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海外戦略を構築する

海外向けWebサイトはありますか

公開日時:2020年08月04日

更新日時:2026年09月10日

小川 陽子

著者紹介 :小川 陽子 (代表取締役)

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海外向けWebサイトを作るとき、まず日本語サイトを英訳し、英語ページを用意する企業は少なくありません。

会社概要、製品・サービス情報、問い合わせフォームもある。海外からアクセスでき、英語でも読める。

それなら「海外向けWebサイトはある」と考えてよいのでしょうか。

海外向けWebサイトは、英語で情報を掲載するためだけのものではありません。

海外営業や展示会、代理店開拓などで自社を知った企業がWebサイトを訪れ、
「この会社は信頼できるか」
「自社の課題を理解してくれそうか」
「取引を進めても大丈夫そうか」
を確認します。

つまり、Webサイトも海外事業を進めるための一つの営業ツールです。

ところが、海外向けWebサイトは公開しただけでは、うまくいっているのか、失敗しているのかが非常に分かりにくいという特徴があります。

英語サイトは存在している。けれど、海外事業の中で本当に機能しているのかは分からない。

このページでは、そんな海外向けWebサイトの「成功と失敗」を考えながら、

なぜ日本語サイトの翻訳だけでは十分ではないのか、そして制作前に何を考え、公開後に何を確かめていけばよいのか、を整理します。
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海外向けWebサイトは、海外営業の「確認場所」になる

海外企業が自社のWebサイトを初めて訪れるきっかけは、検索だけとは限りません。

展示会で名刺交換をした、営業メールを受け取った、取引先から紹介された、代理店候補として会社名を知った、SNSや業界メディアで製品を見かけたなど、Webサイト以外の場所で最初の接点が生まれることもあります。

そして、興味を持った企業はWebサイトを訪れます。

そのとき確認しているのは、単なる会社概要や製品情報だけではありません。

「どのような会社なのか」
「自社の課題に合う製品・サービスなのか」
「なぜこの会社を検討する価値があるのか」
「海外企業との取引に慣れているのか」
「問い合わせた後、きちんと対応してもらえそうか」

など、次の行動へ進むための判断材料を探しています。

さらにBtoBでは、最初にWebサイトを見た担当者だけで判断が完結するとは限りません。

上司、技術部門、購買部門などへURLや資料が共有され、社内で検討が進むこともあります。

つまり海外向けWebサイトは、単なる会社案内ではなく、海外営業や展示会、代理店開拓などで生まれた接点を、次の検討や商談へつなぐ「確認場所」でもあります。

Webサイトだけで海外事業が成功するわけではありません。

しかし、せっかく海外企業との接点が生まれても、Webサイトを見た相手が「よく分からない」と感じれば、問い合わせることなく静かに離れていくこともあります。

そして、この「静かに離れていった相手」は、通常、企業側には見えません。

ここが、海外向けWebサイトの成功と失敗を分かりにくくしている一つの理由です。

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「公開できた」で止まっている海外向けWebサイトは、実は失敗している

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海外向けWebサイトは、失敗していても「失敗した」と認識されにくいものです。

英語ページが完成し、デザインも整っている。会社概要や製品情報も掲載され、問い合わせフォームも問題なく動いている。

制作会社から納品され、社内でも「海外向けWebサイトが完成した」と報告されれば、Web制作というプロジェクトは無事に終了したように見えます。

しかし、海外事業のために作ったWebサイトなら、公開できたことと、海外事業の中で機能していることは別です。

たとえば、次のような状態が長く続いていないでしょうか。

  • 狙っていた国・業界・企業からほとんど問い合わせがない
  • 問い合わせはあるものの、想定していた顧客とは違う
  • 海外営業担当者自身が、商談相手へ積極的にWebサイトを案内していない
  • 展示会や営業活動で接点を持った相手が、Webサイトを見ても次の商談につながらない
  • 商談のたびに、Webサイトにない会社説明や製品資料を別途作って送っている
  • 海外の見込み客から、Webサイトを見ても分からない基本的な質問が繰り返される
  • 誰がサイトを見ているのか、狙った相手に届いているのかを確認したことがない
  • 海外顧客や商談相手の反応をもとに、掲載内容を見直したことがない
  • 成果が出ない理由を検証しないまま、数年後に再びリニューアルを検討している

