「英語、出てこない…」その不安、展示会の現場で爆発しませんか?
海外展示会。
せっかく準備したのに、いざ来場者がブースに来た瞬間――
「えっと、英語…なに話せばいいんだっけ?」と頭が真っ白。
実はこれ、中小企業の出展者さん“あるある”です。
日本語なら伝えられる強みも、英語になると急に“モゴモゴ”してしまう。
そのせいでせっかくの商談チャンスを逃してしまう…。
――もったいないですよね?
でも大丈夫。
本記事では、展示会の現場で「今すぐ使える英語対応術」をシーン別にご紹介。
- 英語での自然なアプローチ
- 製品を紹介するときの自然なフレーズ
- 英語での名刺交換や軽い雑談
- クロージングやフォローアップの言い回し…など
さらに、文化的マナーやトラブル時の対応例、よくあるNG表現もまるっとカバー。
海外展示会での“英語対応”は、流暢さより「準備と引き出し」がすべて。
この記事を読めば、「英語が出てこない…!」という不安は準備段階で解消できます。
展示会で英語対応が求められる理由
海外展示会は“多国籍ビジネス空間”
海外展示会の現場は、まさに「世界からバイヤーが集まるリアルな市場」。
アジア・ヨーロッパ・北米・中東…来場者のバックグラウンドは実に多様です。
その中で共通言語として機能するのが、英語。
特に日本企業の出展ブースでは、「興味はあるけど、話しかけても大丈夫かな…?」と様子をうかがう来場者が多く、英語での自然な対応力が商談数に直結します。
“通訳任せ”では商談チャンスを逃すことも
通訳をつければ安心?――それ、半分だけ正解です。
- 通訳が他の対応中で動けない
- ちょっとした雑談やフォローのタイミング
- プレゼン中に入る質問
- 通訳の言い回しに差があって誤解が生じる
など、実際の展示会では“その場で対応できる英語力”がないと対応しきれない場面が山ほどあります。
「完璧な英語」より「伝える力と安心感」
多くの人が「英語が流暢じゃないとダメ」と思いがちです。
でも、展示会で求められるのは流暢さではなく、“商談の入口をつくる力”です。
- 相手の話をきちんと聞く姿勢
- 分かる単語で丁寧に伝える工夫
- 表情やジェスチャーを活かす
これらを駆使すれば、シンプルな英語でもしっかり信頼感を生み出せます。
たったひと言で「話しかけやすいブース」になる
展示会では「最初のひと言」が空気を変えます。
英語で軽く
「Can I help you?(何かご案内しましょうか?)」や
「Are you interested in ○○?(○○にご興味ありますか?)」と伝えるだけで、
来場者の心のハードルはグッと下がります。
展示会で英語が必要なシーンと課題
展示会で英語が必要になるタイミングって、実は思っているよりずっと多いのです。
「通訳さんがいれば安心」と思っていても、リアルな現場では、そんな余裕がない場面が次々にやってきます。
たとえば、こんなとき。
- 来場者がフラッとブースに近づいてきたとき
- 名刺交換の場面で会社の説明を求められたとき
- 展示している製品について質問されたとき
- 競合他社と比較されたとき
- プレゼンやデモ中に思わぬ質問が飛んできたとき
- 商談後にメールでのフォローアップが必要になったとき
こうした場面に対応するには、ある程度“即答できる”英語が必要になります。
でもそれは、ネイティブレベルの会話力でなくても良いのです。
必要なのは、「どの場面で」「何を言うか」の引き出しを持っておくこと。
一方で、こういう課題もよくあります。
- 相手が何を求めているのか、うまく聞き取れない
- 製品の特徴を英語で説明しきれない
- 雑談が続かず、会話が止まってしまう
- ジェスチャーや表情の使い方が分からない
- 商談の終わらせ方が不自然になってしまう
実際には「言葉の問題」よりも、「場面ごとの慣れ」の方が大きな壁になっていたりします。
だからこそ、これから紹介するフレーズ集では、ただ単に英文を並べるのではなく、「どういう場面でどう使うか」までセットで解説していきます。
自分に合った場面から読むだけでも、グッと現場での安心感が変わってくるはずです。
実際に使える英語フレーズ集【シーン別】
ここでは、海外展示会の現場でよくある場面ごとに、そのまま使える英語フレーズを紹介していきます。
ただフレーズを覚えるだけではなく、「どういうタイミングでどう使うか」も一緒に押さえておくと、本番でも落ち着いて対応できます。
来場者がブースに近づいてきたとき(第一声)
海外では日本のような「前のめり」の呼び込みは基本的にNGです。
ただし、来場者がブースに視線を向け、少し止まった瞬間がチャンス。
目を合わせて、ニコっと笑顔で、軽く声をかけるのがスタンダードです。
使えるフレーズ例:
- Hello. Welcome.
