海外進出を検討し始めたとき、多くの中小企業が最初につまずくのが「人」の問題です。
市場調査や商品改良、販路の検討までは進んだものの、
「この先、誰が担当するのか」
「海外とのやり取りを誰に任せるのか」
という段階で、話が止まってしまう。そんなケースは少なくありません。
語学が堪能な社員がいないから。
海外経験のある人材が社内にいないから。
だから、まだ海外進出は早い――。
こうした理由で判断を先送りにしている企業も多いでしょう。
一方で、同じように人材に不安を抱えながらも、少しずつ海外展開を進めている中小企業も確かに存在します。
彼らは、特別に優秀な「グローバル人材」を最初から抱えていたわけではありません。
語学力や海外経験が十分でない社員を起点にしながら、海外進出を現実のものにしています。
この差は、社員個人の能力の違いではありません。
人材育成に対する「考え方」と「進め方」の違いです。
一般に、人材育成というと研修や教育プログラムを思い浮かべがちです。
しかし、海外進出における人材育成は、それとは少し性質が異なります。
何をどこまで社内で担い、どこから外部の力を借りるのか。
いつの段階で、どのレベルの判断を任せるのか。
こうした設計が曖昧なままでは、どれだけ時間やコストをかけても、人材は育たず、海外進出も前に進みません。
本記事では、「海外進出を任せられる人が社内にいない」と感じている中小企業に向けて、人材育成でつまずく会社と進む会社の分かれ目を整理します。
理想論ではなく、現場で実際に起きやすい判断ミスや設計上の違いを軸に、どこで差が生まれるのかを具体的に見ていきます。
読み終えたときに、「自社は何から手をつけるべきか」が見えること。
それが、この記事のゴールです。
なぜ海外進出では「人材」で止まるのか
海外進出を検討する中小企業の多くが、「人材」の段階で足踏みしてしまいます。
市場や商品、国の選定以前に、「そもそも誰がやるのか」という問いに答えが出せず、判断が止まるのです。
このとき、社内では次のような声がよく上がります。
海外とやり取りできる語学力がある人がいない。
海外経験のある社員がいない。
今のメンバーに海外対応まで任せる余裕がない。
一見すると、どれももっともらしい理由に見えます。
しかし実際には、これらは原因ではなく結果であるケースがほとんどです。
海外進出で人材が問題になる企業には、共通する構造があります。
それは、「海外業務をどのような仕事として設計するか」が決まっていないことです。
海外進出という言葉から、多くの企業は無意識のうちに、
・流暢な英語
・異文化への深い理解
・海外駐在や現地経験
といった“完成形の人材像”を思い浮かべてしまいます。
その結果、「そんな人はいない」「採用しないと無理だ」という結論に傾きやすくなります。
しかし、海外進出の初期段階で必要とされるのは、そうした完成形の人材ではありません。
にもかかわらず、最初からハードルの高い人材像を前提にしてしまうことで、社内の誰も当てはまらず、「人材がいない」という判断に陥ります。
もう一つ、海外進出で人材がネックになる理由があります。
それは、海外業務が「通常業務の延長」ではなく、「特別な仕事」として扱われがちな点です。
国内業務であれば、多少の不慣れや試行錯誤があっても、「やりながら覚える」ことが許容されます。
一方で海外となると、失敗してはいけない、間違ってはいけないという意識が強く働き、担当者に過剰な完成度を求めてしまう。
その結果、任せられる人がいない、任せるのが怖い、という判断につながります。
さらに、人材問題を複雑にしているのが、「属人化」への不安です。
せっかく育てても、その人が辞めたらどうするのか。
一人に任せきりになるのはリスクではないか。
こうした懸念から、結局誰にも任せられず、海外進出自体が止まってしまうケースもあります。
ここで重要なのは、「人材がいないから進めない」のではなく、人材を前提に海外進出を考えてしまっていること自体が、止まる原因になっているという点です。
海外進出を進めている中小企業は、最初から人材がそろっていたわけではありません。
