ベトナム進出コンサルの選び方|おすすめ会社と失敗しないポイント
更新 2026年8月14日 公開 2025年4月12日
ベトナムは、近年日本企業にとって重要な進出先の一つとなっています。
2023年の日本からベトナムへの直接投資額は約65.7億米ドルに達し、約2,000社の日系企業が進出しています。
製造業の生産拠点としてだけでなく、IT・サービス業、小売業など幅広い業種で事業展開が進んでいます。
一方、実際にベトナムへ進出する際には、現地の法制度や商習慣、行政手続き、人材採用など、日本とは異なる環境への対応が必要になります。
また、同じベトナムでも、ホーチミンとハノイでは行政手続きにかかる期間や実務上の進め方に違いが見られるなど、現地で実際に事業を進めて初めて分かることも少なくありません。
こうした場面で、現地事情に詳しいコンサルタントをどこまで活用するかは、ベトナム進出を進めるうえで重要な判断の一つです。
この記事では、ベトナム進出を支援するコンサル会社を具体的に紹介するとともに、コンサルティング会社の選び方、費用、成功・失敗事例、現地法人設立や人材採用など、実際の進出時に知っておきたいポイントを解説します。
海外進出を検討する企業にとって、現地事情や規制への対応は大きなハードルとなります。
まずは海外進出の全体像を理解したい方は、こちらの記事も参考にしてください。
→なぜ今、中小企業は海外進出すべき?メリット・リスクと失敗しない進め方
おすすめベトナム進出コンサル会社
ベトナム進出を支援するコンサルティング会社には、それぞれ得意分野があります。
現地での事業立ち上げや製造業支援に強い会社、市場調査や販路開拓まで幅広く対応する会社、リサーチを専門とする会社など、自社が必要とする支援内容に合わせて選ぶことが重要です。
ここでは、ベトナムで長年の支援実績を持つ3社をご紹介します。
LAI VIEN CO., LTD.(ライビエン社)
LAI VIEN CO., LTD.(ライビエン社)は、ベトナム進出支援に長年携わっている現地コンサルティング会社です。
同社代表の桜場伸介氏は、長年ベトナムで日本企業の支援に携わっており、特に製造業の進出支援に強みを持っています。
現地の法規制やローカル企業の動向にも詳しく、ベトナムに根付いた幅広いネットワークも特徴です。
また、ベトナム在住の日本人ビジネスマン向け情報誌『ACCESS(アクセス)』を刊行しており、現地の日系企業、レストラン、コンビニ、ホテル、工業団地などで配布されています。
長年現地で蓄積してきた情報やネットワークを活用しながら、ベトナム進出を進めたい企業にとって有力な相談先の一つです。
みらいコンサルティングベトナム
みらいコンサルティングベトナムは、ベトナムへの拠点設立から、進出後の経営支援、M&Aなどの出口戦略まで幅広く対応しています。
市場調査、販路開拓、商談マッチングなどにも対応しており、その企業の事業内容に応じた市場調査をもとに、進出戦略の立案につなげられる点が特徴です。
単に現地法人を設立するだけではなく、ベトナムでどのように事業を展開していくかまで含めて相談したい企業に向いています。
B&Company Inc.
