
最近、世界中の中小企業経営者が
「海外ビジネスの成功事例」や
「日本の企業はどのように海外展開をしているのか?」
という参考情報を探していますよね。
かつては中国ビジネスがトレンドでしたが、近年はアジア、北米、ヨーロッパと展開先が多様化し、現代ビジネスのモデルも複雑になっています。
今日は、日本の中小企業が海外ビジネスで成功した手法や、その背景にある考え方を教えていただけますか?

はい、お任せください!
今回は「海外ビジネス成功例」の中でも、日本の中小企業が共通して持っていた成功の条件について、特に注目される4つのポイントを中心に解説します。
現地化の手法や成長モデルに関心のある方にも役立つ内容です。
海外ビジネス成功企業の共通点
1 オンリーワン商品やサービスがある

現代ビジネスで海外展開に成功している中小企業には、差別化された独自の商品やサービスを持ち、国内市場での十分な実績があるという共通点があります。
これは「修正型」の海外進出が可能となり、コストや時間の削減にもつながります。
一方で、実績のない新規事業を海外で開始する場合は、モデルの構築から戦略の再設計が求められ、費用負担や市場検証のリスクが増加します。
特に大切なのは、過去の実績ではなく「現在の市場環境にも適応できる」プロダクトかどうか。
売上が低下傾向にある商品は、まず国内でのリブランディングや改善を行い、成功の兆しをつかんでから海外進出する方が効果的です。
起業初期やスタートアップで国内実績が少ない場合も、高度人材や海外市場への理解を持つ人材がチームにいれば、ビジネス展開の可能性は広がります。
日本の消費者は世界的に見ても要求水準が高く、そこで認められた商品・サービスを持つということは、海外市場でも通用する信頼の証しです。
2 従業員教育に力を入れている

海外ビジネスのカギは「人材力」にあります。
国内事業とは異なるスキルが必要になるため、教育と育成は避けて通れません。
海外展開に必要な力として、以下の4点が挙げられます:
- 新規事業の立ち上げ能力
- リスクマネジメント力
- 異文化対応力
- ビジネス英語力
これらを自然に持っている担当者は少なく、実務ベースでの訓練や習得が不可欠です。
たとえば、
- 無料の専門家派遣制度の利用
- 商社経験者との顧問契約(月額型)
- 海外ビジネスコンサルとの中期契約
など、費用に応じて選べる支援モデルも増加しています。
重要なのは、プロを活用しても担当者が自走できるようになること。
再現性のあるノウハウ蓄積ができなければ、海外進出後の成長や多国展開が難しくなります。
成功事例を見ても、教育によって従業員の現地対応力が飛躍的に高まり、継続的な収益化や地域密着型の展開が可能になったケースが多く見られます。
3 失敗や試行錯誤に強い担当者がいる

海外ビジネスには「想定外」がつきもの。
予測困難な問題が次々に発生します。
そうした中で、ただ報告を待つのではなく、臨機応変に対応できる担当者の存在が極めて重要です。
現地の制度や文化、マーケットの違いを理解しながら、
- 柔軟な対応力
- タフなメンタル
- 諦めずに継続する姿勢
を兼ね備えた人材は、組織全体の海外戦略を底支えします。
現代ビジネスでは、英語力やデジタル対応力以上に、「やり抜く力」が求められるのです。
4 軌道に乗るまで赤字に耐える体力がある

初期投資や人的リソースに対して、すぐに黒字化する海外事業はまれです。
最低でも3年間の赤字を覚悟し、1千万円規模の初期費用が必要となるケースが多いです。
具体的な支出例:
出張費 50~100万円
海外展示会の出展 300~400万円
コンサルタント契約 500万円
この他にも、Web制作・販促資料ローカライズ・現地法務整備などで、さらに200~800万円程度の追加費用がかかることもあります。
そのため、国内事業での収益性と資本体力があることが、海外チャレンジの前提条件になります。
5 最後は自分で決められる経営者がいる