もちろん、このうち一つに当てはまっただけで「失敗」と判断するものではありません。

しかし、こうした状態が続き、海外事業の中でWebサイトがほとんど役割を果たしていないのであれば、誰も声に出して言わないだけで、海外向けWebサイトとしては失敗している可能性があります。

厄介なのは、それでもWebサイト自体は問題なく存在し続けることです。

問い合わせが来なくてもエラーは表示されません。
狙った企業に伝わっていなくても警告は出ません。
海外企業がページを見て「よく分からない」と離れても、その理由を教えてはくれません。

そのため、
「海外市場ではまだ認知度が低いから」
「もう少しSEOを強化すれば」
「そろそろデザインが古くなったから」と考え、
数年後にリニューアルして、また同じことを繰り返すこともあります。

海外向けWebサイトで本当に怖いのは、失敗することそのものではありません。

失敗していることに気づかないまま、何年も運用を続けてしまうことです。

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成功している海外向けWebサイトは、静かに機能している

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一方、海外事業の中で機能しているWebサイトは、必ずしも派手な成果を出しているとは限りません。

検索結果の1位を大量に獲得している、毎月何百件もの問い合わせが入る、といった状態だけが成功ではありません。

狙っている海外企業がWebサイトを訪れ、必要な情報を確認する。
展示会で会った担当者が帰国後にもう一度サイトを見る。
営業担当者が商談中にWebサイトのページや資料を使う。
海外企業の担当者がその上司や技術・購買部門へURLを共有し、社内で検討が進む。
そして、問い合わせや次の商談、見積り依頼などへつながっていく。

こうした動きが、日々静かに起きているWebサイトもあります。

ただし、その状態は、最初から完璧な海外向けWebサイトを作れたから生まれたものではありません。

想定していた国から反応がなかった。
狙っていた顧客とは違う企業から問い合わせが来た。
強みだと思っていたことが海外ではあまり評価されなかった。
反対に、自社では当たり前だと思っていた技術や対応に思わぬ関心が集まった。

そうした市場からの反応を見ながら、

仮説を立てる
→ 市場へ出す
→ 反応を見る
→ ズレを知る
→ 修正する

という作業を何度も何度も繰り返していきます。

そこには調査の手間も、時間も、コストもかかります。社内で考え直し、判断し直す思考負担もあります。

それでも修正を重ねることで、少しずつ「誰に・何を・どの市場で・どう売るのか」と、それぞれの「なぜ」が実際の市場と合うようになっていきます。

成功している海外向けWebサイトは、英語がきれいだから成功しているのではありません。

たくさんの仮説と修正を積み重ね、海外の見込み客が求めるコンテンツと、次の行動につながる導線が整っているからこそ、海外事業の中で静かに機能しています。

最初から正解を当てる必要はありません。

むしろ大切なのは、自分たちが何を仮説として作ったのかを分かる状態にして、市場から返ってきた反応によって、その仮説のズレに気づけることです。

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最初から正解は分からない。だから制作前に「仮説」を置く

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海外展開の経験がまだ少ない企業にとって、最初から正しいターゲット市場や顧客、売り方を決めることは簡単ではありません。

市場調査をして、競合を調べ、社内で検討しても、その時点で分かることには限界があります。

実際に海外市場へ出てみると、
「想定していた顧客から反応がない」
「別の業界から問い合わせが来た」
「強みだと思っていた点が響かない」
といったことも普通に起こります。

だから、制作前に必要なのは、最初から正解を決めることではありません。

まず、

  • 誰に売るのか
  • 何を売るのか
  • どの国・市場を狙うのか
  • どのような方法で売るのか
  • なぜその顧客なのか
  • なぜその製品・サービスなのか
  • なぜその市場なのか
  • なぜその売り方なのか
  • なぜ自社が選ばれると考えるのか

