国内市場の縮小や人材不足が進む中、「今の事業を続けていれば、10年後も会社を維持できるのか」と考える中小企業は少なくありません。
その選択肢の一つが海外展開です。しかし、すべての企業が海外へ進出すべきとは限りません。
では、「海外に出る会社」と「海外に出ない会社」を分けるものは何なのでしょうか。
えーっと、、、
今日は「海外進出の方法」じゃなくて、「海外進出しない」選択についての話なんですか?
ちょっと意外だな。
はい。
現代の変化する社会構造では、「海外に出ないこと」が最強の経営判断になるケースもあるんです。
とっても残念ですけど。
それも選択肢のひとつ、ですよね。
当社は海外進出する、と決めているので(!)、
海外進出しない、と決めているなんて、逆の話にむしろ興味があります。
(ブレないなぁ、うちのシャチョウ・・・)
海外準備、実は整ってない企業が多数
海外進出を検討する前に、まず確認したいのが「今の会社がどのような状態にあるか」です。
海外進出は、新しい市場で新しい顧客をつくる新規事業でもあります。
国内事業が順調だから海外でもうまくいくとは限りませんし、反対に、今すぐ海外へ出ない企業でも、将来の変化に備えて準備しておくことはできます。
そこで、自社の現在地を確認するために「初めての海外進出・準備度診断チャート」を作成しました。
ここではAからDへ進むほど、将来の変化への対応や海外展開の準備が進んでいる状態として整理しています。

実際に海外展開へ踏み出した中小企業が、どのような共通点を持っていたのかを知ることも参考になります。
→ 海外ビジネス成功例|中小企業の海外展開に共通する5つの法則【業界別・成功事例&ビジネスモデル解説】
(売上は維持できているし、当社はニッチだし・・・)
う~ん・・・・、
・・・。
当社は、C です。
B だな
(・・・。)
コロナ後も現状維持はできてるけど、
市場の動向がまったく追い風に見えないし、競合が攻めてきたら正直キツい、かな。
(ガーン、、、)
(人員は減らしてないし、この先もダイジョウブだと思っていたのに・・)
(結構、ガーン、、、)
見方は立場によって変わりますね。
、、、ですね。
では、「A」から順に、会社の状態を整理します。
A判定の会社:
- 売上に陰りが出ている
- 新事業の構想がない
- 働き手の育成にも苦戦中
B判定の会社(御社の現状):
- 信用・既存顧客・現場の者たちで売上は維持
- でも、いつ競合や社会の変化で揺らぐか分からない
- 製品やコストが海外と比べて見劣りしはじめている
(そう言われると……思い当たる節、あるかも)
まあ今の時代、どの会社にも多少なりとも課題はあるさ。
そうですね。
次に「C」と「D」です。かなり少数派にはなりますが……。
C判定の会社:
- 近い将来に向けたビジョンがある(仮でも)
- 人材育成に予算をつけている
- 国内で競争力を高めている
- でも、海外で同様に通用するかはまだ未知数
D判定の会社:
- 海外と国内の壁を越えるビジネスモデルを模索中
- 社会変化に応じて、柔軟に事業を見直してきた
- 成長事例をもとに、方法や進出先の変更も視野
- 経営の柔軟性が最強レベル
ものすごくハードル高くないですか。
うん、すごく高い。
ビジネスモデルを逐次見直すなんて、現場の業務だけでも手一杯の中小企業に必要なことなんでしょうか?
・・・。
それは、必要だな。
そこは、必要なとこだよ。
(ソーナンダ・・・。)
ちなみに、C・Dまで進んでいる企業は、まだまだ少数派です。
(ホっ・・・)
それでは、各段階ごとに「今すべきこと」を見ていきましょう。
海外と国内を分けると損をする?

ええつ、「B」の評価に合った、
「海外ではニーズが無い可能性も踏まえながら」
ってどういう意味なんですか?!
