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海外進出の前に日本企業に必要なこと
はじめに ー海外進出にはやり方がある
海外進出を決めた時、海外という未知の市場にワクワク期待は高まります。
しかし実際に海外進出を始めると、越えなければならない山や足がすくむ谷に、行く手を阻まれることがあります。
海外にも商品を売りたい!海外でお店や工場を作りたい!そう決心したのに”やり方”を知らず、みすみすチャンスを逃すなんてとっても残念ですね。
ここでは日本企業が海外進出をはじめる前に、ぜひ知っておいてほしいこと、
海外のビジネス常識
について説明します。
海外のビジネス常識
「まずは海外市場調査から」は失敗のもと
海外と日本とでは、ビジネスにおいての常識が、かなり違います。
もちろん、食べて、働いて、眠って、という日常生活では同じ行動様式もありますが、社会生活におけるものごとの進め方、根底に流れる考え方、特にビジネス商習慣の違いを事前に知っておくことは、海外進出をスムースに進めるのに大変役立ちます。
(ここでは便宜上日本以外の国を総じて”海外”としますが、各々の国にも違いはあり都度調整が必要です。)
海外進出の際に、ビジネス商習慣の違いを脇に置いて、
「まずは海外市場調査を行う」「まずは海外展示会に出展する」「まずは海外向けWebサイトを作る」から着手してしまうと、
海外展開に思わぬ時間がかかってしまうことがよくあります。
例えば初めて海外市場調査を依頼する場合、調査の仕様は誰がどのように決めるのが良いのでしょうか。
調査会社でしょうか。
これまで専門会社に、「海外現地で市場調査(F/S調査)」や「海外営業のリード獲得」「海外SEO対策」等を依頼し、上がってきた報告書を読み、
「で、これから何をどうすれば良いのか?」と困ったことはありませんか。
報告書を読んでも、これが本当に自社が実施すべき”海外進出”なのか判断できず、前に進めなくなったことはありませんか。
例えば、海外市場調査の仕様決めは、
・日本市場と海外市場のギャップを良く知る専門家が、
・貴社の国内事業を十分理解した上で、
・海外市場で競争優位のヒントになるような、海外競合企業とのギャップを、
・具体的に確認できるような調査項目を網羅した仕様とすること、
が重要です。
そしてそれらを調べただけでは海外進出の見通しはまだ立たず、
・その日本企業が実際に海外進出する際の現地障壁の数と大きさを
・「初期フェーズ段階で」できるだけ具体的に洗い出し、
・それらを調査結果にも反映させなければ、
意思決定できるレベルの情報や、予算決めに使える調査報告書にはなりづらい現実があります。
このように海外市場調査ひとつをとっても、仕様決めの段階から、実は海外ビジネスの常識が必須になっています。
いわゆるグローバルマインドセットが不足していることで、日本企業が海外展開の入り口からつまづくこと、そしてそれに気づかず長く迷走を続けることは珍しくありません。
グローバル市場で優位に立つ戦略立案には、まずは海外でのビジネス常識と日本のビジネス常識の違いを、進出する企業自身が、しっかり認識していくことが必要になります。
海外と日本のビジネス常識の違い
英語、文化、宗教だけではない、ビジネス常識の違い
具体的には、例えば上記のように、海外では、結果や効率が重視されスピード感を持った展開が非常に好まれます。
担当者への権限委譲も進み、リターンを得るためにリスクを取ります。
前例がないことでも、計画や事前リサーチに時間をかけすぎず、まずは走りだし、PDCA(Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善))をまわし、事業をその都度、修正していきます。
答えのないことに対して走りながら解を生み出そうとする姿勢は、ごく当たり前のこととして受け入れられています。リスクのない所にリターンは無い、これが海外でのビジネス常識です。
一方、日本では、リスクをとることや失敗する可能性があることに寛容ではない為、まずは走り出すことも必要だと理解しつつも、それらを率先して実行する風土はあまりありません。
大きく成功するにはどうすれば良いか?より、小さく失敗を押さえるにはどうすれば良いか?に方針が傾きがちです。
例えば海外のお客さま向けに事業展開をすると、国内事業では経験しなかった想定外が、“普通に”頻発します。
その際に、海外顧客を起点にせず、自社都合を起点として、様子を見ながら現状維持の範囲で、受動的に進めようとする日本のやり方は、“より良い着地点を共に見出そうとしない、期待されるスピード感とリアクションもない”ことから、海外の取引先候補に大きなフラストレーションを与えます。
このようなビジネス常識の差は非常に大きく、海外進出のあらゆる機会に影響を及ぼします。
この差を放置したままでは、海外事業の成功は、残念ながら無いのです。
日本と海外の違いを理解し、少なくとも海外進出の際は海外でのビジネス常識になじむ努力が必要です。
なじむ努力というのは、相手に与えるフラストレーションを想像する努力であり、ご自身のなかの“無自覚”を自覚する努力です。
日本企業は、海外での取引リスクについて強い懸念を示す一方で、極端に無防備な時もあり、リスクに対してアンバランスです。
リスクを回避したければ、まずは本気でリスクを知ろうとせねばなりません。
海外ではどのようなリスクがあるのか、どうしてそのようなことが起こるのか、海外で失敗することの、日本本社への影響の幅は上下最大最小どのくらいなのか、どうすればリスク回避もしくは最小化できるのか、リスク管理ができるのか。
リスクを知ってその対策を練りはじめてやっと、“リスクリスク”と一括りにして、思考が止まっていたことに気がつきます。
海外と日本のビジネス常識の切り替え失敗を防ぐには
海外顧客について何も分かっていなかった、からがスタート
海外でのビジネス常識と日本でのビジネス常識の切り替えが上手くできないと、海外進出のスピードは落ち、打破するためのアクションも、既視感のある緩いパンチになるでしょう。
例えば、海外事業が停滞した時の次の手として、
・価格を下げる
・技術力をもっと上げる
・富裕層をターゲットとする
・リスクヘッジのため(流通で)間にもう一社入れる
・ツールを英語化する
などがあるかもしれませんが、ビジネス常識が適切に切り替わらないままでは、これらのパンチが効いて一発逆転、となることなど、ほとんどないのが実情です。
ただし、ビジネス常識を切り替えるとそこにはじめて見えてくる景色があります。
それは海外でも通用するビジネス常識からしか見えない景色です。
例えば、価格が高いと言われたのは、そもそもその市場で求められていない商品の可能性があります。
一方で価格を下げなくても、現地ニーズがある別の用途へ、あるいは流通を変えることで、ターゲットが変わり、競合に勝てるビジネスになるのかもしれません。
技術力については、より高めてほしいという話ではなく、既存品との折り合いの中で、現地市場でのポジション取りが難しく、何かしら売るためのマーケティング的なヒントが欲しいだけなのかもしれません。
富裕層への売り込みも、そのボリュームは意外と少なく、かつ鋭角化しており、開拓には手間もかかるため、中の上ゾーンの丁寧な再開拓の方が、安定した利益が確保でき、パートナーとしても、ビジネスが継続しやすいのかもしれません。
リスクヘッジとして間に1社を入れるならば、間違いなくエンド価格は上がります。
それで売れなければリスクヘッジ以前の話に戻ってしまいます。
日本語のホームページをただ翻訳しただけでは全く意味が伝わらないことなど、本当にしょっちゅうあります。
海外進出を成功させるには、海外でのビジネス常識を知ること、学ぶことが先決です。
見えている景色をまず変えること、です。
海外ビジネスを進めながら、海外ビジネス常識について謙虚に実践し続けることで初めて、その企業にしかできない勝ち筋が、自分達の最適解が、自力で適切に、自信を持って見出せるようになっていきます。
海外とはビジネス常識がちがう・・・
分かっていたつもりですが、
見ている景色はいつも同じだったかも知れません。
う~ん、いきなりのストレート先制パンチです。
たくさんの失敗を見てきたため、
最初にお伝えしたかったのです。
でも大丈夫です!
たくさんの成功の秘訣、役立ったエッセンスを、この海外ビジネスロードマップにぎゅっと詰め込んでいます。
読み進めるうち、見える景色も少しずつ変わるはずです。
(そうなんだ、ヨカッタ・・・!!)
正直なところ、海外進出はとりあえずやってみて、気合と勢いだ!!と思っていましたヨ
それは絶対にダメ。
海外進出についてしっかり知識を持って、計画的に進めること、です。
でも何から手を付ければいいんでしょう?
何からどう進めるのが良いのか・・・、
考えれば考えるほど初めの一歩が踏み出せません。
シンプルです!
海外進出にはやり方があるんです。
これから「パコロア式海外進出ロードマップ」に沿って一つ一つ一緒に進めて行きたいと思っています。
まずは御社の海外進出の「実現可能性を検証」していきましょう。
海外進出は実現可能ですか
実現可能性を検証とは、具体的にはどんな事を検証しますか?
例えば、ビジネスモデルが海外向けの強いものになっているかどうかです。
日本では好評なので、とりあえず海外進出する際も同じビジネスモデルで進めてみようかと思っています。
日本で評価されている商品やサービスであっても、そのままの形で海外進出することができるもの、そのままの形では海外進出が難しいもの、様々です。
一度、日本で売れている理由、不可欠要素、強みを、海外向けに丁寧に再検証してみましょう。
熟考の結果、ビジネス的に成り立たないと分かることもあれば、想像以上に市場が広がり複数国に輸出できる道が見えることもあります。
なるほど・・・、もう一度海外進出の為に考えてみる必要がありそうですね。
また、海外には海外の、PL保険、取扱説明書、企業信用調査、契約書、法令、ビジネス常識があります。
これらの整備がないままでは、海外進出時に大きなリスクとなるでしょう。
そういう備えまでは、未だできていないかも知れません・・・
知的財産についても、海外市場では意図せず自社が加害者として、他社の権利を侵害していることもあります。
そんなことがあるのですか、単に模倣防止のためだけではないのですね。
他にも、そもそも海外で販売可能な商品やサービスかどうか、
海外各国規制の確認も輸出前に必要でしょう。
輸出ができない可能性がある・・・、そこからですかトホホ。
実現可能性の検証、とても大切ですね。
とても大切です!
それでは早速、海外事業の実現可能性を検証していきましょう。
海外事業用のビジネスモデルはありますか
はじめに
海外市場では、顧客、流通、競合、が変わります。
変わり具合によっては、自社(の商品や価格)も大きく変える必要が出てきます。
自社が変わらなければならない可能性を見積もり、許容範囲を想定しておくことや、自社を変えることが難しい場合は、ターゲット国を選びに選び抜く、など、
海外でも勝てる方法=自社のビジネスモデル最適解、を海外進出する前に、検討しておくことは重要でしょう。
ウチのビジネスモデルって何でしょう?
どのような事業においても、ビジネスモデルは存在します。今の事業で継続して利益が出ている場合、そこにはれっきとした”ウチ独自の”ビジネスモデルがあります。
自社のビジネスモデルを改めて理解する為には、海外展開事業計画書(輸出編)、もしくは海外展開事業計画書(投資編)の策定をおススメします。
計画書を作ってみることで、国内事業の棚卸からはじまり、他社にはない強み、競合との関係、顧客ニーズの変化、先送りしてきた課題、今後の展望、選択等、会社全体のこれまでの状況、これからの可能性が大まかに見えてきます。
そのあと事業ごとの”健康診断”を行い、”レントゲン写真”を撮ってみるのです。
- 長年、一番売上の多い事業にマンパワーを注いできたが、この御時世、本事業が来年以降も伸びる根拠はないため、人員配置の見直しが必要ではないか
- 利益の少ない事業からはただ撤退するのではなく、流通や商品施策を変えることで、これまでより安定利益が見込めないか
- 各事業をバラバラで展開するより、要素技術で軸をとり、事業別から技術別に展開しなおすことで、強みの見える化にもなり、新しい顧客を開拓できないか
などなど、そこに映し出された骨格=どのような論理、顧客価値でウチは儲けているのか?、を突き詰めると、その会社のビジネスモデルは、おおよそ把握できます。
国内と同じビジネスモデルではダメですか?
国内事業と同じビジネスモデルで海外進出できることもありますが、ビジネスモデルを変えなければ展開が難しい場合もあります。その見極めのために、進出もしくは輸出予定国の流通、競合、市場、顧客可能性等をまずは調べます。
現地に日本と同じ様なニーズがあり、競合も少なく、流通構造も類似している場合、事業展開は可能と言えそうですが、障壁が低いということは、競合参入も容易ということ。
今見えている”点”だけではなく、1年後3年後の”線”で浮かび上がるリスクの検討も合わせて行い、プランBプランCを練り上げ、競合との戦いや市場の変化を想定しながら、総合的に判断していきます。
海外事業用の新しいビジネスモデルは通用するでしょうか?
