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海外展示会の服装・マナーの完全ガイド          

公開日時 2024年3月27日 更新日時 2024年11月27日
trade show paccloa

はじめに:海外展示会とは?

海外展示会とは、企業や団体が商品やサービスを各国のコンベンションセンターなどで展示し、海外の顧客や取引先との交流を図るイベントです。

海外展示会は毎日どこかの国で開催されていて、カンファレンスやシンポジウムという名の海外展示会も含めるとその数は年間2000を超えます。開催地はアジアが圧倒的に多く約50%、次にドイツや欧米が約30%、残り20%が中東中南米アフリカとなっています。
(世界の見本市・展示会情報(J-messe)より(株)パコロア計算)

海外展示会の特徴として、特定の業界やテーマに焦点を当てた専門的な展示会が非常に多く、具体的には下記のようなニッチな海外展示会が定期的に開催されています。

例)上下水処理、ホテル業界向け食品、医療用画像、美容用テック、内装用建材、消費財のライセンス、宇宙防衛技術等々。

海外展示会に参加する企業の出展目的は下記の通りです。

・新規市場の開拓やビジネスの拡大
・新しい取引先との接触
・最新のトレンド紹介や技術についての情報交換

海外展示会は、業界プロフェッショナルの学びの場でもあるため、一般消費者が自由に出入りできるようなものは少なく、ほとんどが事前登録済みのビジネス来訪者の参加となります。

海外展示会で好印象を与える服装とは 

海外の展示会はビジネス来訪者がほとんどです。

第一印象は非常に重要で相手とのビジネス関係を築く土台となるため、自社の信頼性やプロフェッショナリズムをアピールする適切な服装が求められます。

海外現地の文化やマナーに配慮した服装は、その国でのビジネスを円滑に進める準備ができていることを示すチャンスになりますが、同じ海外展示会でも国別、業種別で好印象を与える服装はそれぞれ異なるため注意が必要です。

 海外の展示会はここが違う!現地で浮かないためのポイント

まず、海外の展示会のうち、欧米向けかつファッション業界向けの展示会では、出展社側も来場者側も最先端の業界人が結集しますので、頭の先からつま先まで唯一無二の自社ブランドらしさが随所に感じられる最高の服飾表現デザインをもって参加することが重要です。

海外ブランドをリスペクトしつつも決して迎合しない日本企業独自の個性的なアイテムやトレンドを取り入れたスタイルは非常に好まれます。(服装だけではなく展示会ブース装飾にも同等レベルが求められます)

次に欧米向けかつ機械工業製品業界向けの展示会では、相手との信頼関係構築やイメージ向上のために清潔感やきちんと感を、真に上質なスーツやジャケット着用により表現します。

もちろん海外出張中のビジネススーツにシワのない状態を保つのは至難の業ですが、日本にいる時より意識して、適切に手入れがされている清潔な印象を与えることが重要です。

堅実なイメージを演出するために、オーソドックスな色合いやシンプルな柄が適しています。緊張したムードではなく、余裕あるリラックス感、スマートなイメージを全身の着こなしから醸し出せると尚良いでしょう。

一方でアジア向けの海外展示会ですが、機械工業製品業界向けおよびファッション業界向けの展示会ともに、ジャケット着用者を見つけることが難しいほどラフな服装、自由な装いの来場者が多いでしょう。

特に工業製品向けの展示会では出展社側も社名ロゴの入ったポロシャツやTシャツ、チノパン着用など、カジュアルな服装が多勢を占めます。

全体としてインフォーマルな服装が多いため、スーツにネクタイ着用は堅苦しいイメージを与えることもあります。

ジャケットやスーツの着脱など、ビジネスの場面に応じて柔軟に対応できる服装を心がけることが大切です。相手に合わせた対応ができるという印象は海外バイヤーとの良好な商談や会議の展開につながるでしょう。

なお、各国のステレオタイプ的な評価についてはどのように考えれば良いでしょうか。

例えば、アメリカではカジュアルな雰囲気が一般的でネクタイを外しても問題なく、イギリスでは伝統的なビジネススーツが重んじられ、フランスではファッションのこだわりを魅せて、そしてアジアでは誰もが半袖で出展している、等々です。

