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TIPSTIPS
global business challenge risk」

日本企業にとって、海外進出計画時に、海外ビジネスの難易度と投資リスクを事前に把握し、具体的にイメージしておくことは非常に重要です。

海外進出を始めたあとに予想以上の時間とリスク(コスト)に悩まされることが、実際のところ、大変多いためです。

海外進出におけるリスクについては、日本からの貿易である海外輸出より、海外拠点や店舗設立等の海外投資の方が当然に大きくなります。

理由は、初期投資額が大きいためと、途中からの方向転換が容易ではないため、です。

そして、海外ビジネスの進め方や難易度は、海外拠点の有無にかかわらず、対現地日系企業向けより、対海外ローカル企業向けの方が難しくなります。

海外市場でのルールに100%従わざるを得ないのか、海外市場であっても日本企業同士のビジネス常識が通用するのかで、ビジネス難易度が変わるためです。

海外進出形態別難易度(手間)投資リスク(コスト)マトリックス図

海外ビジネス形態の難易度(手間)と投資リスク(コスト)のマトリックス図を下記にまとめています。

「海外投資」で難易度とコストリスクが大きいものは、海外店舗設立、海外生産拠点設立です。

「海外輸出」で難易度とコストリスクの大きいものは、フランチャイズ販売やライセンス販売 及び、意外かもしれませんが、海外消費者への自社越境ECからの直接販売です。

越境ECは、越境EC専門会社へ、立ち上げ、システム導入、国際輸送、倉庫管理をワンストップで依頼することで仕組みを手に入れることができます。

短時間で海外進出できる方法のひとつですが、初期投資コストは数百万円と高めで、越境EC立ち上げ後の自助努力(海外向けSEO、海外向けSNS、海外向け広告のランニングコスト)も継続して必要になるため、事業としてはコストリスクは大きくなります。

海外ビジネス難易度の見極め方

ここからは、海外ビジネスの難易度と投資リスクを大まかに判断できる、4つのポイントをご紹介します。

難易度とリスクの両方が高い場合は、そのまま、お金も時間もかかる海外進出形態、となります。

まずは、4つのうち下記3つを確認していきます。

  1. その商品/サービスを買うお客さまはどこの国の人か? 
  2. 支払いを受ける会社はどこに拠点があるか? 
  3. (2)の会社は税金をどの国に支払うか?

この(1)(2)(3)に海外、海外、海外、と海外、が揃うほどに難易度やリスクは上がります。
「国内事業とは似て非なるもの」との認識が重要です。

一方で、顧客が日本企業の場合は難易度は下がりますが、海外、海外と続かず日本が多くなった場合は加えて下記もチェックして下さい。

(4)その事業の、(日本での)流通規制や法令は厳しく、新規参入は難しいか?

もし“難しい”、と言えそうであれば、海外でも同様なことが多く、難易度は低いではなく”高い”に変わります。

具体的に説明します。

インバウンド インテリア雑貨販売(難易度・投資リスク共に低い↓)

例えばインテリア雑貨店の、インバウンド訪日顧客への販売ですが、日本に旅行に来た海外居住のお客さまから、日本の会社がお金を受け取り、日本国へ納税します。

外国人向けではありますが、拠点は日本、納税も日本となり、日本が多いため難易度は低そうです。

念のため(4)をチェックします。

雑貨店の参入障壁は低いため、日本に来る外国人への接客が多言語で出来るようであれば、難易度も投資リスクも低いと言えます。

ベトナムへ投資 日本食レストラン出店 (難易度・投資リスク共に高い↑) 

日本食レストランをベトナムでオープンさせる場合はどうでしょうか。

ベトナムのお客さまへ、”日本の会社の”ベトナムの子会社店舗が、ベトナム国へ納税します。

ベトナム人、ベトナム拠点、ベトナムへ納税、と”海外”が3つ揃っていますので、入念な海外戦略が必要で難易度が高い海外ビジネスです。

アジアでの飲食店出店は、一見難易度が低く感じられるかもしれませんが、成功している日本企業は、綿密な出店計画のもと、難しい現地の労務管理を何とかコントロールしながら、さまざまな現地化を進め成功しています。

アメリカへ輸出 機械部品の現地日系企業販売(難易度・投資リスク共に低い↓)

機械部品を、日本国内でも取引のある在米日系企業へ輸出販売する場合は、どうでしょうか。

海外企業への輸出ではありますが、日本のビジネス常識が通じる日系企業ということもあり、難易度、投資リスク共に低いでしょう。

もし海外特有の取引上の難点(輸出入の規制や規格の非準拠、貿易書類不備、発注ミス、不良品交換等)が発生したとしても、両企業の本社が日本にあり、最終的には解決できる環境が期待できるためです。

英語でのやりとりにはなりますが、一般的には引き合い、見積、決済がスムースに進む場合が多いでしょう。

中東へ輸出 医療機器を現地企業販売 (高難易度・中リスク↑)

中東向けに医療機器を日本から輸出する場合はどうでしょうか。

海外企業へ、日本の会社が輸出し、支払いを受け、日本国へ納税しますので、海外、日本、日本、となり比較的難易度が低そうに思えます。

念のため(4)をチェックしますと、医療機器の流通規制や法令は日本においても大変厳しいですので、海外での新規参入壁も高そうだと判断できます。

従い、難易度は低いのではなく高いかもしれない、と予想できます。

実際に、医療機器の海外現地輸入規制、海外PL保険、中東における海外代理店との販売代理店契約の出口戦略(代理店との関係解消は全く容易ではない)等は事前に認識しておかねばならず、

輸出といえども、思わぬ費用や時間を要することがある点で、結論として難易度は高いと言えるでしょう。

ただ、参入障壁が高いとすればそれは他の海外競合企業にとっても同じですので、これを逆手にとらえ、海外進出の”絶好の機会”と見る戦略もあります。

まとめ

海外ビジネスの難易度とリスクを、海外進出前に日本企業が正確にイメージすることは、実際には難しいことですが、国際的なビジネス環境で成功するためには不可欠なステップです。

海外事業計画策定時には読めなかった、実務上のリスクは数限りなく存在しています。10年前のノウハウが役に立たない場面も年々増えています。

ネット上で収集できる情報だけで海外進出できれば、多くの日本企業がすでに海外進出していることでしょう。

現地に行き本当の話を聞けるまでの人間関係を築くこと、その方法は、日本企業の本気度や真剣さとバーターなのかもしれません。

海外市場でのビジネスチャンスを逃さないためにも、しっかりと海外ビジネスの難易度とリスクの理解を進め、成功する海外進出を目指してまいりましょう。

(株)パコロアでは、海外市場調査をアウトソースせず、自社にて汗をかきながら現地調査することで、事業計画策定、ビジネスモデルの修正、マーケティング戦略の一気通貫を実現するお手伝いを10年以上行っています。

具体的には海外市場調査をデスクワークで行った後、その企業に合った正しい仮説設定を行い、現地での調査項目にヌケモレがない設計支援を進め、海外F/S調査として直接現地に赴く方法にて、その企業の海外での事業可能性を見極めながら、海外進出支援をしています。

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