海外事業向けにビジネスモデルを再構築する際、既存モデルの”部分”修正なのか、全体を刷新する新規構築なのかで、その後の検証工程は変わってきます。
新規モデルの場合は新商品や新サービスや新業態を、経験のない新市場で展開するため、リスクとコストが大きくなります。国内事業として市場展開した経験が無く、それら商品を海外で”初めて”試すには、綿密なプランと海外現地で市場調査(F/S調査)が必要となるでしょう。
しかしながら、実際の中小企業の海外進出では、ほとんどが部分修正で進められています。値付けには現地の流通が、継続性には現地の輸出入の規制と競合企業の存在が、それぞれ大きく影響するため、適切に修正を加えましょう。
自社のビジネスモデルを考える良いきっかけになりそうですね!
なんだか、成功する気がしてきました!
いやいや、まだ1歩目を踏み出したにすぎません!
えっ、そうなんですか
海外進出には、事業を進めてみてはじめて気づくリスクがたくさんあります。
次は海外進出のリスクとその回避方法について学んでいきましょう!
海外進出のリスク管理は考えていますか
はじめに
海外進出済みの中小企業の82.4%が、未だ海外リスクマネジメント方針を持っていない。海外リスクマネジメント実態調査 2016年2月 独立行政法人中小企業基盤整備機構
海外子会社とその日本本社もろとも、総倒れにならないために、
有事に備え、イザという時のために、
海外進出企業は、転ばぬ先の”海外進出用の杖”をしっかり自社で準備しておきましょう。
海外進出のリスクにはどのようなものがありますか?
日本企業が海外取引(輸出)、海外進出(投資)を進める中で、それぞれの流れを具体的にイメージしてみると、リスクが浮き彫りになるでしょう。
オペレーションリスク
海外取引(輸出)の場合は、海外から問い合わせが入ると、メールで海外企業とのやり取りが始まります。
見積もりを出して、受注となれば生産し、代金回収ののち、商品を輸出します。
この流れの中だけでもそれぞれ
- 技術情報流出
- 支払い遅延
- 貸し倒れ
- 貿易の輸出輸入規制
- 梱包不具合、破損、紛失
- 商品仕様の誤認識による返品可能性
等の『オペレーションリスク』があるでしょう。
カントリーリスク
これに加え、
海外進出(投資)をして海外に店舗や工場を設立する場合は、不動産契約や、仕入れ調達、従業員確保が必要ですが、
- インフラ未整備
- 工事遅延
- 当局規制(法令、税務、環境)の変更と不適切運用
- 不利益契約
- サプライヤーの品質不良
- メンテナンス不備
- 人材未定着
- 現地慣習誤認識
- スト・テロ・暴動
- 自然災害
- 感染症
等の『カントリーリスク』が加わってくるでしょう。
カントリーリスクとは、進出国の政治・経済・社会環境の予期せぬ変化によって、海外拠点の取引先が固有にもつリスクとは無関係に、収益を損なう危険度のことを言います。
分かりやすい例ではクーデター勃発や国債のデフォルト、ハイパーインフレなどがあります。
契約当事者の責によらない事態が想定外に発生するカントリーリスクは、開発途上国に高く、
例えば、政治家の汚職、公務員の職務怠慢、政情不安、犯罪検挙率の低さ、警察への賄賂の常態化も要因の1つと言われています。
しかし程度の差こそあれ、以下のカントリーリスクはどの国にもあります。
- 外資規制
- 司法制度の不公正
- 政権による企業経営への介入
- 保護主義による法改正
- 事業接収
- 現地通貨建による減価
- 模倣品の氾濫
- 所得格差の増大
- 為替の下落
- インフレ進行
それぞれのトラブルや課題に対する対策は、日本本社と共に海外拠点がしっかり練っておく必要があります。
日本のリスクとどう違いますか?
経済リスクや金融リスクなどのカントリーリスク以外に、海外事業特有のオペレーションリスクというものがありますが、
こんなところで足止めを食うのか、
こんな落とし穴があったのか、という
”こんな”のレベルが異なるでしょう。
海外取引(輸出)のリスク
例えば海外取引(輸出)の場合、
- 商品出荷前は頻繁に海外顧客企業から連絡が来たが、輸出後連絡がつかず、代金回収ができない
- 海外企業への説明用に開示した納入先実績や画像データを、他社サイトに無断で転載された
- 当社商標を承諾なく海外で登録し該当国での総代理店のように勝手に振る舞う
- 商品ページの見間違いにもかかわらず、商品ページとは仕様が違うと突然着払いで返品された
- 現地企業の書類不備で輸入通関ができず、保管倉庫代が発生し、商品の劣化で廃棄を余儀なくされた
等々があるでしょう。
海外進出(投資)のリスク
海外進出(投資)の場合は、
- 海外進出コンサルタントや、現地投資パートナーから、不十分な情報しか得られず、非効率的な投資プロセスを進まざるを得ず、想定の何倍もコストが掛かった
- ということを、撤退する時にはじめて知った
- こういったことは現地の誰も教えてくれないものだと理解した
- 言葉のニュアンスが分からない為と思い込みが重なり、現地人材に長年の機会損失が起こっていた
- 性善説に頼った管理を続けた結果、備品盗難、請求金額の水増し、悪質なリベート要求の発見が遅れた
- 精霊信仰を軽くあしらった為に大型連休明けに従業員が戻らず現地法人運営が立ち行かなくなった
等々があり、日本では起こり得なかった“こんなこと”への対応に忙しくなるかもしれません。
海外進出特有のリスクを回避するにはどうすれば良いですか?
色々な方法がありますが、まずはリスクを知り、備えることです。
海外進出のリスクを知る方法
リスクを知ることについては、最初は特に、失敗とその原因を、先行企業の海外進出事例から読み解き、評価することから始めると分かりやすいでしょう。
海外展開成功のためのリスク事例集 2014年 中小企業海外展開支援関係機関連絡会議
海外進出に備える方法
リスクにどう備えるかについては、なぜそのようなことが起きるのか?の根幹について、海外にいる相手の立場になりきって想像してみる、というのも1つです。
例えば、日本と異なり海外の国々では、
- 歴史が浅い
- 刹那的
- 識字率が低い
- 国のセイフティネットが無い
- 餓死する人が日常にいる
- 社会全体の競争が激しい
- 社会のルールを守ることで得られる”自分の“メリットは無いか、非常に少ない
- 落とし物を届けるシステムは無い、仮に届けたとしても盗みを逆に疑われるリスクはある
などがあります。
また、下記のように考える人も普通にいます。
例えば、
- 残業し休日出勤し健康を害してまで仕事をするのは狂気の沙汰でクレイジー
- 生きる意味の根底に”神”や”家族”の存在はあってもそこに”会社”を同列化するなどありえない
- 共同体の内側の人には尽くすが外側の人(異宗教や異国)への仁義は無く、期待もしない
- 真実は1つではなく多面体で、今日の正解は明日には不正解、ということもある
- 二重三重に防御して、持ち分を減らさぬ自助努力は当たり前
- 理由も無く人のことを信用しない、自分が簡単には信用されなくても驚かない
- 意見があれば主張をする、表情乏しく頷くだけでは意味が分からない、不参加と同じ
- 唐突な指示や、背景説明が無い依頼を、業務命令と言われても、動けない、説明責任を果たしていない
等々、日本とは、歴史も制度も異なる世界が垣間見えると、いかに日本側が異質か?が何となく掴めるようになってきます。
それぞれの国で物の見方や考え方に大きな幅がある中で、100%リスクを回避できる、と考えること自体が現実的ではないことが分かります。
進出したい国や事業により、絶対に回避すべきリスク、許容せざるを得ないリスクが、それぞれ変わってきます。
許容できるリスクの下限とその影響を、社内でしっかり事前に協議しておきましょう。
知らないというのは怖いものですね。
しっかりと海外進出のリスクに備え、準備をしようと思います。
いい心掛けですね。
ほかにも大切なリスク管理として、「知的財産の管理」があります。
海外での模倣品多いですよね。
でも、どうせ止められないんじゃないですかね?
そんな弱腰でどうするんですか!!
売られた喧嘩のかたはきっちりつけないと・・・・
海外進出で知的財産は管理されていますか
はじめに
どうせ海外での模倣品は止められないから、とあきらめていませんか。
もし海外で自社製品を模倣されたままにしておくと、逆にニセモノが本物を名乗り、訴えてくることすらあります。
海外では、知財リスク(売られた喧嘩)をそのまま放置しておくことは命取りになります。
争いを未然に防ぐことが最優先ではありますが、万が一の場合も、グローバルスタンダードに則り、売られた喧嘩のかたはきっちりつけねばなりません。
海外事業の特許、商標、意匠の国際出願については、誰に相談すれば良いですか?
できれば、
- 弁護士資格を持つ弁理士 や 弁護士事務所で働く弁理士
- 日本企業より海外企業との取引が多く、
- 海外で有利に事業展開できる権利の押さえ方について助言ができる方に相談できるとベストです。
無料相談を希望する場合は行政の制度、海外展開知財支援窓口を利用するのも良いでしょう。
一方、避けた方が良いのは、 - 申請作業が主体で、戦略の提案経験が少ない、弁理士事務所です。
見極め方としては、相談した際に、権利を押さえることで発生する事業リスクは何か?まで助言下さるかどうか、となります。
例えば権利化は出来るが期待する活用はこういう理由でできないだろう、や、この申請内容ではここに穴があるがこれをカバーしようとすると範囲が広がりすぎ弱くなる、従い○○とするのが良いだろう、等々。
知的財産の権利化は事業基盤のかなめです。
依頼されれば申請はしますが、その後の特許権の活用についての実益は不明でアドバイスも出来かねます、では海外進出の強力な助っ人にはなりません。
なお、海外の法律事務所への直接依頼することも1つの方法です。しかし、ある程度論点の整理が自社でできていなければ、時間チャージ制から高額請求となることもあり、アフターケア(更新のお知らせ、その他)も含まれていないことも多く、国際出願の初心者の場合は、手続き上の不安を減らせる日本の特許法律事務所にまず問い合わせるのが安心でしょう。
海外進出での知的財産についてはどんなトラブルが多いですか?
商標登録の場合は、
- 輸出や投資が拡大しているにもかかわらず、商標登録申請が遅れた結果、該当国の同じ区分に既に類似商標があり権利化が出来なかった。現地で売れているにもかかわらず、すべての商品やサービス名を別のものへ変更せざるを得なかった。
- 事前の調査では該当国に類似商標はないと言われていたが、商標登録申請後に現地から拒絶が続き、取得までにかなりの時間とコストがかかった。遅れた理由について弁理士から説明を受けたが、事前に回避できなかったのかを含め理由がよく判らなかった。他に良い弁理士事務所があったのではないか、と今でも思ってしまう。
- 類似商標とは言えない商標を持つ外国企業から権利侵害との訴状が届き、商標登録が出来なかっただけではなく対応に弁護士費用が約150万円かかった。商標は取得できたが、思わぬ出費と足止めにより1-2年は海外営業活動費が捻出できず、数年後、結局その事業から撤退した。
等が有ります。
特許の場合は、
- 特許取得は自社技術を開示することにもなり、今すぐは追従されないとしても、今後自社に更なる技術革新が見込めない場合は、ライバルを時短で育てることにつながる。
- 特許出願前の調査で、同等の特許が該当国には無いことが判明したとしても、そのことがイコールその国の市場で優位に展開できると考えるのは早計だと分かった。
同技術の特許登録が今無いことの確認は数十万円で出来るが、その特許にビジネス上、市場競争力があることの確認の調査は、難易度も高く費用のゼロも一つ増える。
前者の調査をもって安心してしまうのはリスクだが後者の調査を進めるには費用がかかり過ぎてしまう。また結果によっては事業計画が狂うことになる。 - 複数国にまとめて出願できるとしても、 特許出願、登録、移行、維持には費用がかかる。海外市場の競合動向を見極めた効果的な権利化にも、事前に相当の情報収集力、戦略立案力が求められる。
また権利が確定するまでに数年もかかる背景下、海外進出の初心者にとって、適切な審査請求のタイミングを見定めることは全く容易ではない。
等があります。
国際出願の費用と権利化までの期間はどのくらいかかりますか?
商標は50万円から、特許は220万円から、期間は最短でも、商標で1年半、特許は3年はかかるでしょう。それぞれ登録する出願国ごとに費用を要し、拒絶対応、翻訳、登録後の維持年金などを加算すると最終的には、総額が数百万円(複数国)になることもあるでしょう。
売れるかどうか分からない段階では費用はかけられない、海外展示会出展後、売れると分かった段階で対応したい、との声も多く聞かれます。しかし中国含む海外の展示会で一度お披露目してしまうと、模倣リスクはぐんと高まります。
現実的には、今販売している、あるいは今後の販売見込みの国から順次、商標や特許の権利化を進めることが多いようですが、取得までにかなり時間がかかることもあり、事前に専門家としっかり中長期的な戦略を練っておきましょう。
これで知的財産保護はばっちりですね。
しっかり外国出願対策をして売りまくるぞー!