海外ビジネスでは、意思決定のスピードと質が重要です。
外部アドバイザーやコンサルの知見や手法を活かしつつも、最終判断は自社のトップが行う体制でなければ継続的な成長は見込めません。
例えば:
- リスク評価の徹底
- 現地事例からの学習と応用
- プロによるチーム編成や実行支援
などを通じて、経営判断の質を高めていく必要があります。
成功企業は孤独を抱えながらも、「自分の意思」で舵を切ってきたという共通点があります。
先行企業の足跡を参考にしながら、自社に適した道を見つけることが鍵なのです。
日本企業の海外展開はすでに“8万社超え”
外務省による在外公館の調査をもとに(株)パコロアが集計したデータによれば、現在、海外でビジネスを展開している日本企業は約8万社にのぼります。
製造業や食品、IT、サービスなど、多様な分野で進出が進んでおり、それぞれの企業が現地ニーズに応じたビジネスモデルで成長を目指しています。
つまり、「海外ビジネスは特別なもの」ではなく、現代の中小企業経営においては“現実的な選択肢”となってきているのです。
世界に通用する成功ビジネスの共通点
1 市場の特徴を捉えた商品・サービス展開

海外で成果を出す中小企業に共通しているのは、現地市場の特徴を丁寧に観察し、商品やサービスをその土地のニーズにフィットさせている点です。
例えば、A社という建設業界向けの計測機器メーカーがあります。
国土交通省に推奨されるほどの技術力を持ちながら、保守的な国内業界ではなかなか切り替えが進まず、売上が頭打ちになっていました。
それでも諦めずに、海外展示会に何度も出展し、外資系企業にも技術提案を行いました。
あるとき、日本に拠点のある欧州系企業に売り込みを試みたものの、本国の方針でなかなか話が進みませんでした。
それでも引き下がらず、欧州本社のキーパーソンの名前を聞き出し、自費で現地の本社工場を訪問。
事前に準備した競合他社との比較データや、もし競合が先に扱いを始めた場合のリスクまでをプレゼンに盛り込み、ようやく検討の場に漕ぎつけました。
「1か月待ってほしい」と言われた後、正式な契約書が届いたときの喜びは格別だったといいます。
その後、同社の製品は22ヵ国で販売されるようになりました。
現地での流通や業界構造に合わせて、最適なアプローチを探し抜いたこの事例は、「動いたからこそ開けた扉」と言えるでしょう。
2 ビジネスモデルと価格の現地化戦略

B社は輸送機器のOEMメーカーとして、日本の大手工場に多数製品を供給していました。
国内ではOEM専業として地道に高シェアを維持し続けていた同社ですが、海外進出では思い切った変化を選びました。
挑戦の舞台はアメリカ。
まず現地展示会に出展し、自社ブランドでのアプローチを開始。
さらに代理店経由ではなく、いきなり製造拠点を設立し、オペレーターからセールスマネジャーまで正規雇用しました。
特筆すべきは、事業立ち上げ前から法務、労務、現地商習慣の各分野でプロと顧問契約を結び、可能性のある問題点を全て洗い出しておいた点です。
価格戦略も抜かりなく、国内OEM時代から低コスト体質を築いていたため、米国市場でも十分な競争力を持って挑めました。
日本の本社サイトはいまだに簡素な作りなのに対し、アメリカ法人のサイトは充実した英語コンテンツで事例紹介も豊富。
「変えるべきところ」と「変えてはいけない核」を冷静に見極めて市場対応を図ったことが、成功の決め手となったのです。
3 現地のニーズに応えたカスタマイズ

