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海外メールで誤解される日本語10選|ヒアリング・すり合わせが通じない理由

更新 2026年3月12日 公開 2026年3月14日
小川 陽子

著者紹介 :小川 陽子 (代表取締役)

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Typing a business email on a laptop representing overseas communication

海外企業とのメールで、こんな経験はないでしょうか。

「ヒアリングします」
「社内で確認します」
「すり合わせが必要ですね」

日本企業では当たり前に使われているこれらの言葉が、海外の相手には正しく伝わらず、思わぬ誤解やトラブルにつながることがあります。

実際、海外ビジネスで起きるメールの行き違いは、英語力そのものよりも、日本語の曖昧さが原因になっているケースが少なくありません。

たとえば、日本語では自然な「対応します」という表現も、英語にすると「いつ、誰が、何をするのか」が不明確になり、相手が期待する行動とズレてしまうことがあります。

その結果、

・依頼したはずの作業が進んでいない
・相手が違う理解をしている
・商談の前提が食い違う

といった問題が起きることも珍しくありません。

この記事では、海外企業とのメールで誤解されやすい日本語表現を10個取り上げ、それぞれ「なぜ通じないのか」「どう書けば誤解を防げるのか」を具体例とともに解説します。

英語力よりも重要なのは、海外に伝わる文章の構造です。

海外メールでトラブルを防ぐために、日本企業がまず見直すべき日本語の書き方を整理していきます。

海外メールでトラブルが起きる本当の原因

海外企業とのメールでトラブルが起きると、多くの日本企業は「英語力が足りない」と考えます。

しかし実際の海外ビジネスでは、英語そのものよりも別のところに原因があるケースが少なくありません。

例えば次のような状況です。

・依頼した内容が伝わっていない
・相手が違う理解をしている
・商談の前提が食い違っている

こうした問題が起きたとき、日本側は「英語が間違っていたのではないか」と考えがちです。

しかし実際の原因は、英語ではなく日本語の文章にあることが多いのです。

日本企業のビジネスメールでは、次のような表現がよく使われます。

確認します
対応します
検討します
調整します
進めます

日本人同士であれば、これらの言葉は文脈から意味を理解することができます。

しかし海外企業とのメールでは、こうした曖昧な表現が誤解の原因になることがあります。

さらに最近は DeepL や Google 翻訳などの翻訳ツールが普及し、日本語の文章をそのまま英語に変換するケースも増えています。

翻訳ツールは便利ですが、日本語が曖昧なまま翻訳すると、その曖昧さもそのまま英語に変換されてしまいます。

その結果、

「英語としては正しいが、意味が伝わらない」

というメールが生まれることがあります。

海外メールで起きるトラブルの多くは、英語の文法ではなく、日本語の文章構造に原因があります。

次の章では、日本企業がよく使うビジネス表現の中から、海外メールで誤解されやすいものを具体的に整理していきます。

海外メールで誤解される日本語10選

海外企業とのメールで、日本企業がよく使う表現の中には、そのまま英語に翻訳すると意味がズレてしまうものがあります。

特に日本語のビジネス表現は、動詞が抽象的で文脈に依存していることが多く、日本人同士では問題なく通じても、海外企業とのメールでは誤解の原因になることがあります。

ここでは、海外ビジネスの現場で実際によく使われている日本語表現の中から、誤解が起きやすいものを10個整理します。

ヒアリング

日本企業では営業活動の中で「ヒアリングする」という言葉がよく使われます。

日本語では
顧客の要望
課題
条件
などを聞き出す営業プロセスを意味します。

しかし英語の hearing は、次のような意味になります。

・裁判や行政手続きの公聴会
・公式な意見聴取
・審理

つまり、営業活動のニュアンスとはまったく違います。

海外企業とのメールでは、次のような表現が自然です。

discuss your requirements
understand your requirements
review your requirements

対応します

日本語のビジネスメールで最も便利に使われる言葉の一つが「対応します」です。

しかし英語には「対応する」という万能の動詞はありません。

状況によって意味が分かれるため、具体的に書く必要があります。

例えば次のような違いがあります。

handle this
arrange this
prepare this
fix this
check this

日本語の「対応します」をそのまま英訳すると、相手は「何をするのか」が分からないことがあります。

確認します

日本語の「確認します」は非常に便利ですが、英語では意味が大きく変わる表現です。

英語では次のように動詞を使い分けます。

confirm
事実を確定する

check
調べる

verify
証明する

review
内容を確認する

日本語の「確認します」はこれらすべての意味を含んでいるため、英語では毎回動詞を選び直す必要があります。

検討します

日本語では「検討します」は前向きな意味にも、やんわり断る意味にも使われます。

しかし英語の consider は、基本的に「本当に検討する」という意味になります。

そのため断りのニュアンスで使うと誤解されることがあります。

例えば、すぐに結論が出ない場合は次のような書き方が自然です。

We will review internally.

