海外進出について、支援機関やコンサルタントへ相談しようと思ったとき、「何を準備していけばよいのだろう」と迷う企業は少なくありません。
まだ進出国も決まっていない。現地の顧客についても分からない。予算もこれから考えるところ。
そのような段階で相談すること自体は、もちろん問題ありません。
ただし、何も考えずに「海外進出したいのですが、どうすればよいですか」と相談するのと、
分からないなりに自社の考えや仮説を持って相談するのとでは、得られるものが大きく変わります。
相談前に完璧な海外事業計画を作る必要はありません。
「なぜ海外へ行きたいのか」
「誰に何を売りたいのか」
「自社ではどこまでできそうか」
「何が分からないのか」。
こうしたことを仮置きしておけば、相談の場で一般論を聞くだけではなく、自社の仮説を検証し、次の具体的な行動を決めやすくなります。
この記事では、海外進出について外部へ相談する前に、自社で整理しておきたい7つのポイントを紹介します。
そもそも「海外進出は自社にとって必要なのか?」という整理がまだの方は、
→ なぜ中小企業は海外進出すべき?メリット・リスク・成功ステップ
もあわせてご覧ください。
海外進出の相談は「何を聞くか」で変わる
海外進出の相談では、相談する側がどこまで考えているかによって、話せる内容が変わります。
たとえば、
- 「海外進出したいのですが、何から始めればよいですか」
- 「インド市場を候補にしていますが、自社製品に需要があるのか分かりません」
- 「代理店販売を考えていますが、直販と比較してどちらが自社に向いているか判断したいです」
では、同じ海外進出の相談でも、相談先から得られる情報の具体性は大きく異なります。
もちろん、最初から正しい進出国や販売方法を決めておく必要はありません。
むしろ、外部へ相談する目的は、自社だけでは分からないことを確認し、仮説を修正することにあります。
大切なのは、「答えを教えてもらう」ために相談するのではなく、
「自社ではここまで考えた。しかし、ここから先が分からない」
という状態まで整理しておくことです。
そうすれば、相談先の知識や経験を、自社の海外事業を具体化するために使えるようになります。
次に、相談前に最低限整理しておきたい7つのポイントを見ていきましょう。
相談前に整理しておきたい7つのポイント
相談前に整理しておきたいのは、完成した海外事業計画ではありません。
次の7つについて、現時点での自社の考えを仮置きしてみましょう。
1 なぜ海外進出するのか
まず整理したいのは、「なぜ海外なのか」です。
売上を増やしたい、新しい市場を開拓したい、国内市場の縮小に備えたい、海外企業との取引を増やしたいなど、目的は企業によって異なります。
ここで一度考えておきたいのが、
「その目的は、国内事業では実現できないのか」
ということです。
国内でも実現できるのであれば、必ずしも海外進出が最優先とは限りません。
それでも海外へ進む理由があるのか。まずは自社なりの答えを持っておきましょう。
2 仮ターゲット市場
「どの国・地域を候補にしているのか」を仮置きします。
まだ1か国に絞る必要はありません。
たとえば、
- すでに問い合わせがある国
- 自社と同じ業界が成長している国
- 競合企業が進出している国
- 展示会などで反応があった国
など、候補になった理由まで整理しておくと、相談先でも検討しやすくなります。
「人口が多いから」「なんとなく東南アジア」といった段階でも構いません。
大切なのは、正解を出すことではなく、なぜその市場を候補にしたのかを説明できることです。
3 顧客と売り方の仮説
次に、「誰に、何を、どう売るのか」を考えます。
海外では、日本国内と同じ顧客、商品、価格、販売方法がそのまま通用するとは限りません。
- 誰が顧客になりそうか
- 自社の何が評価されそうか
- 代理店を通すのか、直接販売するのか
- 日本と同じ商品を売るのか、現地向けに変更するのか
分からないところがあって当然です。
だからこそ、現時点での仮説を持って相談することで、「その顧客設定でよいのか」「別の売り方はないか」と具体的に検討できるようになります。
4 社内体制・人材
海外事業を「誰が担当するのか」も確認しておきましょう。
最初から海外経験豊富な専任担当者がいる必要はありません。
ただし、
- 経営者自身がどこまで関わるのか
- 社内で誰が担当するのか
- 国内業務との兼務は可能なのか
- 足りない専門知識や実務を外部へ依頼するのか
といった役割は考えておく必要があります。
「売れ始めてから担当者を決める」では、そこに至るまでの市場調査や販路開拓を進める人がいません。
今いる人材だけで何ができ、何ができないのか。
それが分かれば、相談先にも「どこを支援してほしいのか」を具体的に伝えられます。
5 投資できる予算
海外進出には、市場調査、商品改良、Webサイト、展示会、出張、規制対応、物流、専門家への依頼など、進め方によってさまざまな費用が発生します。
この段階で詳細な予算を決める必要はありませんが、
「海外事業に、いつまでに、どの程度まで投資できるのか」
という目安は考えておきましょう。
予算が100万円の場合と1,000万円の場合では、選べる方法もスピードも変わります。
補助金が利用できるかどうかとは分けて、まず自社として投資できる範囲を考えておくことが重要です。
6 分からないこと・リスク
海外進出について調べ始めると、分からないことが次々に出てきます。
規制、契約、物流、為替、知的財産、税務、現地商習慣など、すべてを自社で解決してから相談する必要はありません。