最後はC社の事例です。
小学校受験に強い教育事業者であるC社は、ある日系企業の海外拠点移動の情報をもとに、駐在員家族向けの幼児教室を開設する計画を立てました。
しかし進出後すぐに起きたのがパンデミック。
対面型サービスを中心に据えていた同社は、いきなり全面的な体制見直しを迫られます。
授業のリモート化だけでなく、講師の入れ替えや時間割の再編、授業内容そのものの再設計までを数週間で実行。
おまけに、本社ですら前例のない取り組みの連続でした。
当初は「受験対策」に特化していましたが、現地の家庭事情や教育制度を調査し直した結果、新たなターゲット層やカリキュラムニーズが次々と見えてきました。
この柔軟な対応が功を奏し、現在では駐在員に限らず、広い層の家庭から支持を集める教室に成長しています。
「強みを捨てずに、新たな強みを築く」
——この視点で現地に向き合えたことが、C社の成功につながったのです。
海外ビジネス成功のポイント【業界別】
1 海外ビジネス成功例 製造業 工業製品

工業製品の海外進出や輸出を成功させるには、以下の5点が特に重要になります。
- (1) 製品そのものの技術力をアピールするのではなく、その技術を導入することで得られる「利便 性」「効率性」といった実利に焦点を当てて訴求する。
- (2) 自社製品を導入しないことで発生する機会損失を、数値を使ってロジカルに説明し、納得感を高める。
- (3) 輸出先の現地規制(認証・安全基準など)に準拠しており、物流や流通に支障がないことを、先に明言して安心感を提供する。
- (4) 貿易書類だけでなく、図面・取扱説明書・仕様書などあらゆる英文資料を、商談の前にあらかじめ整備しておく。
- (5) 海外とのやりとりにおいて、返信は原則24時間以内に行い、「距離の壁」を感じさせない対応スピードを意識する。
2 海外ビジネス成功例 製造業 食品

食品業界における海外展開では、信頼性と即応性が鍵を握ります。
- (1) 視覚に訴える商品力を高めるため、Webサイトは刷新を検討。写真やYouTube動画を中心にしたリッチなビジュアル訴求が効果的です。
- (2) 現地の食品規格・表示ルール(ラベル、包装、添加物、重金属、残留農薬)や、特定県からの輸入禁止措置などの輸入規制については、営業活動を始める前にすべてチェック・準拠しておく必要があります。
- (3) FDAの食品施設登録や、HACCP等の衛生・品質管理認証を受けている場合、それを積極的にアピールする。
- (4) 加工食品であれば、最低6カ月、できれば9カ月以上の消費期限を確保することが、取引先からの信用につながります。
- (5) 店頭販売が想定される場合、マーチャンダイジング(棚割り提案や販促施策)に自信がない場合は、食品商社を通じた間接輸出も有効な選択肢です。
3 海外ビジネス成功例 IT

IT企業の海外進出では、言語・人材・法務が三本柱です。
- (1) 社内の公用語をできれば英語に統一し、社内外で英語対応が常態化している環境を整えておく。
- (2) 技術部門とビジネス部門の両方の知識を持つ「ブリッジ人材」を海外事業のキーパーソンに据える。技術も商談も両方見える人材が不可欠です。
- (3) 現地法人の立ち上げやBtoB SaaS展開時には、契約書やプライバシーポリシー、セキュリティ体制など、海外向けの法務整備をスタート時に完了させておくことが安心材料になります。
4 海外ビジネス成功例 サービス業