いいですね!
ただし、急がば回れです。
ところで、輸出入規制については知っていますか?
ゆしゅつにゅうきせい・・・????
日本から輸出する際の輸出規制と、各国へ輸入する際の輸入規制、
両方をクリアしないと売れたとしても、相手国に商品をいれることができません。
・・・????
とりあえず先に進めてみましょう・・・
01-04輸出入規制について知っていますか?
海外の輸出入の規制について知っていますか
はじめに
海外向けのホームページを作って、
海外展示会で絶賛されて、
英語での商談がまとまっても、
各国地域の輸出規制と輸入規制の確認を怠れば、
すべての努力が泡に消えてしまうことがあるのです。
輸出入の規制について、具体的には何をすれば良いですか?
日本からの輸出規制は安全保障貿易管理(経済産業省)とSDS(経済産業省)の2点を確認すれば良いでしょう。
相手国側の輸入規制は国ごと、流通業界ごと、商品やサービスごとに、ほとんどない場合から、複数ある場合まで、多種多様で実にさまざまです。
例えば規格であれば、その規格に必要な試験を実施し、データを取り、技術文書を作成し、適合証明書を作成します。規制であれば、現地当局(税関とは限らない)が求める書類の提出、申請、登録、また現地代理人の選定などが必要でしょう。
各国の状況は不定期に変更されるため最新情報を把握することは骨の折れる作業です。例えば海外輸入規制には下記などがあります。
安全基準制度であるCEマーキング
EU27ヵ国と、スイス、アイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェー、トルコ
環境規制としてWEEE、RoHS、REACH、他
欧州、中国、米国
ユーラシア経済連合技術規則(強制認証)EAC認証(GOSTから移行中)
ユーラシア経済連合(EEU)のロシア、アルメニア、ベラルーシ、カザフスタン、キルギス
Gマーク
GCC6ヵ国(サウジアラビア、アラブ首長国連邦、バーレーン、クウェート、オマーン、カタール)
国家規格例
ANSI(アメリカ)、BS(イギリス)、DIN(ドイツ)、NF(フランス)、CSA(カナダ)、GB(中国)、TCVN(ベトナム)、TIS(タイ)、PSB(シンガポール)、JIS(日本)、他。
問い合わせの多いFDA関連
例えば、医療機器、化粧品、食品を米国へ輸出する場合はUS FDA(米国食品医薬品局)へ、届け出、承認申請、代理人任命、サンプルや必要書類の提出、基準確認、施設登録、事前通告などが必要。(タイの場合はタイFDAへ、など)
ええっと、今お話し頂いているのは、財務省の貿易統計品目とか、自動車とか半導体等電子部品にかかる関税とか、そういう規制の話でしょうか。
実質輸出入には関税がかかってきますよ、という・・・、
(貿易講座で習った、ありったけの貿易単語を並べてみた)
おしいですが、関税の話ではありません。
(関税の話はこちらをどうぞ 関税とは?その基本を理解する)
世界各国向けに輸出する場合(その国にとっては輸入した場合)、その商品が当該国にもともとある流通規制に準拠していないと、海外の企業はその国でビジネスができません、という話になります。
ちなみに、輸出の際、関税はかかりません、我が国の場合・・
。。。
輸出入の規制について、どんなトラブルが多いですか?
日本からの輸出規制や相手国側の輸入規制や法律の存在を知らないことや、知っていても正しく準拠していないことからくるトラブルが一番多いでしょう。
出荷当日になって、法令に準拠していないと分かり、関連各所にあわてて書類を依頼したり、また、何とか輸出はできても現地に到着後、その国では輸入できない商品と分かり、現地税関の通関手続きが進まず貨物が止められたりすることがあります。
現地側での規制準拠や当局への登録などの事前準備には数カ月かかることもあり、現地に到着したタイミングでの不備発覚は、結果として商品廃棄や契約不履行などしか選択肢がないため、せっかくの海外企業からの注文に納期が間に合わず、信用失墜となることもあります。
なお、規制に準拠していないにもかかわらず、長年同じものを取引していて、何年も問題なく輸出入が出来ているという事例がまれにあります。
しかし安全基準を満たしていない商品を輸出することで、欧州委員会のサイト(RAPEX)で摘発され警告を受けることもあります。警告後は同じ商品は流通できません。
現地の輸入者や流通業者、何より現地のお客様や消費者の安心安全を考えると、たまたま発覚していないことに胡坐をかくことなく、信頼獲得と事業継続のためには、自発的な準拠が賢明と言えるでしょう。
輸出入の規制に準拠する費用は、どのくらいかかりますか?
輸出規制の場合は、インターネット検索で参考書式も見つかるため、無料で書類作成することも可能でしょう。難しい場合は専門の第三者認証機関に相談しても良いでしょう。
(株)パコロアが制作した第三者認証機関のリストはこちら
(株)パコロアが制作した第三者認証機関が何ができるかのリストはこちら
(相手国にとっての)輸入規制の場合は、ネットリサーチ力次第ですが、情報収集までは無料で出来ることもあります。
ただ、準拠すべき規格や規制を漏れなく特定すること、第三者認証機関の要不要や、適切な試験機関でのデータ取得、クリアすべき要件や試験内容の把握、英語での技術文書作成や適合宣言書作成などは、海外展開の初心者には難易度が高いため、
コストは数十万円かかりますが(国、商品によって異なり、時には100万円以上になることもあります)専門の第三者認証機関に依頼すると安心でしょう。
あぶなかった・・・輸出規制(相手国にとっては輸入規制)に準拠しないと現地では売ることもできないなんて・・・
そうなんです。中小企業のみなさまにとっては、ここは高い障壁となっています。じっくり検討が必要です。
次のステップとしては、海外進出に向けて必要な能力を身につける、というものがあります。
能力を身につける??(面倒そうだなぁ)
海外進出に必要な能力は、一朝一夕には身につきません。
努力あるのみです。
トホホ・・・
海外進出に向けて必要な能力を身につけていきましょう!
>02 海外進出に必要な能力を開発する
海外進出に必要な能力を身につけよう
具体的にはどのような能力が必要なのでしょうか?
???
相手に伝わるビジネス英語で商談を進めて、メールの行間やボディランゲージからも海外顧客の真意をくみ取る能力も必要ですね。
ビジネス英語??
私、英語は苦手ですが・・・
海外市場での交渉で優位に立てるような異文化に適応できる力を磨くのも必須ですね!
盛りだくさんですね!
はい!
どれもこれも海外進出を成功させる為に必要な能力です。
これらの能力を身につけることで、海外進出の醍醐味を味わえます。
楽しいですよ!
自信ないなぁ・・・
ダイジョウブ!
最初は”誰でも”はじめてです。
ワタクシもどれだけ、おっかなびっくりだったか・・・
オッカナビックリ、ほんとですか?
ええ。
やっと英語が話せるようになったかと思ったら、
初めての海外出張では食あたりやらディストリビューター同士のテリトリートラブルの仲裁やら、ホントに、、、それについてはいずれまたゆっくり・・・
え、それ今、聞きたいです!!
おぉ~、元気になりましたね。
それでは次、貿易実務について学んでいきます!
貿易実務が身についていますか
貿易実務はどうやって勉強すれば良いですか?
はじめて海外企業へ見積書や請求書を作ることになったというのに、貿易実務を教えてくれる人はおらず、貿易実務に必要な英文ひながたも無い状態だったら、一体どうすればよいのか?
そんな時は慌てず、
Quotation(見積書)や Invoice(送り状兼請求書)という単語を、
Template(ひながた)という単語と共にGoogle検索してみましょう。
検索した複数のひな形を見比べることで、文書に含むべき必須項目が分かります。
さっそく空欄に単語や数字を打ち込んでみると、何となく形にはなってきます。
よろしければこちらもどうぞ
→ パコロアTIPS お役立ち英文書式 Quotation(見積書)
貿易実務について、分からないことが発生したら、都度検索してみましょう。
貿易実務の情報サイトも増えており、無料の情報でもおおよそのあたりをつけることが出来ます。そして勉強方法としてはこのやり方が一番効率的と言えます。
もしインターネットで検索しても分からない時は、お取引のある、
・銀行の外国為替部
・国際輸送会社
・輸出梱包会社
・海上保険会社
・第三者認証機関
・商工会議所、
・その他 各当局
のいずれかに直接問い合わせることで、どうすれば良いか、の情報は得られます。
もし、問い合わせ先の業務の範疇外、の質問だったとしても、どこに聞けば良いかを教えてもらえることもあります。実際に、幾多の困難を、「まずは各所に電話して聞いてみる」で乗り越えたこともあります。
いやいや、そういうチャレンジングな感じは苦手で、事前に貿易実務の全体像をしっかり理解しておきたい、貿易書類のひながたを整備しておきたい、という方には、下記の本をおススメします。
海外進出の必読書 ジェトロ貿易ハンドブック2023
(輸入輸出手続きの最新全体像がつかめます)
海外進出の必読書 マンガでわかる貿易実務のきほん
(コミック調ですが貿易実務が好きになります)
また、日本貿易実務検定協会の貿易実務検定のB級、C級受験などは、商業英語やマーケティングを楽しく学びつつスキルアップが図れます。検定試験を受け資格を取ることは将来の仕事にも役立つでしょう。
ただ、難易度の高い貿易実務検定A級や通関士試験の受験、各種セミナーの受講、分厚い本を読破するのは、初心者の時ではなく、後輩に教えられるレベルになった時くらいが適切でしょう。
その頃であれば、難易度の高い知識に触れたとしても、今まで蓄積してきた経験という点が、線につながる瞬間を、体系立てた学びを通じ、存分に味わうことができるからです。
そうか、こういう意味だったのか、と日々の業務を再認識できると、今までの実務作業が評価されたようで、大変スッキリします。そして同時に、ここからが大事なのですが、
実際に何年か最前線で貿易実務を担ってきたご自身が、一度も聞いたことも、見たことも、必要となったこともない、多くの貿易業務知識が、それらの検定試験や教材に含まれていることを知り、
もし最初にこちらから入っていれば、貿易実務はとても難しいもの、ハードルが高すぎて自分には攻略できないもの、やってもやっても勉強に終わりが見えない高みにあるもの、と誤解していたかもしれない、と、分かるでしょう。
貿易実務や貿易実務英語の大抵の疑問については、インターネットで即時検索できます。どうすることが正解かが分からない時も、貿易実務を担うパートナー各社に直接聞けば、ある程度分かってきます。
それら部分理解を統合して、自分の頭で考えて、道をつけていく、という能動的な貿易実務の進め方は、海外進出手法そのものにも通じます。
是非、分からないことが分かるようになる柔軟な学びで、日々の貿易実務の仕事を進化させていきましょう。
貿易実務の流れ (輸出)
コレポン
海外企業からの引き合いに対し、見積作成に必要な要件詳細ヒアリングを英語(メール)で行います。
見積書作成
見積書作成に必要な情報を集めます。
例えば、国際輸送会社や国際宅急便会社、梱包会社から、輸送費や輸出梱包費の見積を取得します。見積もりを取る際におよそのスケジュール感も把握しておきます。
海外向け価格、海外輸送方法、取引通貨、支払条件、納期などを決め、見積書に記載し提出します。
受注・契約
受注に際し、契約書が必要な海外取引の場合は、双方が契約書にサインをして契約を締結させます。
前金で100%の金額の入金があれば、契約書は特に交わさないという輸出取引もあり、その場合は契約書無しで進めますが、トラブルを回避する為、入念な見積書作成が必須です。
契約書は引き合いがあってから準備するのではなく、また相手企業のひながたにサインするのではなく、自社ひながたを事前に準備して方が安心です。
注文請書作成
海外顧客からの発注書に対し、注文請書(Order Confirmation)を返送します。前受金状況や輸送方法、出荷予定日等を明記しておきます。
輸出手配
国際輸送会社へ、出荷予定時期を連絡し、船会社・航空会社のスペース予約をお願いします。本船や貨物機の便数は週2便、月何本等決まっており、あるいはコロナ禍以降大幅減便もあり、早めにスケジュールを確認しておきます。輸出梱包、保険付保も同時に手配します。(国際輸送会社がこれらの手配を一括で行うこともあります。)
輸出書類作成
輸出通関に必要なインボイス、パッキングリストを作成しておき、出荷時に国際輸送会社に渡します。L/C取引の場合はこれに加え、指定される英文書類(Application Form、Bill of Exchange、Certification)も作成し銀行へ提出します。