実際のところ、これらは正しいとは言えません。

欧米ではオーソドックスなスーツを着用していた方が周りから浮かずに済み、アジアではカジュアルに舵をきった方が場に溶け込みやすいものの、一番のポイントは何の展示会か?であり、そこに集まる来場者や出展社の属性を鑑み、即した服装を選ぶことが重要です。

具体的には、アウトドア関連の展示会で有ればイギリスでもビジネスカジュアルで接客しますし、遺伝子技術や創薬開発の展示会であればアメリカでもフランスでも濃紺のスーツでネクタイを締めて商談し、最先端のファッションの展示会であればアジアでもトレンドを反映した華やかな装いでプレゼンする、という具合です。

なおイスラム教国など宗教上の理由で肌の露出を避ける国では、展示会場というよりその国への出張時には、首や腕を覆う服装が求められますので、長袖、長ズボン、長めスカート、ストール、パーカーなど軽くてかさばらないものを複数準備しておくと現地で慌てず安心です。

意外と起こる服装トラブルエピソード(会期前、会期中、撤収作業で異なる服装)

あなたがもし海外の展示会で出展者として事前準備や撤収作業に関わらない場合は、服装の準備は必要最低限で済みそうです。

しかし海外展示会の担当者として会期前後もフル参加する場合は、海外展示会中のあらゆるリスクに対応する服装オプションを備える必要があります。

例えば海外展示会の会期前は、会場内の空調の電源が入っていないため、夏であれば汗だくになりながら、冬であれば凍えるような寒さの中、準備作業をしたり、設営作業者を指示したり、足りないものを買い出しに行ったりを、多くの関係者でごった返すホコリだらけの環境下で行わねばなりません。

つまり汚れても破れて構わない、洗えば翌朝カラリと乾くような作業用の上下服が必須です。高価なビジネススーツしか持参していないと初日から心が折れそうになるかもしれません。

会期前のこの準備作業が想像以上にハードで疲れ切ってしまい、会期後半にはもう日中立ち続けることができなかった、という話は実際に良くある話です。

どのような環境下でも会期中に万全の体調で臨めるよう、まずはケガと病気を防ぐため長袖薄手のパーカーとマスク着用は必須で(冬であればコートと手袋、カイロとブーツが必須で)こまめな休憩と水分補給も欠かせません。

2時間ごとに着席しての休息を1日に何度も入れるようにします。

海外展示会がいよいよ始まった会期中の服装の注意点としては、夏は当然ながら、冬でも相応の汗をかくため、また一日着用した洋服のくたびれ感もあるため、毎日コーディーネートは変えることになります。

ジャケット1着を会期中着回すことは難しく、幾つかのビジネススーツパターンを準備しておくと想定外の温度差にも対応でき安心です。

会期中は立ったり座ったり手を伸ばしたりしゃがんだりと、軽いスポーツ並みに体を動かすため、スリムフィットのビジネスジャケットや、ストレッチ性のないズボン、タイトスカートでは柔軟性が保てません。

むくみの原因となり翌朝まで疲れが残ってしまいがちです。

男性の場合はストレッチ性の高いジャケットや、通気性の良い高品質なウール素材の着用、女性の場合は下半身の重ね着が容易なワイドパンツや体を締め付けないウエストゴムなどの着用で体力消耗を防ぐようにします。

海外展示会の終了後の撤収作業では、退場時間が決まっていることもあり、早く片づけたい焦りで誰もが余裕がなくなっているため、ケガや急激な体調不良の原因にもなり易く注意が必要です。

展示会の最終日にはビジネススーツから一転、ジャケットを脱げば全身締め付けないカジュアル服を着て撤収作業に取り組める、あるいは替えの服装を用意しているなど選択ができるようにしておくと良いでしょう。