彼らは、人を先に育てたのではなく、仕事の中身を分解し、判断の範囲を区切り、少しずつ任せていく設計を行っています。
その過程で、人が育ち、結果として「任せられる人材」が見えてきます。
つまり、海外進出で人材が問題になるかどうかは、社員の能力や経験よりも、
どの段階で、どのような仕事が発生し、
それを誰に、どこまで任せるか?、
を整理できているかで決まります。
次の章では、この前提を踏まえたうえで、「海外進出を任せられる人材とは、実際にはどのような存在なのか」を、海外進出で発生する具体的な仕事と照らし合わせながら整理していきます。
語学力や海外経験だけでは見えてこない、どの仕事を任せられるかという観点からの人材の捉え方がテーマです。
海外進出を任せられる人材とは何者か
「海外進出を任せられる人材」と聞くと、多くの企業はまず語学力や海外経験を思い浮かべます。
英語が話せること。
海外で働いたことがあること。
たしかに、それらはあれば心強い要素です。
しかし、海外進出の初期段階において、それらが必須条件になることはほとんどありません。
ここで一度、視点を人から離し、海外進出で実際に発生する仕事を整理してみましょう。
海外進出といっても、最初から現地法人を立ち上げたり、大規模な営業活動を行ったりする企業は多くありません。
多くの中小企業では、次のような仕事が段階的に発生します。
・海外からの問い合わせに対応する
・製品やサービスの情報を整理し、伝える
・条件や前提をすり合わせる
・社内関係者と調整する
・外部の専門家や支援機関とやり取りする
いずれも、特別なスキルよりも、「情報を整理し、次の行動につなげる力」が求められる仕事です。
語学力が高くても、判断を保留したまま仕事を止めてしまう人は、この役割を担うことができません。
逆に、海外経験がなくても、次のような特徴を持つ人は、海外進出の担当として機能しやすい傾向があります。
・わからないことを恥ずかしがらず、確認できる
・社内外の情報を整理し、要点として言い換えられる
・自分で判断できない部分を切り分け、相談に回せる
・状況の変化に敏感に気づき、前提を更新できる
これらは、語学力や海外経験とは別の軸です。
「海外に詳しい人」ではなく、「仕事をゼロからイチに進められる人」という視点で人材を見ると、社内に候補が見えてくるケースは少なくありません。
ここでいう「ゼロからイチ」とは、正解のない状況で、情報を集め、整理し、次の一手を決められるという意味です。
また、重要なのは、「海外進出を任せる」といっても、すべてを一人に背負わせる必要はない、という点です。
海外対応の中には、経営判断が必要なもの、専門家に任せるべきもの、担当者が一次対応すれば十分なものが混在します。
ただし、これらを最初から整理しきれている企業は多くありません。
現実には、海外進出は「切り分けができた状態」から始まるのではなく、動きながら見えてくるケースがほとんどです。
多くの場合、先に動いているのは担当者です。
海外からの問い合わせに対して、
「この返事、遅いかもしれない」
「最初に聞いていた話と、少し前提が変わってきている」
「ここで一度、確認しないとまずいかもしれない」
そうした違和感を、担当者が現場で受け取り、社内に持ち帰る。
その声をきっかけに、経営者が状況を理解し、判断に入る。
このやり取りを重ねる中で、少しずつ
「どこまでを担当者が担い、どこからを経営判断に戻すのか」
が見えてきます。
この意味で、「海外進出を任せられる人材」とは、完璧に判断できる人ではありません。
海外進出の現場で起きている変化を感じ取り、
「これは共有したほうがいい」
「ここは一度立ち止まったほうがいい」
と、社内に問いを投げられる人です。
では、こうした人材をどのような順番で育て、任せていけばよいのでしょうか。
次の章では、海外進出前に取り組むべき人材育成の進め方を、具体的な順番で整理していきます。
海外進出前にやるべき人材育成の順番
海外進出の人材育成というと、語学研修や異文化研修を思い浮かべる企業は少なくありません。
しかし、海外進出がうまく進んでいる中小企業の多くは、育成を研修から始めていません。
理由はシンプルです。