サービス業の海外進出では、柔軟性とローカル適応力が問われます。
- (1) 進出先のニーズに合わせて既存サービスをそのまま持ち込むのではなく、現地市場に合うサービス内容に大胆にカスタマイズする姿勢が必要です。
- (2) 現地競合との「シェア争い」にこだわらず、まだ顕在化していない「潜在市場(未充足ニーズ)」を見つけて開拓する意識を持つ。
- (3) 海外では労働環境や雇用慣習が日本と大きく異なるため、労務リスクや労使トラブルを未然に防ぐ制度設計が求められます。現地パートナーやプロの支援を受けてしっかり備えることが、安定運営の土台になります。
事例から学ぶ失敗を防ぐポイント
1 経営者の海外事業へのコミットメントは必須
海外進出の初期段階では、経営者が「任せること」と「丸投げ」を混同してしまうケースが多く見られます。
しかし、海外展開における最終判断を下せるのは、やはり経営者本人です。
どんな戦い方を望むのか、どこまでリスクを取れるのか、進出の意義や目的は何なのか。
これらはすべて経営者のビジョンに基づくものであり、実務担当者だけでは見極めきれません。
特に海外市場は日々変動しており、事業の方向性も柔軟に見直す必要があります。
その際、都度意思決定と舵取りを行うのは、経営者の責任です。
「社長がいつも見てくれている」「相談できる」という信頼が、現場にとって何よりの心の支えとなり、実行力へとつながっていきます。
2 海外担当者以外の社内協力も必須
海外事業は担当者ひとりでは絶対に成り立ちません。
社内の暗黙知や蓄積されたノウハウを活かしてこそ、強い展開が実現できます。
しかし実際には、以下のような“水面下進行型”のスタートが多く見られます。
- 経営陣だけで海外調査に出向いている
- 気づいたら海外担当が中途採用されている
- 社内に情報共有がないまま進んでいる
こうした状況では、現場社員にとって海外事業は「自分たちとは関係ない、負担だけが増える話」と映りがちです。
「なぜこれをやるのか」「会社にとってなぜ重要か」を、経営者の口から丁寧に説明することで、社内の空気は確実に変わります。
特に初期段階では、海外売上がゼロの状態で国内業務が増えるため、社員にとっては納得感が重要です。
「会社の未来を一緒につくる挑戦なんだ」と共有することが、実務面でも精神面でも、成功への布石となります。
3 撤退基準は最初に決めておく
海外事業の怖いところは、「頑張ればうまくいくかもしれない」と錯覚しやすい点にあります。
その結果、ずるずると続けてしまい、資金と人材が消耗していくケースが後を絶ちません。
だからこそ、事業開始時点で「撤退基準」をあらかじめ決めておくことが必要です。
例えば:
- ○年以内に黒字化しなければ撤退
- 赤字が連続して○期以上続いたら撤退
- 市場ニーズが当初見込みと乖離していたら撤退
- 規制や物流で一定以上のコスト増があれば撤退
こうした具体的な基準を持っておけば、「やめ時」の判断が感情に左右されずに済みます。
仮に一度撤退することになっても、本社の事業体力が維持されていれば、再挑戦のチャンスは必ず巡ってきます。
だからこそ、“失敗”を恐れるより、“引き際”を見極める準備こそが、長期的な成功につながるのです。
海外ビジネスを成功に導くために

いやあ、色々な業種の企業さんが海外ビジネスに成功しているのですね。
経営者の海外ビジネスへのコミットメントの重要性も再確認できました。
海外進出を成功に導くためには、経営者、担当者、コンサルさんなど関係者が一丸となって取り組むのが近道だと感じました。

ワタクシひとりでは心細くてとてもとても・・・、、、

そうですね、最初は心細いですよね。
でも、いつまでも社長に細かくお伺いを立てたり、コンサルタントに赤ペンチェックやたたき台づくりを委ねるのではなく、
やってみたら自然にここまで出来てしまいましたケド何か?(どや顔)、
という未来を私は心から期待しています。

その通り、ドヤ顔、期待しているよ。

(・・・承知つかまつりました)
海外ビジネスは、まずは“動く”ことから始まる
海外進出に正解はありません。
最初からすべてが完璧な企業など存在しないのです。
だからこそ、「小さく始めて、大きく学ぶ」ことが海外ビジネス成功の鉄則。
この記事が、皆さまの第一歩を後押しするきっかけになれば幸いです。
- 「自社に合った海外展開モデルが知りたい」
- 「実際に相談してみたい」
そんな方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。