海外顧客へも輸出書類を送ります。オリジナルを送る必要がある場合は国際宅急便で、コピーで良い場合はメール送付します。
代金回収
前払いの場合はすでに代金回収済です。
後払いの場合は、支払期限内に着金しているか確認し、未払いの場合は督促の連絡を英語で入れます。
後払い未払金の回収率は高くなく、初回オーダー等、海外顧客との信頼関係が未構築の段階では、出来る限り前金で代金回収するようにした方が良いでしょう。
フォロー
貨物が着かない、現地輸入通関に必要な書類が足りない、(銀行での)支払いに必要な書類が足りない、梱包に不備があり破損している、等の問い合わせがあった場合、適切にフォローをします。
貿易実務の流れ (輸入)
コレポン
日本企業(お客様)からの注文に際し、海外の仕入先へ最新価格、在庫と納期確認を行います。(都度輸入せず、自社倉庫等に在庫がある場合はこの工程は省きます。)
見積書作成
もし、前回から価格が変わっている場合は再度見積書を作成し、最新価格で発注して頂くよう日本企業(お客様)へ連絡します。
発注・契約
日本企業(お客様)からの受注に際し、契約書が必要な取引の場合は、双方が契約書にサインをして契約を締結させます。
(海外の仕入れ先への発注に際しても、都度、契約書が必要な場合、契約を締結します。)
輸入取引でトラブルになり易い、品質管理、納期については入念な事前打ち合わせが必要です。
契約書は引き合いがあってから準備するのではなく、また相手企業のひながたにサインするのではなく、自社ひながたを事前に準備して方が安心です。
発注書作成
海外の仕入れ先へ発注書(Purchase Order)を送ります。発注する側としては検収後品質確認の上100%後払いを希望しますが、先方がそれを望まない場合は交渉が必要です。
注文請書作成
日本企業(お客様)へ注文請書を返送します。最新情報(価格、納期)を明記しておきます。
輸入手配
海外の仕入れ先から出荷連絡が入るか、船会社や航空会社から貨物の到着連絡が入ります。提携しているフォワーダー(乙仲業者)がいる場合はその会社名を伝え輸入通関を進めます。特にいない場合は、指定フォワーダーがいないことを伝え、通関手続きを進めてもらいます。大型貨物の場合は社内の荷受け準備を整えます。
輸入貨物検品
海外からの貨物については到着後速やかに検品し、梱包の破損、商品自体のダメージ、中抜きや欠損がないかを確認します。
不備があった場合は、それが海外の仕入れ先の輸出梱包品質が原因なのか、国際輸送会社の取扱が原因なのか、責任範囲を明確にするために、下記の写真を撮影しておくとスムースでしょう。
・出荷前の輸出梱包写真、梱包された商品の写真、商品ごとのナンバリング写真
・到着開梱前の梱包写真
・到着開梱後の梱包写真、開梱後の商品の写真
貨物到着後検品せず、倉庫に置きっぱなしにするなど、日数経過後の貨物ダメージクレームは貨物保険の対象外となる可能性があります。
支払い
前払いの場合はすでに支払い済です。後払いの場合は、支払い期限までに送金し、海外の仕入れ先に送金額と送金日の連絡をしておきます。
フォロー
日本企業(お客様)へ納品後商品がすぐに使われず、数カ月たって実際の商品の使用開始後からクレームが入ることもあります。その場合の保証や返品、交換条件についての事前確認、あるいは海外の仕入れ先との製造ライン確認、ロット番号管理等、継続的なフォローも必要となるでしょう。
貿易実務に必要な書類
輸出者が作成するもの
船会社・航空会社が発行するもの
Bill of Lading (B/L)
Air Waybill (AWB)
銀行が発行するもの
Letter of Credit (L/C)
保険会社が発行するもの
Insurance Policy
貿易実務でお世話になる協力会社
国際輸送会社
商船三井ロジスティクス
郵船ロジスティクス
セイノーロジスティクス
阪急阪神エクスプレス
近鉄エクスプレス
日本通運
他にも、一般社団法人 国際フレイトフォワーダーズ協会(JIFFA)の正会員リストで
国際輸送会社を探すことは可能です。
国際宅急便会社(小口貨物の海外配送)
UPS
DHL
FEDEX
EMS(日本郵便)
海上保険会社
東京海上日動火災保険
三井住友海上火災保険
貿易保険会社
日本貿易保険
貿易保険会社
日本貿易保険
海外PL保険会社
東京海上日動火災保険株式会社
三井住友海上火災保険株式会社
損害保険ジャパン株式会社
輸出梱包会社
第三者認証機関
銀行
等々。
貿易実務は、さまざまな会社の協力のもと支えられています。
貿易実務の難しいところはどこですか?
貿易実務の難しいところは、イレギュラーなことが起こった時に明確な答えがなくとも、誰かが(多くの場合みなさまが)リスクを取って何か行動を起こさねば、前に進まないことがある、ところです。
例えば、現地で流通させるために必要な書類を完備していたのに、別の書類を他機関による発行で提出せよと現地から言われる。
そのような発行実績が他機関では無いにも関わらず。
→ 仕方がないので現地と交渉しつつ、指定された他機関にも依頼を進める。
例えば、海外企業がL/C(Letter of Credit)を開設してきても、相手国の信用リスクが高いことを理由に日本側の銀行から、万が一買い取れなかった場合、支払いができない可能性について了承する、という書面に事前にサインを求められる。
支払い保証があるため手数料を払ってL/C取引をしているにも関わらず。
→ 会社と銀行の力関係上、他の選択が無ければサインをする。
その他、貿易取引ですので、すでに貨物が届いているのに貿易書類が未着であるとか、倉庫搬入を終えているのに通関書類に不備が見つかったりと、待ったなしの場合もあり、誰がどこまでのリスクを負うのか、負えるのか?を踏まえながら、
実務経験者の経験則による最適解で都度、判断していくことが貿易実務の難しいところ、そしてやりがいのあるところでしょう。
貿易実務のクレームを防ぐにはどうすればよいですか?
海外企業との取引で難しいことの1つに代金回収があります。
支払い条件を常時100%銀行送金前払いに設定出来れば良いのですが、顧客との力関係でそれが叶わないこともあります。
ただし少なくとも、最初に自社リスクを減らした正しい見積書の提示と、適切なコレポン(コレスポンデンス、海外企業との商業通信、メールのやりとり)で取引をスタート出来れば、
注文間違い、輸送梱包不備、倉庫代加算、追加検査費用、関税支払い拒否、ひいては客先からの返品や交換、などの憂き目にあうリスクは大きく減らせるでしょう。
国内取引と異なり貿易取引では、ちょっとしたミスでも手間=コストがかかります。
例えば、shipping mark(段ボールの側面にあるMade in Japanなどの記載)の段ボール個数番号を1つ打ち間違え、書類と一致しない場合などでも、無償で修正できるタイミングは限られています。
すでに飛行機や船に商品を載せようとしているタイミングでは修正は間に合わないため、その便での出荷はキャンセルとなります。それに伴い、スケジュールの変更、markの貼り替え/訂正、船積書類の訂正などが必要となって、手数料=人件費が発生します。
納期に間に合わなければ顧客からは受け取り拒否や減額要求もあるかもしれません。
貿易体制が未構築のままでは、予期せぬミスやクレームで追加の手間や費用がかかり、輸出は思ったより利益が少ない、ということも大いにあり得るでしょう。
輸出で得られる利益を安定させるには、貿易の全体の流れ、例えば海外から引き合いが入るところから商品を届けるまでの流れを学び、貿易事務で起こり得る“想定外”を予め想定しておくことが重要でしょう。
貿易実務の醍醐味は何ですか?
トラブルを解決した時、かつ自社に損失が無かった時には大きな醍醐味を味わえます。しかし、もっとじんわり胸に灯る醍醐味もあります。
海外企業から引き合いが来て、見積もりを出し、注文が入り、代金回収し、商品を届け、現地での使用に際して、“期待通り素晴らしかった、また買いたい”、と高評価を得た時、
またこれら一連の流れをつつがなく終えた時、が、もしかすると一番の醍醐味を感じる瞬間かもしれません。
海外営業と貿易実務の担当者が別々の場合など、貿易実務担当者は、一度も会ったことが無い海外企業と通信だけで何年も取引していることが珍しくありません。
わざわざ日本から輸入して購入していただけるのは、会社としての信頼と商品やサービスの優位性があるからこそですが、
本当は貿易実務担当者の、ミスの無い、先回りした、誠実なコレポン(コレスポンデンス、Correspondence)が更なる付加価値を与えている、という場合も多く、
決して目立ちませんが、陰の立役者として果たす役割は、本当に大きいと言えるでしょう。
貿易実務、ガゼンやる気が出てきました!
自分が作った見積書に対して、英文の注文書が届くのは格別です。
でも、私、英語が苦手なんですよねー。
いいですね!
苦手ということは、伸びしろが大きいということ。話せたときの感動が大きいということです。
ということで早速、ビジネス英語についても学んでいきましょう。
>02-2 ビジネス英語の対応はできますか
海外進出に対応したビジネス英語ができますか
海外進出に英語は必須
海外進出の際、商習慣や文化の異なる海外の顧客に対しても、英語の伝え方次第では、相見積もりの1つに過ぎない比較品から、must-have(絶対手に入れたいもの)に変えることはできるでしょう。
ネイティブのような流暢な英語は必須ではありませんが、だからと言っていつまでも、片言のエイゴのままでは信頼はされません。
ではどうすれば良いでしょう?
まずは3つのテーマについて英語で話せるようになることから始めてみましょう。
どうすればビジネス英語が話せるようになりますか?
まずは3つのこと、
- 会社
- 商品
- 自分
について英語で話せるようになりましょう。
国内で仕事をする際も常にこの3つについて客先で話をされているはずです。
顧客から質問が多いもの、へぇ~と感心されて反応の良いもの、鉄板トーク、とっておきのネタなどを交え、(1) (2) (3)それぞれの例文をA4の紙の裏表に、まずは日本語で原稿を書いていきます。
例えば会社については、
- 社長のユニークさ
- 独特の企業理念
- 工場や社員の魅力
- 入社してびっくりしたこと
- 業界動向
- 競合の優れたところとそうでもないところ
- 日本独自の市場状況と海外との比較(予想)
- 海外展開の進捗
- メディアや第三者からの評判について
商品については、
- 売れ始めたのはいつ頃からで勝因は何か
- どういうお客様からリピートされているかとその理由
- 過去にどんなトラブルがありどう解決したか(話せる部分のみ)
- 新商品新サービスの開発秘話(話せるところまで)
- 今後の展開と見通しについて
自分のことについては、
- この仕事に出会ったきっかけ
- この仕事をしていて良かったことつらかったこと
- コロナ禍ではどう過ごし何を考えていたか
- 想いを新たにしたことはあるか
- 日本のどういうところが自慢か好きか
- 将来の夢
- 自身のライフワーク
- 休日の過ごし方
- 家族構成
- ボランティアなどの社会貢献の有無
などなど、これらを英訳し丸暗記します。
海外営業の際に利用できる例文帳やマイ辞書なども、余裕がある方は作っておくと良いでしょう。
ご自身が話せる英語の一覧があることは、無用な緊張を減らすことにもつながります。
無料の翻訳に頼らず、プロの通訳者や翻訳家に正式に訳してもらうことが重要です。
せっかく丸暗記したものが万が一信頼をそぐ、残念な英語であっては、ビジネスで良い関係は築けません。
言葉を含むコンテンツは、海外でご自身の価値を上げも下げもする大切な分身として、長きにわたり高い費用対効果が見込める有益なツールとなります。
英会話や通訳サービス、アプリなどにはそれなりの予算を投じても、ご自身の原稿をプロの翻訳家や通訳に訳してもらう、には予算をかけない方が結構いらっしゃいます。
ここは予算をかけて損はありません。この機会に是非、パワフルな自社PR、魅力が伝わる自己PR英語原稿を作り込んでおきましょう。
なお、初期の頃の商談の場やビジネスシーンでは、この3つ以外の情報が話題に上がり深く聞かれることは少ないはずですが、もしこの3つ以外のことを聞かれた場合も、決してあわてず、笑顔で、常に、会社のこと、商品のこと、自分のこと、に意識して話を戻してみましょう。
自分に有利なサークルに相手陣営をとめおくイメージです。
この方法は海外企業へのプレゼンテーションの際も、海外企業との交渉の場でもとても役立ちます。
ビジネス英語が上手くなるコツはありますか?
