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海外向けホームページに“絶対に載せたい”6つの情報

更新 2025年7月21日 公開 2021年2月28日
小川 陽子

著者紹介 :小川 陽子 (代表取締役)

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Website wireframe sketch on desk with color pens used by creative designers for multilingual homepage planning and layout

海外地域への製品展開について、ずっと試行錯誤していて、誰かに相談したい気持ちでいっぱいです。

目的や対象に応じて設定を変える必要があると思うのですが、現在の動向や手法の違いも多すぎて混乱中です。

基本的な考えからグローバル展開に最適な流れまで、具体的な解説を提供してもらえると助かります!

もちろんです!

いま多くの企業が「どのチャネルを使って海外展開を始めるか」で悩んでいます。

特にWebサイトや越境ECの活用を含むオンライン施策が進む中で、

  • 訪問営業とのバランスの取り方
  • パートナーとの関係維持
  • 製品特性と適した販売手法のすり合わせ

といったポイントが複雑化しつつあります。

そこでここでは、海外向けホームページを含む“情報発信の整備”を軸に、最新の展開手法を解説していきます。

製品ジャンルやチャネルごとの違いも押さえながら、

「どんな情報を、どこで、どう出すべきか」

まで整理していきます。

海外向けWeb戦略に欠かせない“情報設計”

「リアル」と「オンライン」──2つのチャネルを整理しよう

海外展開では「商社への委託」や「展示会出展」などのリアル施策と、
「越境EC」や「多言語対応サイト」などのオンライン施策を組み合わせて展開するのが一般的です。

【リアル】

  • 訪問営業
  • 海外展示会への出展
  • 海外販売代理店経由の販路構築

【オンライン】

  • 多言語サイトの運用
  • 越境ECサイトの構築
  • Zoom等の商談ツール活用

中でも、「自社で何を整備し、どこを外部に任せるか」の整理がカギとなります。

商社依存の限界と、自社サイトの“営業機能化”

以前は「海外は商社に任せる」という戦略も多くありましたが、
現在では自社でも“最低限の情報発信”を担う必要性が高まっています。

  • 展示会経由で現地バイヤーからの問い合わせが来る
  • 商社に頼っていたが、製品理解にズレがある
  • 英語版営業資料が未整備でチャンスを逃す

…といった課題がよく見られます。

多言語対応のWebサイトや営業資料の整備が、企業ブランドの信頼性を左右する時代です。

パートナーと競合しない「チャネル設計」がカギ

チャネルごとの整合性を取らずに海外展開を進めると、
販売パートナーとのバッティングが起こる恐れもあります。

「誰に」「何を」「どの価格帯で」提供するか――
この交通整理ができていないと、社内・社外の混乱やクレームにもつながります。

“自社とパートナー、そして顧客”の三方が納得するチャネル戦略こそが、今後のグローバル展開の軸になります。

オンライン主導の時代、Webサイトは営業の“最前線”

コロナ以降、オンラインチャネルが主軸になる傾向が加速。

以下のようなチャネル比率で動いている企業も少なくありません:

  • 営業:Web=5:5
  • 営業:Web=2:8
  • Webのみで完結(越境EC・メール商談のみ)

Webサイトは単なる会社案内ではなく、営業担当の“代わり”として情報提供・信頼構築を行うインフラとして再定義されつつあります。

CMS導入やユーザー行動に応じた言語・国別コンテンツの自動表示など、機能面での設計も重要です。

ECでは伝わらない製品もある――それでも情報整備は必要

BtoB向けの工業製品や設備などは、オンラインでの販売が難しい製品もあります。

事前のヒアリングや環境ごとのカスタマイズが必要になるからです。

それでもなお、次のようなWebコンテンツ整備は必須です:

  • スペック情報の英語化
  • 導入事例の紹介
  • 図面PDFやFAQの整備
  • 現地担当者が共有できるURL形式の資料

「情報がないから問い合わせできない」ではなく、
「情報があるから営業がしやすい」へ。

それが今の海外展開で求められるWebの役割です。

海外顧客との心理的距離を縮めるWeb設計

顧客接点は「問い合わせ前」から始まっている

これまで多くの企業では、次のような流れが一般的でした。

  • 企業サイトで製品や技術情報を紹介する
  • 詳細がないものは「まずはお問い合わせください」と案内
  • その後、仕様確認や見積提案に進む

ええ、まさにその通りです。

しかしこのモデルは、今や大きな転換点を迎えています。

すでにコロナ前から、海外の見込み顧客は意思決定の50%以上をWebサイトの情報で完了させており、

現在では製品詳細を十分に理解した上で、「この企業なら信頼できそう」と確信を持って問い合わせをしてくるケースが増えています。

こうした背景を踏まえ、サイトの構成や言語対応、専門用語の調整を行う企業は、海外顧客との距離を着実に縮めています。

なるほど……。
でも実際に、企業はどんな取り組みをしているんでしょうか?

距離を縮める鍵はマーケティング視点

ここで重要なのは「マーケティングの運営」という考え方です。

海外対応では、情報の翻訳だけでなく「整理・見せ方・導線の設計」まで含めた全体の設計力が問われます。

たとえば:

  • インバウンド設計:検索流入を意識したページ構造
  • コンテンツ設計:導入事例やFAQのローカライズ
  • Web施策:CMSでユーザー地域ごとの最適導線を用意

こうした対応は営業支援ではなく、企業と顧客の関係性そのものをつくる仕組みとも言えます。

とくにアメリカ、中国、東南アジアといった文化圏ごとの違いに合わせた構成や言語表現、購入導線の設計は、顧客の不安を軽減し、心理的な壁を取り除くために重要な役割を果たします。

マーケティングを「翻訳」ではなく「設計」と捉える

多くの企業が陥りがちなのが、「翻訳してLPを作ればいい」という誤解です。

実際には次のような課題が起こります。

  • 日本語サイトの構造が他の言語圏で通用しない
  • 製品の用途や価値が、文化によって異なる説明を必要とする
  • 顧客行動に沿った画面設計とナビゲーションが求められる

つまり、海外向けWebサイトは「翻訳」ではなく「顧客理解をもとに再構成された情報設計」が鍵となります。

それが結果的に、遠くにいるはずの海外顧客との距離をぐっと近づけてくれるのです。

【ここがポイント】

海外ユーザーとの距離を縮めるには、「伝えたいこと」より「知りたいこと」の設計。

翻訳じゃなく設計視点が鍵。

海外では無名の企業ほど“発信力”が決め手に

海外展開を支える自社コンテンツとは

近年、日本国内の中小企業でも、グローバル市場への販路開拓に向けて多言語サイトを制作・公開するケースが増えています。

たとえば、英語版ホームページを整備したり、独自の越境ECサイトを立ち上げたりと、オンラインでの対応を強化する動きが活発です。

ただし、その一方で「自社に合った問い合わせが少ない」「アクセスはあるのに商談につながらない」といった声も少なくありません。

実際、英語・中国語対応のWebサイトを作成しても、大手プラットフォーム(Amazon、Alibabaなど)と同等の集客力を持つことは簡単ではありません。

制作にコストをかけたからといって、すぐに成果が出るとは限らず、検索経由の流入にはSEO対策やコンテンツ更新の継続も必要になります。

なぜ“コンテンツの質”が差を生むのか?

実はうちのサイトもリニューアルはしたんです。

でも、現地からの反応はまだほとんどなくて……。

Webサイトって、つくること自体がすでにマーケティングだよね?

英語でも発信してるしね。

もちろん、ホームページ制作自体がマーケティングの一環であることは間違いありません。

ただし、ポイントは「何を伝えているか」です。

海外向けサイトで成果を出すには、「伝えたいこと」よりも「相手が知りたいこと」に重きを置いた情報設計が必要です。つまり、

“コンテンツの質と視点” が結果を左右します。

よくある構成と、実際に求められている情報のギャップ

多くの中小企業が、以下のような情報を掲載しています:

  • 会社概要、所在地、設立年、資本金など
  • 製品・サービスの一覧紹介
  • 社長メッセージ、社員紹介
  • お問い合わせフォーム、電話番号(tel)、メール(contact)

また、最近ではビジョン・ミッション、導入実績、採用情報、写真素材を交えたブランディング型のレイアウトも増えています。

これらは決して間違っていませんが、海外のユーザーにとっては
「誰向けに」
「どんな価値を」
「どこで」
「どう届けるか」
の具体性が弱く、印象に残りにくいケースもあります。