暑さ・寒さ対策の服装術

海外展示会を開催する国には、暑い国、寒い国、どちらも含まれますが、いずれも空調が効きすぎていて日本人には寒すぎる、暑すぎる場合が非常に多いです。

ご自身で適宜調整できるよう持参すると便利なものを下記にまとめています。

暑さ対策

・袖の有る肌着 しっかり汗を吸収する肌着を着た方がかえって涼しい場合あり

・すそ口そで口の開放服 長袖、長ズボンでも、すそ口そで口が開放されていれば適宜涼しくお勧め

・長袖パーカー ユニクロのエアリズムなど熱がこもらない通気性の良いものが便利

暑い国での寒さ対策

・カシミヤ100%のひざ掛け 冷房20度以下の事務所会議、車移動、機内では必需品

・襟のあるシャツ 

・レッグウオーマ

寒さ対策

・膝丈のダウンジャケット

・毛皮の帽子 

・耳当て

・革の手袋

・カイロ

・腹巻き

・ウールソックス、ウールタイツ、ウールレッグウォーマー

寒い国の暑さ対策

・ヒートテックではなくコットンかウールの下着を着る(汗対策)

・室内で最終的に上下一枚ずつになれる(脱げる)コーディーネートにする

・室内がかなり乾燥しているため加湿と自身への水分補給を忘れない

暑い国、寒い国、それぞれで体感する空調はその国にずっと住んでいる人に最適な気温と湿度になっています。

海外展示会出展のために短期間だけ出張している日本人にとっては、不慣れな環境で体調を崩しやすい環境です。

基本的には体を冷やさないことが重要ですので、どの国の展示会だとしてもバスタブ有りのホテルを選び毎晩体を温めることで翌日に不調を繰り越さないようにすることが重要です。

(ちなみにホテル予約サイトのAgodaではバスタブ有無が選べます)

海外の展示会場は超広い、その靴で大丈夫?

海外展示会場ではブース内も通路内も床にはカーペットが敷き詰められていますが、ブース設営と撤収の際に使う重機の重さに耐えられるようコンクリートになっているため、床上げしていないブースの場合、床が非常に硬く冷たく、体に優しいとは言い難いでしょう。

普段履き慣れた靴を履くことはもちろん、足の裏を守れる靴を選ぶことが肝要です。

避けた方が良いのは、高いヒールの靴、新品の革靴、足首が硬いブーツやスニーカー、足底が硬い靴、サンダルやクロックです。

つまりアーチサポートがきちんとある靴、クッション性のあるインソールがある靴を選ぶことで足の負担を軽減させ快適さを維持できます。

長時間立ちっぱなしになることもある展示会では、足元の快適さも欠かせません。
適切な靴を履いて、自信を持って海外展示会に臨みましょう。

【場面別】海外展示会トラブル対策(持っておくと便利なものは太文字あり)

海外展示会で起こるトラブルには様々なものがあります。
場面別に見ていきます。

準備と撤収

よくあるトラブル:

・暑すぎる、寒すぎる(前述済)

・未着貨物がある

・電気がブースまで来ていない

・壁がはがれている、ディスプレイが傾いている

・主催者担当者が今までやり取りした人と違う、引き継ぎされていない

・何を依頼しても時間がかかり過ぎる、持ち場を離れられない、時間が読めない

貨物の未着は、国際輸送を依頼したフォワーダーもしくは主催者側のお抱えフォワーダーに確認します。

その場合もInvoiceやB/L、AWBのコピーを手元において話をして、貨物の現在位置の確認を求めると良いでしょう。

場合によっては展示会期間中に貨物が届かないこともありますので、事前にプランBまで検討しておく必要があります。

通電やブース装飾の不具合は、自社が依頼した装飾会社か主催者側のお抱え装飾会社へすぐに修繕を依頼します。

やや強めの口調で現状に満足していないこと、時間締め切りを設けて依頼することがポイントです。
それでも実際の修理は夜中になることもあるため、予備日に早めの確認をしておくのが良いでしょう。

主催者側の担当者が当日、突然変わることは少ないですが、たとえ別の人が担当者としてやってきても話が通じるように、メールのやり取りを紙に印刷しておき、直接それを見ながら新しい担当者と交渉するのが、ミスなく解決が早いでしょう。