B&Company Inc.は、2008年からハノイとホーチミンを拠点に、ベトナム市場のリサーチを中心としたサービスを提供しています。
市場調査に加え、現地視察、ビジネスパートナー候補の調査、進出後の支援、投資戦略の立案などにも対応しています。
長年蓄積してきたベトナム市場のデータや現地ネットワークを活用できるため、まず市場を詳しく調べたうえで進出可能性を判断したい企業にとって、検討しやすいコンサルティング会社です。
ベトナム進出コンサル会社の選び方
ベトナム進出コンサル会社を選ぶ際には、会社の規模や知名度だけでなく、自社が必要としている支援を実際に提供できるかを確認することが重要です。
特にベトナムでは、進出する業種や地域、輸出なのか現地法人設立なのかによって、必要となる知識やネットワークが異なります。
「ベトナム進出支援」という同じ看板を掲げていても、得意とする業務は各社で異なるため、次の点を確認してみましょう。
1. 自社に近い進出支援の実績があるか
まず確認したいのは、ベトナム進出の支援件数だけではなく、自社と近い業種や進出形態での実績です。
例えば製造業であれば、工場設立、工業団地の選定、許認可、人材採用、原材料調達など、実際に事業を開始するまでに多くの実務が発生します。
一方、ベトナム市場への輸出や販売を目的とする企業であれば、市場調査だけでなく、販売代理店候補の発掘、商談、契約、販売開始後のフォローなどの経験が重要になります。
また、「会社を設立した」という実績だけで判断するのではなく、その企業がその後ベトナムで事業を継続できているのか、可能であれば支援後の状況まで確認してみましょう。
過去の支援事例がWebサイト上で十分に公開されていない場合は、商談時に、自社に近いケースについて開示可能な範囲で説明してもらうのも一つの方法です。
2. どこまで支援してもらえるのか
市場調査、会社設立、許認可、会計・税務、人材採用、販路開拓など、ベトナム進出で必要となる業務は多岐にわたります。
そのため、「何でも対応できます」という会社を探すことよりも、今回依頼したい業務について、どこからどこまで担当してもらえるのかを具体的に確認することが重要です。
例えば販路開拓であれば、
- 候補企業のリスト作成まで
- 現地企業へのアポイント取得まで
- 商談への同席まで
- 条件交渉まで
- 契約後のフォローまで
では、同じ「販路開拓支援」でも内容は大きく異なります。
また、法務や税務、許認可など専門資格や高度な専門知識が必要となる領域について、コンサル会社自身が対応するのか、現地の弁護士や会計士などと連携するのかも確認しておきましょう。
3. 現地で実際に動ける体制とネットワークがあるか
ベトナムに関する知識が豊富であることと、現地で実際に事業を動かせることは必ずしも同じではありません。
特に、現地企業との商談、パートナー探し、人材採用、行政手続きなどでは、ベトナム側とのコミュニケーションや現地での対応が必要になります。
そのため、
- ベトナムに常駐する担当者がいるか
- ハノイ、ホーチミンなど、どの地域に強いのか
- 日本語だけでなくベトナム語で現地対応できるか
- 現地企業や専門家とのネットワークを持っているか
- 問題が発生した際、誰が現地で対応するのか
なども確認しておくとよいでしょう。
長年ベトナムにいることや人脈が広いこと自体を評価するのではなく、その知識やネットワークが「自社がこれから行う事業に使えるものなのか」という視点で見ることが大切です。
なお、進出判断を行う前には、現地市場の調査が不可欠です。
具体的な調査手順については、こちらで詳しく解説しています。
ベトナム進出コンサルの費用と予算の考え方
ベトナム進出コンサルの費用は、依頼内容や支援期間によって大きく異なるため、一律の相場を示すことは難しいのが実情です。
そして、できるだけ費用を抑えてベトナム進出を検討したいのであれば、まず自社の担当者が実際にベトナムへ行くことをおすすめします。
現地を訪れ、自分たちで市場を見て、企業や顧客候補と話をするだけでも、「何が分からないのか」「何を専門家に頼む必要があるのか」が具体的になります。
何も分からない状態から日本語ですべてを任せようとすれば、それだけコンサルタントに依頼する範囲は広くなり、費用も高くなります。
一方、自社で現地調査や情報収集を行い、必要な部分だけ専門家や現地事業者へ依頼できれば、外部費用を抑えることも可能です。
また、一般に、日本語での説明や日本企業向けの調整、進行管理まで含むサービスほど費用は高くなりやすく、現地のローカル企業や専門家へ直接依頼できるほど費用を抑えられる場合があります。
ただし、その場合は、相手の専門性や仕事の品質を自社で判断し、英語やベトナム語で指示・確認する力も必要になります。