(こんにちは、ようこそ) - Hi there. Please feel free to have a look.
(こんにちは、どうぞご自由にご覧ください) - Good afternoon. Are you interested in ○○?
(こんにちは、○○にご興味ありますか?) - Let me know if you have any questions.
(ご質問があれば、いつでもお知らせください)
会話の入口はとにかく「軽く」。
押しすぎないのがコツです。
会社や製品を紹介するとき
聞かれる前に話しすぎない、興味を持ってくれたらシンプルな言葉で自社紹介、がポイントです。
使えるフレーズ例:
- We are a manufacturer based in Japan.
(私たちは日本に拠点を置く製造業者です) - We specialize in ○○ (your product/service).
(○○(あなたの製品・サービス)を専門としています) - This is our latest model, released in 2025.
(こちらは2025年にリリースした最新モデルです) - It’s designed for ○○ and already used in ○○ industries.
(○○向けに設計されており、すでに○○業界で使用されています)
ここでは難しい単語よりも、「具体的な使い道」や「導入事例」をシンプルに伝えると効果的です。
来場者からの質問に答えるとき
聞かれたことに対して、まずは「聞こえたよ」のリアクションから。(意外と重要)
英語が少し苦手でも、会話を“止めない姿勢”がとても大切です。
使えるフレーズ例:
- That’s a great question.
(それは良い質問ですね) - Let me explain.
(ご説明しますね) - Yes, it works like this…
(はい、仕組みはこのようになっています…) - Actually, it depends on your usage.
(実は、それは使い方によって変わります) - I’m not sure, but I can check for you right away.
(はっきりとは分かりませんが、すぐ確認します) - I’ll check and get back to you.
(確認してからお返事いたします)
答えに詰まっても、「I’ll check and get back to you」などの対応でOKです。
ここではいったん受け止める誠実さが信頼になります。
名刺交換・資料を受け渡すとき
海外の展示会では、日本のように「とりあえず名刺交換をしてから会話を始める」という文化はあまりありません。
多くの場合、会話の最後に「何かご連絡先は?」と聞かれて初めて名刺を渡す、という流れが一般的です。
そして、そのとき相手が名刺を持っていなかったり、交換を想定していなかったりするのもよくあること。
つまり、名刺を“渡すチャンス”はあるけれど、“交換できるかどうか”は運次第なんです。
なので、こちらから渡すときはタイミングと雰囲気を大事に。
無理に求めたりせず、自然な流れを意識しましょう。
資料やパンフレットを手渡すときも、丁寧に一言添えると印象アップ。
使えるフレーズ例:
- May I give you my business card?
(私の名刺をお渡ししてもよろしいですか?) - May I have your business card?
(お名刺をいただけますか?) - Here’s our company brochure.
(こちらが当社のパンフレットです) - This leaflet explains our key features.
(このリーフレットに主な特徴が載っています) - Please take one if you’re interested.
(ご興味があれば、ぜひお持ちください)
※名刺を渡すときは片手でも問題ありませんが、両手で丁寧に渡す+アイコンタクト+軽いスマイルが加わると、どこの国でも誠実さは伝わります。
展示会トークで自然にニーズを引き出すコツ
よく「英語の雑談が苦手…」という声を聞きますが、海外展示会では、雑談=重要な情報収集のチャンスです。
なかでも「今回の展示会、どうですか?」という一言は、
ただの挨拶ではなく、来場者の目的やニーズを引き出すための起点になりえます。
実際に、来場者のほうがその展示会について詳しいことも多く、毎年来ている人、複数の類似展示会を回っている人など、業界トレンドを肌で知っている“宝の山”のような存在です。
こうした方との会話から、
「どんな情報を探しているのか」
「なぜこの展示会を選んだのか」
などを掘り下げていくことで、本当に求めていること(=ニーズ)が見えてきます。
こんなふうに使える!質問のフレーズ例:
- How do you find this exhibition so far?
