海外の企業から「見積書を送ってほしい」と言われたとき、英語でどう書けばいいのか迷う方は少なくありません。
日本語の見積書をそのまま英訳すれば通じると思われがちですが、英語圏では記載項目や表現、条件の示し方が異なります。
形式が整っていない見積書を送ってしまうと、信用面で不利になったり、思わぬトラブルにつながることもあります。
とはいえ、英語の見積書は特別なものではありません。
必要な項目と基本の表現を押さえておけば、海外取引を始めたばかりの企業でも自社で作成し、問題なく送付できます。
実際の現場では、完璧な英語よりも「分かりやすく、条件が明確に書かれていること」の方が重視されます。
この記事では、英語の見積書を作るための基本ステップ、必ず入れるべき項目、よく使う英語表現、そしてそのまま使える見積書サンプルと送付メール例までをまとめています。
海外企業からの見積依頼に、すぐ対応できる状態を目指して読み進めてみてください。
英語の見積書はこの3ステップで作れる
英語の見積書と聞くと、特別な書類のように感じるかもしれません。
しかし実務では、日本語の見積書と基本構造は大きく変わりません。
重要なのは、海外取引で求められる項目を押さえ、分かりやすい英語で整理して提示することです。
はじめて英語の見積書を作る場合は、次の3ステップで進めるとスムーズです。
ステップ1:必要情報を整理する
まずは、日本語の見積書と同じように、見積に必要な情報を整理します。
英語化はその後で問題ありません。
先に中身を固めておくことで、翻訳時のミスも防げます。
整理しておくべき主な情報は次の通りです。
- 商品名またはサービス内容
- 数量
- 単価
- 輸送料
- 合計金額
- 通貨(USD、EURなど)
- 納期
- 輸送条件
- 支払条件
- 見積の有効期限
この段階では、日本語でメモレベルにまとめておけば十分です。
いきなり英語で考えようとすると、作業が止まりやすくなります。
ステップ2:英語フォーマットに当てはめる
情報が整理できたら、それを英語の見積書フォーマットに当てはめていきます。
英語の見積書では、条件や前提を明確に書くことが重視されます。
例えば、日本語では口頭で伝えていたような内容も、英語では見積書内に明記するのが一般的です。
- 支払方法(Bank transfer など)
- インコタームズ(EXW、FOBなど)
- 納期の目安
- 有効期限
これらを英語で整理し、1枚の見積書としてまとめます。
ステップ3:英文メールで送付する
見積書が完成したら、英文メールに添付して送付します。
海外取引では、見積書単体ではなく、メール本文での簡単な説明も重要です。
一般的には、
- 見積書送付の案内
- 内容の簡単な説明
- 問い合わせ歓迎の一文
を添えるだけで十分です。長い文章を書く必要はありません。
この3ステップを押さえておけば、はじめての英語見積書でも、実務レベルで問題なく対応できます。
次の章では、実際に見積書に必ず入れるべき基本項目を整理していきます。
見積書でよく使う英語表現
英語の見積書では、難しい文章を書く必要はありません。
むしろ、誰が読んでも誤解のない、シンプルで定型的な表現が好まれます。
ここでは、見積書でよく使われる基本用語と表現を整理しておきます。
QuotationとEstimateの違い
英語で「見積書」を表す言葉には、主に Quotation と Estimate の2種類があります。
- Quotation
正式な価格提示という意味合いが強く、提示した条件での取引を前提とした見積 - Estimate
あくまで概算という意味合いが強く、金額が変動する可能性がある前提の見積
実務では、BtoB取引や正式な見積書として出す場合は Quotation を使うのが一般的です。
特に海外企業との初回取引では、Quotationと表記しておく方が安心です。
件名・表題の書き方
見積書のタイトルには、次のような表現がよく使われます。
- Quotation
- Price Quotation
- Sales Quotation
もっともシンプルなのは、書類の表題に Quotation とだけ記載する方法です。
また、メールの件名では次のような書き方が一般的です。
- Quotation for Product A
- Quotation No. Q-2026-001
金額・条件の定型表現
見積書内では、次のような表現がよく使われます。
合計金額
- Total Amount: USD 1,200
- Total: USD 1,200
有効期限
- This quotation is valid until 31 March 2026.
