海外向けに販売したい。
しかし、
・展示会へ出展した
・英語サイトを作った
・海外企業から問い合わせが来た
にもかかわらず、
「思ったように進まない」
「受注につながらない」
という企業は少なくありません。
現在では、海外展開の情報はAIやインターネットから簡単に入手できます。
それにもかかわらず、なぜ海外事業化できないのでしょうか。
本記事では、その理由について整理します。
海外向けに売りたい企業ほど、「やること」が増えていく
海外向けに販売したいと考えたとき、多くの企業はまず「どの国で売るか」「どのように販路開拓するか」を考えます。
しかしそれを始めようとした途端、多くの検討事項が発生します。
例えば、
- 海外顧客への営業は、どこをどう変えるべきか
- 英語でどのように伝えるのが受注への最短距離か
- どのような問い合わせには対応し、どこまでリスクを取るのか
- 契約や知的財産はどう考えるのか
- 国内業務と海外業務をどう兼務するのか
などです。
さらに、
- 展示会へ出展する
- 英語サイトを作る
- 代理店を探す
- 海外企業からの問い合わせへ対応する
といった活動が始まると、やるべきことはさらに増えていきます。
海外進出では、「何をすれば良いか分からない」というよりも、
「未経験の海外取引について、前例もない中で次々に判断し、意思決定していかなければならないこと」の方が大きな課題です。
しかも、それぞれを間違えずに進めながら、全体を正しい方向へつなげていく必要があります。
これは、海外展開が初めての企業にとって、非常に難しいことです。
そして、やるべきことはそれぞれが独立した問題ではなく、すべてが複雑につながっています。
そのため、一つずつ対応しているつもりでも、次第に、「全部やっているのに、なぜか前へ進まない」という状態になっていきます。
AIが答えを教えてくれるのに、自社だけでは事業化できない理由がある
近年、海外展開に関する情報そのものは簡単に手に入るようになりました。
AIに質問すれば、
- どの国が有望か
- 展示会では何を準備すべきか
- 代理店契約で注意する点は何か
- 海外向けWebサイトでは何を掲載すべきか
といった情報は、すぐに得ることができます。
つまり、多くの企業にとって、「情報がないこと」そのものが問題ではなくなってきています。
それにもかかわらず、なぜ海外事業化はなかなか進まないのでしょうか。
海外では、案件ごとに判断すべきことが大きく異なる
海外では、
- 顧客の理解度が異なる
- 顧客が求める情報のフェーズが異なる
- 問い合わせの目的や温度感が異なる
- 取引の進め方や意思決定プロセスが異なるため
国内で上手くいった方法をそのまま応用できる場面は限られます。
特に、
- 説明が必要な商材
- 高額商材
- ニッチ商材
- 新市場を作る商材
では、少なくとも、海外展開の初期段階で、海外販路開拓をテンプレ化することは困難です。
- 何をどこまで説明するのか
- 何を先に伝えるのか
- どのタイミングで提案するのか
- どこまでリスクを取るのか
を、案件ごとに判断しながら正解を積み上げていく必要があるためです。
つまり海外では、「何を売るか」と同時に、「誰に、何を、どの順番で、どのように伝えるか」が非常に重要になります。
一つずつ正しく見えても、全体ではつながらなくなる
海外進出では、展示会、Web、契約、知財、営業資料、価格設定など、それぞれを同時並列で進めることが少なくありません。
しかし海外事業では、それぞれが密接につながっています。
例えば、
- ターゲットが変われば、展示会の目的も変わる
- 提案内容が変われば、Webサイトで伝える内容も変わる
- 海外企業への説明方法が変われば、営業資料や英語テンプレも見直す必要がある
つまり、一つの改善や変更が、他の施策にも相互に影響を与えていきます。
そのため、
- 社内体制づくり
- 知的財産管理
- 契約整備
- リスク管理
- ブランド構築
- 営業フロー
などを含め、全体を俯瞰して調整・リスク管理していかなければ、
- 重複作業
- 手戻り
- 判断のやり直し
は自然に増えていきます。
「いろいろ取り組んでいるのに、海外取引がつながらない」、「全部やっているのに、何かが噛み合わない」という状態は、海外事業全体を一度整理し直すべきサインなのです。