(この展示会、いかがですか?) - Have you visited this exhibition before?
(この展示会には以前も来られましたか?) - What brings you here today?
(今日はどのような目的でお越しですか?) - Are you looking for any specific products or services?
(何か特定の製品やサービスをお探しですか?) - Have you checked out any similar exhibitions recently?
(最近、他の類似展示会に行かれましたか?)
上手に会話をつなげていくと、無理に営業トークをしなくても、「実はこういうソリューション探してて…」という流れが自然に生まれます。
興味が高い相手との次のアクションにつなげたいとき
名刺をもらった後や、反応が良かった来場者に対しては、次の連絡の布石を打っておくのがポイント。
使えるフレーズ例:
- Can I follow up with you by email?
(後日メールでご連絡してもよろしいですか?) - Would it be okay to send you more information later?
(後ほど追加の情報をお送りしてもよろしいでしょうか?) - We’d love to have a deeper discussion after the show.
(展示会後に、より深いお話ができればと思っています) - Let’s keep in touch.
(今後も連絡を取り合いましょう)
営業色を出しすぎず、次に繋げる“気配りのひと言”が大事です。
展示会中のトラブルや質問対応(想定外への備え)
展示会では、事前に準備していた説明や資料だけでは足りない場面が必ず出てきます。
たとえば、技術的に細かい質問をされたり、英語が早口で聞き取れなかったり、想定外の流れになってしまったり…。
そんなときに「黙る」「ごまかす」ではなく、“会話を止めずに対応する”ためのフレーズを覚えておくと安心です。
よくある質問に一瞬詰まったとき
質問の意図をすぐに理解できなかったり、答えがすぐに出てこない場合は、焦らずワンクッション置くのがポイント。
使えるフレーズ例:
- That’s a very good point. Let me think for a second.
(良いご指摘です。少し考えさせてください) - I want to make sure I understand you correctly.
(正しく理解できているか確認したいです) - Could you repeat that, just to be sure?
(念のため、もう一度言っていただけますか?) - Just a moment, please. I’ll check.
(少々お待ちください。確認します)
“考えている”ことを言葉にするだけで、場の空気が止まらず、相手も待ってくれます。
質問が専門的すぎる、または自分の担当外のとき
何でも自分で答えようとせず、社内の担当に振る、あるいは後日対応を案内するのがベターです。
使えるフレーズ例:
- That’s a bit technical. Let me introduce our engineer.
(少し専門的なので、技術者をご紹介します) - I’ll check with our product team and get back to you.
(製品チームに確認してご連絡します) - I’m not the best person to answer that, but I’ll find out for you.
(私では正確にお答えできませんが、確認してお伝えします) - We’ll send you the detailed specifications later by email.
(詳細な仕様は後ほどメールでお送りします)
「わかりません」ではなく「確認して対応します」と言えるかが大事です。
相手の話す英語が速くて聞き取れないとき
英語がネイティブの人ほど、展示会ではテンションも上がって早口になることも多いです。
無理にわかったフリをせず、丁寧に聞き返しましょう。
使えるフレーズ例:
- I’m sorry, could you say that again a bit more slowly?
(すみません、もう少しゆっくり言っていただけますか?) - Just to confirm, did you mean ○○?
(確認ですが、○○という意味でおっしゃいましたか?) - Let me repeat what I understood, and you can tell me if I’m right.
(理解した内容を繰り返しますので、合っているか教えてください) - English is not my first language, so I appreciate you speaking slowly.