- Valid until: 31 March 2026
支払条件
- Payment terms: Bank transfer in advance.
- Payment: 100% in advance by bank transfer.
納期
- Delivery time: 3–4 weeks after order confirmation.
- Lead time: Approximately 30 days.
これらは、ほぼ定型表現としてそのまま使えるものばかりです。
難しい言い回しを考えるよりも、シンプルで分かりやすい表現を選ぶことが、海外とのやり取りでは重要になります。
次の章では、実際の英語見積書のサンプルを見ながら、全体の形を確認していきます。
そのまま使える英語見積書のサンプル
ここまでで、英語の見積書に必要な項目と基本表現を確認してきました。
次は、実際の見積書の形を見てみましょう。
英語の見積書は、日本語の見積書よりも項目が多く見えるかもしれません。
しかし実際は、「誰が見ても条件が分かるように整理している」だけで、特別に難しい書類というわけではありません。
特に海外取引では、輸送方法や支払条件、納期などを見積書の中で明確に示すことが一般的です。
こうした項目を最初から整理しておくことで、後のやり取りがスムーズになります。
最初の英語見積書では、テンプレートの構成に沿って項目を埋めていくだけでも、十分に実務で通用する形になります。
英文見積書例

画像の見積書テンプレートは、下記ページから無料でダウンロードできます。
見積書(Quotation)【英語・Excel】|海外進出で必要になる書類
特に押さえておきたいポイントは次の3点です。
・商品代金と輸送関連費用を分けて記載する
・通貨を必ず明記する
・支払条件と有効期限を入れる
この基本が押さえられていれば、海外向けの見積書として実務上は問題ありません。
日本語見積書との対応関係(用語の目安)
英語の見積書は特別な書類に見えるかもしれませんが、実際は日本語の見積書の項目を英語に置き換えたものに近い構造です。
主な対応関係は次の通りです。
見積書 → Quotation
見積番号 → Quotation No.
発行日 → Date
請求先 → Bill to
納品先 → Ship to
商品名 → Description
数量 → Quantity(Qty)
単価 → Unit Price
金額 → Amount
小計 → Sub total
合計 → Total
輸送費・保険料など → Freight, Packing, Insurance
支払条件 → Payment Terms
納期 → Delivery
通貨 → Currency
この対応関係を押さえておけば、日本語の見積書をベースに英語版を作ることも難しくありません。
次の章では、見積書を送付する際に使える英文メール例を紹介します。
見積書を送るときの英文メール例
英語の見積書は、書類だけを送るのではなく、簡単な英文メールを添えて送付するのが一般的です。
とはいえ、長い文章を書く必要はありません。
要点を押さえたシンプルなメールで十分に通用します。
ここでは、実務でそのまま使える基本の英文メール例を紹介します。
基本の送付メール例
件名:Quotation for Product A
本文:
Dear [First Name],
Thank you for your inquiry.
Please find attached our quotation for Product A.
If you have any questions, please feel free to contact us.
Best regards,
[Your Name]
[Your Company Name]
このメールでは、
- 見積書を送付すること
- 対象の商品
- 問い合わせ歓迎の一文
の3点だけを伝えています。
初回の見積送付であれば、この程度のシンプルな内容で問題ありません。
初回取引で丁寧に送りたい場合の例
件名:Quotation for Product A
Dear Mr. [Last Name],
Thank you very much for your inquiry.
We are pleased to submit our quotation for Product A as attached.
Please review the details, and let us know if you have any questions or requests.
We look forward to your feedback.
Best regards,
[Your Name]
[Your Company Name]
この例では、
- pleased to submit our quotation
- We look forward to your feedback
といった、少し丁寧な表現を使っています。
初めての取引先や、重要な商談の場合はこちらの表現が安心です。
フォローアップメールの例
見積書を送った後、しばらく返事がない場合は、軽くフォローのメールを送ることもあります。
件名:Follow-up on our quotation
Dear Mr. [Last Name],
I hope you are doing well.
