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安全保障貿易管理ってナニ?これだけやっとけばOKデス

2020年9月22日
国外持ち出し禁止

中小企業のみなさまの保有する高度な商品やサービスが、たとえ間接的であっても、大量破壊兵器(核兵器・化学兵器・生物兵器・ミサイル)や通常兵器の開発を行っているような国やテロリストに渡った場合、国際的な脅威となり、情勢が不安定化することがあります。

これらを未然に防ぐため、世界各国でもそれぞれ輸出管理を推進していますが、わが国では外国為替及び外国貿易法(外為法)に基づき、経済産業省が、貨物の輸出及び技術の提供について管理をしています。

あの、、、兵器と言われてもよく分からないのですが、ウチの商品には関係のない気もします。

はじめにチェック!安全保障貿易管理 規制対象外貨物

はい、おっしゃる通り、規制対象外の貨物もありますので、最初に下記を確認してみてください。

【安全保障貿易管理 規制対象外貨物】
食品、たばこ、皮革とその製品、木材、書籍、天然繊維、メリヤス織物、衣類、履物、帽子、傘、つえ、家具、寝具、美術品など。(但し、人造繊維、中古衣類、真珠、時計、楽器、おもちゃ、運動用具などは規制対象です。)

自社の商品が規制の対象かどうかは、こちらで詳しく確認できます。
経済産業省 安全保障貿易管理 キャッチオール規制の範囲 16 項貨物・キャッチオール規制対象品目表

規制対象外の貨物の場合、必要なアクションはありません。経済産業省への許可申請は不要です。

しかし上記で、自社商品に規制対象の〇があった企業さまはこの先も読み進めてみてください。

ものづくり系中小企業は知っておこう、軍事転用できる意外な商品やサービス

引用


民生品を作る企業にとっては、想像しづらいケースも多いと思いますが、自社の製品が意外なところで大量破壊兵器等の開発に転用される可能性があります。

工作機械
・・・核兵器のウラン濃縮に必要な遠心分離機の成形加工に使われる可能性あり

化粧品や自動車の不凍液、シャンプーのトリエタノールアミン
・・・化学兵器であるマスタードガス等の原材料となる

インスタントコーヒーを作る凍結乾燥機
・・・そのまま生物兵器の製造装置となる

微粉末を作るジェットミルの高性能品
・・・ミサイルの固形燃料の製造にも使われる

テニスラケットや釣竿、ゴルフシャフト等に使われる炭素繊維
・・・ミサイルの構造部材に転用可能

引用元:CISTEC 安全保障貿易管理の重要性 2.国際社会と安全保障貿易管理

貨物のみならず、技術の提供でも軍事転用の可能性があります。

~ 技術取引、技術支援とは ~
・・・組み込まれたプログラム
外国からの実習生、研修生、研究員、留学生の受け入れ
・・・開発段階での技術意見交換、技術指導、技能訓練などを通じた作業知識、ノウハウの提供
一時帰国中の日本人(非居住者)
・・・紙、メール、CDROM、USBメモリ等の記憶媒体提供
工場の海外移転
・・・設備内蔵プログラム、技術者派遣による提供技術、マニュアル、図面、工程表等の提供
海外企業(自社の子会社含む)とのストレージサービスの利用
・・・設計図、仕様書、試作品情報の提供

~ 技術とは ~
・設計研究、設計解析、設計概念、プロトタイプの製作及び試験、パイロット生産計画、
設計データ、設計データを製品に変化させる過程、外観設計、総合設計、レイアウト等の製造過程前のすべて
・建設、生産エンジニアリング、製品化、統合、組立/アセンブリ、検査、試験、品質保証 等の製造工程
・操作、据付、保守(点検)、修理、オーバーホール、分解修理などの、設計と製造以外の段階

出典元:
経済産業省 安全保障のための輸出管理
経済産業省 安全保障貿易管理ハンドブック2019
経済産業省 安全保障貿易管理 Q&A技術関連
経済産業省 安全保障貿易管理について 令和2年

あわてない!非該当証明書は事前につくっておこう

シャンプーとか釣竿とか、民生品でも簡単に軍事転用されるとは、全然知りませんでした。

あと、図面とか技術指導も気をつけないといけないなんて・・。でも・・。とはいえ、ウチの商品は、ホント普通の工業製品なんです。

武器とか兵器などに使われる商品ではないので、どうかなぁ?とは思うのですが、先ほどの、安全保障貿易管理のキャッチオール規制の対象品目には〇がついていました。

これはどういう意味なのでしょう、どうすれば良いのでしょう。

〇がついていた場合は、安全保障貿易管理のキャッチオール規制の対象になる、ということになります。

ただ、キャッチオール規制の対象になっていても、貨物の向け先、使用目的を確認し、問題がなければ、特別な輸出許可申請をすることなく輸出はできます。

その場合も、税関にて、該非判定を適切に行っているかを、問われることがあります。

そのため根拠となる資料と共に、下記の様なひながたを参考にして、海外から引き合いが入ったタイミングもしくは受注の際には、事前に自社で、非該当証明書を作成しておきましょう。

そうすれば実際の輸出時、国際輸送会社経由で、スムースに税関に提示できるでしょう。

経済産業省 安全保障貿易管理 非該当証明書 (参考様式)

このキャッチオール規制の、許可申請が必要か否かの確認方法については、後述します。その前に、もうひとつ、輸出規制にはリスト規制、というものがあります。

安全保障貿易管理の本丸は、リスト規制ですが、該当する商品やサービスはある程度限定されています。

中小企業のみなさまのご相談では、リスト規制よりキャッチオール規制についてのご相談が実際には多いこと、

また、リスト規制についての理解、リスト規制のマトリクス表から先に見てしまうと、キャッチオール規制の説明に行く前に、複雑で何が何だかわからなくなることから、

リスト規制の説明はここ中段におさめています。リスト規制については下記をさっとご一読ください。

中小機構 J-net21 リスト規制とキャッチオール規制について教えてください。

リスト規制は難しい?