順番を間違えると、人は育たないからです。
海外進出で人材育成がうまくいかない企業には、共通した流れがあります。
まだ海外業務の中身が見えていない段階で、
「とりあえず英語を勉強させよう」
「グローバル人材研修を受けさせよう」
と動いてしまうケースです。
この状態では、本人も上司も、
「何のために学んでいるのか」
「どこで使うのか」
が見えません。
結果として、学びは業務に結びつかず、育成は途中で止まります。
海外進出前の人材育成は、次の順番で考える必要があります。
1. 先に「役割」を決める
最初に決めるべきなのは、育成内容ではありません。その人に、どの役割を担ってもらうのかです。
たとえば、最初の段階で任せるのは、
・海外からの問い合わせを受け取る
・情報を整理して社内に共有する
・違和感を言語化して経営者に投げる
こうした一次対応や情報整理の役割です。
この段階で、判断や交渉、最終決定まで任せる必要はありません。
役割が決まることで、
「何ができれば十分か」
「何はできなくてもよいか」
がはっきりします。
2. 小さく任せて、現場に立たせる
次に行うのは、育成ではなく実務への投入です。完璧に準備が整うのを待つ必要はありません。
海外進出が進んでいる企業では、未経験の担当者でも、早い段階で海外対応の窓口に立たせています。
もちろん、一人で抱えさせるわけではなく、
・判断が必要な場面では戻す
・専門的な内容は外部に回す
という前提つきです。
ここで重要なのは、海外のスピード感や温度感、やり取りの癖を、実体験として受け取ることです。
この経験がないまま育成をしても、学びはほぼ定着しません。
3. つまずきを「育成の材料」に変える
海外対応を始めると、必ずつまずきが出てきます。
返事が遅れた、認識がずれた、前提が変わっていた。
こうした出来事こそが、育成の起点です。
うまくいっている企業は、失敗や違和感を「個人の問題」にしません。
「どこで判断が必要だったのか」
「どの情報が足りなかったのか」
を一緒に振り返り、次に活かします。
この積み重ねによって、担当者は少しずつ、
・どこまで自分で進めてよいか
・どこで戻すべきか
を体感的に理解していきます。
4. 足りない部分だけを後から補う
最後に、必要に応じて学びを足します。
語学、知識、ツールの使い方などは、実務で必要性が見えた段階で初めて意味を持ちます。
この順番で進めると、学ぶ側も、
「これができないと困る」
「ここを補えば次に進める」
と納得した状態で取り組めます。
海外進出の人材育成は、教えることではなく、経験を積ませ、整理することです。
順番さえ間違えなければ、特別な人材がいなくても、任せられる担当者は育っていきます。
次の章では、同じように育成に取り組んでいるはずなのに、なぜ会社によって「進む・止まる」の差が生まれるのか。
育成がうまくいく会社と、止まってしまう会社の違いを整理していきます。
育成が進む会社・止まる会社の決定的な違い
人材育成に取り組んでいる。
担当者も決めた。
それでも海外進出が前に進まない――。
こうした状況は珍しくありません。
同じように人材育成に取り組んでいるはずなのに、会社によって結果が分かれるのはなぜでしょうか。
その差は、制度や研修内容ではなく、育成の扱い方にあります。
進む会社は「途中でも前に出す」
海外進出が進んでいる会社では、担当者が未熟な状態でも、現場に出すことをためらいません。
もちろん、丸投げはしません。
判断が必要なところは戻す。
専門性が必要なところは外部に任せる。
その前提で、「まずはここまでやってみよう」と、あえて不完全な状態で任せます。
結果として、担当者は
・海外の反応の速さ
・言葉にされない違和感
・判断を先送りすると起きる問題
を、体感として学んでいきます。
進む会社は、完璧さよりも接触回数を優先しています。
止まる会社は「整ってから任せようとする」
一方で、育成が止まってしまう会社には、別の傾向があります。
・もう少し英語ができるようになってから
・海外の知識が身についてから
・失敗しない状態になってから
こうして準備を重ねるうちに、担当者は海外の現場から遠ざかっていきます。