を、その時点での「仮説」として整理します。

大切なのは、これら「誰に・何を・どの市場で・どう売るのか」と、それぞれの「なぜ」が、たとえ「仮説」であってもまずは「言語化しなければならない」、ということです。

たとえば、「米国市場を狙う」「製造業をターゲットにする」と決めても、なぜその市場なのか、なぜその顧客なのか、自社のどの強みが評価されると考えているのかが、海外企業向けに論理的に説明できなければ、Webサイトで何を伝えるべきかも定まりません。

そして、この仮説は外れても構いません。

少なくとも「初期仮説が明確であれば」、公開後に市場から返ってきた反応と比較して、「想定していたことと違う」と気づくことができます。

反対に、何を仮説として作ったのかが曖昧なままでは、問い合わせが来なくても、狙った企業に届かなくても、何が違っていたのかを検証できません。

仮説を置くのは、最初から正解を当てるためだけではありません。間違っていたときに、そのズレに気づくためでもあります。

海外向けWebサイトは、意識してその体制をつくらない限り、国内サイト以上に「失敗」に気づくことが難しくなります。

立てた仮説が正しくなさそうだと気づけること。そして、気づいた仮説の間違いをその都度適切に修正していけること。

この2つが社内体制として備わっていることが、海外向けWebサイトを「作って終わり」にせず、海外事業の中で機能させていくための前提になります。

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Webサイトの答えは、海外市場の反応から見つけていく

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Webサイト制作前に立てた仮説が正しいかどうかは、社内で考え続けても分かりません。

実際に海外市場へ出し、反応を見て初めて分かることがあります。

海外展示会へ出展したとき、どの国や業界の人が足を止めたのか。
営業メールを送ったとき、どの企業がWebサイトを見に来たのか。
問い合わせでは何を聞かれたのか。
商談ではどの説明に興味を示し、どこで話が止まったのか。

こうした一つひとつの反応が、制作前に立てた仮説を確かめる材料になります。

たとえば、想定していた用途とは違う使い方について質問が続いたなら、その用途を新しく紹介してみる。

製品の性能よりも納期や供給体制について何度も質問されるなら、海外企業が判断するための情報がWebサイトに不足しているのかもしれません。

展示会で評判の良かった説明がWebサイトには載っていないなら、その内容を追加することもできます。

反対に、狙っていた市場からほとんど反応がないのであれば、ページの表現を変えるだけではなく、そもそも市場や顧客の仮説から見直す必要があるかもしれません。

Webサイトだけを見て改善するのではなく、海外営業、展示会、問い合わせ、商談などで起きていることと照らし合わせながら考えることが重要です。

アクセス数や検索順位も大切な情報ですが、それだけでは「海外事業としてうまくいっているか」は判断できません。

大切なのは「問い合わせ」です。「問い合わせの内容」、「顧客の実際の声」です。

実際に海外企業からどのような反応が返ってきているのか、「正確に、客観的に」理解して初めて、次に何を変えるべきかが見えてきます。

こうして、

仮説を立てる
→ Webサイトを作る
→ 海外市場へ出す
→ 反応を見る
→ 仮説とのズレを見つける
→ Webサイトを修正する

という循環を続けていきます。

海外向けWebサイトは、一度完成させて終わる制作物ではありません。

実際に海外市場とつながり、試行錯誤を重ね、海外顧客が求めていることが具体的に分かるたびに、Webサイトの精度も高くなっていきます。

その積み重ねによって、最初は仮説だった「誰に・何を・どの市場で・どう売るのか」も、実際の海外事業に即した形へと具体化されていきます。

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海外向けWebサイトには「海外企業が判断できる情報」を載せる

