海外進出の準備 ご相談のその前に
公開日時 2017年5月28日 更新日時 2024年4月25日海外進出を始めたい、現地調査をしていたい、誰かに相談したいと思われましたら、
『まずは経営者の方針確認と自社でできる下調べを行っておくこと』これがスムースなスタートを切るポイントになります。
順番に解説します。
まず、海外進出への経営者の思いを分析する (最も大切なこと)
(1)海外進出で達成したいことをすべて挙げる
海外進出(海外企業への輸出開始、進出国での現地法人設立、その他)をすることで、経営者の方が最終的に達成されたいこと、得たいこと、を自由な発想で、すべて挙げます。
(出来る・出来ないは後に譲り、このタイミングでは制約はすべて取り払います。)
(2)本当の理由を探る
なぜ(1)をなさりたいのか本質的な理由を探ります。
- 海外で新しい市場を開拓し経営リスクを分散させたい
- 海外で売上を拡大し経営基盤を安定させたい
- 海外の現地企業と協業し新規事業を立ち上げたい
- 海外進出することでブランドイメージ向上・企業価値を上げたい
- 海外取引など新しいことにチャレンジする会社との外部評価を得たい
- 海外進出している企業として優秀な人材を継続して採用したい
- 海外とつながりが出来たのでそれを活かしたい
- 海外進出のメリットを享受したい
- 将来実は海外に移住したい
- シンプルに海外ビジネスが夢だった
などなど、想いの丈を全て挙げます。
(3)海外進出以外(国内事業)でも想いが実現できるかを検討する
今、挙げて頂いた想いの丈は、つまり(2)は、海外進出することでしか達成できないのかを確認します。
a) Yesの場合、海外進出する上で自社がどこまでのリスクを許容でき、コスト(お金・人・時間)をかけられるのかを具体的に考えます。
海外進出上のリスクについてはこちらも是非お読みください。
b) 海外進出しなくともいくつかは達成できるかもしれない、と思う場合、それではなぜ海外進出が今、自社に必要だとの思いに至ったのか、経営上の別の課題の存在を確認します。
もし別の課題を確認できた場合、海外進出は必須ではないかもしれない、との結論に至ることもあるでしょうし、それでも海外進出したい場合もあるでしょう。
その場合は、a)同様、海外進出する上で自社がどこまでのリスクを許容でき、コスト(お金・人・時間)をかけられるのかを具体的に考えます。
海外進出に必要な費用についてはこちらも是非お読みください。
次に、自社を取り巻く環境を調べる
(4)ネット検索する
まずは下記をインターネットで調べます。
- 同業他社商品
- 自社と同じような海外展開への思い(規模、予算、ゴール)をもつ他の日本企業
- そういった商品や企業の海外展開を支援している公的機関サービス
- 民間の海外進出コンサルサービス
ヒットした検索ページは大変ですが10ページ以上、項目だけでもさっと見ていただき、
a) 自社を取り巻く環境の3C『Customer(市場・顧客)・Competitor(競合)・Company(自社)』と各々の海外展開状況
b) 海外展開を支援する各種サービス
の情報を集めます。
海外進出コンサルティング会社おススメ 26選)も合わせてお読みいただければb)の情報収集は9割ほど完了します。
日本語だけでなく英語でも同様に検索します。
検索ワード(例):
- 自社製品の一般呼称 + 海外展開、海外ビジネス支援、海外販売 などのキーワード
- 輸出や投資したい国名
- 自社が所属する業界・協会会員リストから個別企業名 + 海外展開
- 関連する展示会の出展企業名 + 輸出
- 自社とは分野が異なるが以前から気になっている企業名 + 海外(もしくは国名)
- 海外展開 + 都道府県名
- 都市名海外展開 + 独立行政法人
最後に、自社の仮説を立てた上で、プロへの相談を開始する
(5)調べた内容を検証する
他社の海外展開の目的、進め方、お金の使い方、時間のかけ方、実際の行動と成果、進出先での拠点設立実績、各種支援サービス会社・機関の具体的な支援内容、地域別事例報告などを精査して、
これはいいなと思った点、これはどうなのだろうと思った点などをエクセル等にまとめ、評価し、自社の海外展開の志向 (好み、希望する方向性、出来そうなこと、実行するのは難しそうなこと)を確認します。
相談費用については2種類です。
無料相談は主に地方自治体や行政機関で受けられます。
有料相談、有料支援サービスは、民間の海外進出コンサルタント会社等のHPに記載している価格の上限下限をチェックし、各社を比較し、業界の相場観を把握します。
価格掲載がない会社については一旦保留にしておきます。