学びは増えているはずなのに、「今、何が起きているのか」が分からない。
結果として、判断材料が社内に上がらず、海外進出は止まります。
止まる会社は、完成度を優先しすぎて、経験の機会を失っているのです。
進む会社は「問い」が社内を循環している
育成が進む会社では、担当者が頻繁に問いを持ち帰ります。
「この返事、急いだほうがよさそうです」
「相手の関心が、最初と少し変わってきています」
「ここ、判断を仰いだほうがよい気がします」
これらは完成された答えではありません。
しかし、問いが上がってくること自体が、育成が進んでいる証拠です。
経営者は、その問いを受けて考え、判断し、方向を示す。
そのやり取りを通じて、
「これは任せてよい」
「ここは戻すべき」
という線引きが、少しずつ共有されていきます。
止まる会社は「正解」を外に求めすぎる
育成が止まる会社では、担当者に対して、無意識のうちに「正しい答え」を求めてしまいます。
・なぜそう判断したのか
・根拠は何か
・それで本当に大丈夫なのか
もちろん、確認は必要です。
しかし、正解だけを求められる環境では、担当者は次第に問いを出さなくなります。
分からないことを逆に担当者に答えさせる環境に、心理的安全性はないからです。
結果として、海外の変化は社内に届かず、気づいたときには、対応が遅れている。
これが、止まる会社に共通する構造です。
違いは「人」ではなく「扱い方」
ここまで見てきたように、進む会社と止まる会社の違いは、担当者の能力ではありません。
違いを生んでいるのは、
・途中段階の人を前に出せるか
・問いを歓迎できるか
・未完成な情報を扱えるか
という、会社側のスタンスです。
同じ人材でも、問いが循環する環境に置かれれば育ち、正解だけを求められる環境では止まります。
次の章では、こうした違いを踏まえたうえで、海外進出と同時に見直しておきたい「社内の仕組み」について整理します。
人材の問題を、個人の努力だけで終わらせないための視点です。
海外進出と同時に見直すべき社内の仕組み
海外進出がうまく進まない理由を、人材の能力や意欲に求めてしまう企業は少なくありません。
しかし実際には、人ではなく社内の仕組みが足を引っ張っているケースが多くあります。
特に見落とされがちなのが、評価や役割の扱い方です。
海外業務が「評価されない仕事」になっていないか
海外進出の初期段階では、成果がすぐに数字として表れないことがほとんどです。
問い合わせ対応、情報整理、前提のすり合わせ。
どれも重要な仕事ですが、売上や契約といった分かりやすい成果には直結しません。
その結果、社内では次のような状態が起こります。
・海外対応をしても評価されない
・通常業務のほうが成果として見えやすい
・海外対応は「余力があるときにやる仕事」になる
この状態では、担当者が前に出続けることは難しくなります。
どれだけ海外の変化を拾っても、それが評価に結びつかなければ、次第に手を引いてしまうからです。
海外進出が進んでいる企業では、「成果が出る前の行動」を、きちんと仕事として扱っています。
返事のスピードを保っているか。
情報を整理して共有できているか。
違和感を早い段階で上げられているか。
こうしたプロセスが評価の対象になっているかどうかが、大きな分かれ目です。
役割が曖昧なまま任せていないか
もう一つの落とし穴は、役割の曖昧さです。
海外進出の担当者に対して、
「とりあえず海外のことを見ておいて」
「何かあったら対応して」
といった形で任せてしまうと、責任の境界がぼやけます。
その結果、
・どこまで自分で進めてよいのか分からない
・判断を出すのが怖くなる
・結局、動きが止まる
という状態に陥りやすくなります。
うまくいっている企業では、役割を固定するのではなく、段階ごとに定義し直しています。
今は一次対応まで。
次は条件整理まで。
判断は必ずここで戻す。
こうした線引きを、言語化しながら更新していくことで、担当者は安心して前に出られるようになります。
経営者は「海外事業の当事者」になっているか
海外進出がうまくいかない理由を、担当者の力量に求めてしまう企業は少なくありません。
