されるスピード感とリアクションもない”ことから、海外の取引先候補に大きなフラストレーションを与えます。

このようなビジネス常識の差は非常に大きく、海外進出のあらゆる機会に影響を及ぼします。この差を放置したままでは、海外事業の成功は、残念ながら無いのです。

日本と海外の違いを理解し、少なくとも海外進出の際は海外でのビジネス常識になじむ努力が必要です。なじむ努力というのは、相手に与えるフラストレーションを想像する努力であり、ご自身のなかの“無自覚”を自覚する努力です。

日本企業は、海外での取引リスクについて強い懸念を示す一方で、極端に無防備な時もあり、リスクに対してアンバランスです。リスクを回避したければ、まずは本気でリスクを知ろうとせねばなりません。

海外ではどのようなリスクがあるのか、どうしてそのようなことが起こるのか、海外で失敗することの、日本本社への影響の幅は上下最大最小どのくらいなのか、どうすれば回避もしくは最小化できるのか。

リスクを知ってその対策を練りはじめてやっと、“リスクリスク”と一括りにして、思考が止まっていたことに気がつきます。

海外でのビジネス常識と日本でのビジネス常識の切り替えが上手くできないと、海外進出のスピードは落ち、打破するためのアクションも、既視感のある緩いパンチになるでしょう。

例えば、事業が停滞した時の次の手として、価格を下げる、技術力をもっと上げる、富裕層をターゲットとする、リスクヘッジのため間にもう一社入れる、ツールを英語化する、などがあるかもしれませんが、ビジネス常識が適切に切り替わらないままでは、これらのパンチが一発逆転として、功を奏することはほとんどないのです。

ただし、ビジネス常識を切り替えるとそこにはじめて見えてくる景色があります。

それは海外でも通用するビジネス常識からしか見えない景色です。

価格が高いと言われたのは、そもそもその市場で求められていない商品の可能性があります。一方で価格を下げなくても、現地ニーズがある別の用途へ、あるいは流通を変えることで、ターゲットが変わり、競合に勝てるビジネスになるのかもしれません。

技術力については、より高めてほしいという話ではなく、既存品との折り合いの中で、現地市場でのポジション取りが難しく、何かしら売るためのマーケティング的なヒントが欲しいだけなのかもしれません。

富裕層への売り込みも、そのボリュームは意外と少なく、かつ鋭角化しており、開拓には手間もかかるため、中の上ゾーンの丁寧な再開拓の方が、安定した利益が確保でき、パートナーとしても、ビジネスが継続しやすいのかもしれません。

リスクヘッジで間に1社入れば、間違いなくエンド価格は上がります。それで売れなければリスクヘッジ以前の話に戻ってしまいます。日本語のホームページをただ翻訳しただけでは全く意味が伝わらないことは、しょっちゅうあります。

海外進出を成功させるには、海外でのビジネス常識を知ること、学ぶことが先決です。
見えている景色をまず変えること、です。

海外ビジネスについて、謙虚に学び実践し続ければ、そこで初めてその企業にしかできない勝ち筋が、自分達の最適解が、自力で適切に、自信を持って見出せるようになっていきます。

海外とはビジネス常識がちがう・・・

分かっていたつもりですが、
見ている景色は同じだったかも知れません。
う~ん、いきなりのストレートパンチです。

たくさんの失敗を見てきたため、
最初にお伝えしたかったのです。

でも大丈夫です!

たくさんの成功の秘訣、役立ったエッセンスを、このロードマップにぎゅっと詰め込んでいます。読み進めるうち、見える景色も少し変わるはずです。

そうですか、ヨカッタ。
ところで海外進出にもいろいろ種類がありますよね。

部品を海外から”輸入”したことはありますが、もっぱら海外へ売っていきたいので”輸出”になると思うのですが、、

海外進出の種類

海外展開種類 輸出と投資

海外進出は大別して、
1 輸出
2 投資
の2種類です。

*輸入や委託生産に関しては、みなさまが購入する立場ですので、相手企業がみなさまのやり方に合わせる努力をします。後述する知的財産管理は必要ですが、新規の輸出と投資ほど構築、継続は難しくはないでしょう。