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誰に、何を、どの市場で、どう売るのか。

その仮説の精度が高まるほど、Webサイトに何を載せるべきかも具体的になっていきます。

ここで大切なのは、日本企業が「伝えたい情報」を並べることではありません。

海外企業の担当者がWebサイトを見て、自社に合う会社なのか、取引を検討する価値があるのか、次の商談へ進んでもよいのかを「判断できる情報」を用意することです。

会社概要や製品紹介だけでは、その判断に必要な情報が足りないこともあります。

技術資料や比較データが必要かもしれません。海外企業との取引の流れ、導入事例、トラブルが起きた場合の対応、自社へ切り替える理由などを知りたい企業もあるでしょう。

さらにBtoBでは、Webサイトを見ている担当者が、その情報を上司や技術部門、購買部門へ共有することもあります。

つまり、Webサイトを見る一人に伝わるだけでなく、その人が社内で検討を進められる情報になっているかどうかが重要です。

海外企業が取引を判断するために、具体的にどのような情報を用意すればよいのかは、こちらの記事で6つに整理しています。

海外向けホームページに必要な6つの情報|問い合わせが来ない原因は「情報不足」

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海外向けWebサイトは、自社で考えながら育てていく

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海外向けWebサイトに必要な情報が整理できても、それを一度掲載すれば完成というわけではありません。

どのようなページ構成にするのか。どの言語で、どの情報を優先して見せるのか。海外の競合企業はどのようなサイトを作っているのか。検索ではどのような言葉が使われているのか。

こうしたことも、実際に調べながら決めていく必要があります。

制作会社や翻訳会社、SEO会社など、専門家の力を借りることはできます。

しかし、
「自社の海外顧客は誰なのか」
「海外では何が評価されるのか」
「商談で何を聞かれているのか」
を最もよく知ることができるのは、自社です。

だからこそ、海外向けWebサイトをすべて外部へ任せるのではなく、自社でも海外のWebサイトを見て、顧客の反応を確認し、考え、修正していくことが大切です。

海外向けWebサイトの作り方、多言語サイトの設計、競合サイトの調べ方、翻訳、SEO、制作会社への依頼方法、公開後の運用については、こちらの記事で詳しく解説しています。

多言語サイトの作り方と運用戦略|海外Webで成果を出す設計とは

海外向けWebサイトは、制作会社に「作ってもらうもの」で終わらせるのではなく、海外市場への理解を深めながら、自社で主導権を持って育てていくものです。

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海外向けWebサイトって、公開したときが「完成」ではなくて、
そこから海外市場の反応を見ながら育てていく、そのスタート時点だったんですね。

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はい。最初から正しい自社の海外戦略を分かっている企業はありません。

だからこそ、まず仮説を立てて海外市場へ出し、実際の反応を見ながら少しずつ修正していくことが大切です。

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でも、Webサイトの戦略を練って、仮説を検証し、伝えるべき情報もそろえたら、それで十分でしょうか?

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いいえ。実は、もう一つ考えておきたいことがあります。

海外には、自社と同じような製品やサービスを提供している企業がたくさんあります。

情報がきちんと伝わるだけでなく、

「なぜ今この会社を選ぶべきなのか」

まで伝わらなければ、比較されたときに埋もれてしまうことがあります。

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では…そこから先、どうすれば“選ばれる存在”になれるんでしょうか?

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そこで考えたいのが、「海外向けブランディング」です。

海外企業に当社は

「何を約束できるのか」
「なぜそれができるのか」。

そこまで言い切れること。それが、次の課題になります。

>03-3 海外向けブランディング(共感と価値を生む)戦略もできていますか

小川 陽子

著者紹介 :小川 陽子 (代表取締役)

英語英文学科を卒業後、中小メーカーの国際部で海外営業に従事後独立。27年以上にわたり、1,900社以上の中小企業の海外展開を支援。国際化支援アドバイザー、海外販路開拓アドバイザー、中小企業アドバイザー(経済産業省系組織)としても活動。

これまでに35カ国での商談・出展・調査を経験。支援対象は製造・小売・サービス・BtoB・BtoC・DtoCなど多岐にわたり、海外投資・輸出・輸入・展示会・海外SEOなど幅広く対応。

「海外進出は"急がば回れ"。場当たりではなく、"自走できるチカラ"を社内で育て、未来の世界市場で誇れる一社を目指して——今日も中小企業の現場で伴走支援を続けています。」

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