海外ユーザーに“響く”コンテンツの条件

  • 言語別のページ設計(英語・中国語・フランス語など)
  • 国や業界別に異なるニーズへの対応
  • 製品の使い方・導入事例を用途別で紹介
  • 導入までの流れやFAQの掲載
  • 画像や表で一目で分かる構成(画面レイアウト)

さらに、CMSを使った地域別コンテンツの出し分け、キーワード設計、文化的背景への配慮が加わると、ユーザーの理解度や信頼感が大きく向上します。

海外顧客が動けるサイト構成とは

不安を取り除くコンテンツ設計

海外から新規で取引を始める場合、最大の課題は「不安の払拭」です。

とくにWebサイト経由での問い合わせや契約が前提になるケースでは、信頼性や手続きの明瞭さが行動のハードルを左右します。

以下のような情報が、安心材料として有効です。

第三者目線で語る「選ばれる理由」

自社発信ではなく、顧客自身の視点に立った論理的な理由付けが必要です。

たとえば、「なぜ日本企業から購入すべきなのか?」に対して明確な根拠があるかを確認しましょう。

業界内でのポジション提示

自社が属する業界の構造やポジションを図解や年表、地図などで示すことで、見込み顧客の理解を深められます。

初めての訪問者にも、自社の特徴を明示できるようにする工夫が大切です。

問い合わせから納品までの流れの見える化

契約プロセスやリードタイム、配送ルートなどを図表で示すことで、購入側の心理的な障壁を減らすことができます。

関税や納期の目安など、実務的な情報も添えるとさらに効果的です。

信頼と説得力のための工夫

顧客が行動を起こすには、「安心して進められる」だけでなく、「納得して進められる」情報も求められます。

実績と声を活かした説得材料

海外顧客の導入事例やレビュー、類似業種との取引内容などを掲載することで、訪問者の信頼を得られます。

問い合わせ窓口に多言語対応のチャットボットやFAQを設置するのも有効です。

比較データで示す優位性

自社と他社の違いを表にして説明し、どんな面で強みがあるかを客観的に伝えましょう。

あえて弱みも添えることで、誠実な印象を与える効果もあります。

すぐ使える提案資料の用意

海外では「社内稟議にそのまま使える資料」があるだけで、商談がスムーズになります。

英語・中国語・フランス語などで整備し、即時ダウンロードできる環境を整えておくと効果的です。

可能であれば「24時間以内対応」といった運用体制も、行動促進につながります。

【ここがポイント】

海外顧客が動ける仕組みは、安心・納得・即対応の3軸。

行動のハードルを“情報設計”で減らそう。

海外ユーザーの“困った”を見抜き、改善に活かす方法

ユーザーの不安は、気づかれないまま放置されている

ホームページ制作を担当したのは私ですが、今のお話を聞くと、重要な視点がまるごと抜けていた気がしてきました……。

それも無理はありません。

Webサイト制作は一人で完結できる仕事ではなく、本来は企業の想いや戦略がしっかりと反映されるべきものです。

とくに多言語対応のWeb運用においては、事業の方向性や優先順位がダイレクトに関わってきます。

なるほど……たしかに「企業戦略の具現化」としてのWeb制作って、

経営者がもっと関わるべき話ですよね。

まさにそうです。

時代の変化は早く、以前うまくいった手法が今の市場には合わないこともあります。

ただし、焦る必要はありません。

海外ユーザーが何に困っていて、何を知りたがっているのかを正しく捉えて、それを“必要なかたち”で発信できれば、結果は着実に出せます。

そのためにも、社内での情報共有やユーザー行動の分析、各国で異なる「問い合わせタイミング」や「比較基準」の把握が大きなヒントになります。

とくに企業向けBtoBサイトでは、「問い合わせまでに不安をなくすプロセス」を細かく設計することで、行動率を大きく上げることが可能です。

ユーザー視点は“観察”から始まる

海外ユーザーとしての自分を想像してみる

海外向けサイトの精度を高める最大のヒントは、自分自身の購買行動を思い出すこと。

たとえば、初めて知った外国企業から商品を買おうとした時、こんな不安がよぎりませんか?