投資には主に、投資額の低い方から、

1 販売拠点(事務所)設立
2 店舗設立
3 生産拠点設立

があります。(こちらもどうぞ 4B 海外投資をする

輸出には、

1 インバウンド
2 フランチャイズ販売
3 ライセンス販売
4 卸しへ販売
5 小売へ販売
6 顧客企業へ直接販売
7 消費者へ直接販売

があります。

インバウンド

はじめての海外進出=インバウンド、ということも一般的になっており、インバウンドは国内取引にはなりますが輸出に含めています。

インバウンドは本格的な輸出と比較し、輸出規制準拠や貿易実務の手間は省けますが、外国語対応、異文化適応は必要でしょう。

忘れてはならないのは知的財産の管理です。インバウンドで来日するのは善意のお客さまばかりとは限りません。

本国に商品を持ち帰ったあと、商品のデザインやロゴなどを模倣し販売されることもあるでしょう。これらを完全に防止することはできませんが、少なくとも日本国内において自社商品の意匠や商標の権利は押さえておきましょう。

フランチャイズ販売、ライセンス販売

モノの輸出のみならず、ノウハウや技術の輸出のことです。

大きい、重いなどで輸送部分にボトルネックがあったり、メンテナンスが手間などで、輸出で利益を出すことが難しいビジネスでも、現地パートナーによる生産販売の技術ライセンス契約ならば、道が開けることもあります。

日本国内で展開している店舗やサービスに、しっかりしたフランチャイズパッケージや本部機能があれば、自己資本での現地投資以外の選択肢として、海外企業とフランチャイズ契約を結び、ロイヤリティ収入が見込めることもあります。

卸しへ販売、小売へ販売、顧客企業へ直接販売(B2B)、消費者へ直接販売(B2C)

一般的な輸出はこの4つのことを言います。

卸し=Wholesale、小売り=Retail、消費者=Consumerとの直接取引もあれば、前後に販売代理店=DistributorやAgentが入ることもあるでしょう。

卸売業者や小売店、顧客企業への販売をB2Bビジネスといい、消費者に販売することをB2Cビジネスと言います。

越境ECサイトを立ち上げ、海外の消費者向けに直接販売することは、輸出のB2Cビジネスにあたります。

なるほど!
それぞれのリスクと難易度についても教えてください。

海外進出の難易度と投資リスク

海外展開 形態別リスクと難易度

一般的にはモノの輸出より、海外拠点設立等の投資の方が、投資金額が大きいためリスクも大きくなります。

ビジネスの難易度は、海外現地企業向け販売が最も難しく、現地日系企業向け販売の比ではありません。
海外のルール100%に従わざるを得ないのか、海外であっても(ウチウチの)日本のビジネス常識が通用するのかで難易度も変わります。

海外ビジネスの難易度と投資リスクを大まかに判断できる、4つのポイントをご紹介します。

まずは、下記の3つから確認します。

  1. その商品/サービスを買うお客さまはどこの国の人か? 
  2. お客さまから支払いを受ける会社はどこに拠点があるか? 
  3. (2)の会社は税金をどの国に支払うか?

この(1)(2)(3)に海外、海外、海外、と海外、が揃うほどに難易度は上がります。
国内事業とは似て非なるものとの認識が重要です。

一方で、お客さまが日本人の場合は難易度は下がります。

海外、海外と続かず日本が多くなった場合は念のため下記もチェックして下さい。

  1. その事業の、(日本での)流通規制や法令は厳しく新規参入は難しいか?

もし“難しい”、と言えそうであれば、海外でも同様なことが多く、難易度は低いではなく”高い”に変わります。

具体的に説明します。

インテリア雑貨をインバウンド顧客に販売
海外x日本x日本(難易度、投資リスク共に低い)

例えば、インテリア雑貨店の、インバウンド、訪日顧客への販売ですが、日本に旅行に来た海外居住のお客さまから、日本の会社がお金を受け取り、日本国へ納税します。海外、日本、日本、となり、日本が多いため難易度は低そうです。

念のため(4)をチェックします。雑貨店の参入障壁は低いため、日本に来る外国人への接客が難なく出来るようであれば、難易度も投資リスクも低いと言えます。

日本食レストランをベトナムで出店
海外x海外x海外 (難易度、投資リスク共に高い) 

日本食レストランをベトナムでオープンさせる場合はどうでしょうか。

ベトナムのお客さまへ”日本の会社の”ベトナムの子会社店舗がベトナム国へ納税します。”海外”が3つ揃っていますので入念な戦略が必要で難易度が高いビジネスです。

機械部品をアメリカにある日系企業へ輸出
海外(日本)x日本x日本 (難易度、投資リスク共に低い)