AIで海外業務を進めるためにも、最初の基盤設計が必要
今後、AIの進化によって、海外営業はこれまで以上に身近になっていきます。
英文メールの作成や翻訳だけでなく、オンライン商談の同時通訳、議事録作成、顧客対応、営業資料の作成なども、以前ほど大きな負担ではなくなっていくでしょう。
しかし、AIが効率化できるのは、主に「決められた業務を速く処理すること」です。
- どの方法で進めれば、限られた予算で成果につながるのか
- 顧客ごとに、何をどこまで説明し、何を説明しないのか、その理由
- どの案件なら受けるべきで、どの案件は断るべきなのか、その判断基準
- 契約、知財、法規制、品質保証などのリスクを、どの段階でどこまで許容するのか
- Web、展示会、営業資料、代理店開拓を、どの順番でどのように整備するのか、その理由
- 海外案件が増えたときに、自社だけで継続的に運営できる仕組みをどう作るのか
といった、海外事業の初期段階に必要な基盤設計までを、AIだけで決めることはできません。
反対に、こうした判断基準や営業フローが最初にしっかり整理されていれば、その後はAI翻訳やAI通訳、営業支援ツールなどを活用しながら、これまでよりも速く、少ない負担で海外業務を進めやすくなります。
今後は、「相手が何を言っているか分からない」という課題は大きく減っていくでしょう。
一方で、「何を追加で説明すべきか」「どこまで対応すべきか」「どの進め方が自社にとって最適なのか」といった、
『言葉は分かるのに、どう判断すればよいか分からない』という課題こそが、今後の海外事業化における新たな壁になっていくと考えられます。
英語が分かることと、英語でビジネスができることは同じではありません。
AIが進化するほど、この違いはより明確になっていくでしょう。
つまり、これからの海外事業では、「英語ができること」以上に、「何を判断すべきかを整理できていること」が重要になっていくのです。
社内だけでは整理できないことが次々に発生する
海外事業では、「海外向けに売りたい」という一つの目的に対して、日々さまざまな判断が発生します。
例えば、
・この問い合わせは本当に受けるべきなのか
・受けるメリットとデメリットは何か
・この製品やサービスのままで良いのか、改良すべきなのか
・この代理店と進めるべきなのか
・価格はもっと上げるべきなのか
・どこまでリスクを取るべきなのか、それはなぜなのか
といったことです。しかも、これらの判断には正解がありません。
同じような案件に見えても、企業、国、タイミングによって自社にとっての最適解は変わります。
そのため、国内事業のように、「前回と同じように進めればよい」という判断基準が作りにくいのです。
そして、一つ判断すると、また次の新しい判断が発生します。
その繰り返しです。
つまり海外事業では、やることが多い、と同時に、判断材料が少ない中で意思決定しなければならないことも非常に多いのです。
結果として、社内だけでは全体を正確に把握しきれなくなり、社長一人に判断が集中したり、案件ごとに毎回対応が止まってしまうことが常態化していきます。
判断できない場合、海外案件は止まる
海外事業では、判断を間違えることもあります。
しかし実際には、判断できないことによって止まるケースの方が多く見られます。
例えば、
- 問い合わせへの返信内容が決まらない
- どこまで提案するべきか決まらない
- 価格をどこまで変更するべきか決まらない
- 次に何を優先すべきか決まらない
その結果、返信が遅れたり、社内で何度も検討を繰り返したり、最終的に案件自体を見送ってしまうこともあります。
また、判断そのものを誤った場合も、海外案件は停滞します。
例えば、十分に情報を整理しないまま代理店契約を進めてしまう。
あるいは、過度にリスクを恐れ、本来進められた案件まで止めてしまう。
その結果、問い合わせ対応が止まり、次の施策も決まらなくなります。
「進んでいるようで進まない」ーーーいいえ、実際には止まっています。
本来であれば、別の進め方があったかもしれない案件だからです。
間違いを自社だけで自覚し、是正することは困難
さらに難しいのは、自社だけでは、その間違いに気付きにくいことです。