アサイン

日本企業では「担当をアサインします」という言い方をよくします。

英語の assign は内部の管理用語として使われることが多く、顧客との会話ではあまり自然ではありません。

海外企業とのメールでは、次のような表現の方が分かりやすくなります。

A will handle this project.
A will be in charge of this.

アジェンダ

日本企業では「会議の内容説明」という意味でアジェンダという言葉を使うことがあります。

しかし英語では agenda は単なる議題リストを意味します。

例えば英語のアジェンダは次のような形式です。

Agenda
1 Project update
2 Budget discussion
3 Next steps

共有します

日本語の「共有します」も非常に広く使われる言葉です。

しかし英語では「共有する」内容によって動詞を変える必要があります。

例えば

share
send
provide
update

など、状況によって適切な動詞を使います。

調整します

日本語の「調整します」は、予定を合わせる場合にも条件を整える場合にも使われます。

しかし英語では意味が分かれるため、具体的に書く必要があります。

schedule
arrange
coordinate

すり合わせ

「すり合わせ」は日本企業特有の表現です。

お互いの考えを調整し、認識を一致させることを意味しますが、英語ではほぼ同じ概念の言葉はありません。

そのため次のような表現で説明する必要があります。

align
agree on
discuss details

進めます

日本語の「進めます」も非常に曖昧な言葉です。

英語では何をするのかを具体的に書く必要があります。

例えば

proceed with
start
continue
prepare

など、実際の行動に合わせて動詞を選びます。

ここまで見てきたように、日本語ビジネス文章と英語ビジネス文章には次のような違いがあります。

日本語ビジネス文の特徴

・動詞が抽象的
・文脈依存
・曖昧でも成立する

英語ビジネス文の特徴

・動詞が具体的
・行動が明確
・誰が何をするかを書く必要がある

海外企業とのメールでは、英語をきれいに書くことよりも、行動が明確な文章にすることの方が重要です。

次の章では、なぜこのような和製ビジネス英語が海外で誤解されやすいのか、その理由を整理します。

なぜ和製ビジネス英語は海外で誤解されるのか

前の章で見たように、日本企業が日常的に使っているビジネス表現の中には、そのまま英語にすると意味が大きく変わってしまうものが少なくありません。

ここで重要なのは、これは単なる英語力の問題ではないということです。

実際には、次の3つの要因が重なって誤解が生まれています。

翻訳ツールに頼りすぎてしまう

最近は DeepL や Google 翻訳などのツールが普及し、日本語の文章をそのまま英語に翻訳するケースが増えています。

しかし翻訳ツールは、日本語の意味が曖昧な場合でも、そのまま英語に変換してしまいます。

例えば次のような思考になりがちです。

日本語を書く

DeepLで英語にする

それが英語として正しいと思う

しかし実際には、

・主語がおかしい
・時制がおかしい
・行動が不明確

といった問題がそのまま残ってしまうことがあります。

翻訳ツールは便利ですが、日本語の構造そのものを直してくれるわけではありません。

メールの目的が整理されていない

海外企業とのメールで最も重要なのは、次の点です。

このメールで
相手に
何をしてほしいのか

つまり「行動」です。

しかし日本企業のメールでは、

状況説明
背景説明
前提共有

が中心になり、相手に求める行動が明確に書かれていないことがあります。

その結果、海外企業の担当者は次のように感じます。

「で、私は何をすればいいの?」

海外メールでは、文章の美しさよりも、行動が明確なことの方が重要です。

文化の違いを前提にしていない

日本のビジネス文章は、丁寧さや文脈を重視する文化があります。

例えば日本語では次のような書き方が自然です。

「当日は以下の点について重点的にお話させてください。」
(以下、2~3行の説明文が続く)

