はじめに ー海外進出にはやり方がある
海外進出を決めた時、海外という未知の市場にワクワク期待は高まります。
しかし実際に海外進出を始めると、越えなければならない山や足がすくむ谷に、行く手を阻まれることがあります。
海外にも商品を売りたい!海外でお店や工場を作りたい!そう決心したのに”やり方”を知らず、みすみすチャンスを逃すなんてとっても残念ですね。
ここでは日本企業が海外進出をはじめる前に、ぜひ知っておいてほしいこと、
海外のビジネス常識
について説明します。
海外のビジネス常識
「まずは海外市場調査から」は失敗のもと
海外と日本とでは、ビジネスにおいての常識が、かなり違います。
もちろん、食べて、働いて、眠って、という日常生活では同じ行動様式もありますが、社会生活におけるものごとの進め方、根底に流れる考え方、特にビジネス商習慣の違いを事前に知っておくことは、海外進出をスムースに進めるのに大変役立ちます。
(ここでは便宜上日本以外の国を総じて”海外”としますが、各々の国にも違いはあり都度調整が必要です。)
海外進出の際に、ビジネス商習慣の違いを脇に置いて、
「まずは海外市場調査を行う」「まずは海外展示会に出展する」「まずは海外向けWebサイトを作る」から着手してしまうと、
海外展開に思わぬ時間がかかってしまうことがよくあります。
例えば初めて海外市場調査を依頼する場合、調査の仕様は誰がどのように決めるのが良いのでしょうか。
調査会社でしょうか。
これまで専門会社に、「海外現地で市場調査(F/S調査)」や「海外営業のリード獲得」「海外SEO対策」等を依頼し、上がってきた報告書を読み、
「で、これから何をどうすれば良いのか?」と困ったことはありませんか。
報告書を読んでも、これが本当に自社が実施すべき”海外進出”なのか判断できず、前に進めなくなったことはありませんか。
例えば、海外市場調査の仕様決めは、
・日本市場と海外市場のギャップを良く知る専門家が、
・貴社の国内事業を十分理解した上で、
・海外市場で競争優位のヒントになるような、海外競合企業とのギャップを、
・具体的に確認できるような調査項目を網羅した仕様とすること、
が重要です。
そしてそれらを調べただけでは海外進出の見通しはまだ立たず、
・その日本企業が実際に海外進出する際の現地障壁の数と大きさを
・「初期フェーズ段階で」できるだけ具体的に洗い出し、
・それらを調査結果にも反映させなければ、
意思決定できるレベルの情報や、予算決めに使える調査報告書にはなりづらい現実があります。
このように海外市場調査ひとつをとっても、仕様決めの段階から、実は海外ビジネスの常識が必須になっています。
いわゆるグローバルマインドセットが不足していることで、日本企業が海外展開の入り口からつまづくこと、そしてそれに気づかず長く迷走を続けることは珍しくありません。
グローバル市場で優位に立つ戦略立案には、まずは海外でのビジネス常識と日本のビジネス常識の違いを、進出する企業自身が、しっかり認識していくことが必要になります。
海外と日本のビジネス常識の違い
英語、文化、宗教だけではない、ビジネス常識の違い
具体的には、例えば上記のように、海外では、結果や効率が重視されスピード感を持った展開が非常に好まれます。
担当者への権限委譲も進み、リターンを得るためにリスクを取ります。
前例がないことでも、計画や事前リサーチに時間をかけすぎず、まずは走りだし、PDCA(Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善))をまわし、事業をその都度、修正していきます。
答えのないことに対して走りながら解を生み出そうとする姿勢は、ごく当たり前のこととして受け入れられています。リスクのない所にリターンは無い、これが海外でのビジネス常識です。
一方、日本では、リスクをとることや失敗する可能性があることに寛容ではない為、まずは走り出すことも必要だと理解しつつも、それらを率先して実行する風土はあまりありません。
大きく成功するにはどうすれば良いか?より、小さく失敗を押さえるにはどうすれば良いか?に方針が傾きがちです。
例えば海外のお客さま向けに事業展開をすると、国内事業では経験しなかった想定外が、“普通に”頻発します。
その際に、海外顧客を起点にせず、自社都合を起点として、様子を見ながら現状維持の範囲で、受動的に進めようとする日本のやり方は、“より良い着地点を共に見出そうとしない、期待されるスピード感とリアクションもない”ことから、海外の取引先候補に大きなフラストレーションを与えます。