何を依頼しても迅速な対応はあまり期待できませんので、不具合を早く見つける、早く依頼する、数時間ある待ち時間に食事や他社ブースの下調べを終えておく、などの工夫が必要です。

ブースロケーション

よくあるトラブル:

・隣のブースが大音響で声を張らないとお客様と話せない聞こえない

・異様に人の流れが少ない


隣のブースの大音響は出展規定違反の可能性もあるため、すぐに主催社に連絡し、主催者から音量制限ルールを伝えてもらうようにします。

周辺ブースの企業とはトラブルなく仲良くしておくことが最良です。
相手に悪意が無いことも多いですが文化の違いでトラブルになることもあるため、深刻なクレーム等は直接行わず主催者に確認の上、主催者から交渉してもらうと安心です。

ブースの位置によっては人がほとんど来ない場合は確かにあります。

レイアウト図面から事前にある程度予想できることですが、駆け込みで出展申し込みをした場合や、もともと最安値のロケーション、あるいは主催者からのお得な直前オファーなどには、このような場所が含まれていることがあります。

うらを返せば、良い場所で出展している企業は、1年前から予約している、何年もリピート出展している、景気の波に関わらず必ず出展する、多くの来場者がそのブース目当てにやってくる、など主催者にとって最優良顧客である場合も多いため、海外展示会初出展で最良の場所の確保は難しいかもしれません。

この場合の対処方法は残念ながら多くはありませんが、リピート出展することによって年々良い場所に割り当てられることはあります。
それ以外にも少なくともブース装飾に工夫を凝らし、来場者のメリットが一目でわかるようにする、ブース内接客の質を高め、少ない来訪者でも成約率を上げる、などがあります。

過去の事例としては、来場者の流れの起点になるところに、会期途中から看板を設置し誘導した、入口直ぐの場所でカタログを配り誘導した、ライバル会社の来訪者に声をかけて比較検討しませんかと自社ブースへ誘導した、などの武勇伝もありますが、主催者によっては途中からの看板設置や入り口付近でのカタログ配布を禁止しているため、事前確認は必要です。

番外編 (海外出張で持参しておくと便利なものリスト)

いかがでしたか。

はじめての海外展示会出展、という大役も、現地で快適に過ごせる服装や、持参しておくと慌てず仕事に取り組める便利品の有る無しで、成果に差が出てきます。

ぜひ事前にしっかり準備して備えておきましょう。

なお追加番外編として、海外出張に便利なグッズも少しまとめました、是非お役立てください。

・アマノフーズのお味噌汁、雑炊、にゅうめん

数あるフリーズドライを試した結果、優しい味のこのシリーズのリピート率が高くなっています。

・使い捨てコップとフォーク(上記用)

・軽量電気ケトル
(ヤザワコーポレーション(Yazawa Corporation) トラベル 電気ケトル 0.5L TVR53WH ホワイト) 680g

お湯を沸かしお茶を煎れ、暖かい飲み物を部屋内で常備しておけば、体調維持に役立ちます。


・ウエットティッシュ

海外のレストランではオシボリはでてこないためと、アジアのレストランでは色々なものを拭く必要が時にあるためです。またコロナ以降はどの国でもレストランはタブレット注文が多くなりそれも拭きます。


・入浴剤

普段、長湯は全くしないものの、海外ではあえて持参し、長く湯に浸るためだけに入れます。海外では無意識に緊張し想像以上に疲れているため、湯船で全身を緩めリセットします。


・足裏クッション性の高い革製ミュール


BANANA REPUBLIC ボンドレザーミュール

空港の手荷物検査で靴を脱がされることが毎回ストレスになっている方は、着脱容易なミュールがお勧めです。
ミュールはホテル内ではそのまま室内履きにもなり大変便利です。

株式会社パコロアでは日本企業の海外展示会への出展支援を行っています。
「初めての海外出展でもしっかり準備して成功させたい!」とお考えの企業さまはぜひ株式会社パコロアまでお問い合わせください。

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延べ1900社以上の海外進出支援実績