しかし、海外事業において、担当者が担える役割には明確な限界があります。
担当者は、海外の現場で起きている変化を受け取り、社内に伝える存在です。
一方で、進む方向を決め、リスクを引き受け、最終的な判断を下せるのは、経営者しかいません。
にもかかわらず、海外進出が止まっている企業では、経営者がいつの間にか「助手席」に座ってしまっているケースが見られます。
・判断は担当者任せになっていないか
・黒字化までの時間やコストを、現実として引き受けているか
・答えのない状態に、担当者と一緒に耐えているか
これらは、担当者にはできない、経営者にしかできない役割です。
海外進出が進んでいる中小企業では、経営者が担当者と同じか、それ以上に海外事業へコミットしています。
すぐに答えが出ない問いに向き合い、必要であれば方向転換を決め、場合によっては「この人では難しい」と冷静に担当者を替える判断もします。
こうした姿勢が社内に伝わることで、海外事業は「一部の担当者が背負う仕事」ではなく、会社として取り組むテーマになります。
会社全体に海外事業への前向きな空気が生まれるか、それとも否定的なムードが広がるか。
その分かれ目もまた、経営者の関わり方にあります。
海外進出における人材の問題は、人を育てる以前に、経営者がどこまで当事者でいられているかの問題でもあるのです。
次の章では、こうした経営者の関与を前提に、中小企業がすべてを自社で抱え込まずに進めるための、テクノロジーや外部支援の使い方を整理していきます。
テクノロジーと外部支援を使った現実的な育成方法
海外進出の人材育成というと、
「社内で育て切らなければならない」
「担当者を一人前にしなければ前に進めない」
と考えてしまいがちです。
しかし、海外進出が進んでいる中小企業ほど、育成と実務を、社内だけで完結させようとしていません。
理由は明確です。
海外事業は、不確実性が高く、答えが頻繁に変わる分野だからです。
こうした領域を、社内の経験だけでカバーしようとすると、育成は重くなり、判断は遅れ、担当者も疲弊します。
そこで重要になるのが、テクノロジーと外部支援を「育成の一部」として組み込む発想です。
テクノロジーは「考えなくていい部分」を減らすために使う
AIや各種デジタルツールは、担当者の代わりに判断をしてくれるものではありません。
しかし、考えなくてよい作業を確実に減らすことはできます。
たとえば、
・海外からの問い合わせ内容を整理する
・過去のやり取りを検索できるようにする
・情報を一定のフォーマットでまとめる
こうした作業をツールに任せることで、担当者は
「これは急ぐべきか」
「どこが変わってきているか」
といった、人が考えるべき部分に集中できます。
育成の観点で見れば、テクノロジーは「答えを出す道具」ではなく、思考の負荷を下げるための補助輪です。
外部支援は「判断を代行させるため」ではない
外部の専門家や支援機関を使うことに、ためらいを感じる経営者も少なくありません。
しかし、海外進出が進んでいる企業では、外部支援を「丸投げ先」としてではなく、判断の質を上げるための壁打ち相手として使っています。
担当者が持ち帰った違和感や疑問を、外部の視点で整理し、
「どこが論点か」
「今、判断すべきかどうか」
「判断基準は何か」
を一緒に確認する。
そのプロセス自体が、担当者にとっては学びになり、経営者の意思決定を支える材料にもなります。
外部支援を入れることで、経営者も担当者も、一人で抱え込まずに済む環境が整います。
育成は「社内で完結しない」と決めたほうが進む
海外進出における人材育成は、社内だけで完結させようとした瞬間に、難易度が跳ね上がります。
一方で、
・考えなくていい部分はツールに任せる
・迷う部分は外部と一緒に考える
・判断は経営者が引き取る
この分業ができている企業では、担当者は「育てられる側」ではなく、前に進むための実働メンバーとして機能します。
結果として、
担当者は経験を積み、
経営者は判断に集中でき、
海外進出は止まりにくくなります。
人材育成のゴールは「自立」ではない
ここで強調しておきたいのは、海外進出における人材育成のゴールは、担当者を完全に自立させることではない、という点です。