海外事業では、間違った方向へ進んでいても、そのリスクが社内からは見えにくいことがあります。
そのため、
- 海外だから難しい
- タイミングが悪かった
- 相手企業の問題だった
と考え、本当の原因に気付かないまま、同じ失敗を繰り返してしまうことがあります。
また、
- 問い合わせが来ない理由
- 提案が刺さらない理由
- 海外企業が何に不安を感じているのか
- 今、本当に優先すべきことは何なのか
こうしたことも、自社だけでは客観的に判断することが難しいところです。
もし自社だけで正しく判断し、軌道修正できるのであれば、そもそも海外事業は止まっていません。
だからこそ、海外が止まる時、失敗する時には、「外部から客観的に全体を見る存在」が必要になるのです。
海外案件が止まる時、「海外事業を育てるOJT支援」がある
海外事業では、情報を集め続けることよりも、何を優先し、どう判断し、どのタイミングで行動するかの方が重要になります。
しかし実際には、経営者一人だけで判断していたり、担当者が他業務と兼務していたりする企業も少なくありません。
その結果、
- 判断が遅れる
- 方針がブレる
- 案件が止まる
という状態になっていきます。
海外事業が止まる時必要なのは「更なる情報」ではなく「まずは決めて正しく行動する」ためのサポートです。
つまり、
- 何を優先するべきか
- どこまでリスクを取るべきか
- 今、実はどういう状況なのか
- 次に何をするべきか
を、一緒に根拠をもって整理できる存在、「海外事業のOJT支援」が必要です。
「海外事業のOJT支援」があることで、
- 社内だけでは気付かなかった課題が見える
- 優先順位が整理される
- 部分最適ではなく全体最適で考えられる
- 毎日の判断が早くなる
ようになります。
そして、その積み重ねが、「海外案件」を、「海外事業」へ変えていきます。
「海外事業のOJT支援」を投入することは、丸投げすることが目的ではありません。
本来は、判断基準や考え方を社内へ蓄積し、少しずつ会社の力に変えていくことが重要です。
時間はかかりますが、長期的に海外事業を継続したい企業にとっては、会社そのものを強くする取り組みにもなります。
パコロアの日々のOJT型伴走支援
ここまで読んで、「海外事業のOJT支援という考え方は分かった。でも、実際には何をしてもらえるのか?」と思われた方も多いかもしれません。
パコロアは、
海外営業代行会社でも、
翻訳会社でも、
Web制作会社でもありません。
また、単発でアドバイスを行うスポットコンサルや、展示会だけに同行するアドバイザーとも少し異なります。
パコロアが行っているのは、海外事業のOJT型伴走支援として、日々発生する課題や判断を整理しながら、実務を一緒に進めていくことです。
例えば、実際にはこのようなご相談があります。
海外販路開拓をゼロから行いたい
【海外事業OJT支援】
- どの国を優先すべきか理由を説明
- どの販路開拓手法が自社に合うか整理
- 競合状況や市場性の調査支援
- 海外展示会、代理店、Web、越境ECなど複数手法を比較
- 予算別販路開拓方法の提案
- ターゲット顧客と提案内容を整理
- 実行スケジュールを作成、2週間ごとのToDo追加
- 海外事業化までのロードマップを整理
【社内だけで進める場合】
- とりあえず展示会へ出展する
- 英語サイトだけ先に作る
- 代理店探しから始める
- 何から手を付ければ良いか分からず止まる
- 施策同士がつながらない
海外企業から前例のない問い合わせが来た
【海外事業OJT支援】
- 問い合わせの目的をまず読解、仮説立案
- どこまで情報を出すべきか整理
- 複数の提案、アプローチ、着地を想定、比較
- リスクと受注可能性を整理
- 英文メール作成支援
【社内だけで進める場合】
- 返信が遅れる
- とりあえずYesと言ってしまう
- 社内だけで判断できず案件が止まる
海外企業から複数の問い合わせが同時に来た
【海外事業OJT支援】
- 優先順位を理由と共に整理
- 国ごとの対応方針を提案
- 必要な情報量や説明順序を整理
- 初回対応メールを個別に設計
【社内だけで進める場合】
- 全て同じテンプレで回答
- 情報不足のまま商談が止まる
- 受注につながらない
Web会社や広告会社から海外向け提案が届いた
【海外事業OJT支援】
