
新しいプロジェクトで開発したデバイスがあるんですが、これ、アメリカとか中国向けにECで販売できるんじゃないかと考えてまして。

ついに越境ECデビューですね。
近年は国内消費の低下もあって、海外に目を向ける国内事業者が増えてますし、電子商取引市場も大きく成長しています。

まずはAmazonから始めて、ゆくゆくは自社サイトでも売れたらと。
いろいろ調べたら、Shopifyが良さそうで…。

Shopifyは越境ECとの相性も良いです。
言語や通貨、手数料の設定も柔軟ですし、連携ツールも豊富で使いやすいですね。

世界中の中小企業が越境ECを始めているって聞いて、これはもう乗り遅れられないなって思ってます。

その意気です。
ただ、始めるからには注意点もあります。例えば…
- 現地の法律や輸出入規制に抵触する商品をうっかり扱ってしまったり
- 海外顧客の購入体験を考慮していない表示やデザインで離脱を招いたり
こういった“知らなかった”が命取りになるケースも珍しくないんですよ。

そうだな。
始めるなら、徹底して準備して、失敗しないようにしないと。
費用も手間もかかるしな。

まさにそこです。成功している越境ECには必ず、
- 魅力的に“見せる”工夫(デザイン)
- 共感されるストーリーとブランド構築
- しっかり設計された集客施策と広告戦略
などが揃っています。

やっぱり簡単じゃないですね…。

でも、始める価値は大きいです。
越境ECは今や“国内売上に限らないビジネスチャンス”を獲得する選択肢です。
今回は「越境ECの立ち上げを成功させるための注意点や始め方、実践的なヒント」を一覧形式で徹底解説していきます!

お願いします…!
越境EC立ち上げの前に知っておきたい6つの魅力と10の落とし穴
越境ECのメリットとは?海外市場に挑む価値はある?

自社サイトで越境ECを始めることで、どんなメリットがあるのでしょうか?

そうですね、以下のようなポイントが大きな魅力です。
特に最近は日本製品への関心が高まっていて、ボーダレスな需要が広がっています。
メリット1 220以上の国と地域が対象になる
国境を越えて販路を拡大できるのが、越境EC最大のメリット。
FedExなどの国際輸送ネットワークを利用すれば、約220カ国以上への配送が可能。対象地域が圧倒的に広がります。
メリット2 国内では埋もれても海外で光る製品がある
例えば化粧品や伝統工芸品など、日本では一般的でも、海外では高く評価されるケースも少なくありません。
独自性の高い製品ほど海外展開に向いています。
メリット3 実店舗を持たずに手軽に始められる
ショップ設立に比べて、オンラインショップなら初期投資が抑えられます。
特にShopifyやBASEなどのシステムを利用すれば、手間を最小限にして始めることが可能です。
メリット4 海外顧客のリアルな声をダイレクトに獲得
言語や通貨の壁を超えて、直接注文やレビューを受け取ることで、その地域ならではのニーズや傾向を分析できます。
メリット5 中間マージンを省いて利益率を確保しやすい
取引ルートをシンプルに保てるため、国内販売よりも高い利益率を維持しやすくなります。
メリット6 ブランドの育成やコミュニケーションも自由自在
海外ユーザーとの交流イベントや、セール・ブログの運用など、売上拡大と認知度向上のための施策を自社主導で展開できます。
越境ECのデメリット:これだけは知っておきたい10の注意点

とはいえ、始める前にしっかり考慮しておきたいリスクや課題もあります。
以下のような点に注意しましょう。
デメリット1 初期費用や外注費用など予想以上のコスト負担
たとえ店舗を持たないとはいえ、ECサイトの設定や保管、物流連携などにかかる料金は無視できません。
システム導入や代行業務の契約費も含めて検討が必要です。
デメリット2 専属人材の確保が大きなハードル
英語対応、貿易手続き、現地法令の把握…。
これらを行う人材を社内に用意するか、外部パートナーと契約するかの選定が必須です。
デメリット3 運用規模次第で倉庫・返品対応も複雑に
在庫管理や配送ルールが国ごとに異なり、手続きの煩雑さから業務の効率化が課題になります。
デメリット4 すべての国がターゲットになるわけではない
越境可能な地域が多くても、実際に需要がある市場は限られてきます。
現地市場の分析が欠かせません。
デメリット5 文化や商習慣の違いがトラブルを生むことも
返品ポリシーや広告の見せ方など、日本と異なる価値観への配慮も重要です。
デメリット6 物流リスク(遅延・紛失・破損)は常につきまとう
特に高額商品や壊れやすい製品の扱いには慎重な手配が必要です。