海外顧客との会話をつなげていくには、都度反応を示すことが大切です。
あいづちをうち表現豊かに反応すれば相手も安心します。素早く反応することで自然なテンポや流れになり、相手も話しやすくなるでしょう。
ただし、相手の話が分からなくなっているにも関わらず、分かっているふりを続けるのは、厳禁です。初心者だから会話にすぐについていけなくなる、何度もいちいち聞き返すのは心苦しい、という状況もあるかもしれませんが、だからこそ、先述の英語の丸暗記の登場です。
背景知識がないまま外国語で相手の話を聞き、返答することは、たとえ経験者でも容易ではないため、先にご自身から、話せるテーマに沿って話を始めてしまい、話せないからこそ場の主導権を渡さない、という戦略です。
話がそれても都度自分の暗記ネタに球を戻して、場をコントロールをしていくのです。そうして丸暗記トークで会話がつながるようになれば、それに加え、次のステップとして、話しながら”相手の話を予想すること”にも、挑戦していきましょう。
海外出張で成果を上げているのは、その多くが、留学・駐在未経験の、”独学、自腹、仕事で必要に迫られて何とか“外国語を習得してきた中小企業のビジネスパーソンのみなさんです。
日々の業務で忙殺される中、英語の勉強を基礎からやり直す時間はありません。それでも現地に行って仕事を前に進めなければなりません。
四苦八苦しながら、最初はつらかった英語のコミュニケーションがあるポイントを超えると少しずつですがラクになっていく、ことに気づきはじめます。
簡単に言うとそれは英語環境に”慣れてきたから“が理由ですが、もう少し分解すると、先方が何かを話し始めて出だしの二、三言を聞けば、何となく話の着地が予想できてきて、話を聞き終える前に、自分の会話が準備できるようになってきた、ことが大きいでしょう。
海外ビジネスの初心者がそんなに早く英語を聞き取れるようになるかな?と思うかもしれません。
実はビジネスに必要な英語は限られていて、結局は先述の3つのテーマに、どの国の誰であろうと話は集約されていきます。
いつも同じようなことを聞かれる、この話をすればすんなり納得してくれる、というシナリオがご自身で感じられるようになるのは、思うよりは早いでしょう。
相手の話すスピードが早い場合も、話の出だしである程度の予想がつけば、予想内の話については聞き流し、初めての単語だけ注意して聞きとるなど、集中力も調整出来ます。
気を張る時間が減ると、心に余裕が生まれます。余裕が生まれると、聞き取れる内容が更に増えていきます。
全くシナリオが見えなかった最初とは変わって、会話全体が俯瞰できると、相手の表情や周りの状況にも気を配れるようになり、その場に好循環が生まれます。
注意点としては、海外のビジネスパーソンは、(日本企業側にとって)意味のあること、意味のあまり無いことを区別せず自分のペースで脈絡なく話を続けることがよくあります。
全部の球をまともに受け止めるとこちらの負荷も大きくなります。
従い、初心者であればあるほど、相手が全部話終えたあとにまとめて反応と返事をする、のは絶対に避けるようにして、下記のような状況をまずは目指してみましょう。
- 相手が話し始めたときに内容の予想を何となくつけます。(最初は難しいですが、そのうちできるようになります)
- 話している間は都度都度うなずき、驚き、喜び、感心しながら、そうなんだ!、なるほど~などのリアクションを普段の2~3倍豊かに実施。
- 話を聞きながら予想との誤差調整も、自身の脳内で終えておき、
- 相手がひと区切り話終えたところで、自分の意見を手短にさっと述べます。
- 相手の話で理解できなかった部分かつ重要そうな部分のみ、続けて短く確認や質問をします。
とはいえ、丸暗記もして予想もしたが、会話についていけず迷子になる場面が、最初は何度も何度も出てくるかもしれません。そんな時でも心配は無用です。
その聞き取れなかった重要そうな単語をメモしながら、反応を止め、そのままフリーズしましょう。
分からないことを悟られたくなくて、日本人特有の愛想の良い反応でやり過ごしたくなりますが、そこはぐっと抑えましょう。
(内容が分かっていないのに笑顔で反応しながら続けると話がややこしくなってしまうためです。)
今まで熱心に反応し会話してきた相手(みなさま)が、目の前でそのように固まれば、「おっと、どうした、もしかして、分からないのか??」と困惑の表情で、相手も一緒に困ってくれるでしょう。
そうやってやっと相手が話すスピードが落ちた、もしくは止まってくれたタイミングで、こちらから会話を再開します。軌道修正をします。
この時に最初に発する単語は、聞き取れた単語、と 関連しそうな単語、です。それらを困った表情でゆっくり発します。
例えば、ターキー、という音が聞き取れたとします。
図面を見ながら商談中に、なぜ急にターキー=トルコ、が出てくるのかあなたには分かりません。
そこでまずはフリーズし、相手が話を止めてくれたタイミングで、ゆっくり、
「Turkey(トルコ)? Ankara(首都のアンカラ)?」
「Turkey(七面鳥)? Bird(鳥)?」
などと、困った顔で聞き返すと、
「No、No、Turn-key Contract (一括請負契約)」
といった、Contract(契約)という単語による補完説明を引き出せるかもしれません。
そうすれば、あ~、ターンキーのことか!
とご自身の陣地に戻って、話を続けることができるでしょう。
「Yes, We can do that, if you need~」
もし、聞き取りができず、分からなくなったときに
「すみません、分からないです」
だけを英語で言ってしまうと、
即座に相手は、少し前に話を戻しつつも、同じスピードで同じ聞き取れない単語を使って、親切心から長めに説明しなおそうとしますが、
”同じ単語が出てくる限り”、
その説明を聞いてもたぶんまた聞き取れないため、同じピンチを避けるためにはこちらから、何が聞き取れて何がわからないかのヒントを出す必要があるのです。
分からなくなっても聞き流せばそのうち分かるようになるかも、、、と、希望的観測は一切持たず
(途中から分かるようにはまず、なりません)、
すぐに白旗宣言、すぐに軌道修正が、初心者の一番大切な心得となります。
それでも、だんだん会話がつながりはじめると、発音やイントネーション、ボキャブラリーを増やすことへの欲も生まれ、地道な努力も苦でなくなります。
もしかすると自分は英語が話せるようになるのかも!
すごいかも!
できるかも!
と期待と自信が芽生えます。
そうなると海外進出自体もとっても良い方向に回り始めます。
ですので、初心者であれば、まず丸暗記戦術を用いて、分からなくなる寸でのところで聞き返し、軌道修正をし、会話を何とかつなげること、に全意識を集中させて参りましょう。
こんなビジネス英語はダメ、というものはありますか?
他の誰でもなく、その商品やサービスを企画し製造し販売している、会社の経営者、担当者自身から湧き出る言葉であれば、どのようなつたない英語でも海外の取引先や顧客であれば話を聞いてくれるでしょう。
但し、いつまでもカタコト、初心者、ブロークンイングリッシュでは、扱える話題も限られ、信頼関係も一定以上は深まりづらいでしょう。
そして新規開拓先など、関係構築がこれからの海外企業については、つたない英語を辛抱強く聞いてくれることなど、まず無いと覚悟せねばなりません。
海外進出を始めて1-2年以内には、英検2級、TOEIC700点、義務教育で習った英語くらいは話せるレベルを、頑張って目指しましょう。
また、ネイティブっぽさを目指すためか、会話中に、Well, um, uh, er, ah, you know, I mean, actually, Let’s seeといった単語を付け加えるビジネスパーソンが時々おられます。
これらは日本語では、えーと、あー、ほら、あのね、だから、ていうか、実際、という意味で「filler words」と呼ばれています。
スピーチコンテストでは減点対象でもあり、無い方がスマートでしょう。もちろん文間をつなぐために加える必要は全くありません。
また、海外留学時に馴染んだカジュアルな学生英語のままで商談に望むビジネスパーソンの方やプロである海外進出サポート企業の中の人もごくたまにおられます。
日本国内でも学生と社会人では言葉も服装も異なります。
見かけと立ち居振る舞いが完璧なビジネスパーソンにも関わらず口を開くと学生言葉では、奇異に映るでしょう。
例えば、信頼できる人材、海外をまたにかけた国際ビジネスパーソンだと思っていたのに実際に話し始めると、
っていうか、ヤバ、それ有りかも、マジ、イケてますね、
と、何度も不要な日本語が入ると、この人とのビジネスは、、、?と心配になることは想像に難くないでしょう。
英語圏でのビジネスシーンにおいては、「filler words」や学生言葉を使うのは極力避けた方が無難でしょう。
まずは、会社のこと・商品のこと・自分のことですね、早速まとめてみます!
I can do it!
Great ! I’m so excited about it. I cannot wait.
英語が話せれば異文化適応の半分強の能力はすでに身についていると言ってもよいでしょう
異文化適応力?
まだ半分強なんですか?
(その気になってきたのに、まだあるんだ。。)
ええ、半分強なのです。
なぜなら日本の常識は世界の非常識とも言われているためです。
次は異文化への適応について詳しく見て参りましょう。
異文化に適応できますか
はじめに
海外の多くの国では性悪説が多勢で日本のような性善説はごく稀です。
海外進出の成功を左右する、異文化適応力、はこのロードマップの中でも群を抜いて習得が難しい部類に入るでしょう。
例えば異文化について知識や経験がないと、海外進出を進めていても下記のように、頭の中に?マークが増え、理解に苦しみ、無力感に苛まされるようになっていきます。
- 最初は上手くいっていた交渉の雲行きがだんだん怪しくなってきたが、価格、納期、仕様が理由ではないと言われた、だったら一体何なんだろう?
- 問題ない、出来る、と言ったから契約したのに、なぜ言い訳ばかりで一向にプロジェクトが前に進まないのか、おまけに見積書にない追加費用まで請求された、冗談だろう?
- ワンダフル、グレイトと絶賛していたのにだんだん返信が遅れるようになった、こちらから連絡しても返事も来なくなった、どうしたのだろう?
- 支払いの督促をしたら担当者が辞めていた、問い合わせるとそのような商品の注文記録がない、支払う必要もないと言われた、大きな会社だから信用したのにどうすべきだろう?
実際の海外進出において、無意識にしても、日本での商習慣や暗黙知を基準として判断を続けると、頭の中の?は増える一方になってしまうかもしれません。
異文化適応力って何ですか?
異文化適応力とは、国によって、地域によって、様々な価値観があり、考え方や行動様式が異なることを正しく理解し、対応できる力のことです。
海外進出の局面においてこの異文化適応力の有無は、英語力同等、あるいはそれ以上に重要になります。
なぜなら、進出国別の文化の違いを理解し、自社の事業展開を吟味し、あらかじめ策を講じ、優位に方向付けできる異文化適応力があればこそ、異国間取引においての不測の事態にも迅速な次善策が打ち出せるためです。
国によって異なる価値観の例には下記などがあります。
異文化間で異なる価値感の例 仕事、お金、自己実現について
- 上司であっても反対意見があれば率直に伝える/上司の指示はほぼ絶対である
- 自分の仕事が終われば帰宅する/周りの人が残っていれば一人だけ先に帰宅できない
- 体調不良なら出勤しない、効率が悪いため休む/急な病欠は申し訳なく、体調不良でも出勤する
- 自分は自分、周りは特に気にしない/周りに迷惑をかけると評価が下がる、ことを自分が気にする
- 幹部候補として高額研修を受けても他に好条件があれば迷わず退職する/幹部候補として教育を受けさせてもらっている以上貢献もせず短期間では転職しづらい
- 給与額は従業員間でつつぬけで不満があれば会社にも堂々と問う/会社に個人が待遇改善の直談判などしづらい、揉めるくらいなら転職する
- 勤務中に社内で物やお金がなくなることはままある/白昼、社内での盗難などレア
- 仕事は100%自分のため、お金のため/仕事は自己実現と生活のため、が、実際には自己実現度は低く貯金もままならず冷静に考えると会社のためかもしれない
- 過労死するまで働くなど全く考えられない/終わりなき仕事が続くなか、過労死についても明日は我が身と感じることもある
異文化間の異なる価値観の例 宗教、愛、家族について
- 宗教、家族より大事なものはこの世にない/宗教はよく分からない、家族は大切だが朝早く夜遅いため食事の時間は別々で会話も少ない
- 愛が無ければ躊躇なく離婚する/愛が冷めたあとも子供がいる限り家族というシステムは有効だが、DVや借金、依存症などがあれば離婚になるかもしれない
- 親類縁者が困窮していれば土地家屋現金などあるものは与え生活全般の面倒を無期限でみる/親類縁者であればこそ困窮は伝えない、出来るだけ人に迷惑をかけないようにしている
- 子供の誕生日のために仕事や会社を休む/子供の誕生日は土日にまとめて祝う、会社を休む場合も子供の誕生日とは言えない
- 会社のデスクに家族の写真を飾る、会社に飼い犬を連れてくる(IT系)/会社にプライベートは積極的には持ち込まない
様々な価値観がある中で、自分と異なる文化背景を持つ相手であっても、共に問題解決できる企業や人材は異文化適応能力が高いと言えます。
問題が起こることは避けられなくても、問題解決のたびに異文化間の不信、不満、不便を減らせるならば、それは非常に高い異文化適応力を持っている、と言えるでしょう。
英語が話せることと異文化適応できることは違うのですか?