このようなビジネス常識の差は非常に大きく、海外進出のあらゆる機会に影響を及ぼします。
この差を放置したままでは、海外事業の成功は、残念ながら無いのです。
日本と海外の違いを理解し、少なくとも海外進出の際は海外でのビジネス常識になじむ努力が必要です。
なじむ努力というのは、相手に与えるフラストレーションを想像する努力であり、ご自身のなかの“無自覚”を自覚する努力です。
日本企業は、海外での取引リスクについて強い懸念を示す一方で、極端に無防備な時もあり、リスクに対してアンバランスです。
リスクを回避したければ、まずは本気でリスクを知ろうとせねばなりません。
海外ではどのようなリスクがあるのか、どうしてそのようなことが起こるのか、海外で失敗することの、日本本社への影響の幅は上下最大最小どのくらいなのか、どうすればリスク回避もしくは最小化できるのか、リスク管理ができるのか。
リスクを知ってその対策を練りはじめてやっと、“リスクリスク”と一括りにして、思考が止まっていたことに気がつきます。
海外と日本のビジネス常識の切り替え失敗を防ぐには
海外顧客について何も分かっていなかった、からがスタート
海外でのビジネス常識と日本でのビジネス常識の切り替えが上手くできないと、海外進出のスピードは落ち、打破するためのアクションも、既視感のある緩いパンチになるでしょう。
例えば、海外事業が停滞した時の次の手として、
・価格を下げる
・技術力をもっと上げる
・富裕層をターゲットとする
・リスクヘッジのため(流通で)間にもう一社入れる
・ツールを英語化する
などがあるかもしれませんが、ビジネス常識が適切に切り替わらないままでは、これらのパンチが効いて一発逆転、となることなど、ほとんどないのが実情です。
ただし、ビジネス常識を切り替えるとそこにはじめて見えてくる景色があります。
それは海外でも通用するビジネス常識からしか見えない景色です。
例えば、価格が高いと言われたのは、そもそもその市場で求められていない商品の可能性があります。
一方で価格を下げなくても、現地ニーズがある別の用途へ、あるいは流通を変えることで、ターゲットが変わり、競合に勝てるビジネスになるのかもしれません。
技術力については、より高めてほしいという話ではなく、既存品との折り合いの中で、現地市場でのポジション取りが難しく、何かしら売るためのマーケティング的なヒントが欲しいだけなのかもしれません。
富裕層への売り込みも、そのボリュームは意外と少なく、かつ鋭角化しており、開拓には手間もかかるため、中の上ゾーンの丁寧な再開拓の方が、安定した利益が確保でき、パートナーとしても、ビジネスが継続しやすいのかもしれません。
リスクヘッジとして間に1社を入れるならば、間違いなくエンド価格は上がります。
それで売れなければリスクヘッジ以前の話に戻ってしまいます。
日本語のホームページをただ翻訳しただけでは全く意味が伝わらないことなど、本当にしょっちゅうあります。
海外進出を成功させるには、海外でのビジネス常識を知ること、学ぶことが先決です。
見えている景色をまず変えること、です。
海外ビジネスを進めながら、海外ビジネス常識について謙虚に実践し続けることで初めて、その企業にしかできない勝ち筋が、自分達の最適解が、自力で適切に、自信を持って見出せるようになっていきます。
海外とはビジネス常識がちがう・・・
分かっていたつもりですが、
見ている景色はいつも同じだったかも知れません。
う~ん、いきなりのストレート先制パンチです。
たくさんの失敗を見てきたため、
最初にお伝えしたかったのです。
でも大丈夫です!
たくさんの成功の秘訣、役立ったエッセンスを、この海外ビジネスロードマップにぎゅっと詰め込んでいます。
読み進めるうち、見える景色も少しずつ変わるはずです。
(そうなんだ、ヨカッタ・・・!!)
正直なところ、海外進出はとりあえずやってみて、気合と勢いだ!!と思っていましたヨ
それは絶対にダメ。
海外進出についてしっかり知識を持って、計画的に進めること、です。
でも何から手を付ければいいんでしょう?
何からどう進めるのが良いのか・・・、
考えれば考えるほど初めの一歩が踏み出せません。
シンプルです!
海外進出にはやり方があるんです。
これから「パコロア式海外進出ロードマップ」に沿って一つ一つ一緒に進めて行きたいと思っています。
まずは御社の海外進出の「実現可能性を検証」していきましょう。