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困っていて 相談したい

海外展開の相談は無料でできる

はじめての海外展開で、中小企業のみなさまが、どういった所へ相談されているのかは、下記のアンケート調査等からわかります。(少し古いですが)

中小企業白書2014 第3部第4章P61

大きく分けると、

  1. 行政や自治体
  2. 金融機関
  3. 取引先など同業者(国内、海外)
  4. 税理士、コンサルタントなどの専門家

の4つで、このうち(1)の行政や自治体のほとんどと、(1)の金融機関の一部では、無料の窓口相談などがあります。

行政や自治体には、海外展開のアドバイスができる専門家やアドバイザーが登録されています。企業からの相談内容ごとに、専門家やアドバイザーが割り当てられますが、その経歴はさまざまです。メーカーや商社出身者、海外駐在経験者、Web業界や流通業界出身者、いわゆる士業の中小企業診断士、弁護士、税理士もいるでしょう。

色々なアドバイザーや行政機関へかけもち相談のススメ

行政や自治体の具体的な相談窓口については後述しますが、できれば複数の機関や、色々なアドバイザーへ相談することをおススメします、理由は3つあります。

1. (無料相談とはいえ) 大差はないとしても、小さな差はたくさんある

ネットで調べて答えが出せるもの(情報提供)については、どこに相談したとしても、近年大差は無くなりました。

しかし、対応するアドバイザーのビジネス経験、企業支援経験、主観、アイデア、ノウハウ、独自のスケーラビリティなどにより出てくるアウトプット(コンサルティング力)は実にまちまちです。

同じ商品、同じ国に対して、販路開拓や投資可能性の意見もいろいろ異なってくるでしょう。

2.(無料相談でも) だれに最初に相談したかで、その後が変わる

行政の海外展開支援に携わることがありますが、「最初からここに相談に来れば良かった」と言われることはままあります。お話を伺うと、「別の無料相談では、今聞いたアドバイスとは違う助言を受け、そのとおり長年進めていて、結局上手くいかなかった」とのこと。

しかし、上手くいかなくても、別の相談先を探すアクションを起こしたから、その企業さまは新たな方法を見つけることができました。有料の相談でも当たりハズレはあると思います、無料であればなおのことです。

自社に合う助言を求めて、初期の段階から2,3か所色々あたってみて、能動的に取捨選択していくことは、海外展開の海千山千(海外では色々な人がいろいろなことを言います)を見据えた今後のためにも、良いエクササイズとはなるでしょう。

3.(無料相談だからこそ) 各機関によって、サポートできる範囲と深さが異なる

行政の無料支援でも、事前審査はありますが、海外出張に一緒に同行できるものから、毎月会社に来て指導してくれるもの、リサーチ費用の部分負担があるもの、あるいはあくまで机上の相談のみなど、実にさまざまです。

また、ホームぺージに載っていても見過ごしていて、そういうサービスだったの?、全然分からなかった!、という自社に合うお宝サービスと気づくこともあるため、行政のホームページに載っているサービスで、気になるものがあれば、直接電話して確認してみるのが良いでしょう。

こちらからこれはどういうサービスですか?と尋ねると、行政は詳しく説明してくれます。

行政や自治体へ海外展開の相談をする

それでは具体的に、行政や自治体にはどのような相談窓口があるのかを見て参りましょう。

日本貿易振興機構(ジェトロ)

ジェトロはわが国の貿易と投資の促進を行っている経済産業省が所管する独立行政法人です。国内に47事務所、海外54カ国に74事務所があります。先のグラフでは、行政の中では一番多くの海外展開の相談を受けているとあります。
自社の強みが明確に分かっていてあとは輸出するだけ、投資するだけ、といった段階の企業さまであれば非常にマッチするでしょう。

中小企業基盤整備機構(中小機構)

中小機構は、中小企業の成長ステージに合わせた支援を実施する経済産業省が所管する独立行政法人です。国内に11事務所、7つの大学校があり、国内海外に400名近いアドバイザーがいます。
海外展開を含む今後の自社のありかたについて相談したい、強みと言われてもどれをどう活かすべきか悩んでいる、など、構想段階から、あるいは事業全体の巻き返し段階から、国内/海外事業の垣根なく、ワンストップで相談したい場合に最適でしょう。

地方自治体

各都道府県や市の名前と、公益財団法人、海外展開、で検索すると、地方自治体の窓口機関が見つけられます。大阪府の場合は、大阪産業局が該当します。
こちらは大阪府下の中小企業等の経営力強化や創業支援等の事業を行う組織です。都道府県だけではなく各市で検索すると更にたくさんの自治体もヒットするでしょう。

商工会議所

商工会議所は、地域の総合経済団体として、中小企業支援のみならず、国際的な活動を含めた幅広い事業を行っており、国内515の事務所、海外にも37の事務所を持っています。こちらは大阪商工会議所です。

商工会

商工会とは、主に小規模事業者支援の組織で、法律(商工会法)に基づいて、主に町村部に設立された公的団体です。全国に1,679の商工会があり、各都道府県には商工会連合会もあります。
例えば下記は、奈良県の桜井市商工会です。