必要なのは、
・一人で抱え込まない
・適切に戻す
・外部を使いながら前に進める
この状態を、会社として回せること、これがゴールです。
テクノロジーや外部支援は、人材育成の代替ではありません。育成が進む構造を支える部品です。
次の章では、ここまで整理してきた考え方を踏まえ、パコロアが実務の中でどのように「人材育成」と「海外進出」を同時に支えているのか、役割分担の視点から整理します。
パコロアが考える「育成」と「伴走」の役割分担
ここまで見てきたように、海外進出における人材育成は、研修を積み上げることでも、担当者を一人前に仕上げることでもありません。
必要なのは、
・担当者が海外の動きを受け取れること
・経営者が判断に参加できること
・迷いどころで立ち止まらずに済むこと
この状態を、無理なく回し続けられる構造です。
パコロアが重視しているのは、「育成」と「実行」を切り分けることではなく、育成が進む形で実行が進む役割分担をつくることです。
社内が担うべき役割
海外進出において、社内が担うべき役割は明確です。
・海外の現場で起きている変化を受け取る
・違和感や疑問を言語化して持ち帰る
・社内で共有し、問いとして投げる
この役割は、外部には代替できません。
自社の事業や状況を理解しているからこそ、「何がいつもと違うのか」に気づけるからです。
担当者は、すべてを解決する必要はありません。
感じ取って、伝える。
まずは、そこを担えることが重要です。
経営者が担うべき役割
海外進出において、ハンドルを握るのは経営者しかいません。
・進む方向を決める
・リスクを引き受ける
・黒字化までの時間やコストに向き合う
・ときには判断を変える
これらは、担当者にも、外部支援にも委ねられない役割です。
パコロアでは、経営者が「判断を外に預けない」状態を前提に、その判断を全力で支えるための材料整理や論点整理を行います。
外部支援が担うべき役割
外部支援の役割は、代わりに考えることでも、正解を示すことでもありません。
・論点を整理する
・判断基準を言語化する
・選択肢とリスクを並べる
・判断のタイミングを見極める
こうした作業を通じて、経営者と担当者が一緒に考えられる状態をつくることが、外部支援の本質です。
パコロアは、「任せれば全部進む」立場ではなく、「一緒に考え、判断の質を上げる」立場を取っています。
伴走のゴールは「依存させない」こと
パコロアが目指しているのは、長く依存されることではありません。
・社内で問いが立つ
・判断の軸が共有される
・次の一手を自分たちで考えられる
この状態が育つことで、外部支援がなくても進められる部分が、少しずつ増えていきます。
海外進出における人材育成は、担当者一人がノウハウを抱え込み、特別な人材になることではありません。
再現性のある海外進出の進め方を会社全体で共有し、手を挙げた人が順番に経験を積み、育っていく環境をつくることです。
人材育成の前に、立ち止まって確認したいこと
海外進出における人材育成は、研修やスキルの問題として語られがちですが、実際には「進め方」の設計でつまずいているケースがほとんどです。
任せられる人がいないのか。
それとも、任せ方が決まっていないのか。
経営者は判断に関われているのか。
問いが社内を循環する構造になっているのか。
これらが整理されないままでは、どれだけ人に期待しても、海外進出は前に進みません。
本記事で整理してきたのは、「誰を育てるか」ではなく、どう進めれば人が育つ状態が生まれ、海外進出のスタート地点に立てるのか、という視点です。
もし今、
・海外進出を検討しているが、人材面で止まっている
・担当者はいるが、任せきれずに悩んでいる
・自社の状況を一度、整理したい
と感じているのであれば、一人で答えを出そうとする必要はありません。
パコロアでは、現在の事業状況や社内体制を踏まえながら、
「どこが詰まっているのか」
「何から手をつけるべきか」
を一緒に整理する無料相談を行っています。
海外進出を進めるかどうかを決める前段階でも構いません。
判断材料を整理したい方はいつでもお気軽に、パコロアに一度ご相談ください。