機械部品を、日本国内でも取引のある在米日系企業へ販売する場合は、海外企業への販売ではありますが、日本のビジネスの常識がある程度通じるため、難易度、投資リスク共に低いでしょう。

もし海外特有の取引上の難点(規制や規格の準拠、書類不備、発注ミス、不良品交換等)が発生したとしても、両企業の本社が日本にあり最終的には解決できる環境が期待できるためです。

英語でのやりとりにはなりますが、一般的には、引き合い、見積、決済がスムースに進む場合も多いでしょう。

医療機器を中東向けに輸出
海外x日本x日本(高難易度、中リスク)

中東向けに医療機器を日本から輸出する場合はどうでしょうか。

海外企業へ、日本の会社が輸出し、支払いを受け、日本国へ納税しますので、海外、日本、日本、となり比較的容易そうに見えます。

念のため(4)をチェックしますと、医療機器の流通規制や法令は日本において厳しく、新規参入壁は高いと言えます。従い、難易度は低いのではなく高いかもしれない、と予想できます。

実際に、医療機器の現地輸入規制、海外PL保険、中東における代理店契約の出口戦略(解消は容易ではない)等は事前に検討しておかねばならず、輸出といえども、思わぬ費用や時間を要することがあり、結論としても難易度は高いといえるでしょう。

ただ、参入障壁が高いとすればそれは競合企業にとっても同じですので、逆にこれを戦略的に、海外進出の”機会”と見ることもあります。

同業他社も最近、海外進出をはじめたようです。ウチも輸出は始めたく、まだリサーチ中ですが、できれば自社で直接、海外へ販売したいと考えています。

ただ、最初は商社や現地のコンサルタント等と組んだ方が良いのか、悩みます。

海外進出自走のメリット

海外進出の初期フェーズでは、海外進出コンサルタントや関係他社の支援を受けながら、海外進出を軌道に乗せていくことも多いでしょう。

海外進出を加速させるために、海外に強い商社や海外マーケティング支援会社、海外進出支援会社等に情報収集、新規開拓、現地交渉を委ねることは効率的な方法の1つではあります。

しかし海外進出を継続させるためには面倒なプロセスこそ第三者に任せきりにせず“自社でもできる”という選択肢を常に持っておくことはたいへん重要です。

なぜなら現地を実際に歩き、直接顔を見て話し、汗をかきながら試行錯誤し、リスクを理解した上で意思決定することで、初めて享受できる海外進出のメリットが多くあるためです。

自社で主導権を持って海外進出するメリット7つ

  1. 現地市場や顧客の一次情報を把握することでより正確で迅速な意思決定ができる。例えば、
  2. 価格、プレイヤー、ルールが未形成の業界や市場をかぎ分け独自のビジネスモデルで参入する機会を察知できる。
  3. 競合の動きから競合の将来を予測し、逆算して自社商品の方向性や開発に反映できる。
  4. 二次情報では気づけない”肝心なところ“を適宜、能動的戦略的に確認できる。加えて、
  5. 海外進出プロセスとノウハウが会社の知的資産となりその後の他国への輸出や投資の横展開が自社だけでできるようになる。
  6. 自社にて直接貿易、あるいは他社を経由して間接貿易等、商品や国の特性別の販売ルートの選択肢が増える。
  7. 現地企業との直接取引を通じ、不測の事態と即断即決に直面し、実践知を積むことで、プランBプランC等のバックアップ体制、高速PDCA経営が標準装備され、結果として不況に強くなる。

自社で海外進出できる”自走能力”をゼロから努力して身につけるプロセスは、海外市場で求められる”したたかさ”を目覚めさせ”戦える基盤”を作っていくことそのものです。

これから海外需要を取り込む中小企業に、自社で海外進出を推進する力があれば、競合企業にない優位性が生まれ、有事のピンチも、またと無いチャンスに変えられるようになります。

海外進出はとりあえずやってみて、気合と勢いだ!!と思っていました(笑)

それは絶対にダメ!
海外進出についてしっかり知識を持って、計画的に進めないと!!

でも何から手を付ければいいんでしょうか?
何をすればいいのか・・・全く思い浮かびません。。。。

シンプルです!
海外進出にはやり方があるんです。

これから「パコロア式海外進出」のロードマップに沿って一つ一つ一緒に見ていきましょう。

まずは御社の海外進出の「実現可能性を検証」です。

01 実現可能性を検証する

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