リスト規制に該当する貨物や技術は下記の通りですが、

  1. 武器
  2. 原子力
  3. 化学兵器
  4. ミサイル
  5. 先端素材
  6. 材料加工
  7. エレクトロニクス
  8. 電子計算機
  9. 通信
  10. センサー
  11. 航法装置
  12. 海洋関連
  13. 推進装置
  14. その他
  15. 機微品目

自社商品が該当するかを具体的に調べるには、下記のマトリクス表を1つずつ見ていく必要があります。

貨物の場合は
・「輸出令・別表第1」の1~15項(貨物のマトリクス表(Excel版)
技術の場合は
・「外為令・別表」の1~15項(技術のマトリクス表(Excel版)
です。

下記サイトより最新のExcelファイルがダウンロードできます。
https://www.meti.go.jp/policy/anpo/matrix_intro.html

自社商品がリスト規制に該当する中小企業で、過去に間接輸出の経験があれば、商社などから該非判定を求められた経験があるかもしれません。(その時にすでに該当・非該当証明書を作成しているかもしれません。)

しかし、海外取引が全くなく、はじめての輸出で、自社製品がリスト規制に該当する可能性があると分かった場合は、該当、非該当を自社だけで判定することが難しいこともあるでしょう。

例えば、自社商品を探す際に、マトリックス表内で使用されていない用語では検索できないため、下記のような「読替が必要な用語(例)」を参照する必要があります。

読替が必要な用語(例)

出典元:経済産業省 安全保障貿易管理 貨物・技術のマトリックス

リスク規制に該当しているかを判定する

自社で、該非判定ができるようならばしてみたい、という場合は、CISTEC 該非判定超入門(PDF)を参考にすると良いでしょう。手順が具体的に書かれています。

難しくて挫折しそうな場合は、有料ですが、CISTEC 該非判定支援 などに相談するのも1つでしょう。

キャッチオール規制の対象の場合、何を確認すれば問題なく輸出できる?

さて、キャッチオール規制の説明に入ります。確認すべきは、仕向け先と用途です。

出典元:
経済産業省 安全保障貿易管理 申請手続き

  1. まず、リスト規制に該当していないことを確認する(前提条件ですので念のため)
  2. 仕向地がアルゼンチン、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、ブルガリア、カナダ、チェコ、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイルランド、イタリア、ルクセンブルク、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、スペイン、スウェーデン、スイス、英国、アメリカ合衆国の場合、許可申請は不要です。
  3. 仕向地が2以外の国の場合、下記のような大量破壊兵器等や開発等に使われるか確認する。
    • 核兵器
    • 軍用の化学製剤
    • 軍用の細菌製剤
    • 軍用の化学製剤又は細菌製剤の散布のための装置
    • 300km以上運搬することができるロケット
    • 300km以上運搬することができる無人航空機
    • 核燃料物質又は核原料物質の開発等
    • 核融合に関する研究
    • 原子炉(発電用軽水炉を除く)又はその部分品若しくは附属装置の開発等
    • 重水の製造
    • 核燃料物質の加工
    • 核燃料物質の再処理a 化学物質の開発又は製造
      b 微生物又は毒素の開発等
      c ロケット又は無人航空機の開発等
      d 宇宙に関する研究あるいは、仕向国がアフガニスタン、中央アフリカ、コンゴ民主共和国、イラク、レバノン、リビア、北朝鮮、ソマリア、南スーダン、スーダンで、通常兵器開発、製造、使用に使われるか確認するこれらが使われていない場合、かつ需要者確認(契約書や輸入者から受けた連絡内容から判断)で需要者が未確定の場合、許可申請は不要です。
  4. 需要者が確定している場合でも、外国ユーザーリストに該当しない場合は、許可申請は不要です。
  5. 以上を確認し、懸念がある場合は個別に許可申請を行う。

出典元:経済産業省 安全保障貿易管理 申請、相談に関する通達

【結論】これだけやっとけばOKデス

はぁ~、難しかったです~。
でも、ウチは結局、リスト規制は関係がなくて、キャッチオール規制には該当すると分かりました。

そして、客観要件も懸念がないため、非該当証明書をWordファイルで1枚作成することでクリア!、これで何とか、輸出できそうです。

輸出時には、輸出規制にかかるかもしれない、ということで、〇〇という書類を出してください、△△という書類はありますか、と国際輸送会社さんに聞かれることがあります。

事前に知っておけば慌てませんが、出荷した後から、例えば輸出通関の際に、あるいは航空機や船に乗せる段階で、

○○という書類はありませんか?と聞かれても、そこから○○ってナニ?と調べはじめるのでは、対応が後手後手になってしまいます。

今回は事前にスッキリ準備が整って、良かったですね。
それで、輸出の予定はいつごろなのですか?

それは、注文さえあればいつでも!

アハ、そういうことですか!