・・・。
Aの段階の企業は、現時点では海外進出を急ぐ必要はないと考えています。
海外進出は、新しい市場で顧客を開拓し、新しい商流をつくるという意味では、新規事業を始めるのとほぼ同じです。
現状が、
- 売上が下降気味
- 新しい展開が未着手
- 働き手の配置や教育もうまくいっていない
という会社は、まず今の事業を立て直すことが優先です。
(グサッ・・・)
ただし、ここで国内向けだけを前提に改善してしまうと、あとで海外展開を始めるときに、もう一度つくり直すものが増えてしまいます。
たとえば、
・ホームページを最初から海外も意識して設計しているか
→ 海外向けWebサイトはありますか
・商品開発の段階で、海外規制や知財を確認しているか
→ 知的財産は管理されていますか
→ 輸出輸入規制について知っていますか
・マーケティングやブランド設計を、日本国内だけの感覚で進めていないか
→海外マーケティングはできていますか
→海外ブランディングもできていますか
こうしたことは、海外進出が決まってから初めて考える必要はありません。
今すぐ海外へ出ない企業でも、国内事業を強化するときに「将来、海外でも使えるか」という視点を少し加えておけば、その投資や経験を後から海外展開にも活かせます。
なるほど、合理的ですね。
Bの段階にいる企業も同じです。
現在の売上は維持できていても、市場や競争環境が変わったとき、今の商品や売り方がそのまま通用するとは限りません。
だからこそ、
- 今の売上を守りながら
- 市場の変化に対応できる商品や販売方法を考え
- 国内だけに依存しない事業の可能性も検証しておく
ことが重要です。
国内事業と海外事業を最初から完全に分けて考える必要はありません。
商品、人材、Web、マーケティングなど、国内事業を強くするために行うことの中には、そのまま海外展開の準備になるものがたくさんあります。
逆に、「国内が落ち着いてから海外を考える」という順番にすると、商品・体制・Web・販促などを、海外向けにもう一度見直すことになりがちです。
国内事業を強化していけば、その延長で海外進出も見えてくるってことなんですね。
そのとおりです。
海外進出するかどうかをまだ決めていなくても、国内と海外を別々の事業として考えすぎない。
それが、将来の選択肢を残しておくことにつながります。
2035年問題が突きつける現実とは?
ところで、話を戻すけど、
「海外展進出しない」という選択なら、別に海外基準で社内強化する必要は、ないんじゃない?
海外向けに展開しないなら、英語もいらないし、
いままで通りにやっていけば、それなり続けられる気がしますよね。
……その感覚、実は少し危険なんです。
『2035年問題』という言葉を聞いたことはありますか?
(・・・・ナンダロウ)
(いっぱいあるからな、2030年問題、2045年問題、あとは)
2035年に向けて日本企業が直面する大きな問題の一つが、人口減少と労働力不足です。
パーソル総合研究所と中央大学の「労働市場の未来推計2035」では、2035年に1日あたり1,775万時間、384万人相当の労働力が不足すると推計されています。
市場縮小、高齢化、人手不足……医療負担も増えて、経営には厳しい時代になりますよね。

そう、その通りです。
実際、中小企業ではすでに人手不足が経営課題になっています。
2026年版中小企業白書でも、生産年齢人口の減少に伴い、中小企業の人手不足がさらに深刻化する可能性が指摘されています。
当社には、ワタクシがおりますので、そこはご安心を、と思います。
(そうですね。。。)
でも、30代、40代の中堅が少ないですし、いわゆる”高度人材”はうちには来てくれません。
(ワタクシは、非・高度人材・・・)
人が来ない、育たない、採れない。
そして市場はどんどんニッチ化&多品種小ロット志向になっていく。
このとき、“海外で実戦を積んでいる企業”と、“海外のことをよく知らない企業”では、変化への対応力にも差が生まれやすくなります。
海外市場と接点を持つ企業には、
- 情報
- スピード