英語が話せてもビジネス上の異文化適応ができない理由
英語が話せるイコール異文化に適応できている、とは限りませんが、英語力があれば異文化適応の半分強の能力はすでに身についていると言えます。
なぜなら日本にしかない習慣や表現を英語に翻訳しなければならない場面で(その逆もしかり)、常にそれに一番近いものは何か?を考えて置き換える作業、あるいは置き換えられるものは無いと判断する作業を、経験しているためです。
例えば、いつもお世話になっております、や今後ともよろしくお願い申し上げます、は英語圏では日常使いませんが、しいて言うならば、I hope things are going wellや、 Thank you for your business や Thank you for your continued cooperation などがあるでしょう。(直訳しても日本語の通りにならないところがポイントです)
一方で、ビジネス英語が話せてもそれだけでは海外進出の際、異文化適応力が万全と言えないのはなぜでしょうか。
よく言われることですが、英語は単なるツールであって目的そのものではないためです。みなさまの目的はビジネスです。そしてビジネスとは突き詰めると落としどころの探り合いです。
英語で相手の話す内容が理解できたとしても、相手のビジネス上の手の内が自然に見えてくるわけでは無いのです。
たとえ英語が出来ても手のひらだけではなく脳みそまで汗をかくようなビジネス経験を積まない限り、海外企業を相手に、商談中、落としどころを正確に見積もることは難しいでしょう。
異文化適応力を高める方法は何ですか?
海外進出の際、異文化適応の一助となるものには、
(1)相手の行動背景を知る
(2)相手の行動を予知したコミュニケーションをとる
の2つがあります。
異文化適応の方法① 行動背景を知る
行動背景を知るには、お金のかかる順に、
- 現地で学ぶ
- 現地で働く
- 現地に住む
- 現地の人と仕事をする
- 現地に行く
- 現地の友人をつくる
- 現地全般についての本を読む
- 現地のTV番組を見る
- 現地についてインターネット検索する
があります。
異文化適応の方法② 行動を予知したコミュニケ―ションをとる
行動を予知したコミュニケーションが取れるようになるには、効果の高い順に下記があります。
- 強制的に海外現地パーソンと現地の同じ環境で同じ視点を共有して働き結果を出す
- 異文化適応できている日本人とビジネス目的でその現場、現地に行き行動を共にする。しかしその人には先回りした異文化適応行動の代行は頼まず、解説だけ依頼する。
- 海外現地で、ざっくばらんにミスコミュニケーションの悩みについて自身の見解を現地パーソンに説明し反応をみてみる(ただしビジネスの場合、相手を選ぶ必要あり)
いわゆる海外留学や海外駐在が、異文化適応の近道になるのは、相手の環境や常識に合わせなければ学業や仕事が成り立たないという強制装置が働くためです。ここで相手から見える景色を無理やりにでも見ることで多くの新しい視点が培われます。
ただし後述する、異文化適応に時間がかかるタイプの人は、せっかくの機会であっても活かすことなく、異文化に適応しないまま、そのことにも気がつかないまま、帰国していることもあるでしょう。
人の思考や性格は数年の留学生経験や環境変化だけで自然に変われるものではなく、意志の力が加わることで変えられることもある、という注釈つき難題なのかもしれません。
異文化適応が割とスムースに進む人と、時間がかかる人の特徴については、下記などがあります。
異文化適応が割とスムースに進む人の特徴 10個
- 自分がまぁまぁ好き
- 努力が評価されなくても気にしない
- 学んで新しい知識が増えるのは喜び
- 公平の精神が好き
- 好奇心と探求心は強いほう
- 変化は受け入れる
- 執着が少ない
- 人と自分を意味なく比較しない
- 人をスペックで判断しない
- プライドがそこまで高くない
異文化適応に時間がかかる人の特徴 10個
- 条件付きで自分が好き (他人からの評価が良い部分は好き)
- 努力が評価されないとへこむ
- 何かを学んでも自分のやり方はそう変わらない
- 公平を認めると立場的に損な気がする
- リスクが大きいなら現状維持でよい
- 状況が読めないのは困る、予定が未定は更に困る
- 頑固だと人から言われたことがある
- 人の幸せを認めると微妙に落ち込む
- 履歴書なしで正しい人物評価は難しい
- 意見を否定されるとイラッとする
少し解説いたします。
自分が好きな人は、自分と他人を単純比較することに価値を感じません。先入観や偏見を脇に置ける耐性があります。自分とは異なる人への受容、寛容、共感を発揮し、思い込みを排除した状態で、他人にフェアな関心を持つことに異論はありません。
高学歴だから、いい会社に就職できたから、という理由付きの自分好きからくる自信とは異なり、ただ自分であることだけで自信が持てる人は、理解できないグレーゾーンにもとくに過剰反応はしません。
否定するのではなく、え、それってどういうこと?とまずは受け止め、自分のやり方でも相手のやり方でもない方法で、じゃあどうしようか?を共に考える選択肢が持てます。必要な話をしてゴールを迎えようとします。努力が評価されなくても今回は残念、で終われます。
一方で条件付きの自分好きや、努力の対価や評価を外に求める人は、今の自分の能力で理解できないことや人から”異見”されることをあまり心地よく思いません。否定されている気分になり自信が揺らぎイライラしてきます。
そこで状況を好転させようと自分の視点や解釈を更に濃縮して話を進めようとします。自分への攻撃を早めに摘み取って正しく理解させねばならない、ここに別の理屈を持ち込まれてはあとがたいへん、と間違った不安を抱え込んでしまうからです。これでは相手のやり方をフェアに検討する機会は失われてしまいます。
あるいはこんなことも有るでしょう。
自分と相手には異文化間の考え方と感じ方の大きな違いがあることは明白にも関わらず、そこには全く触れず、関心も持たず、表面上は機嫌よく様子を合わせ、ニコニコしながら、しかし進め方はあくまで100%日本側のやり方でと押し切るなどです。
これでは案件が進んで込み入った話になればなるほど、理解し合えていない部分が悪目立ちし、調整の難易度はハネ上がるばかりとなるでしょう。最終的に成果を出すことは出来ず、結局何だったのかも分からないまま、あとは先方のせいにして、海外はやっぱりリスクが高いよね、となるでしょう。
異文化適応力とは「自分とは異なる正しさ」も尊重できる力
異文化 ー それはただの違いです。
世界中の人々がただ自分が正しいと思ったことをしているだけなのです。正しいことが日本側とは真逆なこともありますが、ビジネスを前に進めるために、落としどころを一緒に探る姿勢があれば、それ以上でもそれ以下でもない、ただの違いと分かってきます。
異文化に適応できる人は人の話をよく聞きます。そして言わなくてはいけないことはタイミングを見計らって明確に伝えます。その最中も相手のことをしっかり見ています。それは自分のやり方を押し付けるということではなく、より良いゴールのために、更なる理解のために、という視点で聞き、話します。
異文化適応は日本人にとっては難易度が高く、奥が深いテーマですが、オセロの黒が全部白にひっくり返るが如く、突然クリアに分かり合える瞬間、
坂道を登り切った後に高台から地平線を見渡すようにすーと理解が進む瞬間、が、たまにですが、確実にあります。
これは実践者のみが味わえる海外進出の醍醐味です。
是非その瞬間を楽しみに、自分に自信をもって異文化適応を実践して参りましょう。
突然クリアに分かり合える瞬間かー、楽しみです。
なんとしても、その景色を見てみたいです!
きっと見ることができますよ。
能力開発を続けながらぜひ楽しみにしておいて下さい。
次はいよいよ、海外進出における、戦略の構築と実施というステージに上がって参ります。
売るための仕組みづくりですね!
その通りです!
ここで培った視点は国内事業にも新しい発見をもたらします。
海外市場向けの戦略を、具体的に構築して参りましょう!
海外進出の戦略を構築しよう
ここまで、
「はじめに」
「1.実現可能性を検証する」
「2.必要な能力を開発する」
と、
「中小企業のための海外ビジネスロードマップ」の前半部分をご説明してきました。
いかがでしたか?
海外進出のロードマップを前に進めるためには、
・海外でも勝てる方法=自社のビジネスモデル最適解を検討し
・海外市場で自社に当然起こりうるリスクを知り
・そのリスクを放置せず回避する策を事前に講じ
・グローバル戦略としての知的財産の権利化を進め
・進出先の製品や技術の輸入規制に準拠する
等が必要であると分かりました。
また、
・貿易実務
・ビジネス英語力
・異文化適応力
等、グローバルに通用する能力を開発していくことも併せて重要であると認識しました。
海外展示会や海外営業に行く前に、
また多言語サイトや越境ECを制作する前に、
海外進出上の課題の特定と解決に力を注ぐことは、遠回りではなく、
むしろ海外進出のゴールにより確実に近づけると感じました。
これら
・海外進出の実現可能性を丁寧に検証する
・グローバル市場で戦うには不足している能力を開発する
の実施にはそれなりのコストがかかりますが、
海外進出の失敗を減らし、試行錯誤の戻り幅を小さくできるのであれば、投資効率は良いと気付きました。
少しずつ世界を相手にビジネスするイメージや
”海外進出に近道はない” “急がば回れ” の意味も解ってきました。
ここからはいよいよ、海外進出の戦略構築と、戦略実施という次のステージに登っていきます。
より深く海外市場のリサーチを続け、競争力を高められる進出先での戦い方を決めていきます。
海外で売るための基盤、仕組み、魅せ方を構築するために、海外地域のターゲットに向けた販売促進ツールを作成します。
具体的には、
・多言語サイトや越境ECの制作
・商品やサービスの英語動画制作
・海外企業向けサービス仕様決めと必要な契約整備、書類の作成
・海外企業向け英語のプレゼンテーション作成
等があります。
これらを作成するには、グローバルマーケティングやブランディングの方向性も決めていく必要があります。
た、たとえば、どのような事をするのでしょうか?
(ワタクシ実は、社長の理解の半分くらいしか分かっていないカモです)
そのひとつには、海外企業からの引き合いの受け皿として、また24時間稼働する営業パーソンとなり得る、海外向けWebサイトの構築があります。
Webサイトコンテンツの企画、原案原稿づくり、素材調達、サイトマップ作成などに、最低半年はかかります。
これを機能させ、運用します。
半年もかかるのですか、Webサイト制作に・・・
他のことも同時に進めながらです。
(他のこともやる・・同時多発的ワーク・・・)
さらに、海外のお客様が感激して買いたくなる理由や安心して買い続けられる理由を明確にします。
サービスであれば、選びたくなる理由、切り替えて良かった理由です。
そして、そのブランド=日本企業を、海を越えて応援したくなる、秀逸なブランドストーリーも随所にちりばめ、商品やサービスにどんどん反映させていきます。
うーん、
海外マーケティングや海外ブランディングですね・・・・
なんだかお二人とも腰が引けているような気がしますね・・・
実は海外マーケティングや海外ブランディング、海外向けWebサイトに苦手意識がありまして。
苦手意識デスカ・・・。
それは日本の企業あるある、かもしれません。
マーケティングやブランディングが、結局どのような成果をもたらすのかよく分からない、と仰る日本企業は大勢いらっしゃいます。
(ふふ、ヨカッタ・・)
でも、
海外マーケティングや海外ブランディング、海外向けWebサイト制作は海外進出において必須のアクションですので、出来れば前向きに取り組んで頂きたいと思っています。
理由は海外進出中の、立ち返るべき拠りどころになるためです。
ほぉ、聞きたいですね。
実は海外進出中は、現地市場からポジティブな反応ばかりがあるわけではありません。
・打ち手が無い
・活路が見いだせない
・売れない
・人材が定着しない
など山も谷もこれからみなさまは経験していきます。
その際の拠りどころとなるのは、
「海外のお客さまからどう見られているか?」
「どう見られたいか?」
のご自社での見直しと修正の数々です。
日本で多くのお客様に愛された商品やサービスを海外でも展開するぞと決めて、海外進出を決められたはずです。
海外市場では日本市場での成功体験が効かず勝手が異なることも最初から十分想定済みです。
自社としては、その国の市場向けに、何を残し、何を変えるべきなのか、
現地のお客様は、何を良しとして問い合わせをくれるのか、見積依頼や新たな提案を望むのか、
そのすり合わせを具現化したものが、マーケティングやブランディングです。
意気揚々とそれを持って市場と答え合わせをしていくのです、期待した反応を得られるまで、何回も何回も。
つまり、
・会社と商品”を海外目線で認識しなおし
・自社の海外での在り方や可能性を確定し
・海外進出上重要なことは何か(重要ではないことは何か)を最終決定し
・具体的に体現していく
にしっかりと取り組むことは、海外進出の自社だけの解を(他社が真似できない競争力を)得ることにつながります。
ぜひ積極的に取り組んで頂ければと思います。
まずはマーケティングについてです!