ここまで時間はかなりかかりますが、すべて「無料」で情報を集めることができます。
まとめますと、
- 海外進出で経営者が達成したいことをすべて挙げる
- なぜ海外進出したいのか、本当の理由を深く探る
- 海外進出以外でも(国内事業でも)それらが達成できないか検討する
- 同業他社の海外進出や、海外進出コンサル業者をネット検索する
- 調べた内容を検証し、仮説を立て、相談の準備をする
以上が、海外進出の開始前、もしくはコンサルタント等へご相談のその前に、自社で調べて把握しておくと便利なこと、となります。
ここまで来ますと、「海外進出についてよくわからない」という状態は脱し、自社を取り巻く海外進出環境についても大枠を把握でき、海外進出を検討する準備が十分整っています。
実際には、海外進出(継続的な輸出や投資)を実現し、継続できている中小企業は少数派であること、
『初めての海外展開』から自社単体で『本格的な海外展開、継続する海外ビジネス』へと安定運営できている中小企業は数パーセントにすぎないこと、
などにもお気づきになるでしょう。
例えば、ベンチマークしている他社の海外向けサイトのお知らせ(What’s New)の一覧ページやブログページをチェックします。
そうしますと、海外展示会出展の報告があったのち、
- ある時期から更新が途絶えている
- その後の海外進出の経過報告がない
- 企業ネットワークに海外代理店名が1社もない
- 具体的な海外からの引き合い紹介・事例紹介がない
- Webサイトの外国語が学生レベルのまま放置されている
- 海外向け商品ラインナップが減っているか無くなっている
等々が見つかったりします。
意識的に情報開示を控える戦略も稀にありますが、通常は海外事業が順調であれば、これらとは逆の内容が自社Webサイトに掲載されています。
海外進出についてご相談を開始されるタイミングとしては、このようにある程度、海外進出について自社においても色々と調べられた後が、ベストです。
海外進出コンサルタント、海外進出支援会社、公的機関、専門家は、各々の経験からくる成功と失敗法則に基づき助言します。
時に助言内容が全く異なることもあります。
しかしここまでの自社リサーチを終えられた経営者の方であればそれぞれに対して「そういう方法もある」「そういう意見もある」と至極納得されるでしょう。
なぜならこのタイミングにおいても、(1)で挙げた『達成したいこと』を実現したいと考える経営者であれば、すでに海外進出に関して様々な仮説を持っています。
情報の海に溺れず
ポジショントークに惑わされず
第三者からの助言内容をなんとなく可視化でき
判断材料をご自身である程度選びとることも
できるようになっています。
第三者からの助言を、冷静沈着に検討した結果、
- 海外展開する、しない
- いつする、今はしない
- 海外進出コンサルや行政、金融機関へ相談を開始する、あるいは外部に頼らず自社だけで海外進出する
を判断し、方針を決めたのちは、粛々とToDoを進めていくことが出来ます。
海外進出が、自社の新しい事業の大きな柱に育つイメージも、「経営者の想いの分析前」と比較すると、より具体的に明確になっていることに気が付くでしょう。
海外進出して成功する多くの日本企業の経営者は、このように
まずは一旦自社で考える
自社の仮説を持つ
判断材料を自社でも集める
といった手間を軽視せず、自社の仮説とプロの見解との答え合わせを、非常に大切にします。
なぜなら自社が海外進出できる方法は、
どこかに確実な答えがポンとあるようなものではなく
海外進出コンサル任せで作られるものでもなく
自社でリスクを取り
自社で意思決定し
海外進出するための体力や能力を鍛えながら
試行錯誤して実行するその積み重ね以外にないと
どこかで覚悟を決めておられるからです。
とはいえ、海外進出を最初から自社だけで行うことは容易ではなく、しなくていい回り道をすることもあります。
本気の海外進出をお考えの経営者の方こそ、上手く海外進出コンサルタント等の専門家を起用し、海外進出の自走の早期実現を目指して頂きたいと思っています。
株式会社パコロアは、中小企業の海外進出の実務支援パートナーとして、将来、その企業だけで海外進出が自走できるよう、海外事業が内製化できるよう、今日も毎日OJT支援を行っている会社です。
海外進出の相談をしてみたい、自社商品が海外で売れるかどうか知りたい、海外現地に一度行ってみたい、と海外進出をお考えの企業さまは、いつでもお気軽に株式会社パコロアにお問い合わせください。
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