海外展開を進めていると、
「色々取り組んでいるのに、思ったほど進んでいかない」
と感じることがあります。
展示会に出展した
商談もした
見積書も提出した
メールもやり取りしている
それでも、正式発注や継続取引にはなかなかつながらない。
このような状況は、中小企業の海外展開では決して珍しいことではありません。
実際には案件が動いていても、想定していた進み方との違いから、「何か自社のやり方がまずいのか」と、だんだん不安になることもあります。
本記事では、中小企業の海外展開で起こりやすい「進んでいるのに進まない」状態について、その背景にある構造を整理していきます。
なぜ海外展開は「進んでいる実感」を持ちにくいのか
海外展開では、国内営業と同じ感覚で進捗を判断すると、「思ったより進んでいない」と感じることがあります。
例えば国内営業であれば、
・問い合わせが来る
・訪問する
・見積書を提出する
・受注する
という流れが比較的見えやすく、進捗も把握しやすい傾向があります。
一方で海外案件では、
・展示会で名刺交換した
・オンライン商談を実施した
・見積書を提出した
・サンプルを送付した
といった動きがあっても、その先の判断に時間がかかることがあります。
また、海外では複数の関係者が意思決定に関わることも多く、
・本社確認
・現地パートナー確認
・価格検討
・技術確認
など、日本企業が想定するより長い時間を要するケースも少なくありません。
そのため、実際には案件が前に進んでいても、「成果として見えない期間」が発生しやすくなります。
特に初めて海外展開に取り組む場合は、「展示会後すぐに受注が来る」「商談後すぐに結論が出る」といった期待とのギャップから、「何か進め方が間違っているのではないか」と不安になることもあります。
しかし実際には、その不安の多くは失敗ではなく、海外案件特有の進み方によって生まれているケースもあります。
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海外案件は、思っているより時間がかかる
海外展開では、「良い商品だから売れる」「展示会に出れば商談が進む」と考えてスタートすることもあります。
もちろん、それ自体が間違いではありません。
しかし実際には、商談が始まってから初めて分かることも少なくありません。
例えば、
・現地ではどの価格帯が主流なのか
・競合はどのような販売方法を取っているのか
・どの販路が現実的なのか
・相手企業は何を重視しているのか
・自社商品の強みが本当に評価されるのか
などです。
また、日本では当たり前だと思っていたことが、海外では必ずしも評価されないケースもあります。
逆に、日本では大きな特徴だと思っていなかった点が、現地では強い関心を持たれることもあります。
そのため海外展開では、最初に立てた仮説を検証しながら進めることになります。
市場を理解し、競合を知り、顧客の反応を見ながら、自社の提案内容や優先順位を少しずつ調整していくのです。
つまり海外展開では、最初に考えていた進め方が、そのままでは通用しないこともよくあるため、市場を理解しながら、自社の進め方そのものを少しずつ修正していく時間が必要になるのです。
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中小企業は「兼務構造」で止まりやすい
中小企業の海外展開では、専任担当者が最初から配置されるケースは多くありません。
実際には、
・社長兼務
・営業兼務
・技術兼務
など、既存業務と並行して進められることが一般的です。
この体制そのものが問題なのではありません。
むしろ、多くの中小企業にとっては現実的なスタートとも言えます。
しかし海外案件には、一つ特徴があります。
それは、「重要だが緊急ではない仕事」が多いことです。
例えば、
・海外からの問い合わせへの返信
・展示会後のフォロー
・提案資料の作成
・市場調査
・代理店候補とのやり取り
などは、どれも将来の売上につながる可能性があります。
一方で、
・国内顧客からのクレーム対応
・納期対応
・既存顧客との商談
などは、目の前で優先順位が上がりやすい仕事です。
その結果、海外案件は「あとで対応しよう」となりやすく、少しずつ後回しになっていきます。
しかも海外案件は、数週間、数か月単位で進むことも珍しくありません。
そのため、「今週対応しなくても大丈夫だろう」という判断が積み重なり、気がつけば案件そのものが停滞していることもあります。
海外展開が止まる理由は、能力不足や英語力不足だけとは限りません。
むしろ、中小企業特有の兼務構造の中で、海外案件の優先順位を維持し続けることの方が難しい場合もあります。
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海外案件は「正式発注前」の登り坂がきつい