(英語は母国語ではないので、ゆっくり話していただけると助かります)
ここでも“誠実さ”が信頼を呼びます。
丁寧に聞き返す姿勢はマイナスになりません。
(ただし、同じ内容を繰り返し聞き返すのは1回までがベターです)
製品に対するネガティブなコメント・クレーム
ときには
「これはちょっと高いね」
「前に使った製品が壊れたよ」
などのマイナスな発言も飛んできます。
否定や言い訳より、まずは共感と冷静な対応がスマートです。
使えるフレーズ例:
- I understand your concern.
(ご懸念はよく分かります) - I’m sorry to hear that. Could you tell me more about how it happened or how you were using it?
(それは残念です。どのような使い方で起こったのか、もう少し教えていただけますか?) - That feedback is very helpful. Thank you.
(ご意見はとても参考になります。ありがとうございます) - We’re continuously improving the product, and this model has some upgrades.
(製品は常に改善しており、このモデルにはいくつかのアップグレードがあります)
まずは受け止めてから、改善の姿勢を示すことが信頼につながります。
展示会では、対応に困る場面があるほど信頼をつかむチャンス。
冷静に、正直に、でも“前向きに”対応できるよう準備しておくと安心です。
展示会後の英語フォローで差をつける!
展示会が終わったあとに、「よし、終わった〜!」って気を抜いていないでしょうか。
実は本番はここから。
名刺交換しただけでは、取引にはつながらりません。
メール1本、連絡1通で“ライバルと差がつく”のが展示会後のアプローチです。
フォローメールは選んで送る
展示会が終わると、「お礼の英文メール、ちゃんと送らなきゃ!」と思う方も多いですが、実際には “全員に送るメール”はほぼ効果がありません。
展示会で名刺を200枚交換しても、その中で実際に今後につながるのは、せいぜい10〜20件ほど。
「少し立ち話しただけ」「通りすがりに名刺をもらっただけ」の相手に、定型的な英文メールを送っても、返信率は極めて低く、印象にすら残りません。
どんな相手に、どんなメールを送るべきか?
フォローメールを送るべきなのは、以下のような方に限定しましょう:
- 展示会でじっくり話をした
- 商品・サービスに具体的な質問があった
- 明確なニーズ、または予算があると話していた
- 競合や他社製品と比較検討していた
このような「次につながる可能性が高い相手」には、テンプレではなく、1件ずつ“勝負メール”を送るべきです。
パターン①:見積もり前の仕様確認メール
【英文メール】
Subject: Follow-up on Product Discussion at the Exhibition
Dear [Name],
Thank you again for visiting our booth at [Exhibition Name].
We appreciated the opportunity to introduce our products and learn more about your needs.
We are preparing a formal quotation and would like to confirm a few details to ensure we meet your exact requirements.
Could you kindly provide the following information?
- Expected usage or application environment
- Required specifications or performance expectations
- Quantity needed and desired delivery timeline
We’ll prepare the estimate accordingly and send it to you as soon as possible.
Please feel free to let us know if you have any additional questions.
Best regards,
[Your Name]
[Your Company]
【日本語訳】
件名:展示会でのご相談に関するご確認とお見積り準備について
[Name]様
このたびは[展示会名]にて弊社ブースにお越しいただき、誠にありがとうございました。
貴社のご要望を伺いながら、弊社製品をご紹介できたことを嬉しく思います。
現在、お見積りの準備を進めておりますが、より正確にご提案させていただくため、下記についてご確認をお願いできますでしょうか。
- 想定されている用途・使用環境
- ご希望の仕様・性能要件
- 必要数量とご希望納期
ご確認いただけ次第、お見積りをお送りいたします。
ご不明点などございましたらお気軽にご連絡ください。
【なぜこのメール構成か?(ポイント解説)】
- 冒頭は「展示会でのご縁に感謝」からスタート
→ 押し売り感ゼロで関係維持を狙う - “We’d be happy to prepare a quotation”
→見積もりは希望があれば出すという姿勢で安心感を演出 - 箇条書きで確認事項を提示
→ 相手が返信しやすい・担当者に転送しやすい - 締めは柔らかく、返信を催促せず自然にクロージング
パターン②:来年度予算/将来案件に向けた関係構築メール
【英文メール】
Subject: Thank You for Visiting Our Booth – Let’s Stay in Touch
Dear [Name],
It was a pleasure meeting you at [Exhibition Name].