(デメリット、まだあるんですか)
デメリット7 海外クレーム対応の精神的・言語的ハードル
問題発生時に論理的に英語でやり取りするのは、想像以上に難しいです。
デメリット8 外注コストの積み重ねで収支バランスが崩れる可能性も
顧客対応、物流、翻訳、広告…。
それぞれを外注するたびにコストが発生します。
デメリット9 小さなミスで一気に赤字に
再発送やキャンセルが1件起きただけで、利益がすべて飛んでしまうことも。
デメリット10 出品プラットフォームから突然停止を告げられるリスク
ebayやAmazonなどでは、規約変更や通報による強制停止も発生しうるため、安定運営には自社サイトの設立・維持が大切です。

これは…甘くないな。

ええ。
でも“手軽さ”と“広がる可能性”が共存するのが越境EC。
だからこそ、最初のステップでしっかり設計することが成功の近道なんです。
越境ECを始める前に絶対に押さえたい3つの注意点
1.輸出しづらい商品はそもそもビジネスにならない

まず大前提として、物理的に「輸出が困難な商品」は避ける必要があります。
大きくて重い商品、壊れやすい材質のものなどは、配送中の破損や高額な送料によって収益モデルが崩れてしまいます。

あぁ、たしかに配送費がかかり過ぎたら、注文どころじゃないですもんね…

そう。
実は以下のようなカテゴリーの商品は、国際輸送や現地販売に適していないケースが多いんです。
海外事業化が難しい商品カテゴリー一覧(代表例)
- 非常に重い・大型で送料が高額になる家具類や家電製品
- 輸送中の品質維持が難しい食品、化粧品の一部
- 規制の厳しい医薬品やバッテリー、リチウム製品
- 複雑なライセンスが必要な知育玩具や映像コンテンツ
- 保管温度が厳密な生鮮品や生体
- 炎症・可燃性を伴う危険物類
- 高額な税関手数料がかかる貴金属類
- 法規制の変更による一時停止リスクがある商品全般
海外進出する前に知っててよかった!輸出(事業化)しづらいもの8カテゴリーまとめ
2.現地の法律や規制を見落とさない

越境ECといえども、現地市場に「参入」しているのと同じです。
経済産業省のガイドラインにもあるように、電子商取引は国ごとに法的な規制が大きく異なります。

へぇ…知らなかったで済まされないやつですね。

その通り。とくに以下のようなリスクは見逃されがちです。
見落とされがちな法規制チェックポイント
- 規制対象の化粧品・サプリメントを販売していないか
- 年齢制限付きの製品を、制限国に販売していないか
- 現地で輸入手続きが困難な成分や素材が含まれていないか
- 税関で通関拒否された場合の返送費・再発送手間
- 消費者保護法に反した説明不足・返品対応の不備

海外ユーザーが「なぜ輸入できなかったのか」を知らないことも多いので、こちらで丁寧な事前説明を準備しておくことが信頼構築に直結します。

“自己責任です”なんて突っぱねるのも…たしかに現実的じゃないな。
3.FAQ整備・購入フローの明確化・テスト輸送は必須

え、まだ準備ってあるんですか…?!