海外マーケティングはできていますか
はじめに
マーケティングとは、
こんなお客さまのお役に立ちます!と、フラッグ(旗)を立てている自社に気づいてもらい、わくわくしながらそのフラッグに、近づいてもらう取り組みです。
どういうフラッグ(旗)=強み、を立てるのか、どうやって自社に気づいてもらうのか、色々比較されたあとどんな風に納得されると、わくわくしながら問い合わせてもらえるのか。
近づいてもらえたときに、どのくらい期待を超える対応ができるのか、
どうすれば最終的に、この商品やサービスが欲しい!と選んでもらえるのか、
という1つ1つを海外向けにもしっかり組み立てる必要があります。
マーケティングができていないと海外市場においても取引候補として見てもらうことはできません。
海外進出の際、商談会や業界団体イベントでせっかく顧客候補に出会えたとしても、インターネット検索でやっと自社を見つけてもらえたとしても、
- 日本語以外のカタログやPRツールが無い
- 海外向けに売れる価格や使える仕様になっていない
- 現地での流通障壁や、競合・エンドユーザー・業界のこともよく知らない
- 現地でのビジネスの進め方や業界常識、英文契約についてはノーアイデア
という状態では、スタートラインにも立てないでしょう。
海外マーケティングでは、何をすれば良いですか?
まず海外市場のリサーチをして、現地顧客、競合、流通について現状を把握します。
次にどうすれば優位に事業展開できるか考察し、それを流通、価格、仕様、カタログ、プレゼン資料、自社サイトに反映させます。
そして海外顧客に知ってもらうための取り組みとして、オウンドメディアや企業ブログの運営、SNSの活用、海外出展、海外商談会や海外ミッションの参加などを検討し露出を増やしていきます。
ターゲット顧客に気づいてもらい、近づいてもらうための種まきを対費用効果を考えながら継続し、効果があったこと、なかったことへの検証を経て取り組みを更に進化させていきます。
リサーチした結果、海外での優位な事業展開がイメージできそうで、できません。
判断材料を十分に集められないときは、根拠のある意思決定はしづらくなります。100%の判断材料を集めることはできませんが、50%~70%は何とか集めたいところです。
判断材料はインターネットで検索するか、業界団体のレポートの購入やオーダーメイドの調査依頼などである程度は得られます。
業界レポートや調査報告書は、テーマに沿ってWebでアンケートをとったり、現地の関連機関や企業、もしくは個人にインタビューした内容をまとめたりしたものです。数十万円から数百万円します。
あるいは現地に赴き、実際に自社で市場を調べる、現地F/S調査も非常に有効です。
海外現地でF/S(フィージビリティスタディ)調査はしましたか
現地に行くことが難しい場合は、海外各国のECサイトでテスト販売をしたり、オンライン上のマッチング商談会に参加したりすることもおススメです。購入者のレビューや相手企業の一挙手一動に注目し、判断材料に加えていくと良いでしょう。
それでも事業展開のイメージが難しい場合は、複数の専門家に率直に相談してみるのも1つです。海外で売れる理由、売れない理由をそれぞれ3つずつ示してもらうことで、判断材料のヒントが増えるでしょう。
海外進出で迷ったら 【無料相談】海外進出支援機関6選 + 海外進出支援施策まとめサイト3選
海外向けのオウンドメディアや企業ブログの運営とは、何をすれば良いですか?
今のお客さまだけではなく、これからお客さまになる見込み顧客との関係構築、自社コーポレートサイトへの流入促進、ブランド価値向上のために、企業独自で、オウンドメディアや企業ブログを立ち上げ運営するのは海外向けにもたいへん有益で、見込み客づくりや顧客ロイヤルティの維持に役立つでしょう。
特に海外顧客の場合、継続して知ってもらう努力なくして、リピート顧客は獲得できません。信頼されて指名買いされるためには、スマートな情報発信、顧客にとって便利なコンタクトポイントを意識してつくる必要があるでしょう。
しかし、実際にWeb初心者である中小企業が、海外向けのオウンドメディアや企業ブログの運営を始めるとなると、担当になったスタッフにとって、ことは容易ではありません。
担当者の負担の軽減のため、明確な役割分担と運営計画、進捗管理が必須となります。また海外向けのコンテンツを投稿する場合、増えていく翻訳をどうするのか(費用をどうするのか)予算の手当てもいるでしょう。
これらの検討を怠るとあっという間に更新は滞りますので、無理のない仕組みづくりを心がけましょう。
例えば、コンテンツの量産はあきらめ、記事1件あたりの内容の深度、独自性で勝負する。ターゲットをとことん絞り、問い合わせ数ではなくコンバージョン率にこだわる、などです。
また、ブログコンテンツの計画・立案・制作・運用の打ち合わせは、毎月の営業会議などの始めや終わりに30分固定追加し、経営陣へ数字の報告をするついでに、経営陣も巻き込みながら資産運用(メディアサイトや企業ブログは会社の資産です)の判断を仰ぐのもひとつです。
オウンドメディアや企業ブログの運営は会社経営と同じくらい大切、というと驚かれますが、日本の小さな会社が海外に向けて直接、自由に、情報発信できるしくみを、率先して育てて活用しない手は無いでしょう。
どういうフラッグ(旗)=強み、を立てるべきなのか、すこしずつ見えてきた気がします!
いいですね!
その強み、存分に海外市場にも伝えたいところです。
そのためのツールとして、Webサイトがありますが、御社には海外向けのWebサイトはありますか?
もちろんです!
日本語サイトを英語に翻訳したWebサイトがあります!
、、、、おしいですね。
オシイ??
もしかするとそれは、上手くいかない”あるある”の1つかもしれません。
海外向けWebサイトについて、成功のコツを学んでいきましょう!
海外向けWebサイトはありますか
海外進出の必需品 機能する多言語サイトとは
海外顧客のニーズを芯でとらえた、集客力の高いホームページを持つことは、海外進出に取り組む中小企業経営者の悲願です。そんな大げさな、、、と思うことなかれ。
考え尽くされた分かりやすい海外向けWebサイトがあれば、海外進出中、どのフェーズにおいても、会社を、担当者を、事業そのものを、24時間働く最強の営業ツールが、根底から支え、助けてくれます。
特に、海外進出中、具体的には海外営業中に現地で、
「詳細な技術データは弊社HPから確認できます」
「グローバル展開する競合他社との仕様比較表もあります」
「会員用の使用方法の動画、モチロンあります、パスワードをお伝えします」
「ブランド別、地域別事例も確認できます、中国もアメリカもあります」
「更なるお客さま事例は弊社のサイトに写真とサンプルと共に掲載しています」
「今説明したWholesale Program については弊社Webサイトからダウンロードできます」
と言えることの
効率の良さ、目の前で得られる相手の納得感、商談がスムースにゴールする達成感、を体験してしまうと、
”考え尽くして“海外向けWebサイトを作っておいて、本当に良かったと何度も何度も思うでしょう。
どれほど有能なビジネスパーソンでも、分かりやすい多言語サイト(信頼の根拠)すら無い会社の商品を海外で売るのはたいへん難しいでしょう。
日本語のWebサイトが既にあります、英訳しただけではダメですか?
日本語原稿を英訳しただけでは、期待する成果はあまり得られないでしょう。
一番安く海外進出する方法が、海外向けのWebサイトを構築することです。今後、予算と人員の都合から、海外出張も海外出展も予定が無い場合、かつ、海外進出は視野に入れたい場合、海外向けのWebサイトだけは是非つくっておきましょう。
失敗のない作り方としては、出来ればまず、英語のサイトを一から新しく制作します。それを日本語に訳したものを国内サイトのリニューアル版としても公開するのが良いでしょう。
理由として、日本語のWebサイト(の英訳版)には、英語圏からの来訪者が真に必要とする情報が少ない割に、不要な情報が多いことがあり、大変な努力なくしては、最後まで正しく読み切ることが難しいためです。
例えば検索する人、というのは、何かに困っていて、問題を解決するための情報を探している人ですが、その人の知識レベル、ビジネス背景、情報探索力は、実にさまざまです。日本人の平均とは大きくかけ離れていることもあります。
- どのページを見ても一番言いたいことが1行程度で言い表されていて
- ありきたりではないオリジナルのキャッチコピーが入念に作り込まれており
- その理由と根拠がプロのデザインによる図式、写真、数値、データ表などで知りたい順にまとめられ
- 業界の全体像や競合との違い、ポジション、優位性が分かる参考資料がダウンロードできる
という情報が、約10分程度で収集できるシンプルなサイトが好ましく、
- 他社にはない圧倒的な強み
- 買うべき理由についても数十秒で確信できる
サイトならば、更に評価されるでしょう。
そして再び来訪した折に、より詳しく読み込みたいと思えるような、
- 迷わず回遊できる全体構造、サイトマップ
- つい長居してしまう上手い内部リンク、関連記事
- 多くの来訪者が理解できる事例コンテンツ
- 得たい情報を簡単に探せる利便性
- 何もかも詰め込みすぎない1ページ1テーマ
- 読み進めたくなる海外顧客のリアルな声の存在
などもたいへん重要となるでしょう。
消費者向けの商品やサービスの場合は、加えて、
- イラスト
- 写真
- YouTube動画
を駆使し
- 最高に美しいもの
- ストーリーが分かるもの
- 共感したくなるもの
- 再訪したくなるもの
を、工夫して作り込むと更に良いでしょう。
ご参考まで→ 海外日本Webサイト比較まとめ【51事例紹介】
海外向けWebサイト制作時の注意点はありますか?
海外向けWebサイト制作時の一番重要な注意点は、経営者の方がWebサイト制作にコミットすること、これに尽きます。
海外進出を真剣に検討されている中小企業の経営者の方は、ぜひ海外向けWebサイト制作の打ち合わせに同席してみてください。
担当者の方であれば、経営者の方のご同席を切にお願いしてみましょう。
Webサイトとは経営者の頭の中の縮図であり、ブランドの要です。経営者の想い、やりたいこと、今後の方向性がぎゅっと詰まっているものです。その経営者がWebサイト制作の打ち合わせに立ち会わなくては、話は前に進みません。
Webサイトは今や国内・海外、地域拠点の有無に関係なく、事業運営に影響を与える重要なツールですが、経営者が海外向けWebサイト構築に関与しない場合、
- その企業独自の海外戦略が何ら反映されていないグローバルサイト
- 会社名とロゴをそのまま競合他社のものに入れ替えても大体成り立ってしまうグローバルサイト
- 安心安全、信頼オンリーワン、顧客主義、など頻出ワードが並び誰にも響かないグローバルサイト
など、どこかで見たことがある機能しないグローバルサイトができあがってしまうでしょう。
また、担当者に任せているから、海外向けだから、と経営者が同席しないことは、海外進出に必須の、異文化適応能力を高める絶好のチャンスの、経営者ご自身の機会損失にもなります。
コンテンツには独自性を持たせ、どのお客さまのどんな役に立つサイトにしたいのかをページごとにしっかり問いながら反映させ、経営者の熱い思いが全世界に伝わるようなサイトを、全社一丸となって作り上げていくことが、海外進出の成功には必須です。
良い海外向けWebサイト制作会社の見つけ方はありますか?