  • 製品は本当に期待通りなのか
  • 納期は守られるのか
  • サンプルなしで購入判断して大丈夫か

このような「見えない不安」をどこまで払拭できるかが、海外向けWeb設計の実力差になります。

観察で養われる“ユーザー視点”

まずは、時間が許す範囲で海外企業のWebサイトをたくさん見てみましょう。

完璧に英語を理解する必要はなく、構成・見せ方・伝え方に注目するだけでもOKです。

【観察のポイント】

どんな情報が足りないと感じるか?

会社や製品の情報はあるけれど、納品までの流れや返品ポリシーなどが見当たらないと、不安に感じませんか?

どう説明されていると納得しやすいか?

導入実績・用途別の解説・比較図・FAQがあると、「自分にも当てはまる」と感じやすくなります。

思わず問い合わせしたくなる要素は?

「無料見積もり」「PDF資料の即ダウンロード」「簡易フォーム」などがあると、次の行動に進みやすいです。

制作会社選びの目線も変わる

ここで得た気づきは、発信する側の制作にも活かされます。

Web制作を依頼する際には、こんな視点でパートナーを選びましょう。

【判断基準となる視点】

海外SEOや競合調査に強いか?

どんな検索ワードで見つけてもらえるか、競合と差別化できるかを理解しているか。

CMSを活かした設計ができるか?

CMS(コンテンツ・マネジメント・システム)とは、公開後にページを育てていくためのツール。

地域別・言語別の表示出し分けや、事例・お知らせの柔軟な更新ができると、長く使えるWebサイトになります。

【ここがポイント】

海外ユーザーの行動心理を観察し、サイトに反映させることが改善の鍵。

“伝える”ではなく“伝わる”情報設計が成果を左右します。

たしかに……これまで、見た目や掲載内容の整備に意識が向いていて、

「この情報で、海外の人が本当に安心できるか?」

までは、あまり考えていなかった気がします。

うちも“とりあえず翻訳”で公開したままになってるからなぁ。

問い合わせが来ないのも当然か……。

そうなんです。

伝えたいことより、「知りたいこと」を設計する発想がすごく大事なんです。

顧客の視点で見直すだけで、サイトの設計も発信内容も、見違えるように変わってきます。

……今さらですが、ちょっとワクワクしてきました(笑)

正直、制作後のことって「完成=終了」って感じで、どう育てていけばいいのか全然分からなかったので……

でも、そこからが本番ですからね。

CMSやデータを活かして、訪問者の反応を見ながら育てていくと、ちゃんと結果につながりますよ。

制作会社選びから、もう一度見直した方が良さそうですね。

海外SEOに強いところとか、CMSでの改善提案まで含めて相談できるパートナーが必要かも。

はい、これからは「どう伝えるか」だけじゃなく、

「どんな体験を届けたいか」を軸に考えていこうと思います。

海外ユーザーとつながる一歩を、今ここから

いまのホームページ、海外の見込み顧客にとって“安心して行動できる内容”になっていますか?

競合との差は、製品スペックだけでなく「伝え方・設計の仕方」にも表れます。

伝えたいことを並べるのではなく、

「どうすれば伝わるか」 を一緒に考えてみませんか?

  • 海外向けサイトの改善ポイントをチェックしたい
  • 多言語CMSやSEOに強い制作会社を探している
  • 社内での説得用に提案資料がほしい

そんなご要望があれば、ぜひお気軽にご相談ください。

小川 陽子

著者紹介 :小川 陽子 (代表取締役)

英語英文学科を卒業後、中小メーカーの国際部で海外営業に従事後独立。27年以上にわたり、1,900社以上の中小企業の海外展開を支援。国際化支援アドバイザー、海外販路開拓アドバイザー、中小企業アドバイザー(経済産業省系組織)としても活動。

これまでに35カ国での商談・出展・調査を経験。支援対象は製造・小売・サービス・B2B・B2C・D2Cなど多岐にわたり、海外投資・輸出・輸入・展示会・海外SEOなど幅広く対応。

「海外進出は"急がば回れ"。場当たりではなく、"自走できるチカラ"を社内で育て、未来の世界市場で誇れる一社を目指して——今日も中小企業の現場で伴走支援を続けています。」

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