- 適応力
- 人材や取引先から見た企業としての魅力
を高める機会があります。
海外の顧客や競合、価格、技術、ビジネスモデルに直接触れることで、日本国内だけを見ているよりも、変化を早く察知し、自社の事業を見直す機会が増えるからです。
その積み重ねが、
- 顧客に選ばれる
- 求職者に選ばれる
会社づくりにもつながっていきます。
それってつまり、「海外に行かなくても、負けてしまう」ってことですね……。
その可能性があります。
もちろん中には、
「自分の代で会社をたたむ」と決めている経営者もいらっしゃいます。
でもそれも、
- 企業価値があれば、売却という選択肢がある
- 価値がなければ、持ち出しで廃業もあり得る
キーワードはやっぱり──
「そこに至るまで、会社は強くされてきたか」なんです。
最近は、M&Aでも、日本の会社が買ってくれるとは限りませんよね。
おっしゃる通り。
中小企業でも、社長が外国籍になる未来だってあり得ます。
(えっ、ウチの社長が外国人に!?想像つかない…)
人口減少時代において、中小企業が海外市場をどう位置づけるべきかについては、こちらの記事でも詳しく整理しています。
→ 国内が縮む前に動け!人口減少時代を勝ち抜く海外進出戦略
海外進出しなくても問われる強さとは
たとえば、こんなケースを想像してみてください。
あるA社。
海外には出ていないけれど、国内市場ではそれなりのシェアを維持。
業界的にも再編成もなく、競合も同じように国内市場を中心に事業をしていたため、大改革もせず、DXもそこそこ。
それでも、これまでは普通に事業を続けてこられた会社です。
はい。
そんなところに、ある日、外資系企業がその業界の“おいしさ”に気づきます。
まずはA社の競合企業を買収。
コスト構造を改善し、商品やサービスを安く、早く、便利に変えて、一気にシェアを伸ばしてくる。
そうなれば、A社もこれまでと同じやり方では競争が難しくなります。
売上が減少し、立て直しに時間がかかれば、A社自身がM&Aの対象になる可能性だってあります。
しかも希望額とはかけ離れた“買いたたき”価格で。
そそそんな未来、考えたくない==!
ふむ……現実にあり得る話だな。
会社経営とは、「会社を続けること」が前提です。
もし、売却も廃業も予定していないのなら、「海外進出しない」と決めていたとしても、海外の市場や、外資の競争力は、無関係ではいられません。
なるほど。。
海外に行かなくても、競争力や強さは不可欠、ということですね。
はい。
(何だかややこしいですが)
だったら、海外進出した方が、ソトの動きも良く見えるし、話が早くないでしょうか。。。
その考えも一理あります。
でも、話はそう単純ではないんだよ。
大切なのは、「海外進出する・しない」を感覚で決めるのではなく、自社にとって本当に必要なのかを、現実ベースで整理することです。
人口減少、人材不足、市場縮小。
2035年に向けて、企業を取り巻く環境は確実に変わっていきます。
その中で、自社は何を残し、何を変えるべきなのか。
海外を目指すのか、日本国内に集中するのか。
重要なのは、「問題を見ないまま止まること」ではなく、自社にとって本当に必要な選択肢を見極めることです。
自社に海外展開が必要なのか、一度整理してみませんか?
海外進出は、すべての企業に必要な選択ではありません。
国内市場に集中する方がよい企業もあれば、今すぐ海外へ出なくても、将来に向けて海外展開の可能性を残しておいた方がよい企業もあります。
大切なのは、「海外進出する・しない」を先に決めることではなく、自社の現在地と今後の可能性を整理したうえで判断することです。
パコロアでは、30年以上にわたる海外ビジネスの実務経験とAIを活用した多角的な分析をもとに、自社の強み・ターゲット市場・販売方法・社内体制を整理し、貴社に合った海外展開の進め方を30ページ超の個別判定レポート『海外進出チェック』としてご提供しています。
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