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日本と海外マーケティングの違い5つ|意思決定・広告・消費行動を比較

更新 2026年8月20日 公開 2025年6月30日
小川 陽子

著者紹介 :小川 陽子 (代表取締役)

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marketing differences overseas people smiling

日本と海外では、顧客の情報収集や購買行動、意思決定の進め方など、マーケティングの前提にさまざまな違いがあります。

ただし、「海外ではこうすれば売れる」という共通の正解があるわけではありません。

重要なのは、日本で当たり前に行っているマーケティングが、進出先でも同じように機能するとは限らない、と認識を持つことです。

この記事では、日本と海外のマーケティングで違いが表れやすい5つのポイントと、海外展開で日本企業が注意したい点を解説します。

日本と海外マーケティングの違い

日本と海外のマーケティングでは、特に次の5つの場面で違いが表れやすくなります。

  • 顧客が商品や企業を知る方法
  • 購入・取引前に確認する情報
  • 商品やサービスの価値の伝え方
  • 購入・取引を決めるまでのプロセス
  • 企業と顧客とのコミュニケーション方法

例えば、日本で実績のある商品でも、海外ではまだ商品そのものや企業名が知られていないため、まず「何に使えるのか」「どんなメリットがあるのか」から説明しなければならないことがあります。

また、日本では営業担当者から詳しい説明を聞いて比較検討する業界でも、進出先ではWebサイトやSNS、レビュー、動画などで候補企業を絞り込んでから問い合わせることもあります。

つまり、違うのは広告表現だけではありません。

「どこで知るのか」「何を知りたいのか」「何を比較するのか」「何が決め手になるのか」という、顧客が購入や取引に至るまでのプロセスそのものが異なる可能性があります。

そのため海外マーケティングでは、日本で成功した施策をそのまま展開するのではなく、まず進出先の顧客がどのように商品や取引先を探し、選んでいるのかを確認することが重要です。

なぜ日本企業は海外マーケティングでつまずくのか

海外マーケティングで難しいのは、日本でうまくいっている方法ほど、「これが普通だ」と思いやすいことです。

もちろん、海外では日本と違うことは誰でも知っています。

言語が違う。文化や商習慣が違う。生活習慣も違う。

そのため、翻訳やローカライズ、現地向けの商品仕様など、「違うと分かっている部分」については、多くの企業が対応しようとします。

難しいのは、「違うかもしれない」と思っていない部分です。

例えば、

  • 顧客はどのように商品や取引先を探すのか
  • 誰の意見が購入や取引の判断を左右するのか
  • 何が信用の根拠になるのか
  • どの程度の情報があれば問い合わせるのか
  • 誰から買うことに抵抗がないのか

こうしたことまで日本と大きく違う可能性がある、と最初から考える企業はそれほど多くありません。

海外とはいっても、同じ人間が生活し、企業が商売をしている市場です。

そのため無意識のうちに、「細かな違いはあっても、大枠は日本とそれほど変わらないだろう」と考えてしまいます。

すると海外マーケティングも、ゼロから市場の仕組みを確認するのではなく、日本で行っているマーケティングを土台にして、「海外向けに変えるところ」を探す進め方になりがちです。

しかし、本来確認すべきなのは「日本と何が違うか」だけではありません。

重要なのは、日本のマーケティングを海外向けに置き換えることではなく、

「この市場の顧客は、どこで自社を知り、何を比較し、何を理由に問い合わせや購入を決めるのか」

をゼロベースで一つずつ確認することです。

海外マーケティングでつまずく企業の多くは、施策そのものを間違えているというより、こうした基本的な確認をしないまま、日本での成功パターンを海外でも再現しようとしていることがあります。

海外マーケティングでよくある3つの失敗

海外マーケティングでは、商品そのものよりも、市場の捉え方や戦略上の判断が原因で、成果につながらないことがあります。

特に日本企業で起こりやすいのが、次の3つです。

1.現地で分かった事実を「自社の正解」だと思ってしまう

海外マーケティングを始めるとき、多くの企業はまず、

  • この国なら売れそう
  • この顧客層ならニーズがありそう
  • この価格なら受け入れられそう
  • この商品の強みが評価されそう

といった仮説を立てます。

問題は、仮説を立てることではありません。

まだ検証していない仮説を、そのまま「正解」として施策を進めてしまうことです。

実際に海外市場へ出てみると、

「想定していた顧客とは違う層から反応があった」
「強みだと思っていた機能には反応がなく、別の用途が評価された」
「市場はあるが、この価格では売れない」

といったことは珍しくありません。

海外市場は、自社にとって情報の少ない市場です。

だからこそ、新しく分かった事実をそのまま「新しい正解」として採用するのではなく、

  • なぜ最初の仮説は間違っていたのか
  • その背景には何があったのか
  • 他の仮説にも影響していないか
  • 新しく分かった事実は、自社にとって有利なのか不利なのか

まで掘り下げて、仮説そのものを組み直す必要があります。

例えば、「現地では低価格帯の方が売れる」と分かったとしても、自社がその価格で十分な利益を確保できなければ、それは市場についての正しい発見ではあっても、自社にとっての正しい戦略とは限りません。