We appreciated the opportunity to discuss your future plans and learn more about your business needs.
Although your purchasing timeline is set for next year, we’d be happy to stay in touch and support your consideration process.
As a quick summary, here are the key concerns you mentioned and how we can help:
- [Client concern 1] → Our solution: [Response]
- [Client concern 2] → Our solution: [Response]
- [Client concern 3] → Our solution: [Response]
We’ll reach out again closer to your budget planning period, but please don’t hesitate to contact us in the meantime.
Best regards,
[Your Name]
[Your Company]
【日本語訳】
件名:展示会のご来場ありがとうございました/今後のご連絡について
[Name]様
[展示会名]ではお話しさせていただき、誠にありがとうございました。
将来の計画や貴社のご要望をお伺いでき、大変参考になりました。
ご購入は来年度以降のご予定とのことでしたが、今後に向けたご検討の一助となるよう、引き続き情報提供などでお役に立てればと思っております。
以下は、当日お聞きしたお困りごとと、それに対する弊社の対応案です:
- [課題①] → 弊社のご提案:[対応内容]
- [課題②] → 弊社のご提案:[対応内容]
- [課題③] → 弊社のご提案:[対応内容]
来期の予算ご検討時期に改めてご連絡差し上げますが、それまでの間もご不明点等ございましたらお気軽にご連絡ください。
*上記は必要に応じて、会社名・名前・課題内容などを書き換えてご活用ください。
【なぜこのメール構成なのか?(ポイント解説)】
- 本年度予算がないことを否定しない
→現状を受け入れることで、相手の心理的防御を解除 - 課題→解決策の対応表
→「正確に理解してくれている!」と信頼を得やすい - 「また来年ご連絡しますね」
→で終わらず、「時期をすり合わせたい」と具体的な一歩が重要 - 締めは「候補の1社として」でとめおく
→「つながって」終わることで、次の提案の機会を得る
資料送付や商談フォローは“見せ方”が大事(補足)
英語のカタログやWebページをただ貼るだけの日本企業は意外と多いものです。
これでは、相手にとっては「どこ見ればいいの?」となってしまいます。
リンクを送る場合は、「どのページに何が載ってるか」も一言添えてあげると親切です。
“あなたのニーズに合わせました感”を出せると、一気に信頼度がアップします。
例:
【英文メール】
You can find our full product lineup here:
https://www.abccompany.com/products
→ For your interest, the [Product X] is introduced on the second section.
【日本語訳】
弊社の全製品ラインナップはこちらからご覧いただけます:
https://www.abccompany.com/products
→ ご参考までに、[Product X] はページの2番目のセクションで紹介されています。
展示会現場での文化・マナー対応術
「英語を話せる」だけでは、海外展示会では通用しません。
それぞれの国・文化ごとに異なる“ビジネスのマナー”を理解しておくことで、相手からの信頼はグッと深まります。
日本式の熱心な「呼び込み」はいらない
日本の展示会では、スタッフが立ちっぱなしで積極的に声をかけて呼び込むのが当たり前です。
でも、欧米をはじめとする多くの国では、「自発的に近づいてきた来場者にだけ反応する」のが基本。
通りがかった人に無理に話しかけると、かえって「売り込みが強い」と警戒されてしまうこともあります。
来場者がブースに近づいてきたら、静かに立って笑顔で「Hello」と声をかけ、目線や興味のサインを見逃さないのがコツです。
名刺交換にもお国柄アリ
展示会では「名刺交換=標準ルール」ではありません。
欧米では、名刺をもらえるかどうかは“運”のようなもので、こちらが渡しても返ってこないことも珍しくありません。
一方で、名刺を交わすことになった場合には、相手の文化圏に合わせた対応ができると、印象アップにつながります。
たとえば、欧米ではカジュアルに片手で渡すのが一般的。
アジア圏では「丁寧な名刺交換がマナー」と思われがちですが、実際には中国や韓国でも若い世代はカジュアルですし、そもそも名刺を持っていない人もいます。
とはいえ、相手が年配者や上級職の場合は、日本と同様に丁寧に両手で渡す方が好印象につながる場面もあります。
文化の違いを意識しながら、相手に合わせて自然に対応できると「お、この人わかってるな」と信頼感アップに。
雑談は“最初”ではなく“あとから”
海外展示会では時間が限られているため、いきなり本題に入るのが普通。
スモールトーク(雑談)で関係を温めるのは、商談が盛り上がった“あとから”の話。
特にBtoB商材の場合、興味があるかどうか・マッチするかどうかをお互いに最短距離で確認し合います。
でも、話が弾んで「この会社ともっと話したいな」とお互いに感じたとき、ちょっとした雑談を挟むことで、次の面談や商談につながりやすくなるのも事実です。
こんな時は、移動の話や会場の印象など、ちょっとした一言が良い潤滑油に。
たとえば:
- “Is this your first time in [city]?”
