海外に商品やサービスを販売したいと考えたとき、多くの中小企業が最初に直面するのが「海外パートナーをどう見つけるか」という課題です。
実際に、海外企業と出会う方法は一つではありません。
海外展示会、海外バイヤー商談会、公的機関のビジネスマッチング、オンラインプラットフォームなどがあり、それぞれ特徴や向いている企業が異なります。
本記事では、中小企業が海外企業と出会う代表的な方法を比較し、それぞれのメリット・デメリットを分かりやすく整理します。
海外企業と出会う主な方法5選
海外企業と出会う方法にはさまざまな選択肢があります。
それぞれ特徴や向いている企業が異なるため、自社の目的や状況に合わせて選ぶことが重要です。
ここでは代表的な5つの方法を紹介します。
JETRO・中小機構など公的機関のマッチング
海外ビジネスマッチングの方法として、多くの企業が最初に利用するのが公的機関、自治体による支援です。
JETRO(日本貿易振興機構)や中小企業基盤整備機構などでは、海外企業との商談会やオンラインマッチングの仕組みを提供しています。
公的機関が関与するため、海外企業の基本的な情報が整理されているケースが多く、初めて海外企業と接点を持つ企業にとって利用しやすい点が特徴です。
また、海外バイヤー招聘型の商談会やオンライン商談など、さまざまな形式のマッチング機会が用意されており、比較的低コストで海外企業と接触できることもメリットです。
例えば、ある食品メーカーはJETROのオンライン商談会や、Foodexでの中小機構のリアル商談会を通じて複数の東南アジアの輸入商社と商談し、その後サンプル提供をきっかけに現地でのテスト販売につながったケースがあります。
【こんな企業に向いています】
- まずは海外市場の反応を確認したい企業
- 初めて海外販路開拓に取り組む企業
- 時間はかかっても、費用をできるだけ抑えたい企業
海外展示会への出展
海外展示会は、海外企業と直接出会うことができる代表的なビジネスマッチングの場です。
展示会にはバイヤーや代理店、商社など多くの企業が集まるため、短期間で複数の企業と商談できる可能性があります。
実際の商品を見せながら説明できるため、製造業や食品などの分野では特に有効な手段とされています。
また、展示会では商談だけでなく、市場のトレンドや競合企業の動きなどを確認する機会にもなります。
例えば、建設機械関連の企業がドイツで開催される建設機械展示会「bauma(バウマ)」を訪問した際、ブースを訪れた欧州の販売会社と商談を行い、その後テスト販売を経て現地代理店契約につながったケースがあります。
また、産業機械分野では「ハノーバーメッセ」、医療機器分野では「MEDICA」など、業界ごとに世界的な展示会があり、こうした場で代理店候補と出会う企業も少なくありません。
【こんな企業に向いています】
- 海外展開に一定の予算を確保できる企業
- 短期間で多くの海外企業と出会いたい企業
- 商品や技術を実際に見てもらいながら提案したい企業
オンラインプラットフォームの活用
近年では、オンラインのビジネスマッチングサイトを通じて海外企業とコンタクトを取る方法も広がっています。
これらのサイトでは、自社の製品やサービスを登録し、海外企業からの問い合わせを受けたり、逆に海外企業の案件を検索してコンタクトを取ったりすることができます。
例えば、アメリカではBtoBマッチングサイトとして「Thomasnet」や「Global Sources」などが知られており、企業が製品情報を掲載することで、海外バイヤーや企業から問い合わせを受ける仕組みがあります。
インターネット上でやり取りできるため、海外渡航を伴わずに海外企業と接点を持てる点が特徴です。
例えば、ある生活雑貨メーカーはBtoBマッチングサイトに商品情報を掲載したことで、欧州の小売企業から問い合わせを受け、そこから継続的な取引に発展したケースがあります。
【こんな企業に向いています】
- 将来に備えて海外向けの情報発信を始めたい企業
- 海外からの問い合わせ窓口を作りたい企業
- 渡航せず海外企業との接点を増やしたい企業
商社・代理店ネットワークの活用
既存のネットワークを活用して海外パートナーを紹介してもらう方法もあります。
商社や取引先企業、金融機関などが持つネットワークを通じて、海外企業を紹介してもらうケースです。
紹介によるマッチングは、相手企業の基本的な情報がある程度確認されている場合が多く、初期の信頼関係を築きやすいというメリットがあります。
例えば、国内で取引のある商社から、海外市場で関連製品を製造している現地メーカーを紹介され、その企業とOEM供給や共同販売の形でビジネスが始まったというケースもあります。
【こんな企業に向いています】
- 国内取引に近い形で海外販路を広げたい企業
- 海外営業や輸出実務を自社だけで進めることに不安がある企業
- 既存の取引先や金融機関などのネットワークを活用したい企業
海外企業へ直接アプローチする(自力開拓)
海外進出コンサルタントなどの支援を受けながら、自社でパートナー候補を探していく方法もあります。
市場調査や候補企業のリスト作成、アプローチ方法の設計などを整理しながら進めることで、より自社の戦略に合ったパートナーを見つけやすくなる可能性があります。
不定期に行われる商談会や問い合わせを待つタイプのマッチングサイトに依存するのではなく、
市場や企業の状況を調べながら、最適候補企業を探して実際にコンタクトを取っていくため、
時間はかかるものの、長期的な関係を築きやすいという特徴があります。
例えば、ある中小製造業では、ターゲット国の企業リストを作成し、個別にアプローチを行うことで、最終的に現地の販売代理店を獲得し、現地の顧客企業への販売につながったケースがあります。
【こんな企業に向いています】
- 自社に合う海外企業を狙って開拓したい企業
- 市場調査から企業選定、営業活動まで計画的に進めたい企業
- 海外展開を本格的に進めると決めている企業