つまり、コンサル費用を抑える一つの方法は、「安いコンサル会社を探すこと」だけではなく、自社で判断できる範囲を増やし、外部へ依頼する範囲を小さくすることです。
ベトナム進出の成功・失敗事例
ベトナム進出では、会社設立や工場設立が完了したこと自体が「成功」ではありません。
実際に事業を始めてみると、売上は伸びているのに利益が出ない、人材が定着しない、日本で売れている商品が現地では受け入れられないなど、進出前には見えにくかった課題が出てきます。
ここでは、ベトナム進出で実際に起こり得る成功・失敗のパターンから、コンサルタントや専門家をどこで活用すべきかを見ていきます。
製造業A社|売上は伸びたのに赤字が続いた現地工場
精密板金加工・塗装加工を営むメーカーA社は、本社・子会社を合わせても従業員60名未満の中小企業ですが、2011年にビンフック省に現地工場を設立しました。
進出後、売上は順調に伸びたものの、経営管理を担えるスタッフの育成が追いつかず、原価計算や予実管理が十分にできない状態となり、赤字が数年間続きました。
そこで、コストの見える化、進捗管理・品質管理の明確化、現地スタッフの再教育などに取り組み、在庫ロスや品質ロスを削減。付加価値を高めることで、最終的に黒字化を実現しました。
このように、現地工場を設立したものの利益が出ない場合は、ベトナムでの製造現場や工場経営に詳しいコンサルタントを活用し、原価管理、在庫管理、品質管理、人材育成など、どこに問題があるのかを第三者の視点から洗い出す方法もあります。
海外進出では「売れている=事業がうまくいっている」とは限りません。特に製造拠点では、売上だけでなく、原価、在庫、品質、人材育成まで管理できる体制をつくる必要があります。
IT企業B社|採用できても人材が定着しない
IT関連企業B社では、ベトナムの優秀なIT人材を採用できたものの、給与や待遇だけでは人材が定着せず、離職が課題となりました。
そこで、給与体系の見直しだけでなく、評価制度、キャリアパス、教育機会、現地マネージャーの育成など、働き続ける理由をつくるための人事制度を整備しました。
こうした課題では、単なる採用代行ではなく、ベトナムの採用市場や現地人材のマネジメントに詳しいコンサルタントを活用し、採用後の評価制度や育成、定着まで含めて人事制度を見直すことも選択肢になります。
ベトナム進出では、「人件費が日本より安い」という理由だけで人材計画を立てると、採用後の定着や育成で想定以上の時間とコストがかかることがあります。
採用することだけではなく、誰が育成し、誰が評価し、将来どのような役割を担ってもらうのかまで考えておくことが重要です。
失敗例1|日本の商品を少し変えれば売れると考えた
ある企業では、日本で販売している商品をベースに、「ベトナム向けにどこを変えれば売れるか」という発想で市場参入を進めました。
しかし、実際には現地でその商品の使用目的自体が異なり、そもそも同じ用途で使われる市場が十分に存在していませんでした。
色やサイズ、価格、パッケージなどを少し変更するだけでは競争力を持つことができず、期待した売上につながりませんでした。
このような失敗を避けるためにコンサルタントを活用するのであれば、商品をどうローカライズするかを相談する前に、現地で顧客調査や競合調査を行い、「誰が、何のために買うのか」「そもそも市場が存在するのか」を確認する段階で投入する方が有効です。
海外市場では、日本の商品をどう現地化するかを考える前に、
「現地では誰が、何のために、この商品を買うのか」
から確認する必要があります。
失敗例2|通訳ができる人に契約書の翻訳まで任せた
現地で日本語とベトナム語を話せる人材が見つかると、商談、社内連絡、書類作成など、さまざまな業務を頼みたくなります。
しかし、日常会話や商談の通訳ができることと、雇用契約書や取引契約書を正確に翻訳できることは別です。
特に契約書では、一つの表現の違いが権利や義務、責任範囲の違いにつながることがあります。
通常の通訳、専門文書の翻訳、法務判断を同じ人に任せるのではなく、重要な契約については、それぞれ必要な専門性を持つ人へ依頼することが重要です。
失敗例3|「ベトナムに詳しい」だけで専門家を選んだ
税務、会計、法務、労務などでは、ベトナムに長く住んでいることや日本企業との取引経験が多いことだけで、専門家を選ばないよう注意が必要です。
自社の業種、会社規模、進出形態によって、必要となる専門知識は異なります。
紹介されたから、日系企業だから、日本語で対応してくれるから、という理由だけで決めず、実際に誰が担当し、どの分野を専門としているのかを確認しましょう。
なお、海外進出の成功企業にはいくつか共通したパターンがあります。
業界別の成功事例については、こちらで詳しく解説しています。
ベトナム進出で知っておきたい現地実務
ベトナム進出では、市場性や進出方法を決めた後にも、法人設立、人材採用、現地企業とのコミュニケーションなど、実際に事業を動かす段階でさまざまな課題が出てきます。