しかし英語圏では、次のように書く方が一般的です。

Agenda
1 Project update
2 Budget
3 Next steps

つまり、日本語の文章をそのまま英語にするのではなく、文化の違いを前提に書き方を変える必要があります。

このように、海外メールで誤解が生まれる原因は、

英語力
ではなく

翻訳AIの使い方
文章の目的 
文化の違い

にあることが多いのです。

次の章では、海外企業とのメールで誤解を防ぐための日本語の書き方を整理します。

海外メールで誤解を防ぐ日本語の書き方

ここまで見てきたように、海外メールで起きる誤解の多くは英語そのものではなく、日本語の書き方に原因があります。

つまり、英語を直す前に、日本語原稿の構造を変えることが重要です。

海外企業とのメールでは、次の3つのポイントを意識するだけでも、伝わり方は大きく変わります。

動詞を具体化する

日本語のビジネス文章では、動詞が抽象的なままでも成立します。

例えば次のような表現です。

確認します
対応します
検討します
進めます

しかし英語では、これらの表現は意味が曖昧になります。

例えば

確認します
→ check / confirm / review / verify

対応します
→ handle / arrange / prepare / fix

進めます
→ start / proceed with / prepare / continue

このように、英語では行動ごとに動詞を使い分ける必要があります。

そのため、日本語の段階で「何をするのか」を具体的に書くことが重要です。

例えば次のように書き換えます。

確認します
→ 内容をチェックします

対応します
→ 見積書を準備します

進めます
→ 次のステップを開始します

1文に1つの行動を書く

日本語のビジネス文章は、1文の中に複数の意味が入ることがあります。

例えば次のような文章です。

社内で確認のうえ、必要に応じて調整して進めます。

日本人同士であれば理解できますが、英語に翻訳すると行動が曖昧になります。

海外メールでは、行動を分けて書く方が伝わりやすくなります。

例えば次のように整理します。

社内で内容を確認します。
必要であればスケジュールを調整します。
その後、次のステップを開始します。

このように1文に1つの行動を書くことで、翻訳しても意味が崩れにくくなります。

誰が何をするのかを書く

海外企業とのメールでは、主語が非常に重要です。

日本語のビジネス文章では主語を省略することが多いですが、英語では誰が行動するのかを明確にする必要があります。

例えば次のような文章です。

見積書を確認のうえ対応します。

この文章では、誰が何をするのかがはっきりしていません。

海外メールでは、次のように書いた方が分かりやすくなります。

当社で見積書の内容を確認します。
その後、修正した見積書を送付します。

主語と行動が明確になることで、相手も次の行動を理解しやすくなります。

海外メールでは、英語を難しく書く必要はありません。

むしろ重要なのは、

動詞を具体化する
1文に1つの行動を書く
誰が何をするのかを書く

という構造です。

この3つを意識するだけでも、海外企業とのメールの伝わり方は大きく改善します。

次の章では、海外企業とのメールで実際に重要になる考え方として、英語力よりも重要な「メール構造」について整理します。

海外企業とのメールは英語力より構造

海外企業とのメールというと、多くの人は「英語が正しく書けるかどうか」が重要だと思いがちです。

しかし実際の海外ビジネスでは、英語の流暢さよりも、メールの構造の方が重要です。

海外企業の担当者がメールを読むとき、最初に確認しているのは次の2つです。

何をしてほしいのか
いつまでにする必要があるのか

つまり、相手の行動(アクション)です。

ところが日本企業のメールでは、結論よりもプロセスを先に説明する構造になっていることがよくあります。

その違いを具体例で見てみましょう。

日本企業にありがちな「プロセス優先」の構造(悪い例)

この構造では、メールを最後まで読まないと「相手に何を求めているのか」が分かりません。

Subject: Regarding the meeting and the next steps

Dear Mr. Smith,

Thank you very much for the meeting last week. It was a very productive time for us.

After the meeting, we had an internal discussion with our engineering team and marketing department regarding your proposal. We carefully reviewed the specifications and the budget you provided.

As a result of our consideration, we found that some points need to be clarified before we move to the next stage. Specifically, we are concerned about the lead time and the maintenance cost.

Therefore, could you please provide us with a revised quotation by this Friday?

