「たくさん名刺交換したのに、その後注文が来ない」
「何回出展すれば成果が出るのか分からない」
「展示会後、何をすれば良いのか分からない」
という悩みを抱える中小企業は少なくありません。
海外展示会は、出展すれば自然に売れる場所ではありません。
むしろ、出展前の準備によって成果の大半が決まると言っても過言ではないでしょう。
海外企業は、展示会当日に初めて製品を見るわけではありません。
事前にWebサイトを確認し、競合企業と比較し、「会う価値があるか」を判断しています。
また、展示会場では、その場で質問し、その場で判断し、その場で次のステップへ進む企業も少なくありません。
そのため、海外展示会を成功させるためには、展示会当日だけではなく、出展前・開催中・帰国後までを見据えた準備が必要になります。
このページでは、海外展示会で成果を出すために、中小企業が事前に知っておきたい準備や接客のポイントを整理してご紹介します。


海外展示会に出展しても成果が出ない理由
海外展示会に出展した多くの中小企業が、帰国後に次のような悩みを抱えています。
・展示会では好反応だったのに、その後問い合わせが来ない
・初回注文は入ったが、リピートにつながらない
・何回出展すれば成果が出るのか分からない
・良い販売代理店が見つからない
・出展費用に見合う売上が立たない
しかし、こうした結果は決して珍しいことではありません。
なぜなら、海外展示会は「出展すれば売れる場所」ではなく、「売れる準備ができている企業が成果を獲得する場所」だからです。
例えば、
・とりあえずカタログを配る
・名刺交換をたくさんする
・展示会後にサンキューメールを送る
だけでは、受注につながる可能性は高くありません。
海外のバイヤーや代理店候補は、展示会当日までに競合企業や市場を調査し、明確な目的を持って来場しています。
そのため、出展企業側も、
「誰に何を売るのか」
「なぜ自社を選ぶべきなのか」
「展示会で何を確認し、何を持ち帰るのか」
を事前に整理したうえで出展する必要があります。
海外展示会を成功させるためには、展示会当日の接客テクニックだけではなく、出展前の準備、当日の仮説検証、帰国後の行動まで含めた全体設計が欠かせません。
ここでは、海外展示会で成果を出すために、事前に知っておきたいポイントを順番に整理していきます。
海外展示会で必要な準備は出展目的で変わる
海外展示会へ出展する際、最初に決めるべきことは、「何のために出展するのか」です。
意外に思われるかもしれませんが、この目的が曖昧なまま出展している企業は少なくありません。
例えば、海外展示会へ出展する目的には、次のようなものがあります。
・新規顧客を獲得したい
・販売代理店を探したい
・市場ニーズを調査したい
・競合企業の動向を把握したい
・既存顧客との関係を強化したい
・ブランド認知を高めたい
一見すると、すべて重要な目的に見えます。
しかし、限られた展示期間の中で、これらすべてを同時に達成することは容易ではありません。
例えば、
「代理店候補を3社見つける」
ことを目的とする場合と、
「現地市場のニーズを調査する」
ことを目的とする場合では、準備すべき販促資料、接客方法、ブース設計、会期中の行動が大きく異なります。
海外展示会で成果を出している企業は、自社が今回の出展で何を達成したいのかを明確にしたうえで、その目的に合わせて準備を進めています。
逆に、目的が曖昧なまま出展すると、
「来場者は多かった」
「名刺はたくさん集まった」
「色々な情報収集ができた」
という結果だけが残り、結局何を得られたのか分からないまま終わってしまうことも少なくありません。
まずは、今回の海外展示会で何を持ち帰るのかを、社内で明確にしておきましょう。
海外展示会の準備には「ハード面」と「ソフト面」がある
海外展示会の準備は、大きく「ハード面」と「ソフト面」の2つに分けることができます。
ハード面とは、出展申込み、ブース施工、国際輸送など、展示会へ出展するために必要な実務的な準備です。
一方、ソフト面とは、誰に何を売るのか、どのように商談を進めるのか、といった営業やマーケティングに関する準備を指します。