あります。むしろここが「越境ECを成功させるかどうか」の分かれ目になります。
海外ユーザー向けの「FAQ(よくある質問)」は、ただ作るだけではダメ。
どこで、どう表示するか、が重要です。
おすすめの対応施策(例)
- 商品詳細ページに「国によって輸入不可の可能性あり」の表示を追加
- 購入前のチェックリストに“自国の輸入ルールを確認”する案内を設置
- 「関税・輸入条件について」などの専用FAQを用意し、購入前後で再掲
- テスト購入を通じた配送フローの見直し・購入者体験の改善

ちょっとした表示や案内が、トラブル防止につながるんです。
あとで言うと“言い訳”に聞こえちゃうから、前もって案内しておくことが大切なんです。

…たしかに、先に言われてたら違う印象になりますね。

というわけで、立ち上げ段階でテスト購入やテスト輸送を実施するのが、ベストな対策です。
時間もかかるけど、後の負担や損失を考えると、圧倒的におすすめです。

さて、ここまでは「越境EC立ち上げ」の基本的な注意点と落とし穴をお伝えしました。
ではここからは、“売れる”越境ECを育てるためのヒントをお届けしますね。

いよいよ、成功の秘訣ですね!お願いします!
売れる越境ECに共通する3つの成功ポイント
1 魅せ方で勝負する:海外ユーザーを惹きつけるビジュアル戦略

先日、「海外企業のECサイトをたくさんご覧ください」とお伝えしましたが…いかがでした?

見ましたよ。
Shopifyを使った海外進出 食品・アパレル・スポーツ 導入事例53選 !2021年まとめをひと通りざっとね。

いや〜、本当に、日本のECサイトと雰囲気がまったく違って驚きました。
どこが?って聞かれると…もう全体の“見せ方”から違うというか…

まさにそれです。
売れている越境ECサイトは、「魅せ方がすべて」と言っても過言ではないほど、
写真・動画の質と使い方に徹底してこだわっています。
- 明るく、洗練された写真
- 使用シーンを想起させる動画
- 余白や文字サイズの使い方、カラーの選定も含めたUI/UXの工夫
こうした“感覚的魅力”があるサイトは、最初の3秒でユーザーの心を掴んで離しません。

あぁ…そういうのって、既存の写真をとりあえず使うって発想じゃ通用しないですね…。

その通り!
特に競合が多いジャンルでは「TOPページで失望させない」ことが第一です。
魅力を“視覚で伝える”ことが越境ECではもっとも強力な武器になります。
2 共感されるストーリーが「買いたい」を生む

ところで、新製品のデバイスには開発秘話や背景があると伺いましたが、どんな想いで作られたのでしょうか?

高価格帯ですが、他社がマネできないスペックに自信があります。
唯一無二の性能で、そこは強みです!

それは素晴らしい。
でも、それだけで海外の顧客が「自分に必要だ」と感じてくれるでしょうか?

…自分に必要、ですか?

はい。
売れているサイトには「これは自分のための商品だ」と感じられる、『共感』があります。
その商品が「自分の課題を解決してくれる」「自分のためにある」と感じられる背景を“共感ストーリー”としてしっかり届けているのです。
ストーリー構成のヒント
- 商品を通じて、どんな生活が待っているのか
- なぜ開発されたのか、どんな課題から生まれたのか
- 製造の裏側、失敗談、改良点などリアリティあるエピソード
- 商品に込めた想いや、開発者の人柄が垣間見えるトーン

“スペック”ではなく、“背景”や“思い”が人を動かす。
ECでも「自分ごと化」されてはじめて、行動に繋がるのです。
3 越境ECでも「顔が見える対応」で信頼される

越境ECを“単なる海外販売チャネル”として捉えると、必ず限界が来ます。

ほう、詳しく!