特に、日本で調べた情報だけでは分かりにくいのが、地域による行政手続きの違いや、現地で人を雇い、組織を運営していく際の実務です。
現地法人設立|法定期間と実際の設立期間は同じではない
ベトナムで現地法人を設立する場合、外資企業では一般に、投資登録証明書(IRC)の取得、企業登録証明書(ERC)の取得、その後の税務・銀行口座など、事業開始に向けた手続きが必要になります。
それぞれの手続きには法令上の処理期間が定められていますが、実際に会社を設立して事業を開始できるまでの期間は、それだけでは判断できません。
進出する業種や事業内容、出資形態、必要となる許認可、申請先となる省・市などによって、必要書類や審査、実務上の進み方が異なる場合があるためです。
そのため、「法人設立には○日かかる」と一律に考えるのではなく、自社の事業内容と進出予定地域を伝えたうえで、現地の会社設立実務に詳しいコンサルタント、弁護士、会計事務所などへ、最新の手続きとスケジュールを確認することが重要です。
人材採用では「採用した後」まで考える
ベトナムでは若い人材を採用できることが進出の魅力として語られることがありますが、人材を採用できることと、その人材が長く働き、事業を支える人材に育つことは別の問題です。
給与水準だけでなく、評価制度、昇進、教育、職務内容、上司との関係なども人材定着に影響します。
特に、日本本社のやり方をそのまま現地へ持ち込み、「日本ではこうしているから」と運営しても、うまく機能するとは限りません。
採用や離職が課題になった場合は、人材紹介だけを依頼するのではなく、ベトナムの労働市場や人事制度、現地スタッフのマネジメントに詳しい専門家へ相談し、原因を切り分けることも必要です。
現地とのコミュニケーションは「日本語が通じる」だけで判断しない
ベトナム進出では、日本語を話せる現地スタッフや通訳がいることで、業務を進めやすくなる場面は多くあります。
一方で、日本語が話せることと、商談、契約、法務、税務などの専門的な内容を正確に理解し、伝えられることは別です。
特に契約書、就業規則、行政への提出書類などは、日常的な通訳とは異なる専門性が必要になります。
「日本語で話せるからこの人に全部お願いする」のではなく、通常のコミュニケーション、専門文書の翻訳、法律や税務上の判断を分け、それぞれ必要な専門家を使うことが重要です。
ベトナム進出では、自社に必要な支援を見極めることが重要
ベトナム進出では、どのコンサル会社に依頼するかだけでなく、「自社では何ができて、何を外部の専門家に依頼する必要があるのか」を見極めることが重要です。
市場調査、販路開拓、法人設立、人材採用、法務・税務など、必要となる支援は、企業の進出方法や事業の段階によって異なります。
また、コンサルタントへ依頼すれば海外事業そのものを任せられるわけではありません。
実際に現地へ行き、顧客やパートナー候補と話し、コンサルタントや専門家から得た情報をもとに、自社で判断する経験を重ねることも海外進出の一部です。
外部支援を活用しながら、自社で判断・実行できる範囲を少しずつ広げていくことで、コンサルタントへの依存を減らし、海外事業の知識や経験を社内に蓄積することができます。
そして、ベトナム進出を検討した結果、「ベトナムへ進出する」という当初の前提そのものが変わることもあります。
他国の方が自社の商品や事業に適している場合もあれば、現地法人を設立せず輸出から始める、現地パートナーと組むなど、別の方法が適している場合もあります。
【こんな企業様へ】
- ベトナム進出を検討しているが、何から始めればよいか分からない
- ベトナム市場が本当に自社に適しているのか確認したい
- 現地法人設立、輸出、パートナーとの提携など、進出方法を比較したい
- コンサル会社を探しているが、自社に必要な支援が分からない
- 外部へ任せきりにせず、海外事業を自社でも進められるようにしたい
パコロアでは、30年以上にわたる海外ビジネスの実務経験とAIを活用した多角的な分析をもとに、自社の強み・ターゲット市場・販売方法・社内体制を整理し、貴社に合った海外展開の進め方を30ページ超の個別判定レポート『海外進出チェック』としてご提供しています。
「ベトナム進出が自社に合っているのか整理したい」
「ベトナム以外の国も含めて、どこから海外展開を始めるべきか検討したい」
という企業様は、『海外進出チェック』の詳細をご覧ください。
→ 自社分析レポート『海外進出チェック』の詳細を見る
なお、海外進出そのものを進めるべきか迷われている場合は、こちらの記事も参考になります。
→ 2035年に小さくなる会社の共通点と海外進出をしない判断のリアル(診断付き)
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