海外展示会で成果が出ない企業の多くは、ハード面の準備に追われ、ソフト面の準備が不十分なまま本番を迎えてしまいます。
しかし実際には、受注につながるかどうかを左右するのは、ソフト面の準備であることが少なくありません。
まずは両方の準備が必要であることを理解し、計画的に進めていきましょう。
ハード面の準備
海外展示会へ出展するためには、次のような実務準備が必要になります。
・海外展示会への出展申込み
・出展マニュアルの確認
・ブース施工会社の選定と発注
・電気、備品、入出庫など各種オーダー
・出展品の国際輸送手配
・ATAカルネ等、必要な通関手続きの確認
・現地での施工確認、撤収準備
特に海外展示会では、日本国内の展示会とは異なり、出展社マニュアルがすべて英語で提供されることも珍しくありません。
また、主催者指定の施工会社や国際輸送会社を利用しなければならない場合もあります。
出展決定後は、早い段階で出展マニュアルを確認し、全体スケジュールを把握しておくことが重要です。
また、海外展示会では、ブース施工費だけではなく、国際輸送費、通訳費、渡航費、備品レンタル費など、想像以上に多くの費用が発生します。
出展を決定する前に、全体予算を整理しておくことも重要です。
ソフト面の準備
一方で、海外展示会を成功させるためには、次のようなソフト面の準備も欠かせません。
・海外顧客ニーズ仮説の立案
・海外向け価格設定
・輸出入規制や貿易実務の確認
・海外営業資料、カタログ、Webサイトの準備
・想定Q&Aの作成と商談練習
・競合企業や市場の事前調査
・展示会で検証したい仮説の設定
展示会当日に海外バイヤーから質問を受けて初めて、
「現地用の価格を決めていなかった」
「輸送コストを計算していなかった」
「輸入規制を調べていなかった」
という状態では、せっかくの商談機会を逃してしまいます。
海外展示会で成果を出している企業は、展示会を「営業活動のスタート地点」ではなく、「仮説を検証し、受注につなげる場」として活用しています。
海外展示会は単独で成功するものではありません。マーケティング、Webサイト、ブランディング、海外営業など、海外進出全体の流れの中で位置付けることが重要です。
→ 海外進出を検討するとき、中小企業は何から整理すべきか?フレームワークの考え方
ブース内では「説明」より「仮説検証」を重視する
海外展示会のブース内では、自社の商品や技術を説明することよりも、来場者について理解することを重視しましょう。
なぜなら、海外展示会は「売り込む場」であると同時に、「市場を理解する場」でもあるからです。
海外バイヤーや販売代理店候補は、現地市場や競合企業について、私たちよりもはるかに多くの情報を持っています。
そのため、一方的に製品説明を続けるだけでは、受注につながる可能性は高くありません。
重要なのは、事前に仮説を立て、その答え合わせをすることです。
例えば、
・どのような課題を抱えているのか
・現在はどのような製品を使っているのか
・比較検討している競合企業はどこか
・予算や導入時期はいつ頃か
・なぜ自社ブースへ立ち寄ったのか
といった情報を、会話を通じて確認していきます。
海外展示会で成果を出している企業は、展示会を「カタログを配る場所」ではなく、「市場仮説を検証する場所」として活用しています。
カタログや名刺は、相手が必要としたタイミングで渡せば十分です。
それよりも、
「どこまで相手を理解できたか」
「次回の提案につながる情報を持ち帰れたか」
を重視した方が、結果的に受注へつながりやすくなるでしょう。
なお、海外展示会の現場では、接客やヒアリングにも独特のコツがあります。
パコロアが新聞取材を受けた際にまとめた、展示会現場での7つのポイントもぜひ参考にしてください。
ブース内では「即答」が信頼につながる
海外展示会では、展示会後のフォローメールよりも、その場での対応の方が重要になることが少なくありません。
なぜなら、海外のバイヤーや販売代理店候補は、会場内で複数の出展企業を比較しながら商談を進めているからです。
そのため、
「価格は後日連絡します」
「社内へ持ち帰って検討します」
「確認してメールします」