グローバルサイトの専門家に相応しいWebサイト制作会社かどうかを見極めるポイントは2つです。
・その制作会社のグローバルサイトが自然検索でも上位表示されている(あるいは集客できている)
・もしくはその制作会社が作ったお客様のグローバルサイトが自然検索でも上位表示されている(あるいは集客できている)
かどうかです。
しかし、ネット検索でWebサイト制作会社を探していくと「当社の強みは、自社サイトもしくはお客様サイトが自然検索でも上位表示されていることです」とPRしているWeb制作会社はかなり少ないことが分かります。
Web制作会社のサイト制作実績とは「新品サイト」という頂点にあるスナップショットであり、そのWebサイトが公開後にどのような働きをしていくか、実際に成果を出しているか、は制作会社の実績欄では確認しようがない状態ではあります。
実はWebサイト制作会社は、下記①、②の2種類しかありません。
① Webサイトを制作している制作会社
② 集客できるWebサイトを制作している制作会社
集客できるWebサイトを制作しますとPRしつつ、(素人である)企業側から提出されたテキストはほぼそのまま、多少の画像修正と、デザインだけはきれいなWebサイトを制作しているだけであったり、
集客できるWebサイトが必要であれば制作後に別途SEO対策が必要です、弊社でやっても良いですが、保証は出来ませんと言われたり、(そのWeb制作会社が作ったサイトなのに、、)
シンプルに普通に②のWebサイト制作会社を見つけることは、過ぎた望みなのかな~と、感じてしまうこともあるかもしれません。
しかし、①と②の違いは別料金でSEO対策をするかしないか、ではなく、制作段階からあらかじめSEOに強いサイト構造を提案してくれるかどうか、当然ながら上位表示に必要な海外競合や海外市場リサーチを行った上で、それらを反映させたサイトづくりを最初から提案できるかどうか、のはずです。
あとからツギハギにSEO施策を加えるのではなく、最初からSEOを組み込んだサイト構成やデザインであれば、追加工数は最小限で済みますし、それが一番無駄がありません。
なにより中小企業は毎日忙しいですので、初期投資費用の安さではなく、本来の目的を達成できる提案を最初からしてもらうことに価値をおかねばなりません。
(そうしなければ無為にサイトリニューアルを繰り返し、いつまでも来ない問い合わせに消沈することになります)
多言語サイト(日英2カ国、日英他三ヵ国)の相場は制作するだけで200万円~300万円はします。
SEOリサーチを含めるとプラス数十万円から100万円はします。
合計かなりの投資金額です。
そうすると経営者の方は比較します。
他社は英語のサイトを100万円で作ってもらったと言っている、この金額はあまりに高すぎるのではないだろうか。。
価格を比較する時は必ず、apple to appleが基本です。
同じ商品同士、同じ内訳同士を比較しなければ高いか安いかは判定できません。
その100万円多言語サイトにもし、海外進出に必要なSEOに強いサイト構造、海外競合や市場リサーチ、ターゲット明確化、オリジナルコンテンツが含まれていた場合、かなりかなり安いと言えます。
一方でそれらが無いままに、海外の顧客候補に見つけてもらえるよう上位表示させることなど、そこからどれほどの時間とお金がかかるかは想像に難いでしょう。
新しく公開された海外向けWebサイトは他の海外国内競合サイトに揉まれながらGoogle市場で試されていきます。
その際に、
・事前に海外の競合サイトリサーチを行っていた
・海外ユーザーの検索ワードも設定していた
・これから上位表示させるためにどのような海外向けコンテンツを増やすべきかのあたりもつけてきた
・それらを試せるWebサイトの構造になっている、CMSになっている、サイトマップになっている
というWebサイトであれば、中小企業が自社独自のコンテンツを増やしていくだけで、(適宜検索ワードに気を配りながら)海外向けWebサイトを運営し、自動操縦できるようになるでしょう。
そのようなWebサイトや環境を作ってくれるのが良いWebサイト制作会社です。
良いWebサイト制作会社と出会うためには、経営者側にもある程度Web制作の知識や費用感を持つこと、また、集客できるWebサイト制作とうたう根拠をしっかり見極められることが重要になります。
頼りになる、相談できるWebサイト制作会社をきちんと見つけられるように、経営者ご自身のセンスを磨くことも合わせて必要です。
例えば、こんな海外向けサイトが作りたい!と具体的に思えるWebサイトは見つけていますか、あるいはイメージできていますか。
もし未だであればこれから是非、見つけてみて下さい。
沢山の海外サイトを見ることで得られる知見は、ネット検索で上から順に複数のWeb制作会社から相見積もりをとるより、断然身になり血になり海外進出向けの筋肉になります。
集客できないWebサイトを作ってしまう品質リスクも低減できます。
Webサイトの探し方は下記(再掲)に譲りますが、こんなサイトを作りたい!というものが見つかれば、そのサイトの企業名と「制作実績」という単語で検索してみると制作会社がヒットすることも多いでしょう。
多言語サイトの作り方!失敗しない13のポイント(再掲)
その素敵なサイトが制作会社のたまたまの成果なのか、安定してレベルの高いサイトを制作している賜物なのかは、その制作会社の実績欄、WORKS欄をくまなく見ることで把握できます。
たまたまの可能性が高ければ、また別の素敵なサイトから、制作実績の検索を続けます。
制作会社を見つけた後も、実際にホームページ提案依頼書 RFP(アールエフピー)(Request for Proposal)を作成し、制作会社から具体的な提案を受けることで、その会社やクリエイター、デザイナーの考え方や人となりも、より具体的に分かってくるでしょう。
その際も、海外の競合調査、海外市場でのターゲットやキーワード設定は避けて通れませんが、もしその制作会社にてそのような専門的な対応が難しい場合は、対応できる会社(海外向けSEOコンサルティング会社、SEO専門家など)を追加で探す必要も出てくるでしょう。
海外のSEO業者、もしくは海外のWebサイト制作会社へ直接依頼する選択肢もありますが、欧米企業となれば制作費は日本の広告代理店と同じかそれ以上かかるでしょう。
アジアの制作会社や海外のフリーランスだと安くなる場合がありますが、品質の見極めは非常に難しいでしょう。
海外企業への直接発注となると、少なくともWebやSEOの知識、英語力が中~上級レベル必要です。
初心者レベルではやりとりを正しく進めることがかなりかなり難しいため、WebやSEO知識、あるいは英語力、のどちらかが上級者レベルとなった暁に、海外のWebサイト制作会社にぜひ依頼してみると良いでしょう。
海外進出時に24時間働く最強の営業ツールがあれば、実に心強いですね!
海外進出用の御社の強み=フラッグ(旗)を立てて、海外市場に効率的に伝えられるようになったあとも、もうひと頑張りが必要です。
海外にもたくさんのフラッグ(旗)=競合がいます。
その中から、選ばれ続ける理由がないとすぐに忘れられてしまいます。
選ばれ続ける理由ですか?
そうです。
選ばれ続けるにはブランディングが必要です。
海外ブランディングもできていますか
はじめに
ブランディングとは
たくさんの他のフラッグ(旗)がはためく中で、自社のフラッグにくぎづけになって、何度も振り返るお客さまの喜びを、熱く深くする取り組みです。
- たくさんのフラッグ(旗)=競合、から抜きんでる、自社の独壇場をどう築くのか
- どう魅了し続けるのか
- お客さまの利益を守りお困りごとを先回りできるパフォーマンスを全社でどう体現するのか
- 高まる期待値・納得感・信頼をどう社内外にスパークさせるのか
という1つ1つを海外向けにもしっかり組み立てる必要があります。
中小企業にブランディングなんて、と謙遜する余裕は、海外進出に取り組み始めるとすぐに吹っ飛んでしまうでしょう。
「御社のビジョン、ミッション、ヴァリューは何ですか」
「今後何のために、どう事業展開をしていきたいですか」
「商品やサービスは、他社とどう違っていて」
「どんなアドバンテージ(利益、有益な点)を顧客にもたらしますか」
「強みの源泉は何でしょうか」
といったことを、見込み客や取引候補先から、真顔で、直球で問われ、その場で判断されることもあれば、
間接的に、言外に問われ続け、比較され、水面下では取捨選別が終わっていることもある、のが海外進出の日常です。
安定した海外売上はひとえに、ブランディング=選ばれ続ける理由、にかかっているのです。
ブランディングに取り組むことが初めてです、ウチにもできますか?
ブランディングの取り組みを簡単に説明すると、
- 行きたい未来を決める
- 強みを抽出する
- 見えるところ(外観)と見えないところ(全従業員のこころ)に(1)と(2)を落とし込む
- (3)の充実感を糧に日々精進する
- (4)の振動をお客さまに伝播させていく
というものになります。
最初からズバリ、行きたい未来は見えてこない為、仮説を立てながら(1)と(2)を行ったり来たりします。
どのような会社にも行きたい未来や強みはありますが、商品やサービス、会社や従業員にそれらが、すんなり浸透するためには、少なくとも市場からお呼びがかかっている状態が必要です。
もし自社に届くお客さまや市場の声が小さすぎて聞こえないようであれば、この先の海外展示会の出展や海外営業のステップに進む前に、いったん立ち止まり、マーケティング、もしくはビジネスモデルの構築から、再度検討しなおすのが良いでしょう。
「ブランド」とはお客さまとの約束とも言われています。
約束したいお客さまがいらして、約束を守れる会社は、ブランディングに取り組む準備ができています。
お金がかかるからブランディングはやめとく、と社長が申しております、どうしましょうか?
ブランディングでお金がかかる部分は、前述の
(3)見えるところ(外観)と見えないところ(全従業員のこころ)に(1)と(2)を落とし込む、の
見えるところ(外観) の具現化プロセスです。
グラフィックデザイナーやアートディレクター、クリエイティブディレクター、といった専門家に、商品やサービス、会社のロゴやツールあるいは事業そのもののリ・デザインやリ・ブランディングを依頼して、行きたい未来にいけるように”仕立て直す“プロセスには、数十万円~数百万円かかるでしょう。
価格に開きがあるのは掛かる工数とサービスの範囲、会社の規模の違いです。
(2)強みを抽出する と(5)(4)の振動をお客さまに伝播させていく
も、自社だけでは難しい場合は、専門家の投入が必要なこともあるでしょう。
ただし、
(1)行きたい未来を決める
(3)見えないところ(全社員のこころ)に(1)と(2)を落とし込む
は、他でもない、経営者にしかできない仕事です。
そして、ブランディングの取り組みを細分化してみると、半分は社長が責任を持つ部分、2割は社員が担う部分、残り3割が専門家の知見とノウハウを仰ぐべき部分と分かります。
社長:社員:専門家=5:2:3
ブランディング=まるまるアウトソース、
という発想をいったん脇に置き、まずは会社で取り組めることは何か?から考え始めることで、合理的な費用内でブランディングを進めるベースはできていくでしょう。
海外ブランディングはB2B企業でも必要ですか?
必要です。
海外の顧客候補はすでに自国に取引企業があります。その商品からみなさまの商品への切り替えを促し、新しく取引を開始してもらうことが、今進めようとしている海外進出です。
そしてB2B(企業間取引)の場合の海外顧客は、生産財、中間財、製品財、サービス財など多岐に渡ります。
海外顧客が内国取引を止めて、わざわざ他国から輸入してまで新しい取引を開始する際にはさまざまな不安があります。
- クレーム対応やメンテナンスはどうなるのか?
- 輸出入の規制や現地規格には準拠しているのか、P/L保険はどうするのか?
- 新しいバージョンや部品はどう入手できるのか?
- 取引額に準じて支払い条件は緩和されるのか?
- 在庫はどうするのか、納期遅れは絶対に無いのか?
- 顧客の先にいる顧客に説明するためのツールの提供はあるのか?
- 技術データやエビデンスが足りない場合、日本で試験を実施してくれるのか?
などなど、これらはマーケティングや営業の際に説明や交渉で、道をつけていくことですが、当事者から、できます、やります、大丈夫です、と単に主張されるのみでは、新規取引の海外顧客側の不安はゼロにはならないでしょう。
例えば、B2B企業のブランド醸成の方法には下記などがあります。
- 既存顧客からの口コミ評価や、高レビュー
- 業界団体や業界誌での役職就任や寄稿
- 世界的な業界カンファレンスや展示会での定期的な登壇や出展
- メディアによる取材や各賞の受賞
- 行政からの評価や国際標準規格等の取得
などなど。
小さな会社ながらもブランディングが功を奏し、ブランドの力で、「実際に本当に約束を守れる会社です」、と分かってもらえて、初受注できるならば、これに勝るものはありません。
ブランディング是非ともやりたいです!
いいですね! 社長の情熱がなにより大切です。
海外マーケティングや海外ブランディング、海外向けWebサイトへは苦手意識がありましたが、とても重要な事なんですね。
そう、とても重要なんです。
お客さまとのリズムが噛み合い、これまでにない追い風を体感できると、海外進出が本当に楽しくなっていきます!
是非Webサイト、マーケティング、ブランディング構築にトライしてみて下さい。
次は、お待ちかねの、海外展示会出展、海外営業についてです。
また、海外投資をご検討の方はこちらもご参照ください。
はじめての海外展示会・海外営業を成功させよう
はじめての海外展示会出展検討をしていますが、成果が出るかとても不安です。
実は、はじめての海外展示会出展でも成果を出すことはできます。
そうなんですか!
初回で成果を出すのはまず無理かと考えていました。
ただし十分な海外展示会出展準備と、具体的で入念な事前演習は必須です。
もし複数回、海外出展をする予算がなく、1回で成果を求められている場合、あるいは、ノウハウが無く自社だけで対応することが難しい場合は、海外展示会の出展サポートを受けることも方法のひとつです。
はじめての海外営業も不安です。
海外企業との打ち合わせ、うまくできるでしょうか?
机上の打ち合わせ時だけでなく、
立ち話や移動中、電話やメールの返信でも海外取引をぐいっと前に進める海外営業を仕掛けられると、
国境を越えた距離を感じさせることなく、お客さまに頼りにされることでしょう。
世界中のお客さまから頼りにされる営業パーソンですね。
かっこいい!!なりたいです!!
いいですね!
早速、海外進出の戦略を構築し、実施を進めて参りましょう。
まずは、海外展示会出展のコツについてです。