(こちらの都市は、初めてですか?) - “How long will you be staying in [country]?”
(この国にはいつまで滞在される予定ですか?) - “Do you exhibit in other countries as well?”
(他の国の展示会にも出展されているんですか?)
雑談は、英語力というより「相手に興味を持っているよ」という姿勢を見せること。
無理に話す必要はありませんが、自然に話せるタイミングが来たら、さっと言える準備があると「この人は海外ビジネスに慣れている」と伝わります。
デモ中こそ注意!「誰が先?」
文化やマナーは「失礼をしないための知識」ではなく、“違いを理解する気があるか”を示すサインでもあります。
その中でも、意外と見落とされがちなのが「順番を守る」という感覚。
たとえば、デモンストレーション中など一時的に人が集まる場面では、来場者それぞれが好きなタイミングで質問してきます。
でも、焦って目立つ質問だけをピックアップして答えていくと──
最初から質問したそうにしていた人をスルーしてしまったり、後から来た人に先に答えてしまったり。
こうした“順番の乱れ”は、意外と見られています。
欧米をはじめ多くの国では、「先に並んだ人を優先する」文化が強く根付いています。
そのため順番が崩れると、クレームまではいかなくても「この企業、雑だな…」と相手に不信感を与えるリスクもあります。
逆に、「誰が先だったか」をきちんと把握し、その順で丁寧に対応できると──
それだけで“ちゃんと見てくれている”という安心感につながり、海外での信頼感がグッと高まる場面も多いのです。
【ポイント整理】
- 見つけた順に対応しがちだが、「順番の感覚」を大切に
- 並んだ人を優先するのは、多くの国でのマナーの一部
- そこが崩れると、思った以上に信頼を損なうこともある
展示会前に準備すべき英語対応のチェックリスト
出発前に「フレーズ暗記しておけばOKでしょ!」と思っていたら…
現地で思わぬところに英語の壁、立ちはだかるのが“展示会あるある”です。
では何を準備すればいいのか?
ここでは、事前に準備しておくだけで当日の安心感が段違いになる英語対応チェックリストを紹介します。
英語での説明資料
- 製品紹介パンフレット
(英語版) - 名刺の英語表記
(肩書き、連絡先も見直しを) - 展示パネルの英語コピー
(専門用語が伝わるかも確認)
「英語の資料がない」というだけで、信頼感が半分以下に見られます。
紙かPDFか問わず、見せるものは“言葉”ではなくきちんと“内容”が伝わるかを基準にチェックしましょう。
話す内容のロールプレイング
- 自己紹介の練習
(30秒〜1分) - 製品・サービス紹介を英語でシミュレーション
- よくある質問への答えを準備しておく
(価格、納期、対応範囲など)
原稿を読むだけじゃなくて、声に出して言ってみるのがポイントです。
口にして初めて「あれ?なんか言いづらい…」と気づく表現もあるからです。
通訳・翻訳サポートの準備
- 英語に自信がないメンバーが対応する場合は、通訳手配は必須
- できれば、英語に強いメンバーを1名はブース内に配置
- 翻訳アプリや電子辞書などの即席ツールも準備しておく
場面によっては、“その場で伝えること”よりも“正確に伝えること”の方が重要になることもあります。
特に初めての出展では、英語以外にも「初めて」が多いため、使えるサポートは事前に把握しておくと安心です。
現場対応で成果を出すためのチーム内ルール
展示会は、その場の判断ミスが“重大な取り返しのつかない情報漏洩”や“ビジネス機会の逸失”につながる現場。
だからこそ、事前のすり合わせが重要です。