海外パートナー探しは、この流れで進める
海外企業と出会う方法はさまざまですが、成果につながる企業ほど、事前の準備から商談後のフォローまでを計画的に進めています。
まず市場やターゲットを整理し、そのうえで自社に合った方法を選び、海外企業との接点をつくることが重要です。
ここでは、海外パートナー探しの基本的な流れを4つのステップで紹介します。
STEP1 ターゲット市場を整理する
海外パートナー探しは、「どの国の、どのような企業に販売したいのか」を整理することから始まります。
市場によって求められる品質や価格帯、販売チャネルは大きく異なるため、自社の商品や技術がどの市場で強みを発揮できるのかを確認することが重要です。
ターゲット市場が明確になることで、その後のパートナー探しやアプローチ方法も選びやすくなります。
→ 輸出マーケティングを成功させる!自社で行う海外市場調査の手順と実践アドバイス
STEP2 パートナー候補を探す
ターゲット市場が決まったら、販売代理店や商社、バイヤーなどの候補企業を探します。
展示会の出展者リストや業界団体、公的機関、オンラインプラットフォームなどを活用し、自社に合いそうな企業をリストアップしていきます。
数を集めることよりも、自社の商品や販売方針と相性の良い企業を選ぶことが重要です。
STEP3 自社に合う方法を選ぶ
海外企業と出会う方法には、公的機関のマッチング、海外展示会、オンラインプラットフォーム、紹介、自力開拓などさまざまな選択肢があります。
目的や予算、社内体制によって最適な方法は異なるため、自社の状況に合わせて組み合わせながら進めることが重要です。
→ 海外展示会を成功させる準備はできていますか
→ 海外バイヤー商談会とは?成果につなげる準備と進め方
STEP4 商談後のフォローを行う
海外企業との商談は、1回で契約につながるとは限りません。
サンプル提供や追加資料の送付、オンライン面談などを重ねながら、商談で見えてきた課題や要望を一つずつ解消していくことが重要です。
商談後のリスポンスの速さや、その内容に応じた再提案によって、取引につながる可能性は大きく変わります。
海外企業と出会う方法は一つではありません。
しかし、
- 何から始めるべきか
- 英語はどこまで必要なのか
- 人員や予算をどの程度準備すべきか
など、「始める前の判断」で立ち止まってしまう企業は少なくありません。
海外販売スタートガイドでは、海外販路開拓を進める際に整理しておきたい考え方や、最初の1年間で取り組むべきポイントをチェックリスト形式でまとめています。
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海外企業との出会い方を考える前に知っておきたいこと
ここまで、海外企業と出会う主な方法や進め方を紹介してきました。
しかし、海外販路開拓になると、国内営業では決して選ばない方法や進め方を、無意識に選んでしまう企業は少なくありません。
海外営業も営業活動であることに変わりはないのに、「海外」という言葉が付くだけで、国内営業ではしないような判断や、営業活動の基本から離れた進め方を選んでしまうことがあります。
国内営業ではどのように顧客を開拓し、事業を成長させてきたのか。そんな視点で見直してみると、海外企業との出会い方も整理しやすくなります。
国内事業ではやらない方法を、海外だからと選んでしまう
海外企業と出会う方法として、公的機関のマッチングやオンラインプラットフォーム、紹介などがあります。
しかし、国内営業で「取引先からの紹介だけ」「行政支援だけ」「マッチングサイトだけ」で新規取引先を開拓しようと考える企業は多くありません。
通常は、自社で営業活動を行いながら、展示会や紹介、商談会、プラットフォームの露出などを組み合わせて販路を広げていきます。
海外販路開拓も同じです。
一つの方法だけに期待するのではなく、自力での営業活動を基本としながら、それぞれの方法を目的に応じて活用することが成果につながります。
海外事業だけを切り離して進めてしまう
海外事業を、新規事業として立ち上げる企業も少なくありません。
しかし、「問い合わせがもし来たら対応する」という進め方では、なかなか成果につながりません。
国内で新規事業を立ち上げる場合も、全社的な営業活動の中で継続的に新しい事業を紹介し、顧客の反応を確認しながら改善を重ねていく企業が多いのではないでしょうか。
海外事業も同じです。
既存事業と全く切り離すのではなく、経営陣の関与や営業活動、社内の評価制度などに組み込み、全社で継続して取り組める仕組みをつくることが重要です。
無料だから(安価だから)続ける、になってしまう
公的支援や無料のマッチングサービスは、海外販路開拓の第一歩として非常に有効です。
一方で、多くの支援には期間や対象範囲があり、その後は自社で進めることが前提になっています。
また、オンラインプラットフォームでも、登録しただけで問い合わせが来るとは限りません。
問い合わせが来ない場合に何を改善すべきか、あるいは問い合わせが来た後にどう営業を進めるのかまで考えておかなければ、成果につながらないまま時間だけが過ぎてしまうこともあります。
無料や安価だけを理由とせず、「その方法で、本当に自社が海外展開できるのか」という視点で活用することが重要です。
海外ビジネスマッチングは自社の営業活動からはじまる
海外企業と出会う方法には、公的機関のマッチング、海外展示会、オンラインプラットフォーム、商社・代理店ネットワーク、自力開拓など、さまざまな選択肢があります。
重要なのは、「どの方法が一番良いか」を探すことではなく、自社の商品や市場、社内体制に合わせて、どの順番で海外販路を広げていくかを整理することです。
まずは、海外販路開拓を始める前に整理しておきたい考え方をまとめた「海外販売スタートガイド」をご活用ください。

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