金融機関へ海外展開の相談をする

都市銀行、地方銀行、信用金庫、政府系銀行なども海外展開の相談対応をしています。
例えば大阪信用金庫ではコロナ禍においても、海外バイヤーとのマッチングサービスやWeb商談会をサポートしています。

日本政策金融公庫では、政府系金融機関として、中小企業の海外展開資金の融資も行っています。

行政の海外展開支援サイトまとめ

経済産業省の各経済産業局がその地域の海外展開支援施策を冊子にまとめていたり、Webで公開していたりします。
下記は近畿経済産業局の施策ガイドです。毎年春先に公開されます。(近畿地域の中小企業のための海外展開支援施策ガイド2020)


下記は日本商工会議所です。(中小企業支援機関一覧)

下記は、中小企業庁が運営するミラサポプラスです。
中小事業者のみなさまが、海外展開のみならず、どのような無料の支援や補助金を得られるかがまとめて調べられます。

無料の窓口相談では、どう相談すればいい?

いろいろな行政や自治体、金融機関が無料の相談を実施していますが、無料の相談は無料なり、という場合もあれば、無料でここまで対応してもらえる、と期待以上の場合もあるでしょう。
基本的に行政の無料支援の範囲では、その企業の実務“代行”はせず、アドバイスとはなりますが、「支援しやすい相談者」になることで、実務が自社で進めやすくなるコツや、そのためのいい情報を引き出せることもあるでしょう。

支援しやすい相談者とは、下記の様な方です。

  • 相談申込書の内容と当日のお話に、差がないか少ない
  • 社内体制や予算について、ある程度の理解がある
  • 本質的な課題について、解決意欲がある

相談申込書の内容と当日のお話に、差がないか少ない

無料相談の場合、申込書に、相談内容を詳しく記入することは、想像以上に重要です。
専門家やアドバイザーは、相談申込書に書かれた相談内容に沿って、事前リサーチをしたり助言を組み立てたりして当日を迎えます。申込内容と当日の相談内容が、びっくりするほど異なると、準備した資料やリサーチはほぼ無駄になってしまうでしょう。

このようなギャップを避けるためには、

  1. 今のお困りごとはいつ頃、なぜ発生したか、
  2. それについて解決しようと何をしたか、しなかったか、結果どうなったか
  3. その他、海外展開についてこれまで何かしてきたか、それらはどうなったか

の3つを相談内容に追加して、申込書に記載すると良いでしょう。

これまでの経緯など、できるだけ詳しく申込書に書く方が、それらを考慮した上での、無駄のない、精度の高い助言を得られます。余白の多い申込書より、断然いい情報は引き出せるでしょう。

社内体制や予算について、ある程度の理解がある

海外展開は経営者お一人ではできず、担当者が必要です。そして例えば海外展開が軌道に乗るまで3年かかるとして、すべて補助金だけでまかなえる、企業からの持ち出し費用はゼロで進められる、と想定することはあまり現実的ではないでしょう。

具体的には、海外における新規開拓ですので、海外向けのWebサイトを制作したり、補助金がつかない展示会に出展したり(ニッチな商品の場合)、展示会の無いタイミングで個別に海外営業に行かなければならなかったり、海外向けの商品デザインや仕様変更で開発費用がかかったり、

国際商標登録などの権利化で急きょ予算が必要になったり、色々な場面で費用が発生しますが、これらの現実的な費用は考慮しない、という前提では、海外展開をスムースに進めるための助言にも限界は出てくるでしょう。

本質的な課題について、解決意欲がある

相談者(海外事業担当者)はやる気もあり理路整然としているのに、海外展開がとんとん拍子に進まない、というご相談に関しては、経営者の方に、海外展開についての誤解があることが多いでしょう。ぜひ、経営者の方が無料相談を直接利用されるのが良いでしょう。

海外展開以前に、国内事業において商品やサービスが市場のニーズと離れてきている場合には、一発逆転で海外展開に望みを託す、のではなく、まずは国内事業の立て直しが本質的な課題解決にはなります。

事業を立て直したあとの海外展開の方が、生まれ変わった強い商品やサービスで海外に打って出ることができ、上手くいく可能性も高くなるためです。

【結論】いい情報を得やすい相談者とは

行政の無料相談で、さまざまな専門家やアドバイザーの意見を聞くことは、活用の仕方によってはたいへん有益です。

その専門家やアドバイザーが、従来の役割以上のパッションで支援したくなる時とは、『こんなに努力をしている企業や事業がもっと光って良いはずなのに』、とぐっときた時かもしれません。自立していて、目標達成意欲の強い相談者であれば、いい情報やヒントになる判断材料は断然得やすいでしょう。

無料相談とはいえ、相談相手を選ぶということは、自社に合った壁打ちの壁を探すことでもあります。

世の中にはほんとうに色々な考え方の専門家やアドバイザーがいるため、(ある程度の努力をしたのに上手くいかない時など)もっと他にいい方法はないかな?と迷った時には、固定観念を持たず、新しい気持ちで、さまざまな機関に足を運ばれることをおススメします。