We would like to follow up on the quotation we sent on 15 March.
Please let us know if you need any additional information.
Best regards,
[Your Name]
[Your Company Name]
英語の見積書送付メールでは、
- 短く
- 分かりやすく
- 丁寧に
の3点を意識すれば十分です。
難しい表現を使うよりも、シンプルで誤解のない文章の方が信頼につながります。
次の章では、英語圏での見積書の書き方や表現の違いについて簡単に触れておきます。
英語圏での見積書のやり取りに見られる実務上の違い
英語の見積書の基本構造はどの国でも大きくは変わりません。
ただし、実際のやり取りでは、地域によって「見積書に対する感覚」や「反応の仕方」に違いがあります。
ここでは、実務でよく見られる傾向を紹介します。
あくまで一例ですが、こうした違いを知っておくと、やり取りがスムーズになります。
アメリカ:シンプルだが、貿易条件は曖昧なことも多い
アメリカ企業とのやり取りでは、見積書そのものは非常にシンプルで、
- 商品名
- 数量
- 金額
- 納期
程度しか書かれていないケースも少なくありません。
一方で、意外と多いのが、
「この価格って、送料は入ってるの?」
「港まで?それとも自社倉庫まで?」
といった確認です。
つまり、見積書自体はシンプルでも、輸送条件や費用の範囲が曖昧なまま話が進んでしまうことがあります。
そのため、日本側としては、
- 商品価格
- 輸送料
- 支払条件
- 納期
を最初から整理して提示しておく方が、やり取りがスムーズになります。
アジアの一部地域:見積は「交渉のスタートライン」
アジアの一部地域では、見積書は
「この価格で決まり」ではなく、
「ここから交渉を始めよう」
という意味合いで使われることもあります。
実際には、
- もう少し下がらないか
- 数量を増やしたらどうなるか
- 支払条件を変えられないか
といった相談が続くことが珍しくありません。
このようなケースでは、最初から
- 商品価格
- 輸送料
- 合計金額
を分けて提示しておくと、どこを調整するのかが明確になり、交渉が進めやすくなります。
ヨーロッパ:条件が整っていれば話が早い
ヨーロッパの企業とのやり取りでは、
- 支払条件
- 納期
- 輸送条件
- 有効期限
などがきちんと書かれていれば、比較的スムーズに話が進むケースが多く見られます。
逆に言えば、こうした条件が書かれていないと、
- 有効期限はいつまで?
- 支払条件は?
- どこまでの価格?
と、細かい確認が続くことになります。
テンプレートに沿って基本項目をきちんと記載しておけば、余計な往復が減り、商談が前に進みやすくなります。
英語の見積書は、形式そのものよりも「条件がはっきりしているかどうか」が重要です。
まずは基本フォーマットを押さえ、相手の反応を見ながら少しずつ調整していくのが、海外取引では現実的な進め方と言えます。
英語の見積書で迷ったら、ご相談ください
英語の見積書は、単なる翻訳作業ではありません。
価格の考え方、支払条件、輸送方法、契約の流れなど、海外取引全体の設計がそのまま表れる書類です。
実際の現場では、
- 見積書の書き方は分かったが、価格設定に自信がない
- 輸送料をどう扱えばよいか分からない
- 支払条件をどう提示すべきか迷っている
- 見積を出した後の流れが不安
といった相談がよくあります。
英語の見積書で手が止まる場合は、その前段階にある
- 取引条件の整理
- 価格の設計
- 海外営業の進め方
といった部分が曖昧になっていることも少なくありません。
パコロアでは、英語の見積書や書類作成だけでなく、海外進出の初期段階から実務に沿った支援を行っています。
自社に合った価格設計や、取引条件の整理、海外営業の進め方まで、担当者の方と一緒に整理していく形です。
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海外取引の状況をお聞きしたうえで、次に何を整理すべきかを一緒に確認していきます。