出していい情報・出してはいけない情報の事前共有
展示会は、情報戦。
出展企業としては「語りたい」「アピールしたい」気持ちが先行しがちですが、たとえば…
- 一般公開前の新技術や製品仕様
- 卸・代理店向けの価格条件
- 提携先や供給元との内部情報
こういった内容を、場の空気でうっかり口にしてしまうと、取り返しがつきません。
「話してOKな範囲」「NGな情報」について、社内・関係スタッフ間で線引きを共有しておくことが欠かせません。
貴重品・資料は“誰かが見る”前提で管理する
- 商談中に名刺ケースをそのまま置きっぱなし
- 昼休憩でブースを空けるとき、ノートPCが出しっぱなし
- 商談メモがそのまま机の上に残ってる
…これ、実は海外展示会では“あるある”です。
でも現実には、展示会場に“完全な安全”は存在しません。
盗難も、情報抜き取りも、普通に起こりうると思って準備しましょう。
誰に見られても困らない状態を「常に保つ」、それが展示会ブース内でのマナーでもあります。
競合リサーチ結果を“全員で使える知恵”にする
競合他社のブースは、来場者として自由に見られるチャンスが初日の午前中に1回あるかないか。
だからこそ、そのタイミングで集めた競合情報は「社内の財産」として、全スタッフで共有すべきです。
- 何を出していたのか?
- 新しい機能は?
- 価格帯の示唆は?
これらを知らずに接客していると、「あ、○○社の方がよかったかも」と顧客候補に言われた時に対応ができません。
海外競合の強みと自社の立ち位置を把握した上で接客することが、差をつけるポイントになります。
展示会の英語は“準備+型+心構え”で乗り切れる!
「海外出展」「英語で接客」「商談を乗り切る」――
これを聞いただけでドキドキしてしまう…そんな気持ち、実はあなただけではありません。
でも、展示会で求められる英語は、完璧な文法やネイティブ並みの発音よりも、「伝えようとする姿勢」と「相手の話をきちんと聞く心構え」のほうが重要です。
そして、それを支えてくれるのが以下の3つです。
1. 事前の“準備”で8割が決まる
- 英語フレーズを使う場面をシミュレーションしておく
- 資料・パンフレット・名刺を英語対応にしておく
- 誰が英語対応するか、チームで共有しておく
緊張する現場でも、準備したことは体が覚えているので、慌てずに対応できる確率がグッと上がります。
2. “型”を持っていれば、応用も効く
英語が不安でも、「定番フレーズ」をいくつか覚えておくだけでOKです。
定番=型だから、現場で組み合わせれば十分伝わります。
型があると、自信が出て、相手の話にも集中できます。
結果的に会話が続き、よいヒアリングにつながります。
3. “心構え”は「伝えたい」が勝つ
ミスを恐れて黙ってしまうより、拙くてもいいから目を見て話そうとする方が、海外の人にはよく伝わります。
「あなたと話したい」という気持ちさえ伝われば、英語は多少間違っていても大丈夫。
展示会で英語を使うなんて、ハードルが高く感じるかもしれません。
でも、きちんと準備をして、型を持って、心構えさえできていれば、あなたの言葉はきっと伝わります。
海外展示会の英語対応が、不安な方へ
パコロアでは、海外展示会に向けた英語接客トレーニングや、多言語資料の制作支援、現地でのサポート体制づくりまで、“実際に動けるようになる”支援を行っています。
「何から準備すればいいの?」
「英語が苦手だけど海外出展したい…」
そんな方は、ぜひお気軽に無料相談をご利用ください。
あなたの海外進出、展示会デビュー、全力でサポートします。
さあ、あとは一歩踏み出すだけ。
英語ができる・できないじゃなくて、「伝えよう」とする姿勢がすべてのスタートです!