今は“顧客が主導権を持つ時代”。
選ばれる企業とは「販売前後のプロセスを丁寧に伴走する企業」です。
顧客は購入の前にも後にも、検索して調べ、情報を得て判断します。
例えば—
- 購入後にトラブルが起きたら?
- 使い方で悩んだら?
- 他の使い方を試したくなったら?
そのときに、自社のブログやFAQ、SNS投稿に「答え」が用意されているかどうかで、印象が180度変わります。

たしかに…競合のブログが“答え”になってたら、その企業に興味も信頼も向きますよね…。

海外の顧客はそうそう電話もかけてこないし、これは“オンラインの接点”が本当に大切ってことか。

おっしゃる通り。
ECでもリアルでも同等の満足感が得られるように、接点を“再現性のある形で見える化”していく必要があります。
ECの中にリアルを組み込み、
「どの接点を選んでも、同じように信頼される体験を提供できる」企業が、越境ECで生き残ります。

売るだけじゃなくて、買った後・使った後も含めた関係づくり、ですね。

はい、それが「ブランド価値」になっていきます。
4 ブログは“情報資産”!育てるECに年間計画は必須

…ここまでの話で、企業ブログって、やっぱり必要なんですよね?

はい。越境ECで成功している企業は、ブログ活用が圧倒的に上手です。
特にShopifyなどを使ったサイトは、「ネットショップ × ブランドサイト × コーポレート機能」を一体化していて、100記事以上の投稿は当たり前。
中には500記事以上の強者サイトもあります。

でも内容次第じゃ意味がないでしょう?
技術紹介や、事例はどうですか?

“顧客の課題を起点とした情報発信”ならOKです。
逆に、自社目線だけの「すごい技術あります」アピールは刺さりません。
顧客起点のコンテンツに変える視点
NG例:
- 世にない商品である
- 他社に真似できない技術
- データとエビデンスが豊富
- 高性能でコストダウン可能
これらを活かすには:
→「顧客の困りごとをどう解決するのか」を文脈に入れること!
たとえば:
- 既存製品では解決できなかった業界課題にどう対処できるのか
- 新技術で導入現場の“時間的負担”や“手間”がどれだけ減ったか
- Before/Afterの定量データとともに、導入効果を提示する

たしかに…読者はスペックより「自分のメリット」に反応しますね。

そうです。
起点と着地を“顧客”に置くだけで、読後感は激変します。
そして、こうしたコンテンツをブログ年間計画で組んでいくことで、アクセス数もブランド力も“育って”いくんです。

記事作成はチーム体制で取り組む必要があるな。
まずは私がリードするか…。

最高のスタートです!
検索キーワードに合わせて記事設計し、SNSや広告施策とも連動していくことで、越境ECサイト全体の集客力が上がっていきます。
はじめは1記事、そこからですね!
5 「本当に海外?」と思わせる、ストレスゼロの顧客体験設計

最近、海外のECサイトをいくつも見て思ったんですけど、楽しくて親切なサイトが多いね。

私もつい、回遊しちゃいました。
知りたいことはほとんど検索かFAQで見つかって、
「これ…ほんとに海外サイト?」って思うくらいスムーズでした!

それが「ボーダレス」設計です。
ユーザーが“快”モードで使えるサイトは、全体の作り込みが違います。
- 購入までのストレスゼロ
- 検索・返品・送料・梱包情報もわかりやすい
- サイト内の導線が自然で迷わない
- 思わず笑ってしまうような仕掛けや驚き

つまり、そこには「顧客の立場」で何度も考え抜かれた設計があるわけか。

まさにそれです。
FAQを充実させる、虫眼鏡検索を整備する、適用国の表記や返金ポリシーも先回りして見せる設計が信頼につながります。

ペインポイントの解消ですね!(覚えました…!)

“ここまで考えてくれているなんて…”と感激されるECこそ、グローバルで戦える存在。
それは感情に響く体験設計なんです。

なるほど。
もはやECの設計は事業の戦略そのもの。
顧客接点も、ブログも、サイト全体も、すべてが一つの“ブランド表現”なんですね。

そうです。
今は“オンラインの価値提供”こそが企業力と直結する時代ですから!

(やっとこの会話についていけた気がする〜!)
・・・いかがでしたか。
成功する越境ECには、テクニカルな構築以上に、「顧客理解」と「体験設計」が不可欠です。
私たち(株)パコロアは、ビジネス起点で構想から運用まで伴走できる数少ない実践型パートナー。
システム開発ではなく、”海外で売れるための設計”を一緒に考えたい方は、ぜひご相談ください。