海外進出に使える補助金には、海外展示会への出展、販路開拓、設備投資、外国への特許・商標出願などを支援する制度があります。
ただし、「海外進出する企業なら広く使える補助金」が常に用意されているわけではありません。
実際には、自社がこれから何をするのかによって、対象になる制度は変わります。
そのため、補助金を探すときは、制度一覧を片っ端から調べるよりも、
- 今は市場調査なのか
- 販路開拓を始めるのか
- 設備投資まで進むのか
を先に整理した方が、使える制度を見つけやすくなります。
この記事では、海外進出の補助金を探す時期や探し方、どの段階で使うと効果的なのか、申請前に確認しておきたいポイントを解説します。
海外進出の補助金は、いつ・どこで探せばいい?
海外進出に使える補助金は、年間を通じて同じ制度が募集されているわけではありません。
国の制度だけでなく、都道府県、市区町村、地域の産業支援機関などが、それぞれ異なる時期に公募します。
そのため、「海外進出 補助金」と一度検索して見つからなかったからといって、その年度に使える制度がないとは限りません。
逆に、見つけたときには募集期間が残り数週間ということもあります。
実際、海外展示会、販路開拓、海外出願などの支援制度には、公募期間が1~3か月程度のものもあります。
補助金は「使いたい直前」に探さない
海外進出で補助金を利用したい場合は、展示会への出展や海外向けWebサイトの制作など、実際に費用が発生する直前に探し始めるのでは遅いことがあります。
翌年度の海外展開を計画しているなら、前年末から年度初めにかけて一度情報を確認し、その後も春から夏にかけて定期的に公募情報を確認しておくとよいでしょう。
また、同じ制度が毎年同じ時期に募集されるとは限らないため、前年の公募実績は参考程度に考えます。
「海外進出 補助金」だけで検索しない
補助金を探すときは、事業内容と地域を組み合わせると見つけやすくなります。
たとえば、
- 「海外展示会 補助金 福井」
- 「海外販路開拓 補助金 山梨」
- 「越境EC 補助金」
- 「外国出願 補助金 北海道」
- 「海外 商標 補助金」
- 「海外認証 補助金」
- 「海外展開 支援 公募」
などです。
会社所在地の「都道府県+市区町村」まで変えて検索してみるのもポイントです。
国の制度だけを探していると、自治体や地域の産業支援機関が実施している制度を見落とすことがあります。
J-Net21でもまとめて探せる
中小機構の「J-Net21 支援情報ヘッドライン」では、全国の補助金・助成金情報を、地域や「海外展開」「販路開拓」「特許・知的財産」などの分野から検索できます。
ただし、掲載されている制度でも募集が終了している場合があるため、申請を検討する際は必ず実施機関の最新情報を確認してください。
海外進出のどの段階で補助金を使うべきか
使えそうな補助金が見つかっても、すぐに申請すればよいとは限りません。
海外進出では、補助金を使いやすいタイミングと、むしろ自費で小さく動いた方がよいタイミングがあります。
まだ「どこで何を売るか」を調べている段階
市場調査を始めたばかりで、
- どの国を狙うのか
- 誰を顧客にするのか
- どの販売方法が適しているのか
といったことが決まっていない場合は、補助金探しを急ぐ必要はありません。
この段階では、制度に合わせて計画を作るよりも、必要な調査やヒアリングを行い、まず海外展開の仮説を作る方が先です。
補助金が見つかったことで、本来検討していなかった展示会へ出展したり、予定していなかったWebサイトを制作したりするのであれば、順序が逆になっています。
やることが決まり、海外で検証する段階
補助金を検討しやすくなるのは、
「この市場で、この方法を試してみる」
というところまで計画が具体化してからです。
例えば、
- 出展したい海外展示会が決まっている
- 海外向けのテスト販売を始める
- 現地で商談や市場調査を行う
- 海外向けの販促や情報発信を始める
など、補助金がなくても実施する予定の活動があり、その費用の一部に補助金を利用できるのであれば、事業との整合性も取りやすくなります。
本格投資へ進む段階
海外で一定の手応えが得られ、
- 生産設備を増強する
- 海外向けの商品・仕様を開発する
- 現地拠点や販売体制を整える
といった大きな投資へ進む段階では、補助額の大きな制度も検討対象になります。
ただし、投資額が大きくなるほど、「補助されるから実施する」ではなく、補助金がなくても事業として成立するかを確認しておくことが重要です。
補助金がなくてもやるか?で考える
判断に迷ったときは、