海外案件では、正式発注に至るまでに想像以上の準備や調整が発生することがあります。
国内営業の場合、見積提出後に比較的短期間で結論が出ることも少なくありません。
しかし海外企業との新規案件では、
・追加資料の提出
・技術的な質問への回答
・サンプル提供
・価格条件の再調整
・契約条件の確認
・輸送条件の確認
などが続くことがあります。
また、相手企業にとっても、日本企業との取引は初めてである場合があります。
そのため、
・本当に供給できる会社なのか
・継続取引できるのか
・品質は安定しているのか
といった点について、慎重に確認されることもあります。
こうしたやり取りは、正式発注後ではなく、正式発注前に集中することが少なくありません。
しかも、その時点ではまだ売上は発生していません。
そのため、
・メール対応
・資料作成
・社内確認
・サンプル手配
などの工数が積み重なるほど、「ここまで対応しているのに、まだ決まらないのか」と感じることもあります。
しかし実際には、この期間は単なる待ち時間ではありません。
相手企業が発注判断を行うための確認期間であり、自社にとっても取引条件を整理する重要な期間です。
実際に、質問への回答、サンプル評価、条件調整などを通じて、案件は少しずつ確実に前に進んでいるのです。
海外案件では、「受注したかどうか」だけを見るのではなく、
「相手企業の確認作業がどこまで進んでいるのか」
「その1回1回において海外企業を満足させてきているか」
という視点を持つことも重要になります。
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海外展開は「売る活動」であると同時に「会社を変える活動」でもある
ここまで見てきたように、海外展開では思った以上に時間がかかる場面があります。
また、案件が進んでいるように見えても成果が見えにくく、兼務体制の中では優先順位も下がりやすくなります。
そのため、
・展示会1回で成果が出るか
・商談1回で受注できるか
・問い合わせ1件が案件化するか
といった単発の結果だけで判断すると、「うまくいっていない」と感じやすくなります。
しかし実際には、海外展開で得られるものは受注だけではありません。
海外市場を知る。
海外競合を知る。
グローバル視点での自社の強みを知る。
価格設定を見直す。
提案方法を改善する。
こうした試行錯誤を通じて、日本企業そのものが内側から変化していきます。
実際、多くの企業は最初から海外展開がうまくいくわけではありません。
むしろ、
「この方法では通用しない」
「この提案では伝わらない」
「この価格では勝負できない」
といった経験を積み重ねながら、
「では、どうしたら海外企業から受注できるのか?」を試行錯誤しながら
自社なりの進め方を一つずつ見つけていくのです。
海外展開とは、忍耐強く同じことを続ける活動ではありません。
海外市場からいち早く学び、自社を柔軟に変えながら前に進んでいく経営活動です。
まずは「止まっている理由」ではなく、「会社が変わっている途中なのか」を確認する
海外展開では、
・思ったより時間がかかる
・成果が見えにくい
・兼務で進めることが多い
・正式発注前の負荷が大きい
といった特徴があります。
そのため、途中で「うまくいっていないのではないか」と不安になることも少なくありません。
しかし実際には、案件が止まっているのではなく、会社が”海外仕様”に変わっている途中であるケースもあります。
特に多くの中小企業にとって、海外展開で最も苦しいのは最初の1〜2年目です。
現地市場の知識も少なく、自社の強みが本当に通用するのかも分かりません。
展示会に出る
商談をする
見積書を出す
サンプルを送る
行動量は増えているのに、なかなか成果にはつながらない焦りも増えます。
しかし、その期間に行われているのは単なる種まきではありません。
価格設定は適切なのか
提案内容は伝わっているのか
競合との差別化はできているのか
どの販路が現実的なのか
そうした仮説と検証を丁寧に繰り返しながら、自社の進め方そのものを大胆に修正していく期間でもあります。
その結果、3年目頃になると、
「なぜ過去の提案が通らなかったのか」
「なぜ以前の商談が進まなかったのか」
がリアルに見えてくることがあります。
そして、一般的には推奨されていても自社には合わないやり方は一旦やめ、覚悟をもって自社がこれだと確信できるやり方に集中できるようになったとき、初めて「海外展開の手応え」が生まれてきます。
もし現在、「進めているはずなのに進まない」と感じているのであれば、一度立ち止まってみることをお勧めします。
そして、
「何ができていないのか」
だけでなく、
「この1年で自社は何を学び、何を変えてきたのか」
「その結果、海外市場の反応はどうであったか?」
をぜひ一つずつ振り返ってみてください。
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