そう考えたとき、真っ先に必要なのは「規制への準拠」です。
実は、日本から輸出するときだけでなく、相手国に輸入するときにも、別々の制度とルールが存在します。
これらの確認を怠ると、製品は海を越えるどころか、出荷すらできない可能性があります。
ここでは、各種制度への対応方法や費用、トラブル事例、問合せ先やリンク集などの実用的な情報を一覧形式で紹介します。


規制対応の重要性
海外向けのサイトを作って、展示会で大絶賛されて、商談も成立した――
でも、輸出入の法規制を確認していなかったせいで、出荷できなかった。
そんな例は珍しくありません。
多くの国では、安全保障や製品品質、化学物質の取り扱いなどについて、それぞれ独自の規制を設けています。
これらを事前に把握していないと、商品の輸出・輸入が停止されることもあるのです。
結果として商品が現地に届いたタイミングで手続きの不備が発覚すると、最悪の場合、返品や廃棄、信用失墜、契約解除にもつながります。
「知らなかった」では済まされない、それが輸出入の規制なのです。

輸出入の規制準拠の実務

まず、日本から輸出する場合は、次の2点の確認が基本です:
- 安全保障貿易管理(経済産業省)
- SDS(経済産業省)
実務の詳細はこちらをどうぞ 輸出管理!(安全保障貿易管理)これだけやっとけばOKデス
これらは経産省の案内ページやリンク集に詳しく整理されています。
該否の確認と申請方法も掲載されており、輸出品目が制度の対象となるかどうかを判定することができます。
一方、相手国側の輸入規制は流通業界・商品やサービスごとにあり、より複雑です。
以下のような代表的な規制があります:
CEマーキング(安全基準制度)
EU27ヵ国と、スイス、アイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェー、トルコ
WEEE、RoHS、REACH、他(環境規制)
欧州、中国、米国
EAC認証(ユーラシア経済連合技術規則『TR EAEU』)
ユーラシア経済連合(EEU)のロシア、アルメニア、ベラルーシ、カザフスタン、キルギス
Gマーク
GCC6ヵ国(サウジアラビア、アラブ首長国連邦、バーレーン、クウェート、オマーン、カタール)
国家規格例
ANSI(アメリカ)、BS(イギリス)、DIN(ドイツ)、NF(フランス)、CSA(カナダ)、GB(中国)、TCVN(ベトナム)、TIS(タイ)、PSB(シンガポール)、JIS(日本)、他。
FDA関連
医療機器、化粧品、食品を米国へ輸出する場合:
- US FDA(米国食品医薬品局)へ届け出
- 承認申請
- 代理人任命
- サンプルや必要書類の提出
- 基準確認
- 施設登録
- 事前通告
などが必要です。
(タイの場合はタイFDAへ、など)
まとめますと、各規制や制度に応じて、試験の実施、技術文書の作成、現地代理人の選定、登録・届け出などが事前に必要です。
規格の場合:
- その規格に必要な試験を実施
- データを取り
- 技術文書を作成
- 適合証明書を作成
規制の場合:
- 現地当局(税関とは限らない)が求める書類の提出
- 申請
- 登録
- 現地代理人の選定
とくにFDA関連(米国)では、事前通告、施設登録、基準適合性の審査などが求められるため、早めの準備が重要です。

ええっと、今お話し頂いているのは、
財務省の貿易統計品目とか、
自動車とか半導体等電子部品にかかる関税とか、
そういう話でしょうか。
輸出入には関税がかかってきますよ、という・・・、
(貿易講座で習った、ありったけの貿易単語を並べてみた)

おしいですが、関税の話ではありません。
(関税の話はこちらをどうぞ 関税とは?その基本を理解する)
輸出する場合(その国にとっては輸入する場合)、その商品が当該国の流通規制に準拠していないと、その国でビジネスができません、という話になります。
ちなみに、輸出の際、関税はかかりません、我が国の場合・・

。。。

輸入規制の想定トラブル

最も多いトラブルは「規制の存在を知らなかった」または「確認はしたが正しく理解していなかった」というケースです。
例えば、出荷当日に規制への非対応が判明し、あわてて各所に書類を依頼する事態になったり、
日本から輸出はできたものの、現地税関で輸入不可とされてしまい、貨物が止められてしまうこともあります。
場合によっては、事前登録や当局との調整に数カ月を要するため、到着時点での不備発覚は、商品の廃棄や契約不履行といった重大な損失につながります。
なお、規制に準拠していなくても、同じ製品を長年輸出しており、何の問題もなく取引が続いているケースが、まれに見られます。
しかし安全基準を満たしていない商品を輸出することで、欧州委員会のサイト(RAPEX)で摘発され警告を受けることもあります。
警告後は同じ商品は二度と欧州圏内で流通できません。
現地の輸入業者や消費者の安全を守るという視点でも、自発的な準拠が長期的な信頼獲得に繋がります。
CEマーキング、知らなかったでは済まされない??(←こちらもどうぞ。パコロア代表による寄稿記事)

規制準拠の費用と対策

輸出規制の場合
日本側の輸出規制に対する書類作成は、インターネット上にある参考書式などを使って、無料で対応できる場合もあります。
輸入規制の場合
輸入規制の場合は、相手国の規格や制度へ正しく準拠するには、以下のようなコストがかかることも想定しておきましょう:
- 製品試験費用:10万〜50万円
- 技術文書作成(英語):10万〜30万円
- 認証機関への申請費用:10万〜100万円超(国や品目により変動)
とくに初心者にとっては、「どの制度に該当するかの特定」や「試験項目の把握」「適合宣言書の作成」などが難しいため、第三者認証機関を利用するのが現実的です。
費用はかかっても、早期に信頼ある機関へ問合せし、適切な審査と準備を進めることで、将来的なトラブルを大きく減らすことができます。
第三者認証機関のリスト(←↓こちらもどうぞ。パコロア代表による寄稿記事)
第三者認証機関が何ができるかのリスト

あぶなかった・・・輸入規制に準拠しないと、現地では売ることもできないなんて・・・

そうなんです。
中小企業にとってここは高い障壁となっています。
じっくり検討が必要です。
次のステップとしては、海外進出に向けて必要な能力を身につける、というものがあります。

必要な能力を身につける??(うぅ・・メンドウだなぁ)

海外進出に必要な能力は、一朝一夕には身につきません。
努力あるのみです。

トホホ・・・

海外進出に向けて必要な能力を身につけていきましょう!
>02 海外進出に必要な能力を開発する