- 提案のメリット・デメリット整理
- 他施策との優先順位、相場観を整理
- 代替案、次フェーズ実施との比較検討
- 海外営業全体との整合性と相乗化支援
【社内だけで進める場合】
- 提案された施策を順番に実施
- 重複作業や手戻りが増える
- 成果とコストの客観的検証が遅れる
- 全体最適が崩れる
契約書や海外パートナーとの条件調整が必要になった
【海外事業OJT支援】
- 潜在論点抽出、顕在論点整理
- リスクの整理とその理由の説明
- 弁護士へ確認すべき事項の整理
- 社内判断材料の準備
【社内だけで進める場合】
- 必要以上に慎重になり案件が止まる
- 逆にリスクに気付かず進めてしまう
英語資料やテンプレートを作りたい
【海外事業OJT支援】
- 翻訳からではなく、日本語原稿から全て見直し
- 海外企業が知りたい順番へ構成変更
- 不足情報の整理とリライト・補完
【社内だけで進める場合】
- 日本語をそのまま英訳
- 何を売りたい会社か伝わらない
- 問い合わせにつながらない
「海外案件」を「海外事業」へ育てたい
これら以外にも、
- 現地輸入規制への対応
- 特許・商標など知的財産の整理
- 海外向け新事業のビジネスモデル構築
- 海外事業全般のリスク管理整備
- 貿易実務
- 異文化対応
- 海外マーケティング・ブランディング
- Webマーケティング・SEO対策
- 海外展示会やFS(フィージビリティスタディ)
など、中小企業が海外展開する際に必要となる幅広いテーマを毎日ご支援しています。
このように、海外事業では、大きな戦略だけでなく、毎日の小さな判断の積み重ねが非常に重要になります。
そして、その判断を積み重ねていくことで、単発の「海外案件」が、少しずつ「海外事業」へ育っていきます。
パコロアは、助言と情報提供のみの一般的なコンサルタントではなく、海外事業化を、社外参謀として実務支援しながら一緒に進めていく会社です。
こんな企業様からご相談いただいています
パコロアには、「海外向けに売りたい。しかし、社内だけでは事業化が難しい」と感じ始めた企業様からご相談をいただくことが多くあります。
例えば、
- 海外向けに販売したいが、何から始めれば良いか分からない
- 自社の商品やサービスが、そもそも海外事業として成立するのか相談したい
- 社内に海外事業を担う人材がいないが、今から何か準備を始めたい
- 海外案件が少しずつ増えてきたが、社内体制が追いついていない
- 海外から問い合わせは来るが、何をどこまで提案すべきか判断できない
- 社長一人に海外案件が集中している
- 地震や噴火などの災害リスクに備え、BCP・BOPの一環として海外展開を検討したい
- 社内に海外展開賛成派と反対派がおり、まずは海外展開について社内理解を深めたい
- 相談先が多すぎて、全体を整理できる人がいない
- 海外事業部の外部メンバーとして伴走してほしい
こうした企業様は、情報が足りないのではなく、「今の進め方で本当に良いのか」という確信が持てない状態になっています。
海外事業では、大きな失敗をする前に、「今、どこで止まっているのか」「それはなぜか」を整理することが非常に重要です。
もし、「進んでいるようで進まない」「いろいろ取り組んでいるのに事業にならない」と感じている場合は、社内だけで抱え込まず、一度全体を整理してみることをおすすめします。
まずは、自社の海外事業の現在地を整理してみませんか?
海外向けに売りたい。
しかし、
何から始めれば良いのか、
どこで止まっているのか、
それが分からない。
そのような企業様向けに、海外事業化の判断整理ガイドやホワイトペーパーをご用意しています。
また、30分の無料相談もご用意しております。
「何が問題なのか分からない」という段階からでも、お気軽にご相談ください。
本記事は、海外展開を検討する際の考え方を整理する「判断整理ガイドシリーズ」の1つです。ご関心に合わせてご覧ください。
【判断整理ガイド①】 海外進出を検討するとき、中小企業は何から整理すべきか
【判断整理ガイド②】 海外展開はなぜ「進んでいるのに進まない」状態になるのか
【判断整理ガイド③】 なぜ海外展開できる会社とできない会社があるのか
【判断整理ガイド④】 海外向けに売りたい。でも、社内だけでは事業化できない