むしろ、
- 何が分かっているのか
- 何が分からないのか
- 何をリスクだと考えているのか
を整理しておきましょう。
「何が分からないか」が分かれば、それ自体が立派な相談事項になります。
外部相談は、こうした自社だけでは判断できない部分に専門知識を使うためにあります。
7 いつまでに何をしたいか
最後に、大まかなスケジュールを考えます。
「3年以内に海外売上をつくりたい」
「来年の海外展示会へ出展したい」
「まず半年間で市場性を確認したい」
など、現時点では仮の目標で構いません。
期限が決まれば、そこから逆算して
「いつまでに市場を調べるのか」
「いつ商品仕様を決めるのか」
「いつ販売先候補を探し始めるのか」
が見えてきます。
もちろん、相談した結果、そのスケジュールが現実的ではないと分かることもあります。
それも重要な相談成果です。
最初から正しい計画を作るためではなく、外部の知見を使って修正するために、まず自社なりの案を持っておきましょう。
自分で調べると、相談したいことが見えてくる
7つのポイントを整理するときには、分かる範囲で自分でも情報を探してみましょう。
専門的な市場調査を行う必要はありません。
たとえば、
- 自社と同じような企業が、どの国へ進出しているか
- 海外ではどのような競合商品・サービスが売られているか
- 候補国にはどのような市場や規制があるか
- 他社は代理店、直販、現地法人など、どのような方法で展開しているか
- 利用できそうな公的支援や制度があるか
などを調べるだけでも、見えてくるものがあります。
情報を探すときは、自治体やJETROなどの支援情報、海外ビジネスマッチング事例、各国の規制情報なども参考になります。
日本語だけでなく英語でも検索し、できれば複数の情報源を確認してみましょう。
検索ワード例:
- 自社製品名 + 「海外展開」
- 国名 + 「輸出」「投資」
- 業界名 + 「海外進出」
- 海外都市名 + 「promotion」「platform」
調べているうちに、
「思っていたより競合が多い」
「日本での強みが、海外では強みにならないかもしれない」
「この国より、別の市場の方が合っているのではないか」
「そもそも、なぜこの国を候補にしていたのだろう」
といった疑問も出てくるでしょう。
それでいいのです。それがいいのです。
相談前のリサーチは、自分たちだけで答えを出すために行うものではありません。
自社で分かるところまで調べ、考えた結果、
「ここまでは分かった。でも、ここから先は判断できない」
というところを見つける。
そこから先に、外部へ相談する価値があります。
仮説は間違っていてもいい
ここまで読んで、
「でも、海外のことが分からないから相談するんだけど……」
と思われた方もいるかもしれません。
その通りです。
相談前に立てる仮説は、正解である必要はありません。
たとえば、
- ベトナムが有望だと思っていたが、調べると別の国の方が可能性があった
- 代理店販売を考えていたが、まずは直接販売で顧客ニーズを確認した方がよかった
- 価格が問題だと思っていたが、実はターゲットとする顧客が違っていた
- 海外向けに新商品が必要だと思っていたが、既存商品の一部を変更すれば販売できた
ということもあります。
むしろ、こうしたことを確認するために外部の知識や経験を使います。
大切なのは、最初から正解を知っていることではありません。
「自社ではこう考えている。なぜなら、こういう理由がある」
という仮説を持つことです。
仮説があれば、相談先も、
「その市場なら、こちらも調べてみましょう」
「その売り方では採算が合わないかもしれません」
「その顧客ではなく、別の業界を狙える可能性があります」
と、一歩踏み込んだ検討ができます。
そして、仮説が間違っていると分かったなら、それも大きな成果です。
海外進出では、実際に調査や営業を始めてから間違いに気づくほど、時間も費用もかかります。
相談の段階で仮説を検証し、違っていれば修正する。
また試して、結果を見て、次の仮説を立てる。
この繰り返しが、海外事業を少しずつ具体化していきます。
だから、相談前に必要なのは「正しい答え」ではありません。
自社なりに考えた、最初の仮説です。
準備をしたら、外部相談で仮説を具体化する
ここまで準備できたら、外部へ相談してみましょう。
支援機関やコンサルタントへの相談は、「何から始めればいいですか」と答えを聞く場ではなく、自社で考えてきたことを持ち寄り、海外事業を具体化する場として使うと、得られるものが大きく変わります。
もちろん、すべてを準備してから相談する必要はありません。
「ここまでは調べた」
「自社ではこう考えている」
「でも、ここから先が分からない」
そこまで整理できていれば十分です。
相談した結果、最初の仮説が大きく変わることもあります。
それでも、自社で考え、外部の知見を使って検証し、次の行動を決める。
この繰り返しが、海外事業を自社で動かしていく力につながります。
自社の場合、何から始めればよいか整理しませんか?
「相談前に整理してみたけれど、自社の考え方が合っているのか分からない」
「候補国や販売方法は考えたが、どこから検証すればよいか迷っている」
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「ここまで準備してきた内容で十分なのか」
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