その場合は、価格を下げる以外にも、狙う顧客を変える、用途を変える、販路を変える、あるいはその市場から撤退するなど、複数の選択肢を改めて検討する必要があります。

海外マーケティングで危ないのは、仮説が外れることではありません。

現地で見つけた「正解」を自社の正解だと思い込み、勝てない戦略に時間と予算を使い続けることです。

2.「国」を市場だと思ってしまう

海外マーケティングでは、「アメリカ市場」「中国市場」「ベトナム市場」のように、国単位で市場を捉えがちです。

しかし、同じ国でも、地域、所得、年齢、業界、商習慣などによって顧客の行動は大きく異なります。

特に日本企業が海外進出を検討するときは、

「アメリカでは○○が売れている」
「ベトナムでは若年層が増えている」
「欧州では環境意識が高い」

といった国単位の情報から、市場性を判断してしまうことがあります。

ところが、実際に商品を買うのは「アメリカ」でも「ベトナム」でもありません。

自社の商品を必要とし、その価格を受け入れ、その方法で購入できる具体的な顧客です。

さらにBtoBでは、同じ国でも業界によって商流や意思決定者、取引条件、求められる認証などが異なります。

海外市場を見るときに必要なのは、「その国に需要があるか」ではなく、「自社が取引できる顧客が、どこに、どれくらいいるのか」を確認することです。

3.「売れる市場」と「事業が成立する市場」を同じだと思ってしまう

海外で商品への反応が得られたり、実際に売れたりすると、「この市場はいける」と判断したくなります。

しかし、海外では、売れることと、事業として成立することは別です。

例えば商品には需要があっても、

  • 輸送費や関税を加えると利益が残らない
  • 現地で必要な認証取得に時間と費用がかかる
  • 代理店マージンを加えると価格競争力がなくなる
  • 小口注文ばかりで対応コストが高くなる
  • 契約、決済、アフターサービスの負担が大きい

といったことがあります。

反対に、最初の反応は小さくても、高単価で継続取引が見込めたり、既存の販売体制を活用できたりすることで、事業として成立しやすい市場もあります。

つまり海外マーケティングでは、「売れるか」を確認するだけでは不十分です。

売上から、その市場で取引を続けるために必要なコストと負担を引いた後でも、自社にとって事業を続ける意味があるのか。

そこまで確認して初めて、「進出すべき市場か」を判断できます。

海外マーケティングでは「何が違うか」を検証する

海外マーケティングでは、最初から海外市場の正解を知ることはできません。

だからといって、すべてを手探りで進める必要もありません。

まず確認したいのは、日本で成立している自社のビジネスのうち、海外市場では「何が同じで、何が違うのか」です。

例えば、

  • 誰が商品を必要としているのか
  • 何を理由に商品を選ぶのか
  • どこで商品や取引先を探すのか
  • 誰が購入・取引を決定するのか
  • どの価格なら購入されるのか
  • どのような販売経路なら取引できるのか
  • 購入後にどのような対応を求められるのか

こうした項目を一つずつ確認していくと、「日本と海外では違う」という大きなくくりではなく、自社の海外マーケティングで検証すべきポイントが見えてきます。

例えば、日本では営業担当者による詳しい説明が受注につながっていても、海外では営業担当者に会う前にWebサイトで候補企業から外されているかもしれません。

反対に、日本では価格競争が激しい商品でも、海外では納期や供給の安定性が評価され、価格以外の理由で選ばれる可能性もあります。

重要なのは、違いを見つけたときに、すぐ海外側へ合わせることではありません。

その違いが、

「自社が変えるべき部分なのか」
「むしろ自社の強みとして残すべき部分なのか」
「変えると事業そのものが成立しなくなる部分なのか」

まで考える必要があります。

海外マーケティングとは、日本のやり方を海外仕様に変更する作業ではありません。

自社のビジネスを構成している前提を一つずつ海外市場に照らし合わせ、どこまでなら変えられるのか、どこからは変えるべきではないのかを判断していく作業でもあります。

日本と海外の違いを、自社の市場に当てはめて考える

ここまで見てきたように、日本と海外のマーケティングにはさまざまな違いがあります。

しかし、「海外ではこうする」「日本とはここが違う」という一般論を知るだけでは、自社の海外マーケティング戦略は決まりません。

同じ国でも、商品、顧客、価格帯、業界、販売方法によって市場は異なります。

さらに、現地で分かった事実が、そのまま自社にとって採用すべき正解になるとも限りません。

だからこそ海外マーケティングでは、

  • 日本で成立している自社のビジネスの前提は何か
  • そのうち、海外でも変わらないものは何か
  • 海外では変える必要があるものは何か
  • 変えることで、自社の強みや利益を失わないか
  • 売れるだけでなく、継続して事業として成立するか

まで確認しながら進めることが重要です。

海外マーケティングとは、「海外で売れる方法」を探すことだけではありません。

自社が持っている強みや事業の条件と、現地市場で分かった事実を照らし合わせながら、「この市場で自社はどうすれば勝てるのか」を探していく作業です。

そのため、海外向けの広告、Webサイト、展示会、代理店開拓など、個々の施策を始める前に、自社がどの市場を狙い、誰に、何を、どのような方法で届けるのかを整理しておく必要があります。

BtoB企業の海外マーケティングについては、具体的な進め方をこちらで整理しています。

海外BtoBマーケティングの進め方|中小企業でも成果が出る戦略と実践ステップ

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小川 陽子

著者紹介 :小川 陽子 (代表取締役)

英語英文学科を卒業後、中小メーカーの国際部で海外営業に従事後独立。27年以上にわたり、1,900社以上の中小企業の海外展開を支援。国際化支援アドバイザー、海外販路開拓アドバイザー、中小企業アドバイザー(経済産業省系組織)としても活動。

これまでに35カ国での商談・出展・調査を経験。支援対象は製造・小売・サービス・BtoB・BtoC・DtoCなど多岐にわたり、海外投資・輸出・輸入・展示会・海外SEOなど幅広く対応。

「海外進出は"急がば回れ"。場当たりではなく、"自走できるチカラ"を社内で育て、未来の世界市場で誇れる一社を目指して——今日も中小企業の現場で伴走支援を続けています。」

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