という回答ばかりでは、せっかくの商談機会を逃してしまう可能性があります。
もちろん、すべての質問に即答する必要はありません。
しかし、
・価格帯の目安
・最小発注数量(MOQ)
・納期
・輸送方法
・販売地域
・競合製品との違い
など、頻繁に聞かれる質問については、事前に回答を準備しておくべきでしょう。
海外展示会で成果を出している企業は、商談中にその場で意思決定できる範囲を明確にし、可能な限り即答できる体制を整えています。
また、どうしてもその場で回答できない場合でも、
「いつまでに回答するのか」
を明確に伝えることが重要です。
海外展示会では、スピードそのものが信頼につながることも少なくありません。
会場で生まれた熱量が冷めないうちに、次のステップへ進める準備をしておきましょう。
海外商談で準備しておきたいツール
海外展示会では、その場で商談が進むことも少なくありません。
そのため、必要な情報をすぐに提示できるよう、商談ツールを事前に準備しておきましょう。
例えば、次のようなツールがよく利用されます。
・価格表(ラインシート)
・商品カタログ、会社案内
・海外向けWebサイト
・名刺
・サンプル
・動画やプロモーション素材
・技術データ、試験データ、証明書類
・導入事例や実績資料
・ブランドブック(BtoC商材の場合)
また、商談ツールは「誰にでも渡してよいもの」と、「一定の条件を満たした相手だけに開示するもの」を事前に区別しておくことも重要です。
特に、技術資料や図面など知的財産に関わる情報については、展示会場で安易に開示しないよう注意が必要です。
海外展示会では、商談の熱量に押されて、必要以上の情報を提供してしまう日本企業も少なくありません。
展示会前に、何をどこまで開示するのか、社内でルールを決めておきましょう。
海外展示会で本当に持ち帰るべきもの
海外展示会へ出展すると、多くの企業は名刺の枚数や商談件数を成果として評価しがちです。
もちろん、それらも重要な指標です。
しかし、本当に重要なのは、
「次に何をすれば受注に近づくのか」
を明確にして帰国することです。
例えば、
・どの市場で最も反応が良かったのか
・どの顧客層に需要がありそうか
・競合企業と比較して何が不足していたのか
・価格は市場に受け入れられそうか
・販売代理店候補になり得る企業はあったか
・現地企業はどのような課題を抱えていたか
こうした情報こそが、海外展示会で得るべき最大の成果です。
また、来場者の反応は大きく次の3つに分かれます。
・反応が薄く、現時点では脈がない
・興味はあるが、今すぐ購入する予定はない
・具体的な案件や導入計画がある
特に重要なのは、3番目の「具体的な案件」を確実に見つけ出し、その場で次のアクションを決めることです。
一方で、1番目、2番目の来場者についても、「なぜ今は購入しないのか」を丁寧にヒアリングすることで、次回の展示会や営業活動の改善につながります。
海外展示会は、一度の出展で終わるものではありません。
仮説を立て、検証し、改善し続けることで、少しずつ成果につながっていく活動なのです。
こんなに準備すべきことがあったんですね。
海外展示会って、商品を持って行けば何とかなると思っていました。
でも、出展するなら初回から成果を出したいです!
その意気です!
海外展示会は、単なる情報収集の場ではありません。
誰に何を売るのか、何を持ち帰るのかを事前に決めておけば、初回出展でも十分成果を出すことは可能です。
大切なのは、展示会を「一度きりのイベント」にしないこと。
仮説を立て、検証し、改善を重ねることで、海外市場への理解は少しずつ深まっていきます。
海外展示会への出展をご検討中の方は、まず出展準備のチェックリストを確認し、自社の準備状況を整理してみましょう。
また、自社の事業や目的に合った展示会を選ぶことも重要です。
ぜひパコロアへご相談ください。
(パコロアは豊富な展示会支援実績をもとに、企業の海外進出をサポートしています。)
展示ブースの現地制作など、展示会上級者向けのご相談も承っています。
それでは次のテーマ、海外営業について考えていきましょう。
>海外営業はできますか?