「この補助金が採択されなくても、この取り組みはやるか?」
と考えてみると分かりやすくなります。
「やる。ただし補助金があれば、規模を広げられる、検証回数を増やせる、次の展開を早められる」
のであれば、補助金は海外進出を後押しする手段になります。
反対に、
「採択されたらやる。落ちたらやらない」
のであれば、まだ事業そのものを検討する余地があるかもしれません。
補助金は、海外進出を始める理由ではなく、すでに進めると決めた事業を前に進めるために使う。
この順番を崩さないことが大切です。
海外進出の補助金を申請する前に確認したいこと
使いたい補助金が見つかったら、補助率や補助上限額だけでなく、実際にその条件で事業を進められるかを確認します。
特に海外進出では、展示会、渡航、制作、契約など複数の予定が連動するため、補助対象になると思っていた費用が対象外になると、事業全体の予算が大きく変わることがあります。
申請前や交付決定前に発注してもよいか
最初に確認したいのが、いつから発生した経費が補助対象になるかです。
補助金によっては、申請前や交付決定前に契約・発注・支払いをした経費は対象になりません。
海外展示会では、早期申込による割引があったり、航空券や宿泊先を早めに確保したかったりするため、補助金のスケジュールと実務上のスケジュールが合わないこともあります。
「採択されたら補助されるだろう」と先に動かず、どの時点から契約や発注が可能なのかを確認しておきましょう。
本当に必要な費用が補助対象になっているか
「海外展示会出展費」「海外販路開拓費」などと書かれていても、必要な費用がすべて補助されるとは限りません。
例えば海外展示会なら、
- 出展料
- ブース施工費
- 輸送費
- 渡航費
- 宿泊費
- 通訳費
- 販促物制作費
など、多くの費用が発生します。
そのうち何が対象になり、何が自己負担になるのかを確認したうえで、補助金を使った場合の総予算を計算する必要があります。
事業期間内に本当に終えられるか
補助金には、対象となる事業の実施期間があります。
海外事業では、相手企業との調整、輸送、認証、展示会日程など、自社だけでは決められない事情も少なくありません。
さらに、事業を実施すれば終わりではなく、支払いの完了や実績報告まで期限内に求められる場合があります。
公募締切だけを見るのではなく、いつまでに何を終えなければならないのかを最後まで確認しておくことが重要です。
補助金は後から支払われることも忘れない
補助金は、採択された時点ですぐに入金されるとは限りません。
一般に、事業を実施して費用を支払い、実績報告や審査などを経た後に補助金が支払われる制度も多くあります。
つまり、一時的には自社で事業費を負担する必要があります。
「補助率2分の1だから自己資金も半分でよい」と考えず、入金までの資金繰りができるかも確認しておきましょう。
採択後の事務負担まで含めて考える
忘れられがちなのが、採択後の事務作業です。
見積書、発注書、請求書、支払証明、成果物など、制度で指定された証憑を保管し、実績報告を行う必要があります。
計画変更に事前承認が必要な場合もあります。
補助金額だけを見るのではなく、申請から事業実施、報告までを社内で管理できるかも含めて判断した方がよいでしょう。
補助金から海外進出を考えない
海外進出に使える補助金を見つけると、「せっかく使えるなら、この機会にやってみよう」と考えたくなることがあります。
しかし、補助金の募集期間や対象経費に合わせて海外進出の計画を作ると、本来自社に必要だった順序とは違うところから事業を始めてしまうことがあります。
先に決めるべきなのは、
- どの市場で何を確かめたいのか
- そのために次に何をするのか
- いくらまでなら自社で投資できるのか
です。
そこまで決まったところで、予定している活動に使える補助金があれば利用する。
反対に、条件の合う制度がなければ、自費で小さく始める、時期をずらす、別の方法で検証するという判断もできます。
補助金は、海外進出の計画を決めるものではありません。
自社ですでに決めた次の一手を、資金面から後押しする選択肢の一つです。
もし補助金を探しているうちに、
「そもそも今、何をする段階なのか」「この投資をしてよいのか」
が分からなくなった場合は、制度探しを続ける前に、一度海外進出全体を整理してみてください。
パコロアでは、補助金の申請代行ではなく、海外進出そのものについて、どの市場で何を検証し、次に何を実行するべきかを企業と一緒に整理しています。
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