Best regards,

【和訳】

件名:先日の会議と今後のステップについて

スミス様

先週はお打ち合わせのお時間をいただきありがとうございました。
大変有意義な時間となりました。

会議の後、御社のご提案について当社のエンジニアリングチームおよびマーケティング部門で社内検討を行いました。
ご提示いただいた仕様および予算についても慎重に確認いたしました。

検討の結果、次のステップに進む前にいくつか確認すべき点があることが分かりました。
特にリードタイムとメンテナンス費用について懸念があります。

つきましては、金曜日までに修正見積書をご提出いただけますでしょうか。

【この構造の問題】

結論が最後
4段落目まで読まないと「見積書の再提出」という目的が分からない。

自分たちの事情が長い
「社内で検討した」という説明は日本では丁寧ですが、相手の行動には直接関係がありません。

重要情報が埋もれる
「金曜日まで」という期限が最後に出てくるため、読み飛ばされる可能性があります。

海外企業が求める「アクション優先」の構造(良い例)

海外メールでは、構造を逆にします。

最初に「何をしてほしいのか」を明確にします。

Subject: Action Required: Revised Quotation for Project X (Due March 20)

Dear Mr. Smith,

Please provide a revised quotation by Friday, March 20.

We reviewed your proposal and need more details on the following two points:

Lead time: Can it be shortened by two weeks?

Maintenance cost: Is the annual fee included?

Your quick response will help us finalize our internal approval.

Best regards,

【和訳】

件名:対応依頼:Project Xの見積書修正(3月20日まで)

スミス様

3月20日(金)までに修正見積書をご提出ください。

ご提案内容を確認した結果、次の2点について詳細が必要です。

リードタイム
2週間短縮することは可能でしょうか。

メンテナンス費用
年間費用は含まれていますか。

ご回答をいただければ、当社の社内承認を進めることができます。

【この構造のポイント】

件名で内容が分かる
「Action Required」と期限を書くことで、メールの目的が一目で分かります。

1行目で結論を書く
まず「何をしてほしいのか」を伝えます。

理由は後に置く
なぜそれが必要なのかは、その後に補足します。

行動が明確
質問は箇条書きで整理し、相手がすぐ対応できる形にします。

日本語と海外ビジネス文章の構造の違い

この違いを整理すると、次のようになります。

日本語の文章構造
起 → 承 → 転 → 結

海外ビジネスメールの構造
結 → 理由 → 詳細

日本語の文章では、背景説明から入り最後に結論を出すことが多くあります。

しかし海外ビジネスでは、最初の数秒で自分のタスクが理解できる文章が好まれます。

悪い例では、相手は

「結局、何をすればいいのだろう?」

と思いながらメールを読み進めることになります。

一方、良い例では最初の一行で行動が分かるため、返信のスピードが大きく変わります。

これが、英語の流暢さよりも重要な「メール構造の違い」です。

海外メールでは、英語を上手に書くことよりも、相手がすぐ理解できる構造で書くことの方が重要です。

そのためには、翻訳の前に日本語の文章を整理することが欠かせません。

海外メールは英語より「構造」を整えることが重要

海外企業とのメールというと、「英語が正しく書けるかどうか」を心配する方が多くいます。

しかし実際の海外ビジネスでは、英語の文法よりも重要なのはメールの構造です。

海外メールで誤解が生まれる原因の多くは、英語ではなく日本語の書き方にあります。

日本語のビジネス文章には、次のような特徴があります。

・動詞が抽象的
・主語を省略する
・文脈に依存する

一方、英語のビジネスメールでは次の点が重要になります。

・動詞を具体化する
・1文に1つの行動を書く
・誰が何をするのかを明確にする

つまり、英語を直すよりも、日本語の段階で文章構造を整理することが、海外メールの誤解を防ぐ最も効果的な方法です。

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小川 陽子

著者紹介 :小川 陽子 (代表取締役)

英語英文学科を卒業後、中小メーカーの国際部で海外営業に従事後独立。27年以上にわたり、1,900社以上の中小企業の海外展開を支援。国際化支援アドバイザー、海外販路開拓アドバイザー、中小企業アドバイザー(経済産業省系組織)としても活動。

これまでに35カ国での商談・出展・調査を経験。支援対象は製造・小売・サービス・BtoB・BtoC・DtoCなど多岐にわたり、海外投資・輸出・輸入・展示会・海外SEOなど幅広く対応。

「海外進出は"急がば回れ"。場当たりではなく、"自走できるチカラ"を社内で育て、未来の世界市場で誇れる一社を目指して——今日も中